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2009年03月31日

本年度を終えて

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  3月31日(火)、今日は自宅で休養し、新年度の準備をしたり、手紙を認め(したため)たり、新聞の記事の切抜きをしたり、久しぶりに貸農園での農作業を行ないました。5カ月前に植えつけたエンドウやソラマメには多くの蕾がつき、花も咲き始めていました。また、たまねぎも大きくなる等、ほぼ順調に成長してきているようです。昨年の夏は自宅の庭のわずかな土地を畑にしてきゅうり、トマト、ゴーヤ、茗荷(みょうが)を植えたところ思いがけない量の収穫がありました。肥料は化学肥料ではなく、生ゴミを肥料化したものを使いましたが、味の方はスーパーで購入する野菜とは全く異なっています。来月には農園と自宅に夏野菜を植える予定ですので、このままでいくと今年はかなりの量の野菜が採れそうです。

  さて、本日で本年度も終了することになりましたが、総括すると〝学校改革を継続することによって経営が良い方向に進み始めた年〟であったように感じています。この一年間は中学におけるコース制、人間教育の柱としての環境教育、進路実現のためのシステム化、広報活動に対する一層の注力等さまざまな取り組みを行ないましたが、お蔭様でそれなりの成果を収めることができました。これも多くの皆さんのご支援の賜物であり、心より感謝しております。
 いよいよ明日からは新年度になりますが、まだまだ学校改革は途上であり、やるべき課題は山積しています。本校にとっても学園にとってもこれからが正念場になるのは間違いありません。特に来年度は一年後に迫った創立60周年に向けて、極めて大切な一年になると思っています。教職員一同、新たな気持ちで取り組んでいきたいと思っていますので、何卒宜しくお願いします。


2009年03月30日

自家自給率を高める

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  日本の食料自給率は39パーセントしかありません。これは先進諸国の中では極端に低い数字であり、食料の大半を世界の国々からの輸入に頼っています。
  スーパーやデパートに行くと肉、魚、野菜、果物などが所狭し、と陳列されていますし、コンビニエンス・ストアや外食チェーン店では日々廃棄する多くの生ゴミが発生しています。また家庭でも冷蔵庫の中で食物を腐らせる等の無駄を発生させています。どうして、このようなことが起こるのでしょうか。それは自動車や電機、機械、精密部品等の製造業の輸出による豊富な外貨を獲得してきたからなのです。ところが、世界同時不況により輸出企業の販売額が急減することになり、これまで想像できなかった貿易赤字が発生するという状況に陥りました。言い換えると技術力に裏打ちされた工業貿易立国というスタンスが成り立たなくなってきたのです。
  この状況が続くと外貨は徐々に減少し、食料やエネルギーを輸入することができなくなります。食料自給率を上げようとしても農業従事者は少なくなっており、しかも大半が高齢者です。そうすると、たちまち食糧難に陥ることになります。これを防ぐためには、国をあげて食糧確保に取り組まなければなりません。農業政策を変えたり、農業従事者を増やすことが不可欠ですが、短期間に成果が上がることは期待できません。
  以前、この校長通信で海上封鎖による食糧危機に見舞われたキューバの人達が居住地周辺の少しのスペースを活用して野菜作りに取り組んだということを紹介しました。これからは日本国民一人ひとりがこのような自家自給率を高める地道な取り組みをしていくことが必要であると思います。私もまず身近なできることから始めるということで昨年から野菜づくりに取り組んでいます。さまざまな工夫をして自家自給率ゼロからの脱却を目指していきたいものです。

2009年03月29日

新年度に向けて

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  3月29日(日)、本年度も残すところ3日になりました。学校は今週の水曜から既に春休みに入っていますが、生徒達は勉強合宿や自習、部活動の指導や合宿、家族旅行等それぞれ充実した時間を過ごしているようです。また、先生方も合宿に付き添ったり、来年度担当する授業の準備のために結構忙しい日々を送っています。
  本日は年一度開催される同窓会総会に参加するため、朝から学校に赴きましたが、学園の枝垂桜(しだれざくら)はほぼ満開、ソメイヨシノは五分咲き、チューリップの蕾は膨らみ始め開花を待つのみの状態になっていました。このように新入生を迎える準備は着々と整いつつあります。
  4月に入ると、新任の先生に対する辞令手交や学園合同職員会議、職員会議、健康診断、中学・高校の入学式、始業式などの行事が目白押しです。本日は同窓会総会の前後の時間を利用し、4月2日の職員会議で説明する「学校経営方針」のパワーポイントを作成しました。以前は年度初めに経営方針を説明することはなかったようですが、これでは全教職員の力を結集することはできません。
  来年度の計画を徹底することにより、全員のベクトルを合わせ、より質の高い教育活動を推進していくことが大切であると思っています。

2009年03月28日

チョコレートについての豆知識

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  今週は終了式や理事・評議委員会も終了し、やっと一息つきました。
  先日、バレンタインデーやホワイトデーなどの話題を取り上げた際、生徒達からチョコレートについての質問がありました。普段口にしているにも関わらず知らないことが多かったため、調べてみると興味深い内容が多いことが解りましたので、本日紹介します。
  日本で使われている「チョコレート」は英語ですが、これはスペイン語の「チョコラテ」が語源になっています。そのルーツはメキシコインディオで「苦い水」という意味のChocolatre(ショコラトール)です。我々はチョコレートと言えば固形をイメージしますが、元々は中南米のアステカにおいて唐辛子やバニラ、薬草を入れて病気の治療薬や精力剤として用いられた大変高価な飲み物でした。その後、16世紀にアステカがコルテスにより征服されスペインの植民地となり、これがヨーロッパにもたらされると瞬く間に王族や貴族の間に広まり、カカオ豆をお湯で溶かして砂糖や蜂蜜、バニラ、ミルクを加えて健康飲料として飲まれるようになりました。お湯に溶けやすくするために脂肪分を減らしたのがココアです。その後、飲み物であったチョコレートはヨーロッパ各地で固形化され、さまざまな工夫が加えられ現在に至っています。そして、フランスでは「ショコラ」、ドイツでは「ショコラーデ」、オランダでは「ショコラート」と呼ばれています。
  現在、一人当たりのチョコレートの消費量が世界で最も多いのはドイツで実に年間10kgを超えています。次いでスイス、オーストリア、ベルギー、イギリスと続きます。これに比べると日本はまだ2Kg少しということになっています。
  また、チョコレートの材料はカカオ豆であり、高温多湿の熱帯でしか生息していないため、カカオの木を見た人は少ないのではないかと思います。参考までに生産高のトップはコートジボアール(象牙海岸)、次いでガーナ、インドネシア、ナイジェリア、ブラジル、カメルーンと続いており、圧倒的にアフリカ諸国が多いのです。そして、輸入量はオランダ、アメリカ、ドイツ、マレーシア、フランスの順になっています。世界地図でそれぞれの国の場所を確認しておくのも理解を深めることに繋がると思います。
  なお、日本で本格的にチョコレートの生産を始めたのは森永商店(現在の森永製菓)の森永太一郎氏でした。1899年(明治33年)ですから丁度110年ということになります。このような機会を通じて色々な食べ物の歴史を調べてみるのも良いかも知れません。

