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2012年07月01日

うるう秒

 今日は7月1日、一年の折り返しの日です。海開きや富士山など山開きが行われる日でもあります。ところが、いつもの7月1日とは違い、1秒長い日です。午前8時59分59秒の1秒後は、午前9時00分00秒のはずですが、上の写真のように午前8時59分60秒が誕生します。日本は世界標準時からプラス9時間ですから、この時間になっています。
 古くは、地球の自転を24時間とし、それを基準に時間を決めていました。しかし、原子時計を使って時間を正確に測定できるように技術が進歩してきたところから、地球の回転速度は、長期的にはだんだん遅くなってきているそうですが、いつも同じ速度で回転しているわけではないことが分かってきました。地球の自転から決まる1日の長さが、正確に24時間ではないことから生じるずれが累積した時に、調整するために導入されたものが「うるう秒」です。ずれが累積し調整の必要が生じた時に行うことになっており、次はいつかというのは決まっていないようです。
 わずか1秒のこと、日常生活にさほど大きな影響がないと思われますが、これを基準に全世界が動いているとなれば無視できないことになります。西暦2012年6月30日23時59分60秒と7月1日は全く違う日です。コンピュータは誤作動を起こすかもしれません。「たかが1秒、されど1秒」です。
 今年はうるう年でもありましたが、うるう秒とは全く別物です。うるう年には、判別する方法があります。西暦を4で割り切れる年がうるう年だと思われていますが、そう簡単なものではありません。ちなみに、2100年は4で割り切れますが、うるう年ではありません。
 結局、現実とのずれ、ギャップを調整して再スタートする日です。私は、今年度の計画の進捗状況を点検し、再スタートする日にします。

2012年06月19日

6月の台風

 台風4号の接近で、本日は臨時休業になりました。この時期は、梅雨前線の影響で大雨警報等が発令されて臨時休業になる事はありましたが、台風での休業は記憶にありません。気象庁によりますと、台風が6月に上陸するのは珍しく、8年ぶりということです。
 台風が日本に上陸する要素として考えられるのは太平洋高気圧の状態です。台風は太平洋高気圧の縁を通りますので、弱いときは日本の南海上、強く北に張り出しているときは、大陸方面へと進路を取ります。丁度、日本付近に前線が停滞する気圧配置の時が台風の進路となりやすく、上陸の可能性が高まります。しかし、梅雨の時期は太平洋高気圧と台風の発生数との関係もあり、上陸の可能性が低くなりますが、秋雨前線の時期は台風の発生数も多く、上陸の可能性が高くなります。この時期は農作物の収穫の時でもありますので、台風が上陸すると家屋の損壊や土砂災害と併せて被害が更に大きくなります。
 それにしても、突然の雷雨や竜巻、そして、6月の台風など異常気象とも言われる現象が頻発しています。地球温暖化の影響なのかもしれません。地球上でのわずかな変化、一部の地域で海水温が少し変化することにより、海洋循環に影響を及ぼし気候変動が起こるといわれています。わずかな変化であっても、そこには何か原因があってのことです。目の前で起こる現象の背景にあるものに目を向ける見方を身につけたいと思っています。
 台風5号が週末にかけて接近するとの予報もあります。備えあれば憂いなしではありませんが、人災の部分は防げるようようにしたいものです。

2012年06月18日

梅雨

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      中央棟前の花菖蒲              南門坂道の紫陽花

 「つゆ」、「ばいう」この言葉からどんなことを連想するでしょう。ジメジメ、湿気臭い、カビ、食中毒など何ともうっとうしいイメージです。
 近畿地方の梅雨入り直後、梅雨のない北海道へ修学旅行に出かけました。5日間ともなれば梅雨がなくとも、雨が降る日もあるだろうと思い、雨具を用意していきましたが、幸い使うことなく過ごせたのは良いのですが、皮肉なことに、15日の夜、伊丹空港到着後に使うはめになりました。土日は勿論、週明けもずっと雨模様との予報でしたので、文字通り梅雨空を覚悟していましたが、当たったのは土曜日だけ、それ以外はハズレでした。ピンポイント予報まで出るようになり、天気予報の精度が上がっていますが、梅雨の時期の予報はむつかしいようです。
 通常の低気圧は1,000Km単位の規模らしいのですが、梅雨前線になるとその10分の1の規模のようです。雨雲は細い帯状に広がり南北に動くので、かかりそうでかからないということが起こったりします。しかも、雨雲の帯のすぐ北側は晴れのエリアで、少しの誤差も許されない何とも気象予報士泣かせのようです。 
 予報も難しく、うっとうしいイメージの雨の景色でも、紫陽花や花菖蒲があればまた違った風情にもなります。蛍もこの頃の風物詩です。紫陽花の花言葉は「移り気、高慢」などと言われていますが、「辛抱強い愛情」というのもあるそうです。また、花菖蒲の花言葉も「うれしい知らせ」、「優しさ」、「あなたを信じる」など前向きなものがあります。また、季節は違いますが、同じ梅雨という言葉も菜種梅雨やサザンカ梅雨となれば少し響きが違うように感じられます。
 うっとうしさだけに目がいくのではなく、前向きな点にも目がいくような心の余裕を持ちたいと考えています。

