« 2012年09月 | メイン | 2012年11月 »

2012年10月31日

間もなくヘルバルト生が来校

 満6歳から4年間の基礎学校での初等教育を終えると、5年制の基幹学校、6年制の実科学校、8〜9年制のギムナジウムのいずれかに振り分けられる、大学進学をめざす学校はその中のギムナジウム、というドイツの教育制度があります。
 本校は平成11年にドイツへの研修旅行を始めました。この時、オルデンブルグにあるヘルバルトギムナジウムを訪問しています。同校は19世紀の中頃に創設された歴史と伝統のある学校です。夏に本校からヘルバルト校へ、秋にはヘルバルト校から本校へと相互交流を実施してきました。最近は本校からヘルバルト校を訪問することはできなくなりましたが、ヘルバルト校からの訪問は継続しています。その生徒たちが間もなく本校にやってきます。
 彼らは同校で日本語を専攻している生徒たちとは言え、いつも流暢な日本語で挨拶をしてくれます。今回もどんな挨拶をしてくれるのか楽しみです。文化や風習は違えども同じ年代の生徒たちです。自分たちの気持ちを十分伝えられるだけの語学力は無いかもしれませんが、短期間であったとしても一緒に生活することにより、お互いに良い刺激を与え合うことになると思います。先日のスコットランド生の訪問でも同様のことを感じました。
 これからの社会はグローバル化が課題となってくることは間違いありません。本校でも中学でのカナダ研修、高校でのニュージーランド研修と海外研修を実施しています。臆すること無く外国へ飛び出し、諸外国の中で日本がどうあるべきか、日本の良さは何なのかを見つめ直す機会を与えてくれる研修にしたいと考えています。他者との関係で自分がどうあるべきかを見つめ直すのと同じ課題だと捉えて欲しいと考えています。

2012年10月30日

週末は最後の中学入試説明会

 来る11月4日の日曜日に第3回中学入試説明会を行います。今年度最後の中学入試説明会になります。時間は午前10時から約1時間半の予定で学園講堂において実施します。説明会終了後、個別の相談や校内見学を予定しています。
 今まで2回説明会を行って参りました。お蔭さまで、資料配布部数、参加者数とも昨年の同時期と比べまして、今年の方が大きく上回っております。多くの方が雲雀丘学園中学校を受験対象校として検討していただいていることのあらわれだと感謝しています。いよいよ11月です。既に受験校を決め、それに向け頑張っておられる方も多いと思いますが、まだ迷われている方がおられましたら是非とも本校に足を運んでいただいて、学校の様子を見て検討していただけたらと考えています。
 本校は平成19年、「選抜特進」、「特進Ⅱ」「特進Ⅰ」という3つのコースを導入する高校改革に着手しました。その翌年から「一貫選抜」、「発展」の2つのコースを中学に導入し、「発展」コースの生徒は高校進学時に「選抜特進」と「特進」に分かれていくという中学改革をスタートさせました。今年は高校改革によるコース制のもとで学習してきた生徒が高校3年生、中学改革後に入学してきた生徒が高校2年生から中学1年生という構成になっています。この間、先輩が切り拓いてきた到達点を後輩が乗り越えていくという好循環で推移してきています。だからといって、決して競争を煽るだけで実績を追求しているのではありません。何よりも、中高時代の6年間を「本物の学び」を追求すると共に失敗も成長の糧にできる期間と捉えていろんなことに挑戦する生徒を育てたい、と私たちは考えています。

2012年10月29日

「飛ぶためにかがむ」月

 気象庁天気相談所では「10月半ば頃から11月末日までの間で、西高東低の冬型の気圧配置になったとき、北から西北西までの風が最大風速毎秒約8メートル以上吹くとき」を「木枯らし」といっています。きょう29日、近畿地方では「木枯らし1号」が吹いたそうです。明日以降、しばらくは平年より気温の低い日が多くなるとのことです。体調管理により一層気をつけて下さい。
 10月も終わりに近づきました。今年も後2ヶ月余です。11月は2学期をどう過ごしたか、ということを左右する大切な月です。それぞれが夏休みの過ごし方により、自分なりの課題を持って2学期を過ごしてきたはずです。それを点検し、順調に来ていればその勢いを持続させ、うまく進んでいなければ修正できる期間にあてられるのが11月です。そして、3学期につなげていけます。
 高校3年生は今が一番つらい時であり、不安な時でもあるかもしれません。しかし、これは本校の3年生だけのことではなく、全国の高3生にいえることです。「いちばん辛いときは、その辛さを克服できる一歩手前」です。「やっぱり飛ぶためにはかがまなあかん」のです。辛いとき、しんどい時こそ自分の良いところ、得意なところに目をやり、前向きに考えられる人が力を伸ばすことができると思います。弱点や欠点ばかりに目がいき、それに捉われているようでは力が発揮できません。仲間を信じ、先生を信じ、励まし合える集団が力を伸ばしてくれます。まさに団体戦といわれる所以です。
 高3に限ったことではありません。他の学年も同じことです。11月を「辛さを克服できる一歩手前」の月、「飛ぶためにかがむ」月にしましょう。

2012年10月28日

読書週間にあたって

 私が最近読んだ本の中に、「山中伸弥先生にiPS細胞について聞いてみた」(講談社)があります。その本の中で山中先生は、「10回のうち1回成功すればいいというくらいの気持ちでチャレンジしようとか、やるかやらないかの選択を迫られたとき、やらなくて後悔するくらいなら、やってから後悔しょうといったメッセージには、とても共感しました」、とか、「いちばん辛いときは、その辛さを克服できる一歩手前だというようなことを書いているのもありました」、と本から学んだことを紹介されています。「やっぱり飛ぶためにはかがまなあかんねんや」と激励されたとも書いておられます。
 山中先生に関する本で、昨年出版された「『大発見』の思考法」(山中伸弥•益川敏英著 文春新書)があります。この本のなかで、小さい頃から勉強がよくできたと思われていた益川先生が、成績は「1」以外のバラエティーにとんだ数字が並んでいたとか、お母さんが先生に、「たまには宿題を出していただかないと、子供が家で勉強しなくて困ります」と注文をつけたら、先生から「宿題は毎日出していますよ。しかし、お宅の息子さんは、一度もやってきたことがない」と逆に注意されて恥をかいたという、私たちも「勇気づけられる」ようなエピソードなども紹介されています。研究の内容は難しそうでも、面白い本です。
 「読書は心の栄養」などといわれます。自分の生き方を模索したり、悩みごとがあるとき等に解決の糸口を与えてくれたりします。人間は一人ではどうしても限界があります。そのような時に、いろんな人の意見や考え方、生き方を参考にするには読書が大きな役割を果たしてくれます。

