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2017年03月30日

歳々年々、人同じからず

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今年度もあと1日となりました。事務局前のしだれ桜も、ようやくの開花となりました。うまくいけば来月8日の中高の入学式に文字通り花を添えてくれるかもしれません。クラブも多くがこの期間、合宿に入っています。昨日朝、陸上同好会が徳島・鳴門に向けて2泊3日の合宿に元気に出発しました。思えば2年前に誕生したクラブです。30名余りが合宿に参加しますが、日頃の活動も活発で嬉しい限りです。また吹奏楽部も明日の定期演奏会のリハーサルで、楽器を車に満載し、笑顔で会場に向かいました。定期演奏会には私も出かけます。

昨日は雲雀丘学園の理事会が開催されました。鳥井理事長はじめ理事、評議員、監事のかた22名が出席されました。本年度の事業・決算報告と来年度の事業計画・予算が了承されました。本学園の理事会は質問や意見が積極的に交わされます。色々な立場の方々から、外から見た貴重なご意見や考え方を伺うことができ、大変ありがたいことだと思っています。

さて私ごとですが、今年度末で中高の学校長を退任することにしました。後任は中井教頭です。よろしくお願いします。私は学園長に就任して学園全体の魅力度アップに努めたいと思います。このことは過日(3月23日)の修了式で生徒の皆さんにも話しましたのでご存知になっているかもしれません。学園には残りますので引き続きご支援を賜りますようよろしくお願いします。

今、世の中は大きく変貌しようとしています。世界的にはポピュリズムの兆候が見られ、また国内では超高齢化社会を迎えます。日本はどう対応していけばいいのでしょうか。教育の世界に身を置く者にとっては、厳しい現実に立ち向かえる、堂々と生きていける、更には社会に貢献できる人材を作っていかねばならないと思っています。

雲雀丘学園は幸い「いい校風、いい生徒」の学園として歩んできました。改革も進めてきました。しかし社会はもっともっと激しい変化をしています。例えば人工知能の台頭です。
人工知能はいわばもろ刃の剣であって、使い方を誤ると人類を不幸に陥れます。人間にすべての責任があります。人工知能を制御できるもの、それは人間力、人間性です。人間力の向上が生易しいものではないことは十分に承知していますが、雲雀丘学園はこの理想に燃え、日々の取り組みを進めていきます。

中高の校長を2年間務めさせていただきました。良き生徒、良き教職員、そして保護者の皆様に支えていただきました。色々なことに挑戦してきましたが、何か一つを挙げろと言われれば挨拶を挙げます。挨拶こそコミニュケーションの第一歩と確信するからです。学園の創立者、鳥井信治郎は「親孝行な人はどんなことでも立派にできる」と喝破しましたが、私は「挨拶ができる人は立派な社会人になれる」と申し上げます。

年々歳々花似たり、歳々年々人同じからず。
今日は温かな日中になり、開花は進んでいるようで、やがて昨年と同じ見事なしだれ桜が満開になるでしょう。そのしだれ桜と一緒に、新しい体制で、新しい生徒で、新しい気持ちで新年度を迎えます。(2017.3.30)

2017年03月28日

年度末、校庭を眺めながら

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午前中の校庭は陸上同好会の練習がありましたが今はひっそりとしています。生徒の元気な声を毎日聞いている者にとっては寂しさを感じます。逆にこの時期を使っての学園の整備や工事の音がします。176号線沿いのセンペルセコイアの木が半分くらいに伐採されました。道路への倒木を防ぐためです。校庭も生徒が運動しやすいように手入れがされています。大がかりなのは中学教室の机、いすの総入れ替えです。教室の床もワックス掛けが施こされます。

先週の日曜日はテレビ桟敷で涙を流した人も多かったのではないでしょうか。私もその一人です。まさかが起こりました。新横綱稀勢の里は、大関照ノ富士を相手に本割と優勝決定戦で連勝し、見事逆転優勝を果たしたのです。左肩を負傷し右手一本で戦いました。普通なら休場でした。君が代を泣きながら歌う姿に多くの人は心を揺り動かされたと思います。一方、敵役を演じることになった照ノ富士、ひざを痛めながらも前へ前へと出ました。こちらも立派、見事でした。稀勢の里の、最後まであきらめないという姿勢に、凄みさえ感じましたが、生徒にもぜひわかってほしいと思います。