2012年06月17日

父の日

 6月の第三日曜日は「父の日」です。元々の由来は、今から100年ほど前に米国で、ある女性が男手一つで育ててくれた父親を讃え、教会の牧師さんにお願いして礼拝をしてもらったのがきっかけだとされています。日本では1980年代頃から一般的な行事になったようです。世界各国では、6月とは決まっておらず、いろいろな月があるようです。
 何かを記念して日を定め、「何々の日」は非常にたくさんありますが、いろんなことに感謝し、祝福する気持ちを持つことは大切なことだと思います。なかには取って付けたようなものもありますので、内容を良く吟味することは言うまでもないことですが。
 5月の第二日曜日が「母の日」です。やっかみの気持ちで言うのではありませんが、世間の扱いが違うように思います。しかし、「父の日」より古くから設定されています。歴史や伝統からして仕方ないものかもしれません。何はともあれ、4月に新年度がスタートし、気分も一新して頑張ってきたところで、5月に「母の日」、6月に「父の日」と続きます。この世に生を受け、当たり前のように毎日を過ごしていることを、今一度じっくり考える良い機会だと思います。
 父の日とは、「父に感謝の気持ちをあらわす日」ということです。贈り物をすることだけが感謝の気持ちをあらわすことではありません。元気に精一杯頑張っている姿、輝いている生き方こそが感謝の気持ちをあらわしていることになるのではないでしょうか。

2012年06月01日

世紀の天体ショーを感慨深いものに

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 5月21日の金環日食は感動的でした。だが、金環日食ほど派手さはありませんが、大変貴重な場面に遭遇することができます。それが、6月6日(水)の金星の太陽面通過です。これを見逃すと、ほとんどの人が二度と見ることができません。なぜなら、次に見ることができるのは、2117年12月11日で、なんと105年後になるからです。地球の公転面に対して、金星の公転面が僅かに傾いているために、地球と一直線に並ぶのは非常に珍しい現象です。天体望遠鏡による観測が始まった17世紀以来、わずか7回目の貴重な観測機会。1769年にキャプテン・クックがタヒチ島で観測したという記録も残っているそうです。ちなみに、金環日食は毎年地球上のどこかで見ることができる現象です。
 金星の太陽面通過は、かつて天文学者が太陽のサイズを測るのに使われたり、三角測量の応用で太陽までの距離を計算したと言われています。
 今回の現象は西太平洋と東アジア、オーストラリア東部、そして高緯度地域で目撃されます。日本では、朝7時10分頃から13時47分まで全課程を見ることができるようです。6月6日を期待に胸を膨らませて待つのもいいでしょう。だが、太陽面通過は、金星だけに起こることなのか。水星には起こらないのか。実は起こるのですが、なぜ、大きな話題にならないのか。火星や木星など他の惑星はどうなのかなど、事前に学習して臨むともっと感慨深いものになると思います。
 世紀の生き証人になるかも知れません。あとは、天気になるのを祈るのみです。

2012年05月05日

「こどもの日」によせて

「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」(山口素堂)の句に詠われているように、青葉が美しい季節になりました。初ものを好む江戸っ子は「初鰹」がいいらしいですが、脂がのっている「戻り鰹」の方が、私は好きです。

 今日は、立夏にもあたりますが、「こどもの日」です。チョットした出会いで、「こどもの日」について新しい発見がありました。「国民の祝日」に関する法律では、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。」とあります。後半部分の「母に感謝する」というのが、私にとっては新しい発見でした。子どもの人格や幸福のことを考えるだけでなく、母親に感謝するのが「こどもの日」ということになります。