2012年10月27日

読書週間

 「昭和22年、終戦の2年後、まだ戦火の傷痕が至るところに残っているとき、『読書の力によって、平和な文化国家を創ろう』と決意をひとつに、出版社、取次会社、書店と公共図書館が力を合わせ、さらに新聞・放送のマスコミ機関の協力のもとに、第1回「読書週間」が開催されました」(読書推進運動協議会)。現在の10月27日から11月9日まで、文化の日をはさんで2週間、となったのは、第2回からだそうです。
 最近は本を持ち歩かなくても読書ができる「電子書籍」というものが普及してきています。端末の販売合戦も熾烈なものがあるようです。しかし、朝日新聞社の調査によりますと、電子書籍を「読んでいる」5%、近い将来に「使ってみたい」30%、「使ってみたくない」56%だそうです。意外な結果でした。やはり、読書は紙の本でないと、と私も思います。線を引きながら読むこともよくやりました。線ばかりになるので、線の種類を棒線だけでなく波線や破線を使ったりもしたものです。それだけで理解したような気になるから不思議です。線を引いた跡が残ったり、紙がへこんだりするのが何とも言えない味に思えます。もう少し読みたいなと思っても、時間がない時は、端を折ったり、しおりを挟んだりします。分厚い本も、しおりの位置が進んでいったり、読み進んだ後のすこし膨らんだようなページが増えていくのが楽しみでもありました。
 9月は最高の暑さだったという統計が出ているようですが、10月も終わりに差し掛かるとさすがに秋本番の様相を呈しています。秋の夜長、物思いに耽る秋、読書の秋、いろんな秋があります。「読書週間」だからという訳ではありませんが、電子書籍か紙の本かは問わず、シッカリ読書をする習慣を身につけたいものです。

2012年10月26日

中3環境講座

H24.10.26%E4%B8%AD3%E7%92%B0%E5%A2%83%E8%AC%9B%E5%BA%A7%20%281%29.jpg H24.10.26%E4%B8%AD3%E7%92%B0%E5%A2%83%E8%AC%9B%E5%BA%A7%20%284%29.jpg
 きょうは中学3年生以外の5学年は校外学習です。中学1年生は万博公園にある民族学博物館、中学2年生は京都水族館と梅小路公園へ、高校1年生は京都にある大学と寺社を1つまわる班別自由行動、高校2年生はUSJ、高校3年生は北野天満宮で合格祈願と嵐山方面へ出かけました。
 中3は11月に研修旅行で沖縄に行きます。それもあって、きょうは学校に残り、学力推移調査と午後からは「沖縄美ら海水族館」の佐藤先生(水産学博士)にお越しいただいて環境学習を行いました。講座名は「沖縄の海〜サンゴ礁から深海へ広がる海の多様性」です。
 日本の近海には約4,500種の魚類がいるそうですが、その約半数が沖縄の近海にいるそうです。その地元の魚を水族館に展示している日本で一番大きい水族館が「美ら海水族館」です。「美ら海」は沖縄弁で、「きよらしいうみ」という意味だそうです。栄養が乏しく、透明度が高いから沖縄の海は「美ら海」になっているとのことです。
 沖縄の伊江島での民泊をメインに4日間の研修旅行を実施します。それに先立つ事前学習の一つがきょうの環境講座です。「ジンベイザメの寿命は何年ぐらいですか?」と質問している生徒がいました。なんと「百年以上生きるのではないか」との答えでした。事前に学習して臨めば、同じところに行き、同じものを見ても見え方が違ってくるはずです。きっと、ジンベイザメを見るとき今までと違う思いが胸をよぎると思います。
 もう一つ、琉球大学から先生をお招きして、「サンゴ」についての環境講座も計画しています。中学3年間の最後を締め括る研修旅行です。事前、事後の学習を積み、楽しい思い出の残るものであるとともに有意義なものにしてくれると期待しています。

2012年10月25日

中学・高校受験を考えるにあたって・・・最後に

 中学進学を考える時に、どのような私立中学を考えるかということもありますが、私立か公立かという選択もあります。私立中学には公立校にはない創立の精神があるのが特徴です。それぞれの学校の建学の理念ですから、重要な選択の指標です。また、最近は、公立校でも一貫校ができていますが、多くの場合、中高6年のスパンで生徒の育成をめざしているところが私立校の特徴でもあります。12歳から18歳までを3年毎に受験で区切られるのと、6年間で考えるのとでは大きな違いが出てきます。
 生徒の成長は一直線ではなく紆余曲折を経てなされていくものです。取り返しが効くといいますか、失敗や挫折を乗り越えさせるための十分な期間が欲しいのです。「僕は自分で『理科ができる』と思い込んでいたけど、実際の成績は全然良くなかった。それでも当時は、高校3年生ぐらいで猛勉強すれば、みんなに追いつくことができたんです。たぶん、今だったら完全に『落ちこぼれ』のレッテルを貼られ、『お前はダメなやつだ』と周りから言われ続けてダメになっていたでしょうね。その意味で、僕は時代に救われたと思っています」(「大発見」の思考法)。とノーベル賞を受賞された益川先生はiPS細胞の山中先生との対談で語っておられます。
 本校でも、中学3年生の頃には偏差値50台の成績の生徒が、高校へ進学してから目標を持ち、努力することにより大阪大学や京都大学に現役で合格したというケースがあります。
 自分の興味のあることにしっかり取り組ませ、また、いろんなことにトライする余裕を考えた時には、ある程度の期間が必要です。もちろん、過度の競争にさらされる6年間は論外です。創立の精神である「孝道」をベースに、「人間教育の充実」と「学力の向上」をめざし、受験に特化した勉強だけはなく「本物の学び」を追求していきたい、と本校は考えています。