さて日経に連載中の「琥珀の夢」。鳥井信治郎はとうとう「赤玉ポートワイン」を作り上げました。丁稚奉公を終え、葡萄酒を作りたいと宣言して9年の歳月が流れました。その間一人、暗い作業所で黙々と納得できる葡萄酒づくりに苦闘していたのです。作者の伊集院静はこの小説の中で信治郎の行為を次のように語っています。「何かの力が、その人に発見なり、新しいものを見出せるのは、当人が寝ても覚めても、そのことと対峙し続けていたからだろう」。鳥井信治郎はどんなときにも涙を見せることはなかったそうです。しかしこの時だけはあふれる涙を拭おうともせず嗚咽したと言われています。赤玉ポートワインはサントリーの原点ともいえる商品です。

2017年03月24日

満開の桜を咲かそう

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昨日(3月24日)は修了式でした。事務局前のしだれ桜もつぼみはピンク色に染まっているのですが開花には至っていません。昨年は修了式には咲いていましたので寒さからか、少し遅れているようです。

修了式は特別表彰から始まりました。今年度県大会3位以上の成績の個人、団体に対して理事長から賞状と記念品が贈られます(校長代読)。水泳部(個人)、囲碁将棋部など8個人、団体が表彰されました。続いてトリプルクラウンの表彰です。漢検、英検、数検の3つの2級以上をとった生徒が対象です。今年度は対象者が多く18人もいました。どれもみなあっぱれです。学園の掲げる文武両道の面目躍如といったところです。

私は式辞で生徒全員に今年1年振り返ってみて、「よくがんばった。70点以上」と思う人に手を挙げてもらいました。一人も手が上がりませんでした。おそらく皆の前で手を挙げることは恥ずかしいのでしょう。良く頑張った人はたくさんいると思います。また頑張れなかった人、結果が出なかった生徒も多いと思います。4月からはしっかりと計画、目標を立て1日1日を大切に、確実に送るように言いました。

最後の日ということもあって校長室には何人かの生徒が来ました。その中にはトリプルクラウンの表彰を受けた高1の男子生徒もいました。確かに「私の挑戦」に「トリプルクラウンをとる!」と書かれていました。次は漢検1級を高校生のうちにとると目を輝かせ、将来の夢や希望を話し合いました。

今年の卒業生も来ました。多くは合格の報告でしたが、残念ながら第一志望の夢に敗れた生徒もいました。いつかの校長通信に書いた生徒です。「金融甲子園」の大会に3年生の時まで出場し、最後まで夢を追った生徒でしたが、念願の兵庫県での優勝の夢は果たせませんでした。私立大学に進みます。今夜は「金融甲子園」を主催した銀行が彼の健闘を讃え、特別に食事の会を持ってくれるそうです。彼は誰にもできない経験をつみました。

思いがけない来訪もありました。雲雀丘学園の卒業生で今年4月からサントリーに入社する生徒です。サントリーでどうしても働きたいということで、大学在学中もマーケティングの授業をとり、1年間スコットランドに行って蒸留所を巡りながら、英会話勉強を重ねてきました。4月2日に入社式があるのでその前に母校に来たそうです。

春はもうすぐそこです。桜は冬の寒さがないと咲かないそうです。雲雀丘学園の生徒には満開の桜が咲くと思います。

2017年03月16日

明日、中学卒業式。私の思い出

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「幸せを掴んじゃおう」
   幸せは どこにある
   あの雲の 行くところ
   幸せは 遠いもの
   あの山の その向こう
   そうじゃない そうじゃない
   街角の 工事場に
   横丁の 石垣に
   ポッチリと とまってる

   幸せは どこにある
   宝石の 城の中
   幸せは 遠いもの
   七彩(なないろ)の 虹越えて
   そうじゃない そうじゃない
   母さんの 丸い背に
   あの人の ほっぺたに
   ポッチリと光ってる