 総務省の発表によりますと、子どもの数は1,665万人、31年連続の減で、過去最少になりました。少子化に歯止めがかかりません。総人口に締める割合も減り続けています。主要な諸外国と比較してもアメリカ、フランス、イギリス、カナダ、ドイツ、イタリアと続き日本は最低水準です。(総務省統計局データ)子どもが減り続けている国に、未来はありません。これは誰しも分かっていることです。しかし、少子化は止まりません。安心して子どもを産み育てる社会になっていないからだ、という指摘もあります。スエーデンやフランスの少子化対策が成果を上げているという話もあります。

 親に感謝し、未来を担うべき子どもが増え、その子たちの為に尽くせる社会を作るには何をすべきか。折しも、今日は、すべての原発が止まった日。電力をどうするか。大きな課題ばかりです。

2012年04月23日

子ども読書の日によせて

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 4月23日は子ども読書の日です。居ながらにして、いろんな世界に飛び立ったり、いろんな人と交流、意見を聞いたり、ヒーローや悲劇の主人公になったりすることが読書ではできます。読書好きな生徒になってもらいたいと、本校でもいろいろな仕掛けを考えています。以前に「学校で見つけた小さなボランティア」のところでもふれましたが、図書館を使いやすいものに、ということもその一つです。この4月からタッチパネル式のディスプレイを置き、本の検索がしやすくしたりもしています。どの学年も喜んで使っていますが、特に中学一年生には好評のようです。図書館司書は以前から配置されていますし、設備等も限られた中ですが、さらに充実したものにしていくつもりです。ハード面だけでなく、図書館便りのブログも立ち上げるなど、ソフト面でも工夫していきたいと考えています。
 読書もチョットしたきっかけで、出来るようになるものです。中学までは、じっと机に向かって本を読むなどという経験が全くなかった者が、思春期特有の課題に直面する中で本と出会い、高校になってからは人が変わったように本好きになり、小遣いをもらったら、まず本を買うようにまでなったということもあります。先にいろんなものに使うと、本を買うお金がなくなるからだそうです。ほかの誰よりもこの変身ぶりは、本人が一番びっくりしたそうです。
 「やってみなはれ」精神ではないですが、いろんなことに意欲的に取り組んでいれば、こういった出会いは必ずあると思います。びっくりした本人が言っているのだから間違いありません。

2012年03月11日

大震災から一年が経過

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  3月11日(日)、1万9000人を超える死者・行方不明者を出した東日本大震災から1年が経過しました。今日は朝からテレビでも大震災に関する特別番組が放映されていました。また、天皇、皇后両陛下、野田佳彦首相ら三権の長をはじめ、被害が大きかった岩手、宮城、福島3県の遺族代表ら約1200人が参列し、政府主催の追悼式が東京の国立劇場で開催されました。天皇陛下は心臓の手術後、間もないのにもかかわらず出席され、被災者に対して暖かい言葉をおかけになると共に日本国民に対しての復興の思いを語られました。野田首相もふるさと再生、教訓の伝承、助け合いの心を忘れないという三つを「み霊に誓う」と表明し、被災者と「共に手を携えて『復興を通じた日本の再生』という歴史的な使命を果たしていく」と強調しました。私も家族と共に午後2時46分、黙祷をささげ犠牲者の冥福を祈りました。
  一年経った今も避難所生活を続けている人や仮設住宅に居住している人も数多くいますが、復興に向けての取り組みは決して満足できるものではありません。この大震災と原発事故は多くの教訓を私達に与えましたが、時間の経過と共に次第に被災地に対する思いが薄らいできているように感じています。ボランティアに参加する人も減少してきているようですし、全国の自治体においても瓦礫の処理を拒否する等の動きが出てきています。最近は自分のことだけを考えて行動するという風潮が増えてきていますが、これでは世の中は良くならないでしょう。
  今こそ、全国民がこの大震災の経験を風化することなく次世代に伝えていくと共に日本の総力を結集して素晴らしい復興を果たしていきたいものです。