2012年10月24日

中学・高校受験を考えるにあたって・・・その5

H24.10.17%E6%9C%9D%E7%A4%BC%20%282%29.jpg H24.10.24%E6%9C%9D%E7%A4%BC.jpg
         きょうの中学朝礼の様子
 私立の中高一貫校といいましてもいろいろな型があります。中学で募集して高校からは募集しない完全一貫型、中学から入学してくる生徒と高校から入学してくる生徒を完全に分ける型、中学から入学してくる生徒と高校から入学してくる生徒を合流させる型、中には中学から入学してくる生徒を自校の高校へ進学させないという型の学校もあります。
 本校は、「一貫選抜」と「発展」という2つのコースを中学に設置しています。「一貫選抜」は高校から若干名の募集を行いますが、基本的に6年一貫のカリキュラムに合流することになりますので、中高完全一貫型といえます。「発展」は高校から入学してくる生徒との合流を考えたカリキュラムになっています。あえて、先取り学習をするのではなく、じっくり、深く学習することにより力をつけさせ、高校進学時に「選抜特進」と「特進」に分かれるようになっています。ですから、中学では2つ、高校では3つのコースが存在することになります。ただ、「一貫選抜」は「選抜特進」をモデルに、中高一貫型にしたもので、進路目標も同じですから、高校も2つのコース制だともいえます。これが現在の第2ステージです。
 中学から高校の6年間は、心も体も「学力」も大きく変化しますので、中学入学時の「学力」を固定的にみてコースを決定するシステムにしてはならないと考えています。「発展」コースの生徒は、潜在能力のある生徒と捉え、キャリア教育等を通し目標を持たせる取り組みを行う中で力を発揮してくる、と考えています。更に高校進学時にほとんどの生徒が、「選抜特進」にすすめるようにするためのシラバスや指導法を研究しています。第3ステージへ向けての取り組みです。現状に甘んじることなく、絶えず改革を進めていきます。

2012年10月23日

災害に対する備えとは

 本校の非常変災の規定は、宝塚市または川西市を含む地域に警報が発令された場合、8時までに解除されれば、3校時より、10時までに解除されれば、5校時より授業を行う、解除されなければ臨時休業とする、となっています。
 きょうの天気予報は午前中は荒れ模様とのことでしたが、空が急に黒くなり雨が激しく降り出した丁度その頃、午前7時10分、川西市に大雨洪水警報が発令されました。数分後に私たちもこの情報をキャッチしました。この時間ですと、家を出て通学途上の生徒が多くいる時間帯です。既に登校している生徒もいました。午後からは天気が回復するとの予報でしたので、登校している生徒は学校で待機させることにしました。8時21分警報が解除されたとの情報が入りました。生徒の登校状況を確認したところ、約37%の生徒が登校していました。授業は規定通り、5校時より実施することにし、登校している生徒には時間割通り、教科担当の先生が教室で復習を含め課題を指示し、自習させることにしました。
 最近、警報の発令が以前より多くなったように感じます。大雨、洪水、暴風などいろんな災害が想定されます。昨年の東日本大震災やそれに伴う津波の被害もありました。そのなかで、釜石市立釜石東中学校では「津波てんでんこ」を基に、生徒たちが先生からの指示も待たずに各自高台へと避難し、校舎が津波に飲み込まれたにも関わらず、登校者全員が無事に避難できたということがありました。「津波の時は人にかまわず逃げろ」という言い伝えが生かされました。これは、その場その場に応じた的確な対応や判断ができるようになることが、災害から身を守り、命を大切にすることになるということを私たちに教えてくれています。

2012年10月22日

中学・高校受験を考えるにあたって・・・その4

 学校選択の重要な指標として、面倒見の良い学校であるかどうかがあります。面倒見が良いということをどう考えれば良いのか、難しい問題です。生徒のために何でもやってくれる、ただ学校に任せておけば良いというのが本当に面倒見が良いことになるかは疑問です。
 最近の学校、特に私立中学・高等学校はいわゆる面倒見の悪い学校はありません。学習の仕方をはじめ、大学受験もどうすれば合格するかも含め、いろんなものがお膳立てされています。それこそ任せておけば、それで安心というところばかりです。ただ、その中に生徒の自立という課題をしっかり受け止めてやられているかというと疑問なところもあります。
 もちろん、与えられたことをキッチリやりきるということは大切なことです。特に幼少年期にはそうです。ただ、いつまでもこの域を脱しないと、与えられたことはできるが、言い換えると与えられないとできない、自分で課題を見つけられないということにもなります。大学生の中で、自分で卒論の課題や研究テーマを見つけられない、教授に与えてもらわないとできないということが珍しくないと言われます。
 社会人も然りです。講演で次のような話を聴いたことがあります。「ある世界的に有名な建築家の事務所に、有名な国立大学から新入社員がきました。その社員に会社の外にある植木に水をやりなさいといと言う仕事を頼んだところ、さすがに優秀な生徒ですからその仕事を一日も忘れることなく実行していたそうです。ある日大雨が降りました。彼はその日も水をやっていた」、という笑い話にもならない話です。
 過保護と放任は同じ根っ子で、どちらも自立を阻害します。中学・高校時代は自立をどう促すのか、そのために、発達段階に合わせてどの段階では何を与え、どの段階になると与えることをやめ自分で乗り越えさせるか等を考えた指導が必用です。私たちは、このような学校をめざしています。

2012年10月21日

高校OS&入試説明会

H24.10.21%E9%AB%98%E6%A0%A1OS%26%E8%AA%AC%E6%98%8E%E4%BC%9A%20%282%29.jpg H24.10.21%E9%AB%98%E6%A0%A1OS%26%E8%AA%AC%E6%98%8E%E4%BC%9A%20%286%29.jpg
H24.10.21%E9%AB%98%E6%A0%A1OS%26%E8%AA%AC%E6%98%8E%E4%BC%9A%20%288%29.jpg H24.10.21%E9%AB%98%E6%A0%A1OS%26%E8%AA%AC%E6%98%8E%E4%BC%9A%20%2820%29.jpg
 秋晴れのもと、今年最後の高校オープンスクールを実施しました。昨年を上回る260名を超える方が参加されました。体験授業は国・社・数・理・英の5教科で高校の授業を、あわせてクラブ体験では、運動部は10クラブに、また、文化部は11クラブに分かれて活動してもらいました。僅かな時間でしたが、高校生活を体験していただけたことと思います。
 午後からの第2回高校入試説明会は、参加者こそ昨年より少し少なかったようですが、資料配布部数は592部(昨年460部)と昨年を上回りました。
 これで今年のオープンスクールは、中学・高校とも終了しました。それぞれ、2回ずつ実施しましたが、お蔭さまで参加者はいずれも昨年を上回ることができました。参加いただいた方がそのまま受験者に結びつくとは言えませんが、多くの方に雲雀丘学園の生の姿を見ていただけたと喜んでいます。そして、本校のめざしている方向性や教育理念を理解していただけたのではないかと考えています。
 本校の平成25年度入試は中学・高校ともコースの募集人数の変更等があります。また、入試全般で見ますと、中学では午後入試の増加、高校入試では大阪府の普通科の前・後期入試等、従来と違う様相を呈しています。受験者の動向を含め、どの学校も予測がつかない状況になっています。まだ、学校の姿を知っていただける機会である入試説明会が中学・高校とも1回ずつ残っています。より多くの方に参加していただけるように努力していきたいと考えています。