私が中学校を卒業したのは昭和41年(1966年)でした。もう51年も前のことです。卒業式を間近かにひかえたある日の授業でした。社会科のH先生が最後の授業に黒板に書かれたのが上記の歌です。白墨(チョーク)で黒板のどの位置に、どんな字で書かれたかも覚えています。この歌「幸せを掴んじゃおう」は東京オリンピック(1964年)の頃からヒットし、金田星雄と小宮恵子が歌いました。

先生は歌詞を特段、説明はしませんでしたが「幸せ」を教えたかったのだと思います。そしてクラスみんなで歌いました。歌ったあと先生は、なぜか書いた歌詞をすぐに消されました。黒板消しから滑り落ちる白墨の粉も、しっかりとまぶたに焼き付いています。本学園中学校の最後の授業は済んでいますが、先生方は卒業する生徒にどんなことを話されたのでしょうか。

期末考査の期間中のことでした。ある生徒が校長室に来ました。「英検準1級」に合格の報告でした。「私の挑戦」には「英検準1級を今年中にとる。やるときめたことをやる。」と書かれていました。立派なものです。実はこの生徒、一時期、大変悩んでいたことがありました。それを乗り越えて見事、難関の検定を通ったことを誉めてやりたいです。明日、中学校の卒業式を迎えますが、この生徒に「トップクラウン」の表彰を渡します。嬉しい限りです。
(2017.3.17)

2017年03月11日

最後まで強気で戦え!

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今日は校庭では半旗が風にたなびいています。6年前の今日、東日本大震災は起こりました。私は東京赤坂の会社で会議中でした。ボードの前で発表していた女子社員が、突然、つまずくようによろめいたかと思うとテーブルにつかまり、座っていた椅子がつつーっと動き、壁にガシャンと当たりました。その様子がまぶたに焼き付いています。そのあとは東北の海岸付近の息をのむ惨状が、次々とテレビに映し出されました。

その日のことをあれこれ思いだしながらも今日は午前、講堂で社会科の中学発表会が行われました。中学1年生と2年生が1年間にわたって勉強してきた「職業人インタビュー」「社会科発表」「探求発表」を行いました。ユニークな発表や意外な研究成果に興味深く聞き入りました。午後は同じく講堂で今春入学の新中学生へのガイダンスがあり、保護者同伴でお越しいただきました。

期末考査が終わって校庭にはクラブ活動やバレー、ドッジボールに興じる生徒が戻ってきました。春は名のみの風の中、躍動する生徒に元気をもらいますが、一方職員室は一昨日から始まった国公立大学の合格発表に悲喜こもごもの、表現しがたい空気が流れています。本学園の生徒はもちろんよく健闘しているのですが、残念な結果を聞かねばならないこともあり、辛いものです。そんなときの先生方の対応は見事なものがあります。私は何もできなくてそっとその場を離れます。

雲雀っ子、最後の最後まであきらめるな。
まだまだチャンスは残っている。
強気で戦え!
(2017.3.11)

2017年03月09日

卒業式、いろんな方に支えられて、教えられて

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卒業式の朝(3月1日)は少しばかり早く登校しました。7時過ぎだったと思いますが、高校棟の前には用務員さんが黙々と、大きな竹ぼうきで掃除をされていました。黙々というよりは元気いっぱいにと言うほうが当たっているかもしれません。本当にちり一つ残さず隅々まで掃き清められます。問えばおそらく、こんな大切な日なので皆さんに気持ちよく過ごしてもらえるように、とお答えになるでしょう。この用務員さんは学校説明会や入学試験日など、大勢がお見えになるときや、また雪の朝などは誰よりも早く来て対応されています。本当に頭が下がります。

本学園の玄関まわりの警備員さんも明るく元気な方が多いです。幼稚園から高校生まですべての生徒に声をかけられています。園児の小さな手と振り合ったり、児童と中腰で話す姿などよく見かけます。数日前ですがたそがれ時、高校生の女子生徒が警備員さんと楽しく話し合っていました。「父親のようなもんですよ」とお話でしたが、さすがにそれは少し厚かましく、好々爺が正しいでしょう(笑)。説明会の時には参加者にアンケートで、学校の印象などをお聞きしますが、毎回必ずと言っていいほど警備員さんのことが書かれています。学園の自慢の一つです。