2009年03月27日

成功者と失敗者の条件

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  先日、あるお店に入ると『成功者と失敗者の条件』という言葉が掲げられていました。なかなか参考になる内容なので、紹介したいと思います。
 成功者は              失敗者は  
  人間的成長を求め続ける。      条件に甘える。現状から逃げる。
  自信と誇りを持つ。           ぐちっぽくなり、言い訳を言う。
  常に明確な目標を指向する。     目標が漠然としている。
  他人の幸福に役立つ喜びを持つ。  自分が傷つくことは回避する。
  自己訓練を習慣化する。        気まぐれで場当たり的。
  失敗も成功のプロセスと受け取る。  失敗を恐れて何もしない。
  今ここに全力投球する。         いつかやるといって引き延ばす。
  自己投資を続ける。           途中で投げ出す。
  何事も信じ行動することができる。  不信感が先に立ち行動できない。
  時間を有効に活用、段取りする。   時間を主体的に創ろうとしない。
  できる方法を考える。          できない理由が先にでる。
  可能性に挑戦し続ける。        安全圏の殻に閉じこもって不可能と思う。
 自分自身の日常の行動を今一度振り返ってみたいものです。

2009年03月26日

平成21年理事会・評議員会の開催

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  3月26日(木)、10時より平成21年雲雀丘学園理事会・評議員会が開催されました。本学園では、各企業の代表者や地域の著名な方々、学識経験者、PTA代表の皆さんに理事や評議員への就任をお願いし、適宜ご意見やアドバイスをいただいており、例年年度末と中間時点の2回、理事会・評議員会が開催されることになっています。
  本日の会議では、冒頭、鳥井理事長からご挨拶があり、役員・評議員の選任、平成20年度の事業報告・決算見込みの報告が行われました。次いで、松下常務理事から私学を取り巻く環境や他の私学の動きと学園の教育並びに経営方針についての説明があり、平成21年度事業計画・予算案の承認決議がなされました。その後、創立60周年事業についての報告と中学・高校、小学校、雲雀丘幼稚園、中山台幼稚園からそれぞれ21年度の教育ならびに経営方針についての説明を行ないました。
私も、この3年間で取り組んできた学校改革の振り返りと中期の視点を踏まえた21年度の学校経営の具体的な取り組みについての説明を行ないました。
  出席メンバーからは、人間教育のあり方、進路の実現、生徒の確保、教職員の資質向上、広報活動の強化等についての活発な意見が出されました。このような素晴らしい理事・評議員の皆さんにご支援いただけるというのも本学園の強みの一つではないかと感じています。
今のところ、本校の学校改革は概ね良い方向に進みつつありますが、私学を取り巻く環境は大きく変化してきており、改革の手を緩めるとこの流れは止まってしまうことになりかねません。企業が毎年新製品を出すように、連続して新たな取り組みを展開していく必要があると思っています。

2009年03月25日

慶應義塾大学SFCを訪問

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  3月25日(水)、慶応義塾大学のSFC(湘南藤沢キャンパス)を訪問しました。湘南藤沢キャンパスは、今から19年前となる1990年に新しい時代を見据えて総合政策、環境情報の二つの学部が新設されました。両学部は時代の先端をいくユニークな研究活動を展開しており、卒業生は現在社会の幅広い分野で活躍しています。
  本日は年度末で業務多忙にもかかわらず、環境情報学部と総合政策学部の両学部長に時間をとっていただき、来年度の連携講座についての意見交換をさせていただきました。この講座は2004年から開設され、来年は6年目となります。また、SFCの両学部では日本で初めてAO入試を導入したことでも知られており、毎年の連携講座を受講した生徒は論文や面接を中心とした入試に挑むことになります。そして、これまで、両学部には本校から8名の生徒が進学しており、本年も1名の進学が決まっています。今後とも多くの生徒に受験して欲しいという思いから、来年度は、対象を広げて受講できるようにしたいという意向をお伝えしました。
  本校の教育の基本的な考え方は将来社会で活躍する人材の育成です。この考え方に立つと、大学進学というのは将来の自分の夢を実現するための手段でなければなりません。しかし、現実は大学への進学が目的になっており、知識偏重型の詰め込み教育が中心になっています。これでは、真に社会に貢献することはできないと思います。
  これからの社会が求めているのは、世の中のために貢献するという高い志を有し、自分の夢を実現するためにたゆまぬ努力を傾注していく人材です。生徒達が積極的にこの講座を受講し、将来のしっかりとした目標を持ってくれることを願っています。

2009年03月24日

修了式を終えて

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  3月24日(火)、全校朝礼に引き続き、修了式と離任式を行ないました。全校朝礼では数多くのクラブの表彰を行ないましたが、常にこれだけの表彰を受ける生徒がいるということは実に素晴らしいと思います。修了式では、囲碁の全国大会において団体準優勝、個人優勝を遂げた囲碁部のメンバーに対して祝福の拍手をお願いした後、次のような話をしました。
  〝今、世の中は百年に一回と言われるくらいの深刻な経済不況の中にあり、皆さんの家庭でもさまざまな話題が取りざたされていると思います。このような状況下でも、皆さんのお父さんやお母さんは皆さんの将来のことを考えて、学費を工面して本校に通わせてくれています。世界には勉強したくてもできないという子ども達がたくさんいますが、本当に皆さんは感謝の気持ちを持って欲しいと思っています。さて、これからは、うまくいっているところとそうでないところが大きく2つに分かれる時代になっています。即ち二極化が進んでくるのです。これは会社でも病院でも学校でも一人ひとりの人間にとっても同じです。これだけの厳しい経済環境の中にあってトヨタやソニーやパナソニックといった会社が大きな赤字を出す中で、ユニクロやニンテンドーのように過去最高の利益を上げている会社もあります。これらの会社に共通しているのは、しっかりとした目標を持ち、地道な努力を続けている。そして、常にお客様が何を求めているのかという視点に立っているということです。そして、このような会社には相手の立場を考えて行動するという社員が数多くいます。高校2年生は後5年で、中学1年生は後9年で社会に出ることになります。将来皆さんが社会で活躍するためには、学生時代に相手の立場に立って行動するという姿勢を身につけておかなければなりません。是非、自分がして欲しいと思うことを相手にしてあげる。他人が嫌がることはしないということを心がけてください。
  これから入学式、始業式までには半月あります。新学年を力強くスタートするためにもこれからの期間をしっかりと準備にあてて欲しいと思っています。〟

