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2010年06月30日

高校全校朝礼~グローバル化 新興市場での商品づくり

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  6月30日(水)、高校の全校朝礼で次のような話をしました。
〝現在、サッカーのワールドカップが開催されており、日本は惜しくもパラグアイに敗れましたが、皆さんはこの国のことを知っていますか。パラグアイは南米の中央部に位置し面積は日本より少し大きく(407千平方キロ)、人口は623万人で北海道や兵庫県より少し多い国です。しかし、一人当たりの年間所得は約1000$ですから日本円に換算するとわずか約9万円で日本の40分の1ということになります。皆さんが持っている地図帳の後ろに世界の国々のデータがありますので、今回ワールドカップに出場している国々の状況を家庭でもよく調べるようにしてください。そうすればより理解が深まると思います。学校の授業だけが勉強ではありませんので、色々なことに興味を持って自分で調べるという習慣を身につけて欲しいと思います。
  さて、最近グローバル化というテーマでお話していますが、ビジネスとして成り立つためには、できるだけ利益のとれる商品を数多く売るということが必要です。このためには採算の取れる価格に設定する必要がありますが、あまり高いと商品は売れません。そのため製造コストを下げようとして、人件費の安いところで作るようになります。このようにして、中国で多くの商品が作られるようになり、世界各国に輸出されるようになりました。そして、更に製造コストの安いベトナムやインドネシアといった国にシフトしています。一方で、大きな消費が見込まれる市場がどこかを見つけ出さなければなりません。単純な見方をすれば人口の多い国ということになりますが、購買力が伴っているかどうかがポイントとなります。このような動きの中で、今注目されているのがインドです。インドの人口は約12億ですが、このうち60%は30歳未満でこれからますます経済成長が期待されています。以前は裸で生活しガンジス川で水浴を行なっている人々の姿や牛の糞尿が垂れ流されているといった状態でした。熱い国ですから人々が冷蔵庫やエアコンが欲しいと思うのは当然です。しかし、高い物は売れません。今、インドで売れている冷蔵庫はアイスボックスに毛が生えたような数本の飲料水が入る程度の商品で1万円以下です。日本の冷蔵庫とは全く異なる物です。今後は、このような現地に合った商品づくりが必要になり、企業はどんどん新興市場に進出していきます。そして、そのための人材が必要になってきます。ほとんどの国で英語が使われていますので、しっかりと語学力を高めるようにして欲しいと思います。〟

2010年06月29日

第2回中学校PTA学級委員会の開催

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  6月29日(火)午後、本年第2回目となる中学校PTA学級委員会を開催しました。本校では年度初めに各クラスの保護者の中から2名の学級委員を選出していただき、クラスの代表としてPTA活動をお願いしています。本日は何かとご多用中にもかかわらず、ほとんど全員の方に出席していただきました。
  冒頭の挨拶で、私は次のような話をしました。
〝昨年のこの時期にはインフルエンザの影響で落ち着かない日々を送っていましたが、今年は今のところ大きな問題もなく順調に推移しています。今日は以前勤務していたパナソニックの創業者である松下幸之助氏の経営に関するエピソードを紹介します。松下氏は「およそ計画をして実行するということはすべて経営である。企業だけではなく日本の国も大阪府も家庭も人生も経営ということができる。」と語っていました。計画を立てそれを実行し、その結果をチェックするというPDCAが基本ということになります。
  今年から学校は3学期制に移行しましたが、この目的はしっかりとこのPDCAを行なってもらうことです。中間考査の結果をチェックした上で、来週からの期末考査に臨んで欲しいと思っています。また、『朝に発意し夕に反省する』という日々の行動そのものが経営と言えるのかも知れません。
  次に、2年前から本格的に環境教育に取り組んでおり、この6月・7月は環境月間ということにしていますが、環境に配慮するということは人間教育に繋がると考えています。また、これからの世の中を見ると環境というものが、企業の中心的な役割を果たすことになるのは間違いありません。本校では家庭と学校の連携による「共育」とすべての者が学ぶという「共学」をお願いしていますが、是非家庭における環境活動をお願いします。〝
  この後、各クラスの委員の皆さんから先日開催した保護者懇談会の様子を報告していただき、続いて教員との意見交換を行ないました。これからも教育活動に対して積極的なご支援をお願いしたいと思っています。

2010年06月28日

本校における環境教育

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  本校においては、2年前より本格的な環境教育の取り組みを開始しましたが、これを本校の伝統にしていくためには、〝何故、今環境教育なのか〟を教職員が理解し、キッチリとした仕組みづくりを行なっていく必要があります。
  現在、本校では人間力の養成と学力の向上の両立を教育方針に掲げ、〝将来社会で役立つ人材を育てる〟ということで学校改革に取り組んでいます。あえてどちらが大切かと問われれば、私は人間としての根っ子を育てることではないかと思っています。しかし、人間力を高めるための特効薬はありません。あたり前のことをあたり前に行なう、そして継続するという凡事徹底が必要です。そのために、まず「爽やかな挨拶」「きっちりとした服装」「ルール・マナーを守る」という3つを中心にし、徐々に難しい課題に挑戦していこうということで取り組んできました。しかし、これだけではともすると受身になりがちになるため、積極的に環境活動に注力することにより、人間力の養成をはかることにしたのです。何故なら、現在我々の周辺で発生しているさまざまな環境問題は、すべて人間の活動が原因になっているからです。このように考えると「環境問題」は即ち「人間問題」であり、環境に配慮することは即ち、人間に対する思いやりやまごころを育てることにつながります。
  人間であれば誰しも豊かな生活を送りたいという気持ちを持つのは当然ですが、それが他の人間の犠牲の上に成り立っているということは許されないことではないかと思います。要は〝自分さえ良ければいい〟という考え方ではなく、他の人のことを考えて行動していくことが大切なのです。
  これからは一人ひとりが食料、エネルギー、水、ゴミ等身近なことに関心を持ち、地球の温暖化防止、オゾン層の保護、大気環境の保全、土壌環境の保全、生物多様性の保護、廃棄物対策等できることから取り組んでいきたいものです。

2010年06月27日

急速な経済発展を遂げる新興国

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  主要8ヵ国(G8)首脳会議が日本時間26日未明からカナダ東部にあるムスコカで開幕されています。日本からは菅直人首相が出席していますが、各国の首脳による世界の経済情勢や朝鮮半島の核・ミサイル等の課題について活発な討議がなされています。G8というのは日本、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアの先進7ヵ国にロシアを加えた国々で、これまではこの8ヵ国が世界をリードしてきました。
  しかし、2008年から2009年にかけての世界経済はアメリカの金融危機の影響を受け、大きく落ち込みました。この対策として世界各国は金融機関への資金の注入や超低金利政策の導入、国内需要の喚起のための景気対策等を行ないましたが、世界経済はいまだに後遺症に苦しんでいます。更に今はギリシャに端を発したEUの経済危機が全世界に波及するのではないかという懸念が囁かれています。このようにグローバル化の進展に伴って、経済危機の火種はいたるところに存在するようになってきました。  そして、既に世界は先進国と一部の国では解決できない状況下にあり、急速な経済発展をとげる新興国を含めた議論が不可欠になってきているのです。そのため、G8に続き中国首脳などが参加するG20サミットが開催されることになっていますが、この中心になっているのがBRICsとVISTAです。BRICsについてはこれまで何度も紹介していますが、VISTAというのはベトナム、インドネシア、南アフリカ連邦(South Africa)、トルコ(Turkey)、アルゼンチンです。
  今回のサミットでは、金融規制をめぐるアメリカとEU、為替相場をめぐる中国と欧米、環境をめぐる新興国と先進国、日本に対する経済成長強化の要請等、利害が対立する各国の思惑が交錯していますが、このなりゆきを注視していきたいものです。