このような方々に雲雀丘学園は支えられているのです。「いい校風」とお話しいただくことがありますがここにも理由があります。卒業生の皆さんには、こういうところもしっかりと見てほしいと思います。答辞で警備員さんや用務員さんにお世話になったと感謝の心を述べていましたが、これも良かったと思います。

学校は日常の勉強だけで生徒を教えるところではありません。むしろ勉強以外のところで人間性は培われていくものと思います。

2017年03月07日

卒業式を終えて、送辞・答辞

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卒業式が終わり、高3生はもういないのだなと思うと一抹のさみしさを感じます。卒業式では送辞、答辞とも堂々とした立派なものでした。印象に残ったものとして、両方とも体育大会を挙げていました。今年から団対抗が導入されましたが、大きな思い出となったようです。先輩、後輩が一体となって取り組みました。盛り上がりと同時に規律も取れていました。今年の卒業生が3年の時に体育大会の新しい形ができ、後輩が引き継いでくれることをうれしく思います。

文化祭も大きな思い出です。合唱コンクールは高3生は各クラスが必死に練習して臨んだこと、後輩は先輩の合唱に鳥肌立つほどの感動を覚えたこと、金賞を取るための執念を垣間見たことを話しました。頼もしく思ったことは、送辞も答辞にもありましたが、世界が自国第一主義に陥る危険性に言及したことでした。答辞ではそれに対し、日本の思いやりの心を発揮しよう、助け合いの心を忘れない、その精神を世界に広めるのは私たちだと自らの責任と決意したのはさすがです。

また最後は親孝行についても語りました。「これまで受け取ったもの、この学園で学びえたものを、広く社会に還元することこそ、親孝行だと信じる」と結びました。答辞を読む生徒の目は涙があふれていましたが、私も必死にこらえていました。
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記念写真を撮り終えたあと、何人かの保護者の方が校長室にお見えになりました。その中のお一方は、子供が学園でのあることがきっかけで大きく変わったこと、見違えるように生活態度が前向きになり、勉強するようになったとお話しいただきました。今は国公立の前期の結果待ちの状況とのことです。なんとしても合格してほしいと願っています。京都、北野天満宮の梅もピークは過ぎましたが、昨日、雲雀丘学園の生徒の合格祈願を再度してきました。(2017.3.6)

2017年03月03日

卒業式、感謝の手紙を書きました

sDSC02513.jpg sDSC02499.jpg sDSC02451.jpg sIMG_0117.jpg一一昨日(3月1日)、天候にも恵まれ今年の卒業式は無事終了することができました。天候というのは今年の卒業生は3年生の時、ことごとく色々な行事が雨にたたられたり、天気を心配することが多かったからです。学年団の先生はほっと一息です。今年は過去最高の327名の卒業生。「厳粛さと温かさ」をスローガンに式に臨みました。卒業証書の授与は時間がかかりました。雲雀丘学園は一人ひとりに手渡すことを原則にしています。学校によって色々な考え方はありますが、一人ひとりと向き合う学園として、生徒にとっては晴れ舞台、主役を演じるたった一人の瞬間を尊重したいと思います。

今年は卒業式の前に、生徒は保護者への感謝の気持ちを文書にしたため封筒に入れました。そして卒業式の最後に、保護者には開封してもらい中を読んで貰いました。そして生徒全員が保護者に向かって「ありがとうございました」と声を揃え、一礼したのです。雲雀丘学園ならではの光景でした。感動のひと時でした。手紙の内容は本人と保護者にしか分かりません。どんな内容が書かれていたか「親孝行」を何度も言ってきた者にとっては興味のあるところです。

私の式辞は普段から生徒の皆さんに話しをしてきたことをあらためて言いました。建学の精神である「親孝行」を実践していこう。「挑戦」の気持ちを忘れないでほしい、という創立者、鳥井信治郎の心情でした。卒業生が高3の年は、何年か後に振り返っても大きな出来事と言えるものがあったと思います。それはオバマ大統領の広島、安倍首相の真珠湾の相互の慰霊訪問でした。さらに今年になってのトランプ大統領の登場です。これらは卒業生が卒業した年の出来事としてしっかり考え、覚えておいてほしいと思います。