2009年03月23日

全国高校囲碁大会での快挙

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  3月20、21日の両日にわたり、高校囲碁界のチャンピオンを決める『第3回全国高校囲碁選抜大会』が東大阪市の大阪商業大学で開催され、本校は見事女子団体戦で全国準優勝、女子個人戦で全国優勝を果たしました。
  この大会は2007年に創設され、本年は約3000人の中から予選を勝ち抜いた70校の1、2年生の延156人が男女別の団体戦(1チーム3人)と個人戦、9路盤戦の計6部門で戦いました。初日に行なわれた女子の団体戦において本校は1回戦「東海地方代表の藤枝東高校」、2回戦東北地方代表の「松韻学園福島高校」、3回戦関東地区代表の「日本女子大学付属高校」を撃破し、決勝戦は昨年の夏の選手権戦と秋の近畿総文で2回負けている京都の「洛北高校」との3度目の対戦となりました。しかし、残念ながら結果は1勝2敗となり、雪辱することはできませんでした。本大会への出場はいずれも全国から選抜されたチームだけに、どれも全く気の抜けない対局でしたが、昨年度の4位から2位に順位をあげることができました。
  また、2日目は個人戦が行なわれ、本校の小原侑子さんは個人戦の決勝で、昨年の優勝者である堀本範子さん(周防大島高)を大接戦の末破り、優勝を果たしました。また、男子個人戦や9路盤戦に出場した生徒達も大いに健闘したようで本当に嬉しく思いました。
  現在、日本での囲碁人口は一時のブームが去り、減少傾向にあるようです。これに危機感を持たれた囲碁棋士の方々は積極的に普及活動に取り組んでおられるようです。本大会においても、地元関西棋院の今村俊也九段が第1回大会から審判長を務めておられ、「底辺拡大のためにも、この大会が定着してきた意義は大きい」という感想を述べておられます。
  本校には有望な後輩も在籍しており、これからも精進を重ねることにより囲碁の実力を高めると同時に人格を磨き、更なる飛躍を目指して欲しいと思っています。
 

2009年03月22日

日本の文化と伝統~お彼岸と春分の日

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  一昨日(3月20日)は春分の日でしたが、この日は〝自然を称え将来のために努力する日〟と定められ祝日になっています。春分は二十四節気のうちの一つであり、啓蟄(けいちつ・大地が温まり、冬眠していた虫が穴から出てくる)と清明(さまざまな花が咲き乱れお花見シーズンになる)の間に位置しており、春分を含む何日かは、太陽は真東から上がって真西に沈みます。
  また、春分の日を中日(ちゅうにち)として、前後三日間の計七日間を彼岸と呼び、あの世の死者の安らかな成仏を願うということから、この期間には各寺院や家庭で彼岸会の法要が行なわれることになっています。皆さんの中にもお墓参りに行かれた方も多かったのではないかと思います。
  この彼岸というのは仏教用語ですが、正しくは到彼岸(とうひがん)です。仏教では〝生死を繰り返す迷いの世界(生死輪廻・しょうじりんね)〟を此岸(しがん)と呼び、この世を離れて苦しみのない涅槃常楽(ねはんじょうらく)な彼岸に到るという意味です。 彼岸は春分の日だけではなく秋分の日の前後にもありますが、仏教の教えとして中道という考え方があり、昼夜の長さが同じで暑くもなく寒くもないほどほどの気候ということから定められたのではないかと言われています。
  また、もち米とあんこで作られた同じ食べ物でありながら「ぼたもち」と「おはぎ」というように呼び方が違うのは、食べる時期が異なるためです。つまり、それぞれの季節を意識して名前が変えられており、春は「牡丹」、秋は「萩」という花の名前がつけられています。そして牡丹餅にはこしあん、お萩にはつぶあんが使われています。そして、あんの材料である小豆は古来より邪気を祓(はら)うとされているのです。
  お彼岸にあたって、このような日本の伝統や文化をことも子ども達に伝えておきたいものです。

2009年03月21日

日本の良さを知る~固有の歴史・文化・伝統

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  日本はかつて世界の文明史家の間では中華文明圏の一部であるとされたこともありましたが、今では〝日本は一国で一つの文明圏を形成している〟ということが定説になっています。中国から伝来し、大きな影響を与えたと言われる仏教についても日本古来の神道を重んじつつ、神仏習合を進めてきました。従って、我々は日本固有の歴史や文化・伝統をしっかりと理解することによって、日本人としての誇りを持つことが大切です。ところが、現状はあまりにも日本についての理解が乏しいように感じます。世界の国々の子ども達が集まった会合で、「自分達の国の良さは」という質問に対して、他の国の子ども達が次々と国の良さを語る一方で、日本の子ども達は「四季がある」というくらいのことしか言えなかったというような話をよく聞きます。また、残念なことに自国の国旗に対しても敬意を払わないのは日本の子ども達だけだったということも指摘されています。最近では祝日に日の丸を掲揚している家庭もほとんど見かけることができなくなりました。その結果、祝日が制定された経緯も知らない人が増えてきているようです。これでは国際社会の中で、日本という国を正しく伝えていくことはできません。日本人一人ひとりが日本というのはどういう国なのかをしっかりと認識し、その上で自信と誇りを持って行動することが何よりも大切です。
  これまでこの校長通信では、日本の文化や伝統、祝日等について取り上げていますが、これからも機会を見つけて紹介していきたいと思っています。

  ところで、今日は嬉しい知らせが届きました。高校囲碁界のチャンピオンを決める全国大会で、本校の女子が団体準優勝、個人では小原侑子さんが見事優勝しました。詳細は後日紹介します。

2009年03月20日

吹奏楽同好会第1回定期演奏会

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  春分の日にあたる3月20日(金)、中高校吹奏楽同好会による『第1回定期演奏会』が宝塚ソリオホールで開催されました。本同好会は生徒達の熱い思いで昨年5月に結成されましたが、今日を迎えるまでには数々の困難があったようです。本校では運動部、文化部共多くのクラブがあるため、新たにスタートするクラブについては「同好会」からスタートすることになっています。そのため、当初は予算がなく練習場所も十分確保できないという状況でした。しかし、部員達は文化祭での発表や他校との合同練習などを通して急速に演奏技術を向上させ、ついにこの日を迎えたのです。
  本日は生徒達に混じって、教員やOBの皆さんも参加応援してくれていました。演奏内容は「輝け!プラスの響き」「Let’Swing スイングガールズ」「ミュージカルの真髄」の3部構成になっていましたが、とても結成10か月とは思えないほど素晴らしいものでした。私もこれまでの部員達の努力を知っているだけに今回の演奏を聴いて感動しました。当初は部員達もこのように短期間で演奏会の舞台に立てるとは思っていなかったのではないでしょうか。高い目標を達成することができ、満足すると同時に自信にも繋がったのは間違いないでしょう。これも顧問の指導や保護者の皆さんを初めとする数多くのご支援の賜物であると思っています。第1回でありながら〝定期演奏会〟と銘打っていることからも、来年以降に繋げていきたいという決意が読み取れます。
  これからも部員達がたゆまぬ努力を続け、更なる飛躍を遂げていってくれることを願っています。