2012年10月20日

中学・高校受験を考えるにあたって・・・その3

 学校は何をするところか、それは誰しも学習をする場だと考えています。学習といっても狭義・広義の捉え方によっていろいろなものが含まれますが、教科学習だけでなく、将来どういう人間になっていくかという学習も含めたものであることは共通していることだと思います。この点を、本校では「人間教育」と「学力」と位置づけています。いくら「高い学力」を身につけたとしても、人間性が備わっていないと「本当の高い学力」がついたとは言えません。学校選びの指標として、これらを統一的に捉えて指導にあたっているかということは見逃せないことです。
 学習指導についても、生徒を煽り立て学習に向かせるだけの競争至上主義では、ストレスを与えるだけで「本当の高い学力」はつきません。だからといって、競争を全て否定するつもりはありません。良きライバルとして切磋琢磨し、自分を成長させる競争はしっかりさせたいと考えています。
 また、勉強のためには、クラブ活動も諦め、ただ膨大な量の課題をこなすことに追われるだけの学校生活を、人生の土台をつくると言われる中学・高校時代に、送らせてはならないと考えています。中学生の頃にはいろんなことに挑戦させ、たくさんの成功体験を積み重ね、「やればできる」、「わかれば楽しい」そこから「もっと深く知りたい」という経験をさせたいものです。本校では、「本物の学び」を追求していくことにより、そのような経験をさせようとしています。中学生にも大学での学びを経験させるべく、今夏の「サイエンスキャンプin鳥取大学」のような大学との提携をはかっているのもそのためです。
 やらされるだけでなく、自ら進んで「学びを追求する生徒」の育成をめざし、本校は努力しています。

2012年10月19日

中学・高校受験を考えるにあたって・・・その2

 一昨日は、学校を見る時のいろんなデータの中から進学実績の数字の見方等にふれました。私立大学の合格者数については、早慶上智東京理科、MARCH、関関同立の大学合格者数について、のべ合格者数と実合格者数の一覧表が週刊朝日に掲載されました。本校はのべ合格者数184名、実合格者数166名、その率約9割と出ていました。ほぼ、1人が1大学を合格していることになります。4割台や5割台の学校も数多く出ていました。これらの学校は、1人が2つ以上の大学を合格している計算になりますので、合格者数の約半分が実合格者数になります。
 国公立大でみますと、昨年度の本校の現役生の合格者が61名でした。在籍者に占める割合は22%になります。選抜特進コースでみると69%になっています。本校の2・3倍の在籍者がいる私立高校もあります。生徒が2倍いれば、合格者も2倍になって当然です。数だけでなく、在籍者に占める割合がどうかという見方も大切なところはここにあります。
 ほかにも、その学校がどのように変わろうとしているのか、その変化の中で見ることが大切です。本校で言えば、今の進学実績は高校改革後に入学してきた生徒たちです。本校で言うところの第1ステージの生徒です。この生徒たちは、今の高校3年生までです。高校2年生からは中学改革後の第2ステージの生徒たちです。コース制も変わっています。来年入学する生徒たちは、第2ステージです。このステージの進学実績のモデルはまだないということになります。これらは、その学校へ出かけ、説明を聞かないと分からないことだと思います。

2012年10月18日

St.Andrew's Academy生 来校 

H24.10.18%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E7%94%9F%EF%BC%91.jpg H24.10.18%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E7%94%9F%EF%BC%92.jpg
H24.10.18%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E7%94%9F%EF%BC%93.jpg H24.10.18%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E7%94%9F%EF%BC%94.jpg
 青地に白のX十字はスコットランドの国旗です。これはX字型の十字にかけられて殉教した十二使徒の一人でスコットランドの守護聖人であるセント・アンドリュー(聖アンデレ)を象徴して、セント・アンドリュー・クロス(St.Andrew's Cross)と呼ばれています。
 スコットランド最大の都市グラスゴーのすぐ近くに位置し、綿織物ペイズリーの生産で有名になった町があります。その町、ベイズリーにあるSt.Andrew's Academyの生徒18名が(引率の先生2名と旅行担当者1名と共に)、きょう来校されました。
 研修旅行で日本の各地を観光されているそうですが、日本の高校生と交流の機会を持ちたいとのことで、今回の訪問になりました。本校も特別なプログラムを用意することはできませんが、武道(柔道・剣道)、書道、英語の授業や茶道、ギターマンドリンのクラブ活動など、日常の学校生活に参加していただくというかたちで交流の機会を持たせていただきました。交流の様子は高校1年生の学年通信や国際理解のブログで紹介しています。
 僅か一日でしたが、一緒に学校生活を経験することはお互いに良い刺激になったと思います。同じ年代の生徒たちです。話題も共通するものがあるようで、自然と仲良くなっているようです。日本の研修旅行の中で一番の思い出としてスコットランドに持って帰ってくれると思います。

2012年10月17日

中学・高校受験を考えるにあたって・・・その1

 10月も半ばを過ぎました。来年度、中学や高校受験を考えられている方にとっては最後の追い込みに差し掛かっていると思います。今週末、21日の日曜日は、高校オープンスクール(OS)と高校入試説明会を実施します。説明会は、中学・高校とも後1回ずつ実施しますが、OSは、中学・高校とも最後になります。
 中学入試と高校入試では少し違う面もありますが、自分の進路を決める上で大きな役割を占めることは同じです。どちらにも共通していることは、その学校をよく知るということです。受験雑誌などでいくらでも情報が手に入る時代ですが、その情報や資料をどう見るかということが大切になってきます。
 例えば、進学実績はその学校を見る上で重要な資料です。何々大学何名というように数字が並んでいます。その数字の背後をどう読み取るかです。私立大学については、いくつもの大学、学部を受験することができます。数人の生徒で大量の合格数を出していた学校もあったとして、社会問題になったこともあります。そんなこともあってか、実合格者数と延べ合格者数の割合を取り上げている週刊誌も出てきています。
 国公立大学は私立大学のようなことはできませんが、自分の進みたいところ、やりたいことから選ぶのではなく、大学の名前で決めるような進路指導は本当の指導とはいえません。在籍者が何名いるのか、現役と浪人の割合等いろいろな見方が必要になってきます。数字の後ろに隠れているところがどうなのかは、なかなか見えないところですが重要なことです。
 「百聞は一見に如かず」、受験を考えている学校に足を運び、自分の目でたしかめることは必須条件と言えます。