2012年02月19日

エネルギーの現状を知る

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        《太陽光発電》              《風力発電》
  東日本大震災による原発事故は日本国民のエネルギーに関する意識を大きく変えることになりました。アンケート結果によると〝エネルギー政策についての考え方は大半が抜本的に見直さなければならない〟〝原子力発電については全廃が約2割、大きく削減(約3割)を含め7割を超える人が減らすべきである〟〝30年後の電力使用量が現在より増加すると考えている人は約1割しかない〟ということになっています。
  しかし、これは現在のエネルギー事情を十分考慮した上での答えではありません。まず、日本のエネルギー源別の発電電力量の割合をみると、火力発電が約7割を占め、次いで原子力(22.5%)、大規模水力(5.8%)となっています。そして、再生可能エネルギーは全体のたった3.2%に過ぎません。これは原子力発電を国のエネルギー政策の中心に位置づけてきた結果であり、あまりにも原子力発電のウェイトが大きくなりすぎてしまったため、簡単に代替エネルギーを確保することが難しい状況になってきているのです。
  仮に原子力の代替として、すべてを再生可能エネルギーに切り替えた場合のシミュレーションをすると、太陽光発電の場合には、パネル設置に要する面積は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県を合計した広さ、また風力発電の場合には、四国の約1.2倍の広さが必要であり、これを短期間に達成することは容易ではありません。
  従って、これらの現実の姿を国民に分かりやすく説明した上で、エネルギー政策の中長期ビジョンを明示し、到達目標年度を決めて具体的な工程を作っていくことが大切であると思います
  明日から関西電力の高浜原発3号機が定期点検のために稼動を停止することになり、この結果国内54基ある原発のうち稼動するのはわずか2基ということになります。当面は天然ガス等によって火力発電所を再稼動させることになりますが、日本の電力事情が逼迫し、産業界や日常生活に影響が出るのは避けられません。また、地球温暖化ガスの増加という環境問題や貿易赤字といったことも生じることになります。自分の利害だけを考えるのではなく、少し大きな視点でエネルギー問題を捉えていきたいものです。

2012年02月03日

バングラデシュへの道

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  高校時代の友人で、現在『岡本内科こどもクリニック』の院長である岡本新悟氏がいます。先日彼から「バングラデシュへの道」と題する小冊子が届けられました。これによると、この度バングラデシュという国の無医村に入院施設のある病院を作り、昨年奥さんと共にその病院の開院披露と外来患者の診療を行なった後、ノーベル平和賞を受賞されたムハマド・ユヌス教授と会談してきたとのことです。
  バングラデシュという国は、インドに隣接していており、人口は1億4200万人で、世界では7番目に多く、人口密度は都市国家を除くと最も高くなっています。しかし、経済的には、1人当たりのGDPが580$(約46000円)と極めて低く貧困国の1つにあげられています。
  岡本氏は、6年前奈良県立医科大学に勤務していた時、このバングラデシュから1人のレザという名の医師を迎えました。彼はチッタゴン大学を卒業し、公立病院で勤務した後、留学生として日本にやってきました。実に真面目で優秀で、細やかな気遣いのできる好青年でした。彼が4年間の留学を終えて帰国する時に、相談があるということで、岡本君に話しかけてきました。「バングラデシュでは、医者の資格を持っている人は、高い報酬でアラブ諸国に招聘され、それを家族に送金しているそうです。実は自分もサウジアラビアから招聘されているが、何とか地元で貧しい人のために、医療活動を続けたい。そのために病院を建てたいので、建設費を貸して欲しいということでした。この話を聞いて、心を打たれた岡本氏は、間もなく大学の定年を迎えることもあって、奥さんに内緒で自分の退職金を使って、「岡本海外医療援助基金」を創設し病院を作ることを約束しました。そして、昨年ついにこの青年の夢が実現したのです。しかし、貧しい患者の中には医療費が払えない人がたくさんいます。この人達を無料で診療するということになると、病院の経営が成り立ちません。そこで、岡本氏は病院に隣接した土地を購入し、そこにマンゴーの木を植えることにしたのです。そしてお金の払えない患者さんには、このマンゴー園で診療費の代わりに労働奉仕をしてもらうことにしました。このマンゴーを収穫して販売することにより、その収入で病院を経営していこうというものです。更にこの事業が軌道に乗れば、貯えたお金を使って次の病院を建設するという壮大な計画です。そのためにはマンゴーの木をたくさん植えなくてはなりません。現在、彼はその基金を集めるために、多くの人に働きかけを行なっています。
  これからも毎年この病院を訪問するそうですが、グローバルな観点から世界の人々が共に助け合うというモデルになることを祈りつつ、この素晴らしい支援活動の場を広げていきたいと感じています。