2009年03月19日

第54回中学校卒業式を終えて

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  3月19日(木)、奈良東大寺二月堂のお水取りも済み、本格的な春の訪れを感じさせる暖かな天候の下、第54回目となる中学校の卒業式を行ない、159名に卒業証書をお渡ししました。
  私は式辞の中で二つのテーマを取り上げました。
  一つ目は「命の大切さを知る」ということです。先週『おくりびと』の映画鑑賞を行ないましたが、この作品は人間の死や命の大切さについて、我々に多くのことを語りかけてくれました。生徒達もそれぞれ自分なりに色々な思いを持ったと思います。人はこの世の中に生まれてきたことに対して、あまり深くは考えていないかも知れません。しかし、生を受けることができたのは、お父さんとお母さんがいたからです。そして、お父さんとお母さんにも両親がいます。このようにして、一世代遡るごとに2人、4人、8人、16人と倍々になり、仮に十世代遡ると実に1024人ということになります。十世代と言えば、ほぼ300年前ということになりますが、更に遡ると膨大な数字になってきます。これらのすべての人がいなければ、今地球上にいる人は生まれてこなかったということになるのです。
  次に、この度高校校舎建て替えのために、移植したメタセコイヤのルーツに触れ、この木は実に数百万年もの命を受け継いでいること、また、人間は毎日肉、魚、野菜、米といったものを食べているが、すべてこれらの命をいただいていることを是非認識しておいて欲しいという話をしました。
  二つ目は「意識を切り替える」ということです。特に本校のような中高一貫校については学習環境が大きく変わらないということもあって、高校に進学しても中学生の気分が抜けきらないということになりがちです。そうなると、高校に進学しても高校1年生ではなく、中学4年生ということになってしまいます。言うまでもなく高校は中学とは異なり、義務教育ではありません。中学卒業を大きな節目づくりの機会ととらまえ、意識を切り替えることが何よりも大切です。
  高校の入学式は4月8日ですが、それまでの20日をしっかりと高校生活に向けての準備期間にして欲しいと思っています。

2009年03月18日

2つの耳鳴り~松下幸之助氏の憂い

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  上甲晃氏にとって、もう1つの耳鳴りは松下幸之助氏の憂いの声です。数十年前、松下幸之助氏は自らの経験と直感から〝自分のことしか考えられなくなったら必ずゆきづまる。これは人間でも会社でも国家でも同じことである。今は残念ながら目先のことしか考えない人が増えてきているし、本来日本という国の進路を示す立場の政治家も将来のことを考えていない。言い換えると『国家百年の計』を持った政治家がいない。このままの政治が続けば必ず日本は衰退する。〟と今日の日本の危機的状況を予見しておられたようです。この危機感が募り、1980年に70億円という私財を投げ打って松下政経塾を開塾されることになったのです。
  また、松下氏は〝これまでの世界の歴史を見ると、繁栄は古代オリエントからヨーロッパへ、更にアメリカへと西に移ってきている。大きな歴史の流れから見ると21世紀は東アジアが中心になるのは間違いない。ここに位置する日本は大繁栄を遂げるはずである。但し、その前提は日本が国家百年の計を有しているかどうか、つまり、日本をどのような国にするのかという国家の理念と方針が明確になっているということである。〟と言っておられました。現在、松下政経塾出身者の多くは国、地方で政治に携わっておられますが、果たして松下氏の熱い思いが伝わっているのでしょうか。
  今の日本の政治を見ると、経済、防衛、福祉、医療、教育、食料・エネルギーなど多くの分野において非常事態にもかかわらず、国家としてのビジョンが明確になっているとは思えません。また、言葉尻を捉えたり、人の失策を暴き立てるような現象が目に付きます。まさに日本丸という船が進むべき方向がわからず迷走しているように思えてなりません。今こそ、国民一人ひとりがしっかりと自立し、自分のことだけではなく、まわりのことを考えて行動していかなければならないのではないかと感じています。

2009年03月17日

二つの耳鳴り~会田雄次氏の憂い

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  箱根会議において、上甲晃氏が話された『二つの耳鳴り』について紹介します。
  "私は60歳を超えてから、2つの耳鳴りが始まったが、最近とみにこれが大きくなってきている。 一つは、大学時代の恩師である会田雄次氏が語っておられた言葉であり、もう一つは松下政経塾での松下幸之助氏の言葉である。
  会田先生は当時学生であった私達に対し「君達が日本を動かすようになる時のことを本当に心配している」と常に言っておられた。最初は何のことか解らず、あまり気にもかけていなかったが、最近になってこの意味が解るようになってきた。私は小泉元首相や麻生首相と同じ年であるが、会田先生が一番心配しておられた世代が今、日本を動かす立場になってきている。
  我々の世代がこれまでの世代と決定的に違うのは、戦後の教育を受けてきたということである。戦後アメリカが日本という国に対して考えたのは「二度と日本がアメリカに刃向かうことのないようにする」ということであった。端的に言うとそれは日本人を骨抜きにすることであり、日本人としての精神的支柱を取り除くということであった。そのために最重点として行ったのが、戦後の教育に関して「してはならない」という三つのタブーを作るということであった。これらは ①日本人としての誇りを感じる「歴史教育」をしてはならない ②修身といわれる「道徳教育」をしてはならない ③人間を超える偉大な存在である神や仏を尊ぶという「宗教教育」をしてはならない というものであった。
  正しい歴史観を持つ、人の道をはずさない、神や天が見ている、という三つのことは、人間としての基本である。戦前の教育はこの三つをベースとして構成されていた。しかし最近は、残念なことに自分の国のことを悪く言い、人の嫌がることを平気で行ない、やさしさや思いやりや感謝の気持ちを持たず、自分のことしか考えない人間が増えてきている。さまざまな偽装事件が起きるのは当たり前であると思う。"
  昔から「ある国を滅ぼそうと思ったら武器は要らない。教育を駄目にすれば良い」ということが言われていますが、私もこの言葉の重みを痛感しています。本来、日本は世界で一番古い伝統を持つ国であり、日本人は清らかで思いやりや優しさの心を持つ国民であったはずです。日本の良き伝統や高邁な精神を取り戻し、誇りと自信を持っていきたいものです。
   ≪会田雄次≫ 1916~1997年、 歴史学者、京都大学名誉教授、
             主な著書 日本の運命、日本人の生き方、アーロン収容所等