2010年06月26日

ビーンズ21研修会に参加して

  6月26日(土)5時から開催された「ビーンズ・21・OB・OG会」に参加しました。この会のメンバーは府立高校の校長や教育委員会の幹部経験者で構成されています。
  
現在、大阪府立高校の校長・教頭の自主的な研修会として〝ビーンズ21研修会〟というものがあります。この研修会は平成3年に、現職校長の自主的な研修会としてスタートし、平成13年にビーンズ・ツリーという名前になり、二カ月に一度土曜日の午後に、さまざまな講師を招いて開催されています。一方で府立高校を退職され、私立の中高や大学で勤務される人も増えてきたため、OB・OG会も結成され年に3~4回程度開催されています。私も大阪府立芦間高校の校長時代に、この会のメンバーに加えていただき、先輩の皆さんから多くのことを学ばせていただきました。しかし、雲雀丘学園勤務後はなかなかスケジュールの調整ができず、最近はあまり参加できていません。
  本日は、本年3月末で関西福祉科学大学高校校長を退職された関谷茂紀先生より『私の教育軌跡』というテーマで講演いただきました。最後ということで、これまであまりお聞きしたこともない苦労話をお聞きすることができ、大変勉強になりました。講演後の懇親会では、それぞれの近況報告とさまざまな意見交換を行ないました。その中で、日本の良いところをもっと認識し、子ども達に伝えていくべきではないかという話が出ました。今、日本は色々なマイナス面が強調されていますが、世界第2位のGDPを有する経済大国になったのは、それなりの理由があったのは間違いありません。しかし、これまでは〝国家としての百年の計〟言い換えると、しっかりとした〝国家戦略〟がないまま進んできたのではないかと思います。
  これからは、すべての分野で『戦略』の構築が必要になりますが、この際に大切なことは、自分達の強みをしっかりと認識することです。ともすると弱みが前面に出されますが、今一度現状の強みと弱みをしっかりと分析していくことが必要ではないかと感じました。

2010年06月25日

JICA研修員との交流

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  6月25日(金)、高校1年生の地理の授業の一環としてJICA(独立行政法人国際協力機構)兵庫の研修員の方3名を本校にお招きしました。JICAはご存知の通り、国連難民高等弁務官としてご活躍された緒方貞子さんが理事長を務め、日本と途上国の架け橋として、政府のODAにおける重要な窓口たる活動をしている機関です。今回本校に来られた研修員の方は、キリバス・フィリピン・セイシェルの3か国から日本に航海技術についての研修を受けにこられているということでした。
  高1の生徒達はクラス毎に3班に分かれ、3限目から6限目の4時間とランチタイムに、前半は研修員の国についてのインタビューを英語で行ない、後半は『書道』『折り紙』『たこ焼きづくり』『日本の遊び』『学校案内』という、「日本」と「雲雀丘学園」をよく知ってもらうための共同体験プログラムを行ないました。
  研修員の方々は1週間前に日本に到着されたばかりで、日本語も殆ど通じませんでしたが、生徒達は普段の英語学習を生かしながら、また、時にはボディーランゲージを交えて何とか研修員の方々の国の文化を知り、日本の文化を紹介しようと一生懸命でした。
  生徒達も最初は硬い表情をしていましたが、あるクラスではインタビューの最中に、「好きなスポーツは?」『サッカーだよ』「今朝ワールドカップで日本が勝ったのはご存知ですか?」『Yes、私は日本のサッカーは素晴らしいと思う。なかでも本田のプレイは最高だね』(実際はすべて英語)というやりとりに、皆が盛り上がったという一幕もありました。このようにして、JICA研修員との交流は終了しましたが、互いの交流を深めることができ、良かったと思っています。最後に別れを名残惜しむ生徒達の表情が印象的でした。
  生徒達の溌剌とした顔を見ながら、生徒達は国際社会とりわけ開発途上国に対する日本の果たしている役割の重要さを実感したのではないかと思いました。

2010年06月24日

次世代エネルギー~風力発電

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  近年、わが国ではオール電化住宅の普及や暖房機器の灯油離れが進み、電気は使いやすいエネルギーとして着実に消費量を伸ばしています。また、現在、地域毎に電力会社があり、家庭や企業、商店、事務所、学校等に電力を安定供給する体制が整備されており、大きな災害の場合を除くと停電するということもほとんどなくなってきました。しかし、世界の中には電力の供給が不安定な国が数多く見られ、経済活動に支障をきたしています。そのため、電力のエネルギー源をいかに確保していくかは、どこの国にとっても重要な課題です。電力を得るための資源には、石炭火力、石油火力、ガス火力といった化石燃料と原子力、再生可能エネルギーとしての水力、風力、太陽光、バイオマス、地熱等さまざまなものがあげられます。世界の2008年の再生エネルギーの内訳は、風力発電が43%でトップ、次いでマイクロ水力発電が30%、バイオマス発電が19%で、この3つで9割を超えています。最近、日本で注目を集めている太陽光発電は5%弱となっています。
  そして、現在各国においては資源の有無、自然条件、経済やエネルギー政策等、それぞれの国の事情を反映した独自の取り組みが行なわれています。特にアメリカはオバマ大統領がグリーン・ニューディール政策を打ち出し、風力発電に注力しています。そして、2008年には10年以上トップの座を守っていたドイツを抜いて世界の首位に躍り出ました。
  いずれにしても、これから再生可能エネルギーは一層注目を集めることになり、これらを生み出す産業は次世代の世界経済の主役になるのは間違いありません。また、新たな雇用創出も見込まれ、経済の牽引役として大いに期待されています。これらの動きを注視していきたいものです。

2010年06月23日

高校全校朝礼~企業のグローバル化

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  6月23日(水)、高校の全校朝礼で次のような話をしました。
〝皆さんは学校で色々なことを学んでいますが、学校というのは将来社会で役立つ力を育てるトレーニングの場です。しかし、現時点において将来どういう道に進んだらよいのか、またどのような仕事があるのかもわからない人が多いのではないかと思います。
 動物の世界では、食物を摂ったり、身の安全を守るということが、最も基本となる行動ですが、人間はこれだけではなく、より豊かな生活を求めたり、人の役に立つために行動することを大切にします。これまで、何度も話しているように、現在の世界の人口は69億人ですが、今後どんどん増え続けて、今から40年後(2050年)には90億人になります。そして、今は実に7人に1人が食べる物にも困っている状況ですが、当然のことながら、これらの人たちの誰もが豊かな生活を望んでいます。
  人間は、おいしい物を食べたい、快適な家に住みたい、素敵な物を着たい、便利な生活をしたい、早く目的地につきたい、おしゃれをしたい等、より良い生活を求め続けてきました。これらの望みをかなえようとして、さまざまな企業が生まれてきました。これらの企業は人やお金を使って、経営活動をしています。企業が追い求めるのはお客様に対する満足度を高めることとその企業で働く従業員の給与や福祉の向上をはかることですが、この実現のためには企業を成長させなければなりません。つまり、売上げや利益を上げていくことが必要なのです。
  仮に企業が潰れると、消費者や取引先等多くの人に迷惑がかかることになり、従業員も仕事を失ってしまいます。これまで日本は人口が増加し、国内の消費も伸びてきましたが、これからは人口減と高齢化が進むため大きな経済成長は見込めません。一方で途上国は目覚しい経済発展を遂げてきており、今後も大きな成長が期待できます。所得はまだまだ低い水準にとどまっていますが、人がたくさんいるところはそれだけ潜在的な購買力が大きいということであり、企業にとっては魅力的な市場ということになります。これからは日本という枠にとらわれず、グローバルな視点で市場をとらえていかなければなりません。その上で、新興国の人達に満足してもらえるような低価格の商品づくりを行なっていくことが必要なのです。皆さんはこれから企業のグローバル化がますます加速されてくるということを是非認識しておいてください。〟