2012年10月16日

歴史と伝統

 歴史とは、「 人間社会が経てきた変遷・発展の経過。また、その記録。ある事物・物事の現在まで進展・変化してきた過程」と辞書にあります。1年や2年といった短い期間ではなく、ある程度の長い期間がないと歴史にはなりません。ですから歴史があるということは、長く続く理由やその時々の時代の要請に応えてきたからということになります。
 伝統とは、「ある民族・社会・集団の中で、思想・風俗・習慣・様式・技術・しきたりなど、規範的なものとして古くから受け継がれてきた事柄。また、それらを受け伝えること」と同じく辞書にあります。長い歴史があるということはそれだけ「受け伝える」ことも沢山あります。その中から、「変遷・発展」、「進展・変化」する原動力になって来たものを「受け伝える」事、これが「良き伝統」ということになると考えています。歴史があるから伝統が生まれ、「良き伝統」を大切にするから歴史が長く続くということになるのだと思います。本校は、創立当時小さな分教場でしたが、「一大総合学園」をめざすとした展望を持ち実現してきた歴史があります。「明確な展望を持ち、努力して、それを実現していく」という姿勢を是非とも受け継ぎ、「良き伝統」としていきたいと考えています。
 きょう、三田学園で100周年を迎える記念の式典があり、私も参加させていただきました。100年間の歴史と伝統のある素晴らしい学校です。本校の歴史は62年で足下にも及びませんが、「良き伝統」を生かし、ともに「良きライバル」として発展していくよう努力したいとの思いを強くした次第です。

2012年10月15日

学習面でも「実りの秋」に

 「あ〜え〜い〜う〜え〜お〜あ〜お〜」、「か〜け〜き〜く〜け〜こ〜か〜こ〜」、「あかまきがみ、あおまきがみ、きまきがみ」、「うりうりがうりうれのこり、うりうりかえる、うりうりのこえ」大きな声が校庭から聞こえてきます。演劇部です。芝生の上では中学生がトレーニングをしています。水泳部です。音楽室、グランドや体育館でも元気一杯クラブ活動に打ち込んでいる姿があります。
 朝の登校指導で見る生徒の顔も何か晴れやかに見えます。きょうは、さすがに手に参考書や問題集を持つ生徒をほとんどみかけませんでした。中間考査が終わり、また日常の学校生活の様子が見られるようになりました。
 二学期の中間考査といえば、定期考査5回の半分が終わったことになります。また、学年によって違いますが、これから模試や実力テスト等があります。二学期は、昔から三つある学期の中で一番授業日数も多く、学習の内容も多くなるのが定番です。ここの乗り切り方が、一年間を通してみた時に大きな役割を果たしていることになります。
 この間、中間考査に向けて学習時間も増やしたはずです。ここで一息つかずに、テストに向けて取り組んだ「非日常」を、「日常」にどう生かすかが問われるところです。授業でもテスト返却、答え合わせ等が行われています。復習、やり直しの材料は沢山あります。これに予習を加え、家庭学習を充実したものにすることができます。
 日照時間も長く、雨も多く、気温も高い、植物にとっては一番成長する季節を通過し実を結ぶ、まさに「実りの秋」です。私たちも今までの成果や反省の上に立って、学習面でも実を結ぶ「実りの秋」にしましょう。

2012年10月14日

中間考査を終えて

 私たちの体は、一つの受精卵から細胞分裂を繰り返し、様々な機能を持つ細胞に分化していった細胞で構成されています。その細胞の種類は約270種類、その数60兆個ともいわれています。それぞれに一度分化した細胞を、4つの因子(初期化因子)を導入することで未分化の状態に戻す(初期化)ことができる細胞が、ノーベル賞で話題になっている「iPS細胞」だそうです。もとに戻るといえば「タイムマシン」を連想します。残念ながら「タイムマシン」ではありませんが、細胞レベルで未分化の状態に戻り、新しい臓器に成るというのですからすごいことです。
 ノーベル賞受賞者を囲むフォーラム「次世代へのメッセージ」(読売新聞社主催)で、山中教授は「失敗すればするほど幸運は来る。若い間に、いっぱい失敗して、挫折してください」などと会場の高校生らにエールを送られています。「野球は3割打てば大打者だが、研究は1割打てばすごい研究成果だ」(山中教授)とも話されています。
 iPS細胞の最初の小文字の「i」は、米アップル社の携帯音楽プレーヤーの「iPod」のように普及してほしいとの願いを込めて山中教授が名前を付けたとされています。このような話を聞きますと「iPS細胞」や山中教授がグッと身近に感じられます。
 失敗が多くあるということは、それだけ多くのことに取り組んでいるということになります。いろんなことに挑戦しなさいということを言っておられることになります。中間考査も終わりました。それこそ、気持ちを「初期化」して、新たな課題に挑戦しましょう。

2012年10月13日

学園PTA協議会

2012.10.13%E5%AD%A6%E5%9C%92%EF%BC%B0%EF%BC%B4%EF%BC%A1%20002-1.jpg 2012.10.13%E5%AD%A6%E5%9C%92%EF%BC%B0%EF%BC%B4%EF%BC%A1%20003-1.jpg
 雲雀丘学園には、雲雀丘学園幼稚園、中山台幼稚園、小学校、中・高等学校があります。それぞれの校種にはPTA組織がありますが、その連合体として学園PTAがあります。学園PTA会長、常務理事、事務局長,、各校種の会長・副会長、校園長・教頭・事務長で学園PTA協議会を構成しています。きょうは、平成24年度秋季の協議会が告天舎において、午後2時から開催されました。それぞれの校種の上半期のPTA活動や近況報告が行われ質疑応答の後、懇談を行い終了しました。
 幼稚園から高校までの総合学園ですから、活動も多岐に及んでいます。小さい園児がサントレで音読している姿や園庭で活動している様子、小学校の挨拶運動や花育、ひばりタイムでの瞑想や計算練習、臨海学舎の遠泳など、頑張っている姿が生き生きと報告されていました。中・高等学校からは「本物の学び」をめざし、今年から新しく取り入れている取り組みや第3ステージへ向けての考え方を報告しました。報告が終わった後、親子の係わり方、思春期を迎える子どもに対する接し方、親の子離れをどうするかなど、また、今、多くの学校で問題になっているいじめの問題などについて忌憚のない意見を頂戴し、話し合うことができました。
 幼稚園から高校までの一貫教育はどうあるべきか、また、どう進めていくか、言い換えれば、雲雀丘学園がどのような子どもを育成していこうとしているのか等を話し合える場が学園PTA協議会であり、このような組織があることが雲雀丘学園の強みだと考えています。