2009年03月16日

箱根会議を終えて

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  3月15日(日)、JR小田原駅から箱根登山バスで約1時間かけて曲がりくねった坂道を登り、仙石原文化センターに到着しました。早速、受付を済ませて会場に入ると、正面には『日の丸』と志という字が白抜きされた濃紺の旗と、本会議のテーマである "日本、この手で何とかする 今、新しい風を"という看板が掲げられています。続々と入場者が増え、午後1時には、会場は北海道から九州まで全国各地から志を持ってこの場にかけつけられた、500人をはるかに超える人達で埋めつくされました。
  冒頭の挨拶で、上甲氏は"今は自分の会社、自分のこと、目先のことで精一杯という方が多い中で、今日は全国から、実に多くの皆さんがこの会場に駆け参じて下さったことに対し、心より御礼申し上げたい。まさに、感激、感動、感謝で一杯です。正直なところ、この会議を開催したいということを伝えると、中には「バックには誰がいるのか」、「どういう人が賛同しているのか」ということを質問した人もおられた。しかしバックには誰もいない。今の政治の現状はあまりにもひどい、もはや「私達には関係ない」とは言っておれない。このまま任せておいたら日本は沈んでしまうと思う。私が今この会議を持ったのはただ日本の未来のために何とかしたいという純粋な思いだけである。今日はこれから半日にわたって、志を持って取り組んでいる多くの方にお話をしていただくが、この会議が終る時に、この運動をこれから続けていくのかどうかを皆さんにお伺いしたい。賛同者がなければ、この運動をスタートすることはやめ、今日一日の会議としたいと思っている" ということを話されました。
  会議は13時15分から開始され、途中休憩の15分間以外は18時まで実に5時間近くにわたる中身の濃いものになりました。発表が進むにつれて、会場には〝自分達の手で日本を何とかしたい〟という気持ちが高まり、最後の話し手であるジャーナリストの櫻井よし子氏が登場された時には、会場は興奮の坩堝と化しました。
  この会議における青年塾出身者の実践例の発表や政治家の決意表明等どれを取り上げても、感動すべき内容が多くあったように感じましたので、順次紹介していきたいと思っています。

2009年03月15日

日本、この手で何とかする

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  この度、これまでこの通信でも何度か紹介している上甲晃氏が3月14日と15日の両日にわたり、〝新しい国づくりに向けての大決起大会〟を神奈川県の箱根町において開催されることになりました。
  この大会の趣旨は〝このままの政治が続けば、日本は早晩完全に行き詰まる。もはや、政治家に国の舵取りを任せておけない。日本人が、生きる勇気と誇り、そして未来に向けて夢を持てる国づくりの構想を、私達自身が持ち、実現に向けて立ち上がろう〟というものです。そして、国づくりの骨子は『世界一の≪命の国≫づくり』。「世界で、日本くらい、命を大事にする国はない」というものです。
  参加者は、志ネットワークの会員、青年塾の現役とOBの塾生、松下政経塾の出身者、テーマに関する有識者、趣旨に賛同する有志となっています。この箱根会議開催の趣旨が公表されると全国から参加したいという申し出が相次ぎ、当初予定されていた会場を急遽変更することになったようです。
  私も上甲氏からこの話をお聞きし、即座に参加することをお伝えしました。年度末でスケジュールは相当過密になっていますが、日曜日(本日)の午後から開催される本会議に参加することにしました。教育の仕事に就いて7年になりますが、このままの状況を放置しておくと日本の将来は危ういように感じます。今こそ国家百年の計を立てなければならないのではないでしょうか。一人ひとりの力は小さくても、多くの人の志が集まれば大きなうねりになるのではないかと思っています。

志ネットワークのホームページはこちら

2009年03月14日

ホワイトデーの由来

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  3月14日は『ホワイトデー』で、最近ではバレンタインでチョコレートの贈物を受けた男性が女性にお返しするという国民的な行事になってきましたが、このように呼ばれているのは日本とアジアの一部の国だけです。
  バレンタインデーは3世紀にローマ皇帝クラウディウスの出した結婚禁止令に違反した男女を救うためにバレンタイン司教が殉死した日ですが、その一か月後にその男女は改めて二人の永遠の愛を誓い合ったようです。この話がヨーロッパをはじめ世界中の人に語り継がれ、3月14日が〝愛を誓い合う日〟となったようです。そのためヨーロッパでは「フラワーデー」「クッキーデー」「ポピーデー」「マシュマロデー」等と呼ばれています。
  日本では昭和50年(1970年)代になってバレンタインの行事が定着するにつれて、チョコレートの贈物を受けた男性がそれにお返ししようとする風潮が生まれてきました。この動きを受けて1978年に全国飴菓子工業協同組合がキャンディーの促進販売を目的として、この日を「ホワイトデー」に定めたのです。そして1980年からキャンペーンを開始しました。当初は「キャンディーの日」という意見もあったようですが、飴の材料が白砂糖であり白色は純潔のシンボルということもあって「ホワイトデー」と命名されたようです。
  今、このホワイトデーは韓国や台湾にも広がってきています。特に韓国では3月以降も4月「ブラックデー」、5月「ローズデー」、8月「グリーンデー」というように毎月14日が恋愛にかかわる日になってきているようです。
  なお、飴菓子工業協同組合の努力にもかかわらず、この日の贈物はキャンディーよりもスイーツやチョコレートが増えてきているようです。それにしても企業は売上げを伸ばすために色々な工夫を凝らすものですね。

2009年03月13日

第59回雲雀丘学園小学校の卒業式

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  今週の火曜日には「第59回雲雀丘学園小学校の卒業式」が行なわれ、来賓として参列しました。
  10時から始まった卒業式は、5年生の吹奏楽の演奏で144名の卒業生を迎え、開式の辞に続き国歌・学園歌を斉唱し、卒業証書の授与が行なわれました。
  月組・星組・雪組・虹組毎に担任が氏名を読み上げると、「はい」と元気よく返事をして起立し、一人ひとりが登壇し、校長先生から「ありがとうございます」と答えて卒業証書を受け取っていました。
  式辞では、進んでチャレンジすること、友達をたくさんつくること、大きな志を持ち世の中のためになること等のお話をされましたが、生徒達は熱心に聞き入っていました。在校生送辞や卒業生答辞も実に立派に行なわれ、「この星に生まれて」(卒業の歌)、「ほたるの光」(送別の歌)で式は厳粛なうちにも暖かな雰囲気の中で終了しました。
  生徒達はそれぞれの中学に進学することになりますが、人生にとって最も多感な時期である中学と高校の6年間は将来社会に出て活躍するための基礎をつくるという意味で極めて大切な時期にあたります。これからは何でも親に面倒を見てもらうということではなく、自主的に考え行動していかなければなりません。そのためには中学へ入学するまでの過ごし方が重要です。気持ちを切り替えて、正しい生活習慣を確立し、力強く中学生活をスタートするための準備期間にして欲しいと思いました。