2010年06月22日

修学旅行を終えて

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  4泊5日の北海道の修学旅行も無事終了しました。最終日の朝、全生徒から修学旅行についてのアンケートを回収しました。これは、今年の反省を踏まえて来年度以降に生かしていこうとするもので、全体の感想やアクティビティー、環境学習、ホームステイ等の数多くの項目に分かれています。生徒達が今回の修学旅行をどのように受け止めているか大変興味があるため、ざっと目を通しましたが、生徒達にとっては実に楽しく充実した修学旅行であったことが分りました。「北海道にもう一度来たいか」という質問に対しては、ほとんどの生徒が〝是非来たい〟〝機会があれば来たい〟と答えていました。また、印象に残ったこととしては〝命の大切さと自然界における命のつながりを知った〟〝いただきますという言葉の意味が実感できた〟〝農家の人との心の交流がはかれた〟〝農作業の体験ができて良かった〟等があげられていました。特にファームステイについては、ホテル宿泊では得られないものを感じているようです。
  今年は実に77軒の農家にお世話になりましたが、この中には6年間連続して生徒を受け入れていただき、毎年本校の生徒が来てくれるのを楽しみにしてくださっている方もおられました。これまで受け入れた生徒達の写真を全て張り出しているとか、正月には生徒から年賀状が届くとか、夏休みには以前の生徒達が訪問してくれるといった話を聞き、本当に嬉しく思いました。恐らく今年の生徒達と農家との交流も続いていくことでしょう。
  これから生徒達は色々な人と出会って多くのことを学んでいくと思いますが、どうか人との出会い、縁を大切にしていって欲しいものです。

2010年06月21日

農業の実態を知る

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  今回の修学旅行の大きなテーマは「環境プログラム」と「ファームステイ」です。今年はファームステイの取り組みを始めて6年目になりますが、受け入れ先の農家からは〝単なる観光旅行としてではなく、生徒達に農業の大切さや米や野菜作りの苦労や喜びを知ってもらいたいという思いで取り組んでいる〟という多くの声が寄せられています。
  現在のわが国の食料自給率は41%と先進諸外国の中でも極端に低い水準になっています。また、農業に従事する人の高齢化や耕作地の減少が続いています。2009年2月時点では、農業の就業人口は過去最低の285万人であり、このうち65歳以上の高齢者が全体の6割以上を占めており、40歳未満はわずか8%に過ぎません。つまり農家には後継者がいないという深刻な状況下にあります。更に耕地面積も前年比で0.4%減となっているのです。
  そして、多くの食料を海外に依存しながら一方で米の減反政策を実施する等ちぐはぐな動きが目立っています。いずれにしても、このままの状況が続けば日本の農業はますます衰退の一途を辿ることになります。これから世界の人口が増え続ける中で、食料が不足し争奪の激化が現実味を増してきています。日本にとって食料問題はアキレス腱になる可能性が大きくなることが予想されますが、残念なことに国民の危機感は薄いようです。
  今回のファームステイを通じて、生徒達が農業の大切さを知り、食糧問題を考えるきっかけにして欲しいと思います。また、将来の職業を考える際にも、人間が生きていくためのベースとなる「食」を視野に入れた選択を行なってくれることを期待しています。

2010年06月20日

ヒグマの生態を学ぶ

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  今回の修学旅行ではヒグマの生態について学ぶ機会を得ました。
  ヒグマは明治前には北海道のほぼ全域で5000頭も生息していたようですが、それから150年経過した現在においては生息域が全道面積の半分となり、生息数も2000頭から2500頭に減少しているようです。驚いたのは生まれたばかりのヒグマは約400gしかなく人間よりもはるかに小さいが、3か月で4kg、1年で40kg、4年の成獣のオスでは400kgと出生時の体重の1000倍にもなるとのことです。
  そして、0歳から1歳までの幼いクマは、まだ親離れできずに母グマにつきまとっていますが、2歳を過ぎると親離れを始め、以降は単独で行動します。そして、オスは5歳、メスは8歳ほどで成長は鈍り、約20~30年の寿命を持つようです。
 また、ヒグマは本来肉食ですが、時や場所に応じて自由にその食性を変え、臨機応変の食生活をする雑食性の動物です。 そして、冬になると長期間穴にこもり、ほとんど身動きせずいわゆる「冬ごもり」をしますが、この理由はエサの不足と寒さを逃れる保身の習性であると考えられています。 ヒグマは11月下旬までには冬ごもりを始め、穴から出るのは3月下旬から4月の中旬までのため、実に4ヶ月以上もの間、エサを食べずに生き延びているということになります。その上、メスはこの間の1月下旬から2月初旬に出産し授乳に耐えるため、体力を消耗することになり、冬ごもりの前後では体重の25%から30%も減少します。このためヒグマは秋には貪欲な食欲でエネルギーを蓄えます。 また、ヒグマは自分の縄張りを持っており、食べ物が豊富な山でも同じ地域に2頭以上生息することはほとんどありません。
アイヌの信仰では、ヒグマにはキンカムイ(山の神様)とウェンカムイ(悪い神様)の二種があり、キンカムイは、森を育て、人々に恵みを与える神。ウェンカムイは、人に害を与え、問題を起こす危険な神で、アイヌはウェンカムイを討ち取り、徹底してこらしめると言い伝えられているようです。
  地球上のさまざまな動物達がそれぞれの地域で、自分にあった独自の生活を送っていることを知り、興味深く感じました。