2012年10月12日

中学校教員対象説明会を実施

H24.10.12%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%95%99%E5%93%A1%E5%90%91%E8%AA%AC%E6%98%8E%E4%BC%9A%20%284%29.jpg
 きょうは、中学校の先生をお招きして高校入試の説明会を行いました。最近は各市町村毎に合同説明会として、中学校の先生がお集りのところへ各私立高校が出向き入試の説明会を行うという形式が増えてきています。本校も参加させていただいていますが、地域によりましては合同説明会を実施されていないところもありますので、本校単独で「中学教員対象説明会」を実施させていただいている次第です。
 来年度入試に向けての変更点といえば、選抜特進が80名と増え、特進が35名に減という募集人数の変更があります。これらは学校改革の第3ステージへ向けての取り組みの一環としての変更点であります。
 お蔭さまで、高校改革後に入学してきた第1ステージの生徒たちも高校三年生になり、最後の学年となりました。今までの先輩たちに負けないように、そして、次のステージの生徒たちの目標となるように一生懸命頑張っています。先輩がつくった目標を後輩が乗り越えていくというように雲雀丘学園は好循環に推移していると喜んでいます。
 さて、10月も半ばになり、中学3年生にとっては、いよいよ進路選択の最終段階に入りかけていると思います。「自分の進路は自分で切り拓く」意気込みが大切です。また、この時期が自分を大きく成長させる時期でもあります。どのような進路をめざすのか、そのために高校選択をどうするのか、そして今の自分の力はどうなのか等しっかり考えて進路を決めて下さい。学力もまだまだこれから伸びていきます。ここでの頑張りが高校へ入学してから大きくものをいってきます。今までしたことのない経験、最大限の努力をして、一回り大きく成長した自分をつくり上げ入試を迎えて下さい。雲雀丘学園高等学校は「志を持った生徒」の入学を心よりお待ちしています。

2012年10月11日

トロイアの木馬

 ギリシャとトロイアの戦争において、ギリシア勢の攻撃が手詰まりになってきたとき、ギリシャ神話の英雄で知将とされるオデュッセウスが木馬を作って人を潜ませ、それを城内に運び込ませて陥落させたという物語があります。この時に使われた木馬を「トロイアの木馬」また、「トロイの木馬」といわれています。知略に飛んだ作戦である反面、内通者や巧妙に相手を陥れる罠を指して「トロイの木馬」と呼ばれることがあります。
 今では、「トロイの木馬」といえば、コンピュータのウイルスが有名です。メールの添付ファイルや自由に使えるフリーソフトの中にウイルスを潜ませ、ダウンロードした時に感染させます。感染した相手を驚かせたり、コンピュータのデータを破壊したりするものから、本人が気付かないうちに遠隔操作で他人にコンピュータを使われる「なりすまし」で犯罪に巻き込まれるというところまできています。目的を果たした後、ウイルスやコンピュータを使用した履歴を消去することまで行っています。このたぐいのウイルスが毎日20万種類もつくられ、ウイルス対策ソフトが追いつかないといわれています。ますます巧妙になり、ほとんどの場合、ウイルスに感染したかどうか判らないのが実情です。スパイ映画やSF映画顔負けです。
 ノーベル賞を讃える新聞記事の片隅に、コンピュータ犯罪の記事があります。比べること自体おかしなことですが、これほど巧妙なウイルスをつくるには並大抵の知識や技術ではできません。片や病気で苦しんでいる人や医療に明るい光をもたらし、片や犯罪に手を染め人を苦しめる、誰のために、何のために学び、習得した知識や技術を使うか、ここを見誤ると大変なことになる良い例だと思います。

2012年10月10日

ノーベル賞、ガードン博士の場合

 ノーベル賞で新聞記事がにぎやかです。「挫折を乗り越えて」受賞された山中教授との報道がありましたが、同じ医学生理学賞を受賞された英ケンブリッジ大学のガードン名誉教授の15歳当時の通知表が話題になっています。8日ロイターによりますと、担当教師は、「リポートには50点中2点というものもあった」、「科学者になるという考えを彼は持っていると思う。これは全くばかげている」と指摘。さらに、「彼にとっても、指導する必要がある側にとっても全く時間の無駄だ」と、若き日の博士を酷評しているというものです。今もその通知表を額に入れて研究所に飾っておられるそうです。今も持っている理由を聞かれ、「例えば、実験がうまく行かないなどの問題が起きた時、結局自分はこの仕事に向いておらず、先生が多分正しかったと思い出すのは良いことだ」と博士は語っておられます。
 ガードン博士は生物学の成績が250人中最下位だったこともあるそうです。一度科学から離れられたそうですが、大学でかつての夢に再び取り組み努力を続けられ今回の受賞に結びついたということになります。「夢の実現のために地道な努力」は山中教授と共通するものです。
 通知表に書かれた内容を見た時に、同じ教師として考えさせられるものがありました。この指導にそって違う道に進まれていたら、一時そうされたようですが、ノーベル賞はなかったことになります。教師の子どもを観る目、可能性を見極めることの重要性を痛感させられた報道でした。

2012年10月09日

塞翁が馬

 「塞翁が馬」とは、新明解国語辞典によりますと「その人にとって何がしあわせになり、何が不幸になるか、予測しがたいものだの意を表す。」(「塞翁」は、昔、中国で、国境のとりで近くに住んでいた老人の意。塞翁の馬が居なくなったかと思うと、しばらくして駿馬を連れ帰った。その馬に乗ったむすこはけがをしたが、それで戦争に行かずに済んだ。人は、そのたびごとになげいたり喜んだりしたが、塞翁は「福必ずしも福ならず、禍必ずしも禍ならず」と答えたという故事に基づく)とあります。「人間万事塞翁が馬」と使われたりします。この「人間」も同辞典によりますと(「じん」も「かん」もそれぞれ漢字の漢音)「世間、世の中」となっています。「世の中、何がしあわせになり、何が不幸になるかわからない」ということになるのでしょう。
 昨日、ノーベル賞に輝いた山中伸弥京都大学教授がこの言葉を支えに研究に力を注いできた、と新聞報道にあります。手術も不得手で他の医師が30分で終わる手術に2時間かかったということもあったそうで、臨床医から基礎研究に転換されたとか。失敗の連続、挫折を乗り越えての受賞ということになります。まさに「人間万事塞翁が馬」ということになります。
 「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」で医療の面に夢と希望を与えた山中教授、ノーベル賞を受賞するような人でも多くの失敗と挫折を経験しているということから、私たちに親しみと勇気を与えていただいたような気がします。「夢の実現のために地道な努力」(山中教授)、平凡なようで大変難しいことです。この言葉をしっかり胸に刻み込んでおきたいと思います。