2009年03月12日

『おくりびと』を鑑賞して

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  3月11日(水)、滝田洋二郎監督、本木雅弘・広末涼子主演の話題作『おくりびと』の鑑賞会を学園講堂で開催しました。午前は高校生対象、午後は中学生対象でしたが、保護者の皆さんも多数お見えになりました。この作品は『DEPARTURE』という名前で海外でも上映され、先日見事「第81回アカデミー賞外国語映画賞」を受賞しました。
  ストーリーは〝所属するオーケストラが解散し、職を失ったチェロ奏者の大悟が演奏家を続けることを諦め、妻の美香を連れて故郷の山形に戻ります。ここで「旅のお手伝い」という広告に惹かれ、ひょんなことから納棺師という仕事に就き、散々な目に遭うことになります。そして妻や友人から反対されながらも何とかこの仕事を続けますが、まごころを込めて死者に接することにより遺族の方から感謝されるケースが増え、次第に納棺師の仕事に充実感を見出していきます。そして最後には幼い頃に別れた父親の死に遭遇し親子の愛情を再認識する〟というものです。
  英語名のDEPARTUREという意味は出発=旅立ちですが、まさに死も一つの旅立ちであり、悲しいはずのお別れを優しい愛情で満たしつつ、きれいにお棺に納めてあげるという納棺師の仕事を取り上げたこの作品は、命の大切さや職業に対する偏見、親子の絆など色々なことを我々に語りかけてくれます。
  最近は核家族化が進み、子ども達が肉親の死に直面することが少なくなってきていますが、命というものについて考える良い機会になったのではないかと思いました。

2009年03月11日

大阪府民間出身校長

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  3月11日(水)、大阪府教育委員会の島崎英夫参事と栁井淳校長が来校され色々と意見交換しました。栁井氏は民間(金融関係)出身で、この4月からは大阪府立の高等学校に赴任されることになっています。
  大阪府教育委員会は平成14年より〝府立高等学校の特色づくりなどを進めるため、柔軟な発想や企画力、国際感覚、組織運営の手腕など、優れたリーダーシップと柔軟性・熱意・情熱を持った人材を採用する〝という方針で毎年民間出身の校長を募集しており、栁井氏は大阪府としては8人目の民間出身の校長になります。私も7年前、教育界という全く異なる世界に入って驚くべきことが数多くありましたが、民間出身でなければ学校が活性化できないということはないと感じました。民間企業と言っても農林、水産、薬品、鉄鋼、電機、自動車、流通、サービス、金融、運送等さまざまな業界に分かれていますし、この中には多くの会社があるため、民間という一つの言葉で表せるものではないと思います。公立の学校にも素晴らしい方が数多くおられますし、私も4年間の公立高校の勤務を通じて色々なことを学ばせていただきました。しかし、企業にとっても学校にとっても同質集団では考え方が固定化されてしまうことになるため、互いの良いところをとり入れていくことが大切なのではないかと思いました。
  栁井校長におかれましては、是非ゆるぎない志と情熱を持ち〝生徒の育成のために何ができるのか〟という視点に立って〝将来日本を背負って立つ人財(材)〟を育てていって欲しいと願っています。

 

2009年03月10日

第7回カナダ研修旅行事前説明会

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  本日、午後1時半から今年の夏に実施するカナダ研修旅行の事前説明会を開催しました。この研修はできるだけ早い時期に海外での生活を体験させ、幅広い視野を身につけさせることを狙いとして、平成14年からスタートし毎年夏休みに実施しています。途中でトロントでのSARS発症のため一年間中止したため、今年は7回目ということになります。この研修の素晴らしいところはこれまでの参加者の中から高校に進学後、リーダーとなる生徒達が数多く出てきているということです。
  今年は、事前に説明会開催の連絡をしたところ説明会への参加希望者は中学1年生・2年生あわせて40名ということになりました。本日は現地のスタディー・アブロードの責任者であるヘレン先生もお越しになり、パソコン映像を使って研修の概要説明をしていただきました。また、保護者の方も多数お見えになり、熱心に説明をお聞きになっていました。
  私は、冒頭昨年この研修旅行に参加した経験を踏まえながら、カナダの概要について紹介し〝現在、世界の人口は67億人だが、皆さんが社会人となっている10年後には74~5億人になっているだろう。そして、これからはますますグローバル化が進むことになり、地球規模の視点で物事を考えていかなければならなくなるだろう。恐らくこの中の何人かは海外で生活していたり、東京や北海道や福岡に行くのと同じように、ニューヨークやロンドンや北京に行くことになるのは間違いがない。これからは物の考え方も宗教も生活習慣も異なる人達と〝共生〟していかなければならない。日本の常識は世界の非常識、反対に世界の常識は日本の非常識ということも多い。大切なのは、日本の外から日本を客観的に見るということである。また、親元を離れてホームステイをすることにより、親の有難さもわかるだろう。若い時期にこのような経験をするということは、将来皆さんが社会に出た時に大いに役立つことになるのは間違いない〟という話をしました。
  是非、積極的に参加して欲しいと思っています。

2009年03月09日

勉強ぎらいになる理由

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  世界の国々では勉強したくても学校に行けないという子ども達が数多くいますが、日本では学校に行きながら勉強がどうしても好きになれないという生徒が多いようです。このように勉強ぎらいになる理由は大きく二つあると言われています。
  一つ目は、豊かになり過ぎ何故自分は勉強しなければいけないのかという目的がはっきりわからない。二つ目は、頭が悪いから勉強しても成績は上がらないと自分で思い込んでいるというものです。
  前者に対しては〝何故自分は勉強するのかを早いうちから認識させる〟ことが必要です。そのためには〝今後世の中がどのように変わっていくのか〟また〝将来どのような仕事が生まれてくるのか〟〝これらの仕事を通じていかに社会に役立つことができるのか〟といったことを教えることにより、子ども達に夢や希望を持たせていかなければなりません。
  後者に対しては〝成績が上がらないのは頭が悪かったからではなく、頭を良くするような勉強の仕方をしなかったからである〟ということを理解させることが大切です。言い換えると問題の解き方を教えるよりも「勉強の仕方を教える」ということなのです。これには脳の働きが大きく影響しています。
  この二つのことをやらずに「勉強せよ」ということだけを生徒達に言っても〝やらされている〟という気持ちから脱却することはできず、大きな効果は期待できないように思っています。
 