2010年06月19日

エゾシカの歴史

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  現在、北海道においてはエゾシカによる環境被害が大きな問題になってきています。今回の修学旅行ではエゾシカの生態を調べるプログラムが準備されているため、事前にエゾシカについて調べると、北海道の開拓の歴史と深い関係があることが解りました。 
  エゾシカはアイヌ語では「ユク」と呼ばれていましたが、これは獲物という意味であり、単なる食料の対象として考えられていたようです。その後、幕末から続いた函館戦争も終わり、明治維新を迎えた日本で蝦夷地(北海道)の開拓が始まりました。そして、明治初年、アメリカ農務局長ケプロンの要請でエドウィン・ダンが来日し、畜産や酪農を指導するようになり、ダンは牧場を作って馬や牛を育てる事にも尽力しました。
  一方で、明治10年(1877年)には鹿の缶詰工場が作られたため、乱獲によって鹿の数が激減していたところに、明治12年(1879年)の大雪がこれに拍車をかけることになりました。この結果、エゾオオカミにとっては主食のエゾシカがいなくなってしまい、エゾオオカミが牧場内の家畜を襲う被害が多発することになりました。狼害に頭を悩ませたダンは「エゾオオカミ絶滅作戦」の断行を決定し、毒薬ストリキニーネを日本・海外の両方から買い集め、狼が食べに来る家畜の死体に塗って毒殺すると共に賞金を出して、狼狩りを奨励しました。こうしてわずか20年足らずの間に北海道のみに生息していたエゾオオカミは、人間の手によって絶滅させられました。そして、天敵がいなくなったことにより、徐々にエゾシカの個体数が増加したのです。
  この他にも、エゾシカにとっては生育に有利な環境が形成されました。天然林を伐採して単一の針葉樹を植えたが、苗木の間に成長した下草が餌となり、エゾシカの成育に適した環境が出来上がったこと。降雪の減少により越冬して生き残るエゾシカの数が増加したこと。農耕地が増え、エゾシカの餌資源量が増加したこと。過疎化の進行に伴い猟師の数が減少したこと。等です。
 こうして、現在は全道で40万頭のエゾシカが生息しており、牧草地の被害拡大、農業被害、天然林の稚樹の被害、交通事故や自動車事故を頻発させることになっています。
  エゾシカは繁殖力が旺盛で、1歳で成熟し、2歳から毎年出産するため年率20%くらいの割合で増加します。このペースは4年で約2倍になるということですので、看過できない問題になっています。このように、人間のエゾオオカミに対するゆきすぎた行動や針葉樹への植樹が生態系を崩してしまったと言えるのではないかと思います。環境を守るためには短絡的な行動に走るのではなく、知恵を絞り出し地道な努力を継続していくことが必要であると感じました。

2010年06月18日

環境プログラム

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 北海道修学旅行の最初の宿泊地占冠(しむかっぷ)村トマムです。占冠とは〝とても静かで平和な上流の場所〟トマムは〝大いなる荒野〟という意味だそうです。村の人口はわずか1272人しかなく、中央に位置する1279メートルのトマム山は分水嶺になっており、西に流れ出した水は太平洋に、東へ流れ出した水は空知、石狩から日本海に注いでいます。
 今回はこの地で二泊して「アクティビティー」と「環境プログラム」を行ないました。初日の夜には先般事前研修会で講演をいただいた細谷誠氏に環境についての話をお聞きしました。
 このプログラムは「森の声を聞く」「森の民アイヌに倣う」「ヒグマの森づくり」「エゾシカの保護管理に学ぶ」の四つに分かれており、生徒達はこの中の一つを選択することになっていますが、相互に密接な連携のあるテーマです。具体的には、〝これらの森の仕組みを知るために、森に分け入り枝打ちをし、植樹を行なう。実際にアイヌの人達から話を聞く。ヒグマの生息する森に入り、その実態を把握する。エゾシカの被害を知り、保護の方法や食材としての活用を考える。命の連鎖や生態系の大切さを知り、命をいただくことの意味を考える。〟等です。そして、実際にフキやワラビ等の珍しい山菜やエゾシカの串カツを賞味させていただきました。
 生徒達も実際にこのような体験をすることによって、環境や命の大切さについて色々なことを学んだのではないかと思います。これからの生活の中に生かしていって欲しいと思っています。

2010年06月17日

修学旅行によせて

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  6月17日(木)、高校2年生が7時15分に大阪空港に集合、4泊5日にわたる北海道への修学旅行がスタートしました。旅行のしおりも立派なものが完成しました。その巻頭言の内容を以下紹介します。

  〝いよいよ、皆さんは高校時代における最大のイベントである「修学旅行」に出発します。
  訪問地の北海道は日本の最北に位置し、雄大な大地と素晴らしい自然に包まれた魅力が満ち溢れています。今回の修学旅行ではトマムでの大自然を舞台とした環境プログラムやアクティビティ、空知周辺地区でのファーム・ステイによる農場実習など数々の企画が盛り込まれています。きっと皆さんは普段の教室での授業や生活では味わうことのできない生産の喜びや苦労、食や自然環境を守ることの大切さ、自然農家の人達との心の交流などのさまざまな経験ができることでしょう。また、この5日間、クラス・学年の友人・教員と寝食を共にすることにより、お互いに親しみを感じ、絆や信頼感を深める機会にして欲しいと思います。
  『少年よ 大志を抱け』という有名な言葉を残された札幌農学校(現北海道大学)のクラーク博士は次のように語っています。
「この新設された農学校は、将来の北海道ひいては日本を支える大きな意義を持っており、ここで学ぶ生徒諸君は、その重大な責務を自覚し、そこに厚い信頼を築き上げ、そのことに名誉あることを心しなければならない。そのためには、常に健康に留意し、食欲を慎み、勤勉の習慣を設け、真剣に努力すべきである。この向上心をもって充実した日々を過ごすべきである。」
さらに続けて、「多くのことは必要ない、ただひとつ紳士であれ」とも説いています。この紳士の意味は、定められた規則は厳として守るとともに、自分の良心に従って行動すべきであるというものです。その後、この学校には規律正しい校風や自己の行動に積極性、および責任感が備わってきたと言われます。
  今年、雲雀丘学園は記念すべき創立六十周年を迎え、待望の高校新校舎も完成し、素晴らしい学習環境が整いました。これを機に 全員で“関西を代表する素晴らしい学園”を目指し、更なる飛躍をはかっていきたいものです。
  最後に、“経験が人をつくる”という言葉がありますが、一人ひとりが学園を代表しているということを自覚し、自分の行動に責任と誇りを持って、思い出に残る修学旅行にして欲しいと思っています。〟

2010年06月16日

中学全校朝礼~加速する生物の絶滅

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  6月16日(水)、中学の全校朝礼を行ない、部活動表彰の後、次のような話をしました。
  〝≪4,600,000,000≫、この数字は何かわかりますか? 46の後にゼロが8つ付いていますが、地球が誕生して46億年経つということです。このほど探査機「はやぶさ」がイトカワという小惑星の砂を持ち帰り、太陽系誕生の謎を解明しようとしています。
  その後、38億年前に最初の生命が誕生し、やがて無脊椎動物、魚類、両生類、爬虫類というように進化しました。そして、約6500万年前に地球に衝突した隕石が原因で恐竜をはじめ多くの生物が絶滅しました。続いて現れたのが哺乳類であり、人類が誕生したのはずっと後の1万年前です。この時代には絶滅する生物は100年にわずか1種類でした。その後、1000年前(日本では平安時代、中国では宋の時代)には10年に1種類というペースになりました。
  さて、この鳥は「ニツポニアニッポン」と呼ばれるトキです。今は佐渡島のトキ保護センターで飼育されており、先日、敷地内に侵入した小動物に命を奪われてしまいました。このトキは100年前までは日本のどこでも見かけることができましたが、農薬を使うようになって餌となるドジョウやタニシがいなくなって、絶滅の危機にさらされています。
  また、沖縄の海は地球の温暖化により、珊瑚の白化現象が起こり、この場所に生息していた海藻や魚が減少してきています。また、世界の森も1秒間にサッカー場一つ分が消滅しています。そして、今は1日に100種、1年で4万種というハイペースで生物が絶滅しているのです。これらの現象はすべて人間の行動が引き起こしたものです。地球の環境を守るためには一人ひとりが自分自身の行動を変えるという強い思いを持つことが大切です。
  本校ではさまざまな環境活動に注力していますが、環境に配慮することは人間に対する優しさや思いやりにつながります。軽い気持ちで捨てたゴミが川や海を汚すことになります。どうか、皆さんは一人ひとりがしっかりと環境を守るという気持ちで行動してください。そうすれば、素晴らしい学園になると思います。〟