http://www.okamotomedicalfund.org/  

2012年01月17日

阪神淡路大震災より17年が経過

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  1月17日(火)、阪神淡路大震災の発生から17年が経過しました。これだけの年月が経つと、どうしても当時のさまざまな出来事が風化することになってしまいます。しかし、昨年の東日本大震災をはじめ、毎年のように世界中で大きな地震が発生しており、何と1年に1回の割合でM8クラスの地震が発生しています。更に、直近の100年間ではM9という巨大地震が6回も発生しているのです。地震に対する関心は東日本大震災で更に高まり、色々な角度からの研究も進んできており、最近は東海地震、東南海地震、南海地震という3つの巨大地震のうちの2つ以上の地震が同時に発生する連動型巨大地震の可能性が指摘されるようになってきました。
  地球の表面は10数枚のプレートに分かれており、1年に数センチの速さで動いています。日本列島付近はユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートが寄り集まっているため、地層的には極めて不安定な状況下にあり、次第に歪みが大きくなると元に戻ろうとする力が働きます。現在、日本およびその周辺には地震を引き起こす可能性のある活断層が無数にあり、地震は1年間に10万回以上、1日では平均300回以上も発生しており、M6クラスの地震は1ヶ月に1回、M7クラスは1年に1回、M8クラスは10年に1回の割合で発生しています。このように、いつ地震が起こっても不思議ではない状況です。阪神淡路大震災のマグニチュードは7.2でしたが、深さ20キロの内陸で発生したため、震度7という揺れに繋がり、大きな被害をもたらしました。二つの地震でお亡くなりになった方のご冥福をお祈りすると共に、危機管理対策の強化をはかっていかなければならないと思っています。

2012年01月11日

新成人の意識

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  先日、マクロミルが実施した新成人の意識調査について触れましたが、その詳細は次のようになっています。同社は2000年1月に設立されたインターネット調査(ネットリサーチ)専門会社で、毎年新成人に対する意識調査を行なっています。今回の調査は全国の新成人男女500名(有効回答数)を対象に2011年12月6日~8日に実施されたものです。
 ◇「日本の未来についてどう考えているか」について、『明るい』はわずか0.6%、『どちらかと言えば明るい」を合わせても20%に留まり、残りの80%は「暗いと思う」と回答している。
 ◇「自分の未来」については「明るい」「どちらかといえば明るい」が65%で、「日本の未来」よりもポジティブな数字になっている。
 ◇「自分たちの世代が国を変えてゆきたいと思うか」は、「そう思う」「ややそう思う」を合わせると約8割に上り、昨年の同調査と比較すると8ポイント上昇している。変えてゆきたい内容は、「個人個人の社会貢献」「国民年金をしっかり払う」「日本を海外にアピールする」「国民への情報開示」等、安心して暮らせるとともに海外に誇れる国へ変わってゆくことへの希望が見られる。
 ◇政治に対して「関心がある」と回答した人は72%で、選挙は59%、経済に対しては76%となっている。
 ◇「これから日本が取り組むべきと思うこと」についてのトップ10は「雇用対策」「景気対策」「年金制度の充実・改善」「医療制度の充実・改善」「少子化対策」「教育改革」「外交問題への取り組み」に加えて震災関連の「被災地復興」「放射能問題への対策」「エネルギー問題への取り組み」になっている。
 ◇「就職に対する」問いには「不安を感じている」という回答が約80%を占めており、この理由としては「先輩たちの就職難を見ている」「募集人員が少ない」「正社員になれるか不安」などが上げられている。また「将来就きたい職業」の1位は「公務員」で、2位が「会社員(技術系)」、3位が「会社員(サービス系)」「会社員(事務系)」となっている。
 ◇国民年金制度に関しては、学生であっても20才から加入しなければならないことを8割以上が知っており、制度の必要性を感じてはいるものの将来自分がもらえるか不安を抱いている。
  日本はバブル崩壊以降、〝失われた20年〟と言われ、経済成長が停滞しています。従って、新成人をはじめ若者はかつての日本の元気な姿を知りません。そのため守りの姿勢になりがちですが、思い切ったチャレンジをしていかないと日本の再生は難しいと思います。自分達の世代が日本を変えていきたいという回答が多いのを見て頼もしく感じました。