  なお、脳の働きについては、後日紹介します。

2009年03月08日

終わった後の反省と行動

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  昨日のWBCの日本対韓国戦のニュースを見て、やはりイチロー選手は改めて凄いと感じました。年間200本安打を続け、打率3割というのは当然であると思われているイチローのような選手でも、WBCの前哨戦と初戦の中国戦はバッティングが不調で、何と28打数3安打という極度の不振に陥っていました。特に中国戦においては、5打数でヒットなし、ほとんどが内野ゴロで外野にボールが飛ばないという状態でした。いつもなら内野ゴロでも俊足を生かして安打にするというのがイチロー選手ですが、そのプレーも全くできませんでした。これを見て心配されていたファンも多かったのではないかと思います。
  しかし、韓国との試合では5打数3安打と完全に復調し、イチローの活躍で日本チームは14対2、7回コールド勝ちという快挙をなし遂げました。何故このようなことが実現できたのでしょうか。答えは〝特打ち〟です。中国戦ではバッティングのタイミングがずれて結果が出ませんでしたが、これを修正するためには自分が納得するまで打ち込むしかありません。不振の原因を頭の中であれこれと考えていても解決することはできません。練習して自分でタイミングをつかむことしかないのです。立派な成績を残す選手とそうでない選手の違いはゲームが終わった後の姿勢ではないかと思います。試合では当然ながら上手くいく時もあれば、上手くいかない時もあります。成功する時もあれば失敗する時もあります。大切なことはどのような時にもしっかりと反省し行動することだと思います。これはスポーツでも学習でも仕事でも人生でも同じです。
  先週末で期末考査は終わりましたが、学力に差がつくのはこの時なのです。今日と明日は自宅学習日になっていますが、〝終わった後の反省と行動〟をしっかりとして欲しいと思っています。

2009年03月07日

後期期末考査を終えて

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  3月7日(土)、火曜日から始まっていた後期の期末定期考査が終了しました。生徒達はやっと5日間の緊張から解放され、直ちに家路に着く者、部活動を行う者、友達同士の会話を楽しむ等、晴れ晴れとした表情をしていたのが印象的でした。
  本校ではこのテスト期間を有効に活用するようにしています。週六日制に伴い、教職員については月曜日から金曜日までの間に半日の振替休日を設定していますが、現実にはなかなか休めないという状況です。このためテスト期間中には交替で休養日にあてるようにしました。また、授業がないため私にとっては教職員と意見交換をする絶好の機会でもあります。そのため、この2~3日は多くの先生とこれからの取り組みについて意見交換を行ないました。

  本日も先生方と色々と話をしていましたが、午後何度も生徒達が校長室に顔を見せるので、一段落してから来てもらいました。生徒は吹奏楽同好会の3人ですが、今月20日に実施する演奏会の案内状を持参し、時間があれば是非来て欲しいということでした。色々と話をしていると〝現在、メンバーは30名近くいるが、吹奏楽同好会は本年度から発足したばかりなので楽器が不足している。そのため、現在使われなくなった楽器を寄付していただいたり、お借りしながら練習を続けています。〟ということでした。こういった努力が実を結んでこの度演奏会を開催することができるようになったとのことです。
  今は、何をするにも〝いたれりつくせり〟があたり前になっています。しかし、すべてが整っていないとできないということでは何事も実現することはできません。足りない中で苦労しながら思いを達成するということが尊いのです。生徒達がこのような経験を生かすことにより大きく成長し、将来につなげていって欲しいと思っています。

2009年03月06日

来年度学校経営計画の策定にあたって

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  本年度も残すところ一月足らずになりました。例年、この時期には来年度の学校経営計画を策定し、取り組みの内容を明確にした上で組織・人事を決定することにしています。先日の職員会議において、全教職員に来年度の推進体制に関する基本の考え方を説明しました。これから各分掌や学年・教科においては新たな体制下での具体的な計画づくりに入ることになりますが、この際に留意しておかなければならない2つの重要なことがあります。
  一つ目は本年度の取り組みの反省をきっちりと行なうということです。年度初めには、それぞれの部署において色々な計画を立てていたと思いますが、現時点での達成状況を見ると、計画を大きく上回ったものやほぼ計画通りに出来たものがある反面、計画通りに行かなかったものも散見されます。一年近くかけて取り組んできたにもかかわらず、当初の計画が大幅に達成できていないというものに対しては、その原因を徹底的に究明しておかなければなりません。この作業をいい加減にしておくと、往々にして同じ失敗を繰り返すということになります。このため各部署において本年度の取り組みについての振り返りをお願いすることにしました。
  二つ目は来年度の計画づくりにあたって、推進責任者を明確にし、具体策を決め期限を設けるということです。教職員の皆さんには〝一人ひとりの役割と責任を明確にする〟ということをお願いしましたが、「誰が」「何を」「いつまでに」「どうする」ということを決めておかないと仕事の完成度は高まりません。私のこれまでの経験を振り返ってみても〝全員で〟〝できるだけ早く〟〝全力で〟〝可能な限り多く〟といったやり方はかけ声倒れになることが多いのです。
  よく緻密な計画を作ろうとすると「計画に時間をかけるくらいならすぐにやった方が良い」というような意見が出ることがありますが、杜撰な計画でスタートすると、途中でやり直しの仕事が出てきたり、手順前後したりといったことが出てくるものです。仕事の基本はPLAN-DO-CHECK-ACTIONというサイクルを回していくことです。それぞれの部署において、来年度の計画づくりをしっかりと行なっていきたいと思っています。

2009年03月05日

S・Iを語りつぐ

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  優れた企業には例外なくよって立つところの明確なC・I(コーポレート・アイデンティティー)がありますが、これは人間の体に例えれば背骨にあたるものです。言い換えると時代の変遷につれて変わっていくものではなく、〝自分達の会社は何のためにあるのか〟という存在意義を表明したものです。そして、これはすべての従業員の行動の指針となるため職場内に掲示され、責任者が機会ある毎に周知徹底しています。このようにしてC・Iは先輩から後輩に伝えられ良き伝統や社風を築き上げているのです。
  今、自治体や病院、大学などあらゆるところで組織の存在意義が問われています。私学である雲雀丘学園中学・高校も例外ではありません。私学が公立高校と大きく違うのは、創立の精神が明確に示され継承されてきていることではないかと思います。本校には「社会で活躍する人材を育成する」という基本の考え方があり、「高志・自律・努力」という素晴らしい校是が示されています。そして、この校是は各教室に掲げられ、毎日生徒はこれを見ながら授業を受けています。創立の精神や校是というものは〝本校がこういう学校を目指す。こういう生徒を育てる〟という言わばS・I(スクール・アイデンティティー)であり、生徒を育てるという使命を持つ教師にとっての行動指針でなければなりません。〝将来の日本を背負って立つ人材を育てるという高い志を持ち、常に自分を律し素直に反省しつつ、努力を傾注する〟ということが大切です。教師自身が校是を実践することにより、生徒達を後姿で引っ張る。また自分自身の言葉で語りかけるということでなければ生徒達の心を動かすことはできないでしょう。私もあらゆる場面を通じてS・Iの浸透をはかっていきたいと思っています。