2010年06月15日

高校3年生の進路相談

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  6月に入り、高校3年生も志望する大学や学部を絞りはじめています。これまで生徒達には進路講演会等を通じて大学への進学が最終目的ではないということを何回も説明し、キャリア教育の一環として社会人の話を聞く機会も設けています。しかし、受験が近づくにつれて、生徒達はどうしても目先のことに目を奪われてしまいがちです。その結果、将来どのような仕事に就きたいかということとは関係なしに、安易に合格しやすい大学を選ぶということになってしまいます。本来であれば、社会に出てからの進路を考えて、まず学部を選び、次いで大学を選ぶということでなければなりませんが、極端な場合にはブランドで大学を選ぶといったことも散見されます。これでは折角大学に進学しても勉強に力が入らず、充実した大学生活を送ることもないまま、社会人になるということになってしまいます。
  このようなことにならないよう、先週から希望する高校3年の生徒を対象に、社会に出た時の仕事についての相談を受けることにしました。生徒達は「建築関係の仕事をしたい」「親から素材関係の仕事を奨められている」「情報ネットワーク関連の仕事に興味がある」等さまざまな思いを持っているようですが、現段階ではこれらの分野には一体どのようなものがあるのかはほとんど知りません。今は以前とは比較にならないくらい時代の変化が早いため、新しい仕事が次々と創出されています。そのため高校生で社会のトレンドや企業の動向について、しっかりと把握している人はほとんどいないと思います。
  相談を受ける時間は昼休みと放課後ですが、私から一方的に話すのではなく、自分で調べることを基本にアドバイスしています。時間も限られているため、一回でお終いということにはなりませんので、分からないことがあれば気軽に聞きに来て欲しい旨を伝えています。現在、約20名の生徒との予約が入っていますが、できるだけ多くの生徒達の進路相談に乗ってあげたいと思っています。

2010年06月14日

公開授業旬間のスタート

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  本日(6月14日)から公開授業旬間がスタートしました。これまでは5月の中旬に設定していましたが、本年度からの3学期制移行に伴い、約1ヵ月遅れのこの時期になりました。本校では〝授業を磨く〟という趣旨で、この公開授業旬間を設けており、この期間には「同じ教科の先生の授業と他教科の先生の授業を最低一回ずつ見学する。そして、授業参観で感じたことをコメント・カードに記入してフィードバックする。」ことにしています。この取り組みについては定着しつつありますが、この旬間内に一人の先生が見学できる授業には限りがあります。
  学校にとって〝授業は命〟であり、生徒に対していかに質の高い授業を提供できるかが極めて大切です。これを実現するためには〝いつでも相互に授業参観ができる。年間を通じて、頻繁に研究授業が行なわれている。〟といった風土づくりが必要です。
  私も今日は二つの授業を開始から終了までゆっくり時間をかけて見学しました。そして、教室内を巡回することで、生徒の授業に対する集中度やノートのとり方についても確認することができました。夏休みに入るまでに多くの先生の授業を見学したいと思っています。

  学校は企業や商店とは本質的に異なりますが、お客様にサービスを提供するという意味では、授業は商品と同じではないかと思います。商品づくりにあたっては常に新たな付加価値をつけていくために、他社の商品を徹底的に分析したり、独創的な技術を開発することに注力しています。新校舎にはITやAV機器が設置されていますが、これらの活用も含めしっかりと授業を磨いていって欲しいものです。

2010年06月13日

経済知力をはかる日経テスト

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  6月13日(日)、第4回の『日経テスト』が札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、広島、福岡の全国8都市で実施されました。この正式名称は「日経経済知力テスト」と言い「Test of Economic Sense and Thinking」 の略称であり、日本経済新聞社と日本経済研究センターが連携して2008年からスタートしました。
  近年、アメリカの一極体制が崩れ、中国やインド、ブラジルといった新興国が台頭する中で、日本経済の勢いは失われ、世界経済の中での日本の地位は低下しつつあります。大した資源もなく人口減少に転じた日本は放置しておけば衰退の道を転がり落ちるという危機感から、日本を再び成長軌道に乗せるためには、政治・経済を含めさまざまな局面でのイノベーションが必要であり、これを担う〝経済知力〟を有する人材育成が大切になります。この経済知力というのは、自ら問題意識を持って「学び 考え 新しいビジネスを創造する力」です。そして、現在、富士通、西武百貨店、パナソニック、アデコ、新生銀行、トランスコスモス等、200社以上の様々な業種の企業で、新入社員の採用や幹部の昇進等に活用されています。
  本校は「将来、社会で役立つ人材を育てる」ことを教育目標に掲げていますが、そのためには、教員自身が社会の動向を正しくとらえることにより、経済知力を身につけておくことが必要です。今回のテストにあたっては、社会科や若手の先生に受験を奨めましたが、どういう内容のものかを自ら知るために受けてみました。本日の大阪でのテスト会場は、大阪大学と大阪商業大学の2カ所ということでしたが、大阪大学の会場での受験者は581名、若い人に混じって高齢者の方の姿も目に付きました。
  日経TESTの問題は四肢択一になっており、かなり広範囲に出題されています。ファッションや音楽に関する質問については名前すら分らないというものもありました。その上、問題数は100問もあり制限時間は80分ということで、一問を平均48秒で解答しなければなりません。そのため、ゆっくり問題を読む暇もありません。普段から相当勉強し、感性磨いておかなければ対応できないと感じました。とりあえず最後までやりあげましたが、全く見直す時間がないまま終了してしまいました。結果はともかくとして、久しぶりに頭の体操をすることができたというのが正直な感想です。
  経済知力は、経済の仕組みや流れを理解し、新しいビジネスを生み出す能力を意味していますが、これからのビジネスリーダーを目指す人材に求められる必須の能力です。次回は10月3日(日)に実施されますので、皆さんも是非チャレンジして欲しいと思っています。

2010年06月12日

エネルギー産業の動向

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  本校では「環境教育」に注力していますが、この目的は〝環境に配慮することは人間に対する思いやりや優しさに繋がる〟という人間教育です。しかし、社会のトレンドを見ていると環境教育を通じて習得したことは、人間力を高めるだけではなく、必ず将来の仕事にも役立つと思います。その理由は環境保護が、これからの世界にとって非常に重要な課題になるからです。そして、今後環境に関する新たなビジネスが続々と生まれ、エネルギー産業が確実に次世代の世界経済の主役になるのは間違いありません。
  我々が毎日使っているエネルギーは資源から取り出していますが、この資源には「使うとなくなる資源」と「使ってもなくならない資源」があります。石油や石炭は何千万年もかけて植物や動物が分解してできた資源であり、補給されないため掘り出して使うとなくなってしまいますし、温暖化を進める二酸化炭素が発生します。一方、太陽や風、水のエネルギーであれば使ってもなくなりませんし、温暖化ガスを発生させることもないため『再生可能エネルギー』と言われています。
  最近の世界各国の動きを見ると、最大の温暖化ガスの排出国でありながら、これまで自国の経済発展を優先するあまり、問題解決に消極的な姿勢を見せていたアメリカと中国が本格的に「再生可能エネルギー」を倍増させる動きを見せ始めました。また、日本も1920年までに1990年比25%の温室効果ガスの削減を表明しています。このため、環境・エネルギー産業が一挙に注目され始めています。恐らく生徒達の中にも将来この分野での仕事を選択する人も数多く出てくると思います。太陽光、太陽熱、水力、風力、バイオマスを使った発電やエコカー等の動向を注視していきたいものです。 