2012年10月08日

体育の日

H24%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%83%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%A4%20%282%29.jpg
 どこからともなく、キンモクセイのいい匂いが漂ってくる頃になりました。きょうは「体育の日」です。
 7日に文科省は「体力・運動能力調査」結果を発表しました。それによりますと、子どもの体力は1980年代には及ばないものの、向上傾向にあることが明らかになりました。
 当然のことですが、「運動・スポーツの実施頻度が高いほど体力水準が高い」、「1日の運動・スポーツの実施時間が長いほど体力水準が高い」という結果が出ています。「運動部やスポーツクラブでの活動は,生涯にわたって高い体力水準を 維持するための重要な役割を果たしていることがうかがえる」とも報告されています。中学高校時代の部活動の役割をあらためて確認する結果になっています。反面、60〜64歳の男女について、「部活経験はないが、ほぼ毎日運動をしている」人の方が「経験はあるが毎日運動していない」人より男性は得点が高く、女性はほぼ同じという結果がでています。中高年から運動を始めても遅くないという結果になっています。学生時代スポーツで鍛えていたからと過信するのは禁物で、今どうしているかが大切だということです。私も実感を込めてこの結果を受け止めています。
 勉強も運動も毎日の生活の中にキチンと位置づけられ、継続させる必要があります。なかなか時間がなくてできませんが、歩き方や座り方一つとって見ても筋肉を使う意識を持って行うだけで変わってくるようです。毎日の生活の行動パターンの中に運動を取り入れる工夫に秘訣がありそうです。

2012年10月07日

複雑化する高校入試について

 昨日の続きになりますが、高校入試についてもう少し考えてみたいと思います。
 平成25年度の兵庫県や大阪府の私立高校の入試は2月9日(土)に行われます。いわゆる1次入試です。その後に1.5次入試が行われます。呼び名は様々ですが公立高校の入試までに行うところから2次ではなく1.5次と呼ばれています。本校ではB日程入試と呼んでいます。あくまでも、1次入試とは違う性格をもたせ、募集人数もごくわずかです。兵庫県では県外流出を防ぐ意味合いもあり、大阪府に近い地域の学校で、しかも同じ日程で行うことになっています。
 大阪府の場合は兵庫県と位置づけも違うようで、定員を確保するために実施するか否かは学校の判断に任され、日程も様々です。昨年度の実績から見ても兵庫県の私学の数を遥かに上回る学校が実施しています。併願で日程を考えて受験すれば2回以上の受験も可能になります。
 公立の場合は、私学でいうところの専願と同じで、その学校に合格すれば進学することになります。ですから、学科やコースなど特色の違うものを前期と後期に分けて配置し、そこから受験校を選ぶというのが本来の姿だと思います。ところが、同じ普通科で、しかもほぼ同じ人数を前期も後期も募集するとなれば、意味合いが大きく違ってきます。受験機会を増やすことが目的になります。そうすれば、自ずと競争原理が強く働き学校間の格差を助長することになると思います。「不本意入学」も増えるのではないでしょうか。こういう時こそ基本に立ち返り、自分の行きたい学校はどこなのか、何故そこを選ぶのかを明確にして受験校を決定してほしいと思います。その学校が雲雀丘であれば幸いです。

2012年10月06日

複雑化する中学・高校入試

 中学の入試が一段と複雑になってきています。中学入試に対する対応は、兵庫県と大阪府では違いがあります。平成25年度入試でいえば、1月19日(土)が近畿統一入試日になっています。兵庫県の学校はこの日に必ず入試を行います。大阪府はこの日を解禁日とするとして、必ずしも全ての学校が行うことにはなっていないのです。あえて多くの学校が実施する初日を避けて、違う日に行う学校もあります。入試日程も、前期、中期、後期と3回実施する学校が多く、1週間ほどありました。ところが最近は、入試期間が短縮される傾向にあります。初日から3日間ほどで入試が終わるようになっています。また、中学入試ですから、多くても4教科、ほとんどの学校が3教科入試ということですので、昼過ぎには入試が終わります。そこで、最近登場してきたのが午後入試です。来年度入試でいえば、3日間で6校を受験することが可能になります。受験する児童にとって選択肢が広がるといえばそれまでですが、本当に児童の立場に立った受験のあり方か疑問に思います。
 高校入試も複雑になってきています。大阪府は来年度入試から普通科も前期・後期と2回受験出来るようになります。私立の1次、1.5次、公立の前期・後期、そして私立の2次と受験回数が増えます。同じ学校を2回受験することも可能になりますが、自分の行きたい学校に挑戦する機会が増えるということになるかといえば疑問です。
 受験機会が増えたとしても、自分の行きたい学校はどこなのか、何故、その学校なのかを明確にして受験してほしいと思います。自分にあった学校選び、学校を見極める目が必要とされます。本校のオープンスクールは中学が2回とも終了しました。高校は10月21日(日)が最後のチャンスです。ぜひ自分の目で雲雀丘学園を確かめて下さい。

2012年10月05日

あちらこちらの教室に明かりが

 「秋の日はつるべ落とし」、さすがに10月にもなると、日暮れが早くなります。午後6時前には薄暗くなり、教室の電気がよく目立つようになってきました。
 テスト前の放課後、さすがにいつもと違い校庭は静かです。中学1年生の階はどの教室も電気がついていませんでした。早く家に帰って勉強しているものと期待しています。中学棟の2・3年生の教室では数人が残って勉強している姿や、先生に教えてもらっている姿がありました。高校校舎は1年から3年まで、どの教室も残って勉強しています。数人が輪になって、「ブッダの教えは」などお互いに問題を出し合って、答えている様子や、黙々と数学の問題に取り組んでいる姿、ある教室では多勢が残り、その中には先生を取り囲んで質問している様子のところもあったりします。物理教室や化学研究室など自教室以外のところでも熱心に先生に教えてもらっている姿もあります。もちろん、交流スペースでは、先生に質問や指導を受けている姿、廊下の学習スペースや図書室でも頑張っている姿があります。教室を回っていると気さくに声をかけてくれます。本当に良い生徒たちです。
 学校に残って学習している生徒たち、いち早く家に帰って学習している生徒たち、場所は違っても集団で学ぶ学習と個人で行う独習の2つが揃ってはじめて学習といえます。直前の考査に向けて、昨日の通信ではありませんが「非日常」をどう作り出すか、今までの経験を超える取り組みをしてほしいと考えています。