2009年03月04日

前向きに行動する

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  本学園の初代理事長である鳥井信治郎氏はチャレンジすることの大切さを常々「やってみなはれ。やらな わかりまへんで。」という言葉で語られていました。また、松下幸之助氏も「砂糖の甘さ 塩の辛さはなめてみないとわからない。いくら水泳の講義を聞き畳の上で練習を重ねたとしても やはり実際に水につかり 不覚の水も飲まないと泳ぎは身につかない。」と行動することの尊さを訴えておられました。このように、社会で活躍してきた人は例外なく失敗を恐れずに、常にチャレンジする気持ちで積極的な人生を歩んでこられたように思います。
  しかし、実社会において何か新しいことに取り組もうとすると、即座に「難しい」という答えが返ってくる場合が往々にしてあります。そして、「人がいない。お金がない。モノがない。時間がない。」というできない理由が次々と出てきます。このくり返しではいつまで経っても状況は変わりません。〝進歩なきものは退歩である〟という言葉がありますが、特に現代のように変化の激しい時代には新たなことに取り組んでいくという姿勢が不可欠です。
  昨今、同じ業界や分野を見ても、うまくいっているところとうまくいっていないところの差が大きくなってきています。つまり二極(分)化が進んできているのです。このような時代にはまずやってみる。もし出された案に賛同できないなら〝自分ならこうする〟という代替案を示し、前向きに行動していくことが必要です。
  将来、生徒達が実社会で活躍していくためにも、学校生活においてこのような姿勢を身につけさせていきたいと思っています。

2009年03月03日

上巳の節句の由来

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  3月3日は五節句の一つである『上巳(じょうし/じょうみ)の節句』にあたります。旧暦の3月3日頃は桃の花が咲くため『桃の節句』とも『おひな祭』とも言われています。
  300年頃の古代中国では3月の最初の巳の日に川のほとりに男女が集まって災厄をはらう『上巳の祓い』という行事がありました。また文人が川の上流から盃を流し、自分のところに流れ着くまでに詩を作るという曲水の宴を催していました。これらがやがて3月3日に行なわれるようになり、日本にも伝わりました。古来日本では自分の体を草木やわらで作った人形(ひとかた)で撫でて汚れを移しそれを流していました。今でも穢れを紙の人形に移して川に流す「流し雛」の風習が受け継がれている地方もあります。
  また、ひな祭の起源は平安時代に人形(ひとがた)を貴族の日常生活を真似た遊びに用いた「ひな遊び」であり、〝身に降りかかる災厄を人形に肩代わりしてもらう〟という祭礼的な意味合いが込められていました。そして、もともと穢れを祓う上巳の節句が現在のような女の子のお祭りになったのは室町時代末期であると言われています。その後江戸時代に入って平和が訪れ、幕府が五節句を制定したことにより、女の子の誕生を祝って初節句にひな人形を飾るという風習が生まれました。これが江戸から地方へ、武士階級から庶民へと広まっていったのです。
  最近はひな祭の風習も廃れてきているようですが、以前は各家において代々伝わってきたおひな様を飾り、菱餅、ひなあられ、白酒、引千切、散らし寿司、鯛や蛤などのおせち料理を食べていたのです。
  なお、五節句は、3月3日、5月5日(端午)、7月7日(七夕)、9月9日(重陽)というように奇数月の月と同じ数の日ということになっています。(但し、1月1日は元旦ということで別格になっており、1月は1月7日(人日)となっています。)中国では奇数は陽ということになっていますが、奇数(陽)が重なると陰になるため、これを避けるための避邪の行事であったということです。

2009年03月02日

時間管理術を身につける

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  明日から始まる学年最後となる後期期末考査に向けて、生徒達はそれぞれ学習に励んでいると思います。私自身を振り返ってみてもテストの前日は明け方まで勉強して眠たい目をこすりながら登校し、すっきりしない頭でテストを受けたものです。そして、帰宅すると少し眠った後、また夜中に起き出して勉強するといった状態で、テストが終わるとくたくたになっていました。自分なりには身体が疲れているため、よく勉強したように感じるのですが、所詮一夜漬けに近い状態のため、トータルの勉強時間は限られています。学校生活はテストになるといつもこの繰り返しで反省ばかりしていたように思います。テストの日は事前に分かっているのだからもう少し計画的に勉強していたら、前日になってバタバタすることはなかったはずです。
  このようなことは社会に出てからも何度もあります。しかし、人間はなかなか追い込まれないと行動に起こすことはできません。それまで時間がなかったかと言うとそうでもなく、計画的にやれていなかっただけなのです。1日24時間という時間はどの人にも平等に与えられています。時間はどんどん過ぎていきますし、引き延ばすことはできません。学校の勉強だけではなく仕事や家庭、趣味など人生のあらゆる局面において時間を管理するスキルを身につけることができれば充実した人生を送ることができると思います。私もこれまで何人もの超多忙な人にお会いしてきましたが、これらの人に共通しているのは時間の使い方が極めて上手いということです。言い換えると時間の使い方を変えれば人生は絶対に充実したものになるのは間違いありません。
  生徒達にとっては、これから大学受験という大きな山が待ち受けていますが、〝受験というのは時間管理術を身につける絶好の機会である〟と前向きに受け止めて行動して欲しいと思っています。

2009年03月01日

心に火をつける

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  多くの先生方の悩みは自分が懸命に指導しているのにも関わらず、生徒達がなかなかやる気になってくれない。そのため学力伸張がはかれないということではないかと思います。私も先週までに高校2年生の私立大学への受験を目指している生徒達に対する面接を行ないましたが、将来どのような道に進みたいという明確な目標を持っているかどうかがやる気に繋がっているのは間違いありません。
  今日は休日ということで久しぶりに吉田松陰の書を読み返して見ました。吉田松陰は松下村塾において幕末の志士を多く育てたことで知られていますが、もともとこの塾は松陰の叔父である玉木文之進が設立したもので、松陰が塾生達の指導にあたったのはわずか2年余りでした。そして、弟子入りを希望する若者達に対しては「私はあなた方に教えることはできない。しかし、共に学ぶことはできる。」と言っていたようです。松陰のこのような姿勢が、久坂玄瑞、高杉晋作、吉田稔磨など討幕運動の中で重要な役割を果たしながらも道半ばで倒れた者や伊藤博文、山県有朋をはじめ多くの国務大臣や大学の創始者など近代日本に繋がる大きな役割を果たした人材を育て上げたのです。その後、安政の大獄により江戸伝馬町において斬首刑に処せられました。わずか29歳という若さでした。
  教師のレベルについて、イギリスの教育哲学者であるウィリアム・アーサ・ワードは次のように述べています。
〝凡庸な教師はただしゃべる。良い教師は説明する。すぐれた教師は自らやってみせる。そして偉大な教師は心に火をつける。〟
  教育というものを突き詰めていくと、教えられた側の意識や行動が変わって初めてその使命が達成されると言えるのではないかと思います。生徒の心に火をつける教師を目指していきたいものです。