2010年06月11日

世界のエネルギー事情

  20世紀は〝石油の時代〟と言われるように、石油がアメリカや日本、ドイツをはじめとする先進国の工業化に大きな役割を果たしてきました。石油は化石燃料であるため、常に後30年間で無くなると警鐘がならされながら新たな油田の発掘等が続き、これまで何とか需要に見合う生産量を確保してきました。しかし、中国、インド等の発展途上国の急速な経済成長に伴い、石油や石炭、天然ガスといった化石燃料の需要がますます大きくなり、2030年には、世界のエネルギー消費量は現在の1.6倍に達すると予想されています。
  これを前提に世界のエネルギー供給可能量(可採年数)を予測すると、石炭が147年、石油が40.5年、天然ガスが63.3年と見込まれています。勿論、今後新たな油田や鉱山の発見の可能性もありますが、いずれにせよこれらは限りある資源であり、いよいよ化石燃料の枯渇が現実味を増してきました。
  しかし、今も石油が世界のエネルギーの主力であることは間違いありません。そして、これは取りも直さず二つの大きな問題を抱えているということになります。一つ目は、需要の見通しどおり石油需要が増え、世界中が中東からの輸入により多くを頼ることになれば、世界のエネルギー全体が中東の不安定な政情にますます大きな影響を受けることになるということです。二つ目は石油の供給が需要を下回ることになれば、エネルギー価格が高騰し、各国が必要な資源を確保することが困難になる可能性が出てくるということです。
  特に、エネルギーの大部分を石油をはじめとする海外の化石燃料に依存している日本は、将来の世界のエネルギー情勢の変化に大きく影響されることになります。今後、我が国のエネルギーの安定供給を図るためには、グローバルかつ長期的な視点に立って、化石燃料の確保につとめると共に新エネルギーの創出をはかる等の対策を講じることが不可欠であると思っています。

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2010年06月10日

環境大使の活躍

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  先日、自宅のメールに〝『環境大使』というのは素晴らしい取り組みですね。どのような経緯でこういった活動が行なわれるようになったのですか。〟といった趣旨のメールが届きました。このメールが海外勤務をされている方からのものであったため、改めて多くの皆さんが本校のホームページをご覧になっているということを感じました。

  環境活動についてはさまざまな機会を通じて紹介していますが、今一度、環境大使について説明したいと思います。
  本校における環境活動については、一昨年(2008年)5月29日に、第1弾の企画として、環境ジャーナリストの枝廣淳子氏による記念講演会を開催し、『環境宣言』を行ないました。そして、この日を『環境宣言の日』に制定し、これを契機に環境教育を推進していくことにし、学校や家庭において「自分達のできる身近なことから始める」 ということでの環境活動を展開しました。更にこれらの活動を文化祭や修学旅行等の学校行事に結びつけると共に生徒会が中心となって地域の清掃や野菜作り等を行ないました。            
  また、翌年の2009年度には、第2弾の企画として、NPO法人Peace & Natureと連携して、環境フォーラム「World Children Summit 2009」を開催することにしました。このフォーラムでは環境教育に注力されているカネディアン・アカデミイと本校の生徒が活動の成果を発表することになり、昨年3月に中2・中3の生徒の中から代表者を募集することになりました。これらの生徒達が「第1期環境大使」として、環境フォーラムに向けて、神戸市北区での里山体験や神戸カネディアン・アカデミイ校(CA)への訪問等を行ないました。そして、これらの活動を通じて学んだ成果を10月に開催された環境フォーラムで発表しました。
  更に、本年は2月に「第2期環境大使」を募集したところ、中2・中3の生徒の中から18名の応募がありました。その後2名が加わり、現在20名で次のようなさまざまな環境活動を行なっています。
3月 6日(土) 「第1回環境大使ミーティング」PEACE&NATUREのみなさんと顔合わせをしました。
4月 4日(日) 「六甲山での植樹活動」…カネディアン・アカデミイ(CA)の課外活動に参加
4月20日(火) 「カネディアン・アカデミイ校訪問」…環境活動の視察と交流活動
6月 4日(金) 「環境月間」に合わせ、環境ポスター作成・掲示
6月 6日(日) 「田植え体験」…兵庫県三田市母子にて

  本校の環境教育については「学び、考え、行動する」を基本とし、単なる知識の習得といったレベルで終わることなく、実践活動・交流活動を通して環境問題を考えさせることを目的としています。この20名の環境大使達が中心となって10月に開催予定の環境フォーラムを盛り上げていってくれることを願っています。

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2010年06月09日

高校全校朝礼~グローバル化の推進

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  本校では、考査や行事のスケジュールを考慮して、中学・高校・中高合同の3つのパターンで全校朝礼を実施しています。司会は生徒会の役員が行ない、通常は部活動の表彰の後、校長訓話ということになっていますが、中学生と高校生では理解力にかなりの差があるため、本年度、中学生には〝環境〟高校生には〝グローバル化〟という異なるテーマで話をすることにしています。本日(6月9日・水)は、高校の全校朝礼において次のような話をしました。
  〝日本は第2次世界大戦で全土が焼野原になり、戦後は十分な食べ物も着る物も住む家もないという状況でした。しかし、この苦境に対しても先輩達はくじけることなく、欧米に追いつけ、追い越せという強い思いで、懸命な努力を積み重ねました。この取り組みの結果、自動車・電機に代表されるような産業が発展し、世界第2位のGDPを有する経済大国になったのです。これを支えたのは、生産人口の増加と、アメリカやヨーロッパ等の先進国への輸出の増大です。
  この間の世界はアメリカとソ連に代表される東西の冷戦が続き、各国が軍事力の増強をはかる一方で、日本は軍事産業以外の産業分野に注力してきました。しかし、ベルリンの壁が崩壊して、この緊張関係が緩和されると一挙にグローバル化が加速したのです。同時に情報化が進展し、BRICsを中心とする新興国が急速に経済発展を遂げるようになってきました。BRICsというのは、ブラジル、ロシア、インド、中国ですが、これらに続いて、VISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)といった国々も大きな成長が見込まれています。
  今、世界には1日に5ドル以下で生活している人が約40億人いると言われています。これらの人達を対象とする商品は、これまで先進国で受け入れられていた商品とは全く異なるコンセプトのものです。自動車の例を挙げると、インドでは日本や欧米で売れている通常200万円を超えるような物は受け入れられません。そして、価格が20万円台という超低価格の自動車が発売されています。占有率のトップはトヨタでもGMでもなくスズキ自動車、2位はタタ自動車となっています。この例でも分かるように、これからは、あらゆる商品において世界共通モデルというものは通用しなくなり、その国に応じた個別のモデルが必要になってくるのです。言い換えると国別の商品開発が不可欠となるため、これまでのやり方を抜本的に見直していかなければなりません。グローバル社会においては、国内に閉じこもるという行動パターンは通用しないということになるのです。どうか、皆さんはグローバルな視点で行動して欲しいと思います。次回は電機を例にあげてお話します。〟