2012年01月09日

平成24年成人の日にあたって

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  1月9日(月)は平成24年の成人の日です。成人の日は1948年に施行された「祝日法」によって〝おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝い励ます〟と定められています。その趣旨は〝戦後の物資や食糧難の時代に、将来日本を発展させていくためには「人材」が必要であり、国民自身が成長していくことが大切である。〟ということで、1月15日に制定されました。この日になったのは、日本では古来より小正月として元服の儀式が行われていたという理由です。しかし、2000年に制定された「ハッピーマンデー法」により、1月の第2月曜日に変更されたため、毎年成人の日が変わるということになりました。第3月曜日にしなかったのは阪神・淡路大震災の被災者に配慮し1月17日を避けるという意味もあるようです。
  総務省統計局の発表によると、今年度は122万人が新成人となりましたが、「新成人」の数は、2008年から5年連続で過去最低の水準を更新しており、今年も前年比2万人の減少となりました。これまでのピークは、第一次ベビーブームの世代が成人を迎えた1970年(246万人)であり、今年は初めてその時の半分以下の水準になりました。「新成人」の数は、第二次ベビーブーム世代に生まれた人たちが成人を迎えた1994年(207万人)前後には一旦持ち直しましたが、その後は長い間、減少傾向が続いています。
  日本最大手のインターネット調査(ネットリサーチ)専門会社であるマクロミルの意識調査結果を見ると新成人は受身で安定した生活を求めている一方で、自分達の手で日本を変えていきたいという思いも有しているようです。
  近年は世界的な金融不安や就職難などの影響により先行きが見えない状況が続いています。新成人にとっては期待と不安が入り混じる状況となっていますが、日本は明治維新をはじめ、これまで若い世代が中心になって改革を進めてきました。若者が夢や希望を持って、前向きに生活していけるような新しい国づくりを目指していきたいものです。
  この調査結果の詳細については、後日紹介する予定です。

2012年01月02日

自らの道を切り拓く

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  新年を迎え、皆さんはそれぞれの思いを持ってスタートされたのではないかと思います。
  お正月の楽しみの一つは年賀状ですが、今年も多くの方から年賀状をいただきました。中には何年もお会いしていなくて、年に一度年賀状を通じて息災を確認している人もいますし、思いがけない方からのものもあります。小学校・中学校・高等学校・大学時代の友人やバレーボールを通じて知り合った人、以前勤務していた会社関係の人、それに現在の教育関係の皆さん等さまざまです。年賀の挨拶だけのもの、近況が詳しく書かれているもの、直筆の書や絵が描かれているもの等それぞれの特徴があって興味深く拝見しました。また、教育の仕事に就いて10年になるため、社会人として元気に頑張っている生徒からの年賀状も何通か含まれており、嬉しく思いました。一方で毎年いただく人から年賀状が届かないと何か気になるものです。
  近年の年賀状で目に付くのは、新しい生活をスタートさせている人が随分多くおられるということです。年々定年を迎える人も増えてきており、これを機に永年の夢であったスポーツや趣味をやり始めた人、ボランティア活動に注力している人、大学に再入学して勉強を始めた人、海外に移住している人、永年にわたって培ってきた経験やノウハウ、技術力を活かして新たな仕事に就いた人等さまざまです。また、若い人の中にも思い切って新たなことにチャレンジしている人も多数おられます。
  今は非常に厳しい経済情勢下にありますが、こういう時代には受身でいる限り、いつまで経っても物事は解決しません。高い志を持ち〝自らの道を切り拓く〟という姿勢で積極的に行動することが大切であると感じています。

2012年01月01日

新しい年にあたって

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  年末年始には日本の文化を凝縮したさまざまな行事があります。年末には〝注連縄を飾る〟〝煤払い(大掃除)をする〟〝鏡餅を飾る〟〝年越しそばを食べる〟〝御節料理を作る〟〝年賀状を書く〟〝除夜の鐘をつく〟等があり,年始には〝お屠蘇で祝う〟〝雑煮を食べる〟〝御節料理を食べる〟〝初詣に行く〟等がありますが、私も教育の仕事についてからは遠出をすることもなく、これらの行事を行ないつつ平均的な生活を送っています。
  