2012年10月04日

日常と非日常

 2学期の中間考査1週間前になりました。当然、クラブ活動も試合直前のものを除いて、中止になります。中間考査では、生徒も先生も、2学期の学習をどう取り組んできたかが問われることになります。
 「日常」と「非日常」という言葉があります。「非日常」とは「ふだん自分が生活したり、つきあったりするのとは全く次元を異にする世界」と「新明解国語辞典」にあります。考査一週間前といえば、この「非日常」にあたる、と私は考えています。目の前の目標に対して、「全く次元を異にする世界」に身を置かなければなりません。今までの延長ということではなく、次元の違った、量も質も違った特別の体制をつくった取り組みが必要だということです。このような取り組みは長続きさせることは無理です。逆に長続きするようでは「非日常」になっていないことになります。この「非日常」の経験が「日常」を変化させることになります。クラブの練習も同じことが言えます。大きな大会や特別な大会に向けて特別練習や合宿を行ったりします。プロ野球選手も、シーズン途中に「ミニキャンプ」を行ったりすることがあるようです。これらは「非日常」の取り組みです。このことにより、体力・技術が向上し今までと違った状態、違った「日常」を作り出すことができます。
 中間考査までには、「体育の日」もあり、連休になります。まさに、「非日常」の世界に身を置く条件に恵まれています。夏期休業や2学期のスタートに少し不安があった人もいるかもしれません。それを取り返す取り組みとして位置づけてほしいと考えています。その先には今までと違う「日常」が待っていると確信しています。

2012年10月03日

天の川銀河、2割重かった

 天の川銀河の質量が2割ほど重かったということを国立天文台などの研究チームが2日発表しました。天の川銀河は太陽や地球が含まれる銀河です。このようなとてつもない大きなもの、しかも宇宙空間に浮かんでいるものの質量をどうやって測るのか興味のあるところです。
 研究チームは、天の川銀河に含まれる天体の距離と方角、動きを精密に調べたそうです。その結果、太陽系が銀河の中心を回るスピードは従来の定説より速いということがわかりました。そのスピードは毎秒240kmという猛スピードです。定説より1割ほど速かったと言います。第一宇宙速度が地球の周りを人工衛星として回るのに必要な速度で毎秒7.9km、地球の重力圏を脱出する第二宇宙速度は毎秒11.2kmと言いますから宇宙ロケットの比ではありません。
 速度が速くなっているということは、それだけ遠心力が大きくなっていることになります。それでも、銀河から太陽系が飛び出さないということは、例えば第二宇宙速度になっても地球の重力圏を脱出することが出来ず地球の周りを回り続けているのと同じで、従来考えられていた力より大きな力で引きつけられていることになります。物質間に働く万有引力は、距離の2乗に反比例し、両質量の積に比例するということから、銀河の質量が大きくないといけないことになります。銀河に含まれる星などの質量はほぼわかっており、質量が増えた分は、正体がまだ良くわかっていない暗黒物質だといわれています。この物質の密度や性質などを予測する上で重要なデータになるそうです。
 都会ではすっかり天の川を見ることが出来なくなりましたが、秋の夜長は空を見上げてロマンを感じるのもいいかもしれません。

2012年10月02日

「われら愛す」

H24.10.3%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%82%89%E6%84%9B%E3%81%99.jpg

 設立当初の学園の取り組みの中で宝物がもう一つあります。それは、「われら愛す」です。
 「1952年(昭和27年)4月28日、第二次大戦の講和条約が発効し日本は独立した。しかし、多くの日本人は今なお敗戦意識から抜けきれず、世の中には頽廃的な気分がたえなかった。国民の誰もが愛唱出来る歌で、この社会の風潮を一掃し、勇気づけることは出来ないだろうか」(サントリー百年誌)、として壽屋(サントリーの前身)の佐治敬三社長(本学園第2代理事長)が中心になって、昭和28年大々的に新聞広告をだし、新国民歌を募りました。そして、応募総数5万余のなかから選ばれたのが、芳賀秀次郎作詞「われら愛す」です。いわば、国民的運動の中から選ばれてきた歌です。
 当時を知る卒業生の方の話では、幼稚園から高校までの合同大運動会では校庭一杯に広がって「われら愛す」が踊られていたとのことです。30年近く歌われ、かつ踊られてきたそうです。数十年ぶりに同窓会で集まった高校の一期生が、いまでも歌えるほどこの歌は強烈な印象だったと感想を述べられています。
 学園も大きくなり幼稚園から高校まで、一堂に会することが出来なくなり、この歌も、いつしか歌われ踊られなくなってきたようです。しかし、忘れ去られたのではありません。この宝物はしっかり私たちが受け継いでいかなければならないと考えています。
 「50年の時を経て、この歌が私たちに教えてくれたこと、それは伝えていくことの大切さだったのです。これから先、この歌を残すために私たちはこのテープを残します。制作は雲雀丘学園高等学校放送部でした。」2001年全国高校放送コンクールに出品した作品はこのように締め括っています。

2012年10月01日

創立記念日

 きょうの創立記念日に向けて3回にわたって、設立当時の様子を振り返ってきました。理事長を始めとして設立に係わってこられた方が、こんな学校をつくりたいという明確な目標を掲げて取り組み、実現して来られたのは、ただただ敬服するばかりです。村立小学校の分教場として、幼稚園の一教室を借りて産声を上げた学校が、今は幼稚園が2園、小学校、中学・高等学校までの「一大総合雲雀丘学園」(学校創設趣意書)にまで発展して来ています。
 また、多くの方の意見を集約し練り上げられた「創立の精神」、これは本学園の宝物であり、「不易」な物として引き継いでいかなければならないものです。いつの時代でも、人類が生存している限り「親」があり「子」があります。親子の関係は永遠のテーマです。親が子を思い、子が親を思う気持ちはいつの時代も同じ筈です。そして、今、自分がここに在るのは、親を始めとして多くの人の支えがあるからだということを理解すれば、誰のために何をすべきかは明白だと思います。感謝の気持ちを持って親を大切にすることはもちろんですが、「親の存在を乗り越える」、分かり易くいえば「親より立派な人間になる」、その努力を続けること、そして社会のために役立つ人間になること、これが「親孝行」だと私は考えています。
 戦後の学制改革により、単線型教育の6・3・3・4制、義務教育の9年への延長や高校の男女共学等が実施されるようになりました。そんな中、昭和24年、戦後のベビーブームと時を同じくして誕生したのが雲雀丘学園です。「この子」がどう成長するか、「親孝行」できるか問われるところです。