2010年06月08日

環境に配慮した食生活のすすめ

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  環境月間にあたって是非見直さなければならないのは生活習慣であると言われています。経済の発展と共に私達の生活は以前とは比較にならないほど便利で贅沢なものになってきました。しかし、昔から〝過ぎたるは猶(なお)及ばざるが如し〟という言葉があるように、何事にも行過ぎは避けなければなりません。
  生活の基本は「衣・食・住」ですが、まず最近の食生活について考えてみたいと思います。先日の中学の全校朝礼でも食べ残しの話をしましたが、これほど無駄なことはありません。最近、世界では食料の輸入量と輸入相手国との距離を乗じた数字である『フードマイレージ』という言葉が注目され始めています。そして、この数字が大きくなるのは、輸入する食料の量が多く、しかも遠く離れた国からのものが多い場合です。問題なのは日本のフードマイレージが年間9000億トン・キロメートルと世界で最も高いということです。
  地球の温暖化が国際的な問題となる中で、日本はクールビズ等の努力を始めていますが、クールビズ2日分のCO2削減量は輸入小麦で作られる食パン一斤に過ぎないのです。最近は、手軽で調理に手間がかからないということで、朝はパン食という家庭が増えてきています。そして、米離れが進み、米が余るという理由で減反政策をとっているのです。他の国から見ると日本の農業政策は奇異に感じられるのではないでしょうか。
  近年、世界ではヘルシーということで日本食がブームになっており、魚の需要も急拡大しています。一方で、世界規模で食料の争奪戦が起こってきており、今後益々激化するのは間違いありません。環境月間にあたって、日本食の良さを再認識し、食生活を見直していきたいものです。

2010年06月07日

授業を磨く~研究授業と授業参観

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  新年度が始まって既に2ヶ月が経過しました。先月末で中間考査が終わり、学年・クラス・個人それぞれの観点から授業の様子や理解度、学習習慣、日常の生活習慣等の課題が徐々に浮き彫りになりつつあります。この時点で大切なことは、まずどのような課題があるのかを明確にすると共に教職員全員がこれらを共有化した上で、早期に手を打っていくことです。そのため、本日の「部長・主任会議」において、分掌長と学年主任の皆さんに対して、①年間指導計画とシラバスとの進度・レベルの整合性はどうか ②定期考査の問題作成についてのチェックはどうか(分量、レベル、平均点、最高・最低点、点数のバラツキ) ③生徒の授業規律や受講態度 ④生徒の宿題の提出状況、等の確認とフォローをお願いしました。 
  また、先週からは、出張で学校にいない日を除き、できるだけ授業を参観することにしていますが、案外基本となることができていないケースも散見されます。特に中学生の場合には、ノートのとり方やプリントの整理の仕方等にも個人差があるように感じています。そして、授業を見て感じたことは、すぐに先生方にフィードバックをするようにしていますが、全クラスの全員の授業を見るためには膨大な時間が必要です。
  本校では、6月に入って先生方が研究授業を行なってくれていますし、間もなく先生相互の授業参観がスタートしますが、積極的に授業を磨くという気持ちで取り組んで欲しいと思っています。

2010年06月06日

世界環境デー ・環境の日にあたって

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  6月5日は国連による国際的な記念日である『世界環境デー(World Environment Day』です。この日が制定されたのは、今から38年前の1972年です。この年の6月5日にスウェーデンのストックホルムで「国連人間環境会議」が開催され、これを受けて12月15日に日本とセネガルの共同提案により国連総会で制定されました。そして、毎年世界各国の主要都市でメイン式典が開催されており、今年の開催地は東アフリカにあるアフリカのルワンダをメイン会場として行われています。
  今年の世界環境デーのテーマは『多くの生物種。一つの地球。一つの未来』になっています。この趣旨は人類にとってかけがえのない、生物種や生態系の豊かさに着目すると共に「国際生物多様性年」をサポートするものでもあります。
  ルワンダは、中部アフリカの内陸部に位置する共和制国家であり、西にコンゴ民主共和国、北にウガンダ、東にタンザニア、南にブルンジと国境を接しています。過去には内戦が続き大量虐殺や多数の難民の発生といった深刻な事態に陥り、今も貧困、土壌劣化など様々な問題を抱えていますが、今回、環境会議の開催地に選ばれた理由は〝世界的に希少なマウンテンゴリラが生息するなど、豊かな環境に恵まれた国であり、ソーラー発電やバイオガス発電といった再生可能エネルギーの開発などの環境政策にも積極的に取り組んでいることが評価されたからです。また、レジ袋の禁止、全国規模の環境クリーンアップキャンペーン、チンパンジーを保護するための回廊づくりなどでも国際的に知られています。
  この世界環境デーを中心に世界各地で、植林、地域の清掃活動、カーフリーデー、生物多様性をテーマにした写真コンテストなど様々なイベントが開催されており、日本でも6月は環境月間として、環境省や地方自治体、企業などによってさまざまな取り組みが行なわれています。
  本日は本校でも環境大使や有志の生徒が三田市での田植えに参加しました。私も地域の清掃に参加した後、キュウリとナスの苗の植え付けを行ないました。現在、生徒会が中心になって『マイエコ運動』を提唱していますが、身近なことから環境活動に取り組んでいきたいものです。

2010年06月05日

ユーデック主催の学校見学会の開催

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  6月5日(土)、ユーデック主催の学校見学会が開催され、42家族、75名の保護者・児童が参加されました。冒頭、60(ろくまる)記念ホールにおいて、私は人との出会いの大切さと簡単な自己紹介をした後、子ども達にも解るようにテレビと携帯端末を例にとって次のような趣旨の話をしました。

  〝この学校にはたくさんのテレビが設置されています。この会場にもテレビがありますが、これはテレビの番組を見るためではありません。これを使って学習したり、説明するためです。皆さんはテレビというのは、カラーが当たり前だと思っていますが、以前は白黒でした。そして、現在の液晶やプラズマテレビではなく、ブラウン管を使った分厚い形をしていました。それが今ではこんなに薄くなりました。間もなく壁にかけるテレビになり、やがて紙のような薄さになると思います。 
  また、これは携帯端末ですが、色々な機能が入っており、電話・メール・手紙・写真・カレンダー・テレビ・財布・音楽・ゲーム・新聞等の代用ができるようになってきました。また、先日iパッドが発売されましたが、間もなく手軽に持ち運べるコンピュータになります。

  ところで、ここで皆さんに質問してみたいと思います。「日本は恵まれているか?」「日本の将来は明るいか、暗いか?」です。ほとんどの人が日本は恵まれているが、将来は暗いと思っておられるようですね。

  昨日、サッカーの日本代表チームはコートジボアールと試合をしました。この国はアフリカの西部に位置する世界一のカカオの輸出国で、人口は日本の約6分の1、1人当たりの年間所得は8万円しかありません。そして、現在世界には電気もガスも水道もない生活を送っている人が数多くいるのです。また、食べる物にも困っている人もいます。そのため、勉強したくても出来ない、学校に行きたくてもいけない子ども達がたくさんいます。
  ところで、皆さんは何のために勉強するのですか?学校に行くのは何故ですか?この人達の生活を豊かにしてあげる仕事は、いくらでもあります。そのためには、色々な知識や技能を身につけておくことが必要です。
  雲雀丘学園は『将来社会で役立つ人を育てる』ということを教育方針にしています。そして、保護者の皆さんと連携して子どもを育てるという『共学』と全員が学ぶという『共学』を基本にしています。
どうか、皆さんはしっかりと勉強して是非社会で役立つ人になって欲しいと思っています。〟

  続いて、入試広報部長から現状の取り組みや入試に関する説明を行なった後、グループに分かれて校舎見学をしていただきましたが、保護者の皆さんからは色々な質問が寄せられました。「中学入試は親の入試」と言われているように、子どもさんに合った学校を選択してあげることが大切です。本校ではいつでも学校見学の受け入れを行なっていますので、事前に連絡いただきご来校ください。


2010年06月04日

修学旅行事前講演会の開催

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  6月4日(金)、高校2年生を対象に北海道修学旅行の事前講演会を実施しました。講師は今回の旅行で環境プログラムを担当いただく(株)スポートピア企画推進部長の細谷誠氏とファームステイのお世話をいただく農家代表の内山彰氏の二人です。
冒頭の挨拶で、私は生徒達に次のような話をしました。〝今回の修学旅行は皆さんにとって、高校時代における最も思い出深い学校行事になると思います。今日は充実した研修旅行にするために、三つの大切なことをお話します。
  一つ目は「環境について」です。この6月は環境月間になっていますが、今、世界自然遺産である素晴らしい知床の環境が破壊されようとしています。これは急増したエゾジカによる森の木々の立ち枯れが起きているからですが、この原因はエゾジカの天敵であるオオカミを絶滅させてしまったからです。つまり、生態系が壊れてしまったために、エゾジカが増えすぎて、このような深刻な事態を引き起こしてしまっているのです。
  二つ目は「日本の原住民のひとつであるアイヌ民族について」です。彼らは一人ひとりの人間に守護神がついていると考え、人間は神に背くようなことをしてはならない、正直でなければならない、という姿勢を貫いています。
  三つ目は「農業の大切さについて」です。今、日本の食料自給率は41%であり、多くの食料を海外から輸入しています。でも食料を買うことができなくなればどうなるのでしょうか。そして、誰が農業を守っていくのでしょうか。
この他にも色々と学ぶことがあると思います。どうか、積極的に行動することにより修学旅行を是非充実したものにしてください。〟

  続いて、細谷氏からはパワーポイントを使って環境プログラムに関する説明を、内山氏からはファームステイを受け入れる農家の思いを述べていただきました。生徒達は熱心にお二人の講演に耳を傾けており、質問をする生徒もいました。
  生徒達が、この修学旅行を通じて自ら何らかのものをつかんで欲しいと思っています。


2010年06月03日

中間考査を終えて

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  先週で中間考査が終了し、順次テストの答案用紙が返却されています。今週から予定の入っていない時間を見つけては校舎内を巡回していますが、時々歓声の沸きあがっているところは、例外なく答案用紙の返却が行なわれているクラスです。
  よく生徒達にテストの結果について「どの教科ができたのか、どの教科が難しかったのか」を質問するようにしていますが、「微妙」とか「まあまあ」といった曖昧な答えが返ってきます。そして、テストの点数を見て一喜一憂しているケースが多いようですが、大切なことはテストが返却された後の取り組みです。特に〝何故できなかったのか〟を自分なりに把握し、必ず解けるようにしておくことです。そうしないと、仮に一週間後に同じ問題が出されたとしても間違ってしまうということになりがちです。
  成長する人とそうでない人との違いは能力の差ではありません。キッチリと反省できるかどうかであり、この習慣が長い間に大きな差になってしまうのです。これはスポーツの世界でもビジネスの世界でも同じです。ゴルフの石川遼選手もその日のラウンドが終わると納得いくまでボールを打って、悪かったところを修正していますし、イチローをはじめ多くのプロ野球選手も試合後バットの素振りを欠かしません。ビジネスで成功している人も必ずその日の行動を反省し、明日に備えています。
  テストが終わった時が成長するチャンスです。しっかりと取り組んで欲しいものです。

2010年06月02日

中学全校朝礼~食べ残しをなくす

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  6月2日(水)、中学生対象の全校朝礼で次のような話をしました。
〝今週末の6月5日は世界環境デーにあたっており、日本でも「環境の日」に定められています。また、6月は環境月間になっており、各市町村をはじめ、環境に関する様々な取り組みが行われています。
  さて、この前の全校朝礼の際に、生徒会から6月・7月の2カ月間を環境月間とし、マイ・エコ運動を推進したいとの提案がありました。これを受けて、皆さんはその後何らかの活動をしていますか?やっている人は手を挙げてください。まだまだ少ないようですね。今日は誰でもできるエコ活動の話をします。
  人間が生きていくために最低限必要なのは睡眠と食事です。皆さんは、ご飯やパン、肉や魚、野菜や果物など、色々なものを食べていると思います。それではこれらの食物のうち、日本で自給できているのはどれ位だと思いますか?わずか41%です。現在、約6割は海外から輸入しているのです。スーパーに行くとさまざまな食材が並んでいますね。エビはインドネシア、鮭はチリ、肉はアメリカやオーストラリア、バナナはフィリピン等から送られてきています。
  牛肉を例にとると、アメリカやオーストラリアから飛行機や船を使って運んでくるため、当然燃料が必要です。スーパーでの展示や家庭での保存や料理をするにも、ガスや電気が必要です。このように考えると皆さんが食べているものにはすべてエネルギーが使われています。また牛を育てるためには、大量の水やとうもろこしや牧草が使われており、これらを育てるには、水や肥料が必要です。
  今、海外から食糧が輸入されている食糧は年間で6000万トンです。4トン積みのトラックでは1500万台に相当します。1日に直すと約4万台となり、ここから静岡あたりまでの距離になります。そして、実にこの3分の1にあたる2000万トンが廃棄されているのです。この量は食糧難に陥っている途上国の人々を救うことができると言われています。また、家庭ではこの半分の1000万トンが生ゴミとして捨てられているのです。この生ゴミを処理するために一般的には焼却炉が使われますが、大量の水を含んでいるために、膨大なエネルギーが要ることになります。
  このように我々は生産・輸送・消費という3つの段階で多くのエネルギーを使っているのです。食べ残すということはエネルギーの無駄遣いになります。これから皆さんは決して食べ残すことのないようにして欲しいと思います。〟

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2010年06月01日

身近な環境活動~雑草の除去

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  昨年の2月26日に移植したメタセコイアも今では青々と新緑の葉を茂らせて成長しています。当初は多くの枝が切り落とされ、葉が全くないという状態であり、正直なところ本当に移植がうまくいくのかどうか心配していましたが、先日、業者の方にお聞きすると大丈夫とのことでホッとしています。このメタセコイアの移植の話は〝命の大切さを知ることの生きた教材〟として語りついでいかなければならないと考えています。
  今、メタセコイアの根元の周りは花壇になっており、この縁取りとして植えられたフイリヤブランとフッキソウの緑色が目を惹きます。更にその花壇を取り巻くようにベンチが円形に置かれており、生徒達が昼休みや放課後くつろげるようになっています。ところが、最近気温の上昇と共にいつの間にか花壇に多くの雑草が生えてくるようになってきました。これを見ていた校庭の掃除当番に当たっている高校3年の生徒達が、環境宣言の日にあわせて草取りをしてくれました。生徒達が自分達でやれる身近なことから行動を起してくれている姿を見て大変嬉しく感じました。

  なお、私達の居住地域にも雑草の繁茂している土地が散見されますが、空き地に繁茂する雑草は、環境衛生上、また防犯・防災上好ましくないということで、ほとんどの市町村では、条例によって〝土地の所有者、管理者は雑草の刈り取りを行なうこと〟が義務付けられているようです。この他にもさまざまな環境に関する条例がありますが、このことはそれだけ放置されているところが多いということになります。一人ひとりが快適な環境づくりを目指して、自主的に環境活動を推進していきたいものです。