  今年も元日の朝、日の丸を掲揚し、屠蘇と雑煮で新しい年を祝った後、家族で近くの神社へ初詣に行きました。幸い天候にも恵まれたこともあって、小さな子ども連れの家族の姿が目につきました。まだ小学校にも行っていないと思われる幼児が、キッチリと礼をして拍手を打つ姿は実にほほえましいものです。例年と同様、参拝の後、破魔矢とお札を購入し、おみくじを引いている人の姿が目に付きました。私の引いたおみくじは『大吉』でしたが、解説の内容を見ると〝地道に努力すること〟〝謙虚に反省すること〟〝強い志を持つこと〟〝おごり高ぶりなく信心すること〟が大切である〟ということが書かれていました。また、どのおみくじにもこれとよく似たことが帰されているようです。
  日本人は概して、諸外国の人に比べると信仰心が厚いとは言えませんが、困った時には、神仏にお願いすることが多いようです。仏壇にお供えをして、神社にお参りするというのも考えてみれば不思議なことですが、正月に初詣に出かける人は多いようです。しかし、おみくじに書かれているように、いくらお祈りしても懸命に努力しなければ良い成果が得られないのは当然です。むしろ、神様に自分の決意を伝えるという気持ちが大切であると感じました。
  
  月日の経つのは早いもので、教育界での仕事も10年、雲雀丘学園の勤務もこの3月末でまる6年になります。そして、私が知っている生徒達も社会人になって、それぞれの分野で活躍し始めています。これから社会は大きく変化してきますが、原点に戻って将来の日本を背負って立つ人材を育てるという強い思いで取り組んでいきたいと思っています。

2011年12月30日

年の瀬を迎えて

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  年末には年賀状を書くのが恒例になっている人が多いと思います。日頃疎遠にしている間柄であってもお互いの消息も分かるため、なお根強い人気があるようです。私も以前は版画やプリントゴッコを使い、毎年修正を加えてぼろぼろになった住所録を見ながら一人ひとりの宛名を認め(したため)ていました。そのため何日もかかって年賀状を作成したり、しばしば徹夜をしたこともありました。しかし、ここ数年はパソコンの活用によって短時間で作成することができるようになり、今年も数日前に投函を終えました。

  最近はパソコンや携帯端末等の普及によって、電子メールでのお正月の挨拶が増えてきており、年賀状の発売枚数は平成16年の44.4億枚をピークに年々減少してきています。日本郵政の発表によると、今年は前年並みの38億枚の発売予定でしたが、最終的には36.7億枚、4%減になったようです。この大きな原因は、震災地の宮城、岩手、福島3件の落ち込みであるとのことです。津波ですべてのものが流失したり、住む場所が変わるといったことのほか、被災された方への配慮が影響しているのではないかと思います。
  また、年々喪中葉書が増えてきていますが、今年は約80枚になりました。以前は一親等の親族のお悔やみに際しては、都度連絡を受けることが多く、葬儀・告別式に参列できなくても弔電等をお届けしていましたが、最近はほとんど年末になって初めて知るということになってしまいました。更にショッキングなのは、同年代の人が亡くなったという連絡が増えてきたということです。
  私もいつまでも若いという気持ちで、かなりハードな生活を続けてきていますが、年の瀬を迎え、そのような年齢になってきているということを自覚しつつ、充実した人生を送りたいと思っています。 
 

2011年11月08日

注目すべき新技術~iPS細胞

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  今、わが国においては〝将来は暗い〟と思っている人が多いようですが、日本には注目すべき新技術が続々と生まれてきており、これらを活用することによって、限りない可能性が広がってくるのは間違いありません。しかし、これらの新技術については、あまり知られていないため、これから何回かにわたって紹介していきたいと思います。
  最初に取り上げたいのはiPS細胞です。すべての生き物は、色々な細胞で構成されていますが、元をただすと1つの細胞です。例えば人間は約60兆個の細胞からできていますが、細胞がどんどん分かれていって、多くの細かい細胞が手や足、頭、目、心臓、肝臓などの臓器を作り出し、次第に人の形になっていきます。言い換えると、赤ん坊になる前は、色々なものになる可能性をもった細胞のかたまりということができます。そこで、皮膚の細胞を取り出して、その細胞がまだ色々なものになる可能性があった時のような状態にもどすことのできる遺伝子を見つければ、色々な細胞を作り出すことができるということになります。これは時計の針を戻すという全く逆転の発想ですが、これまでは受精卵が細胞になってしまうと、時間と同様、元には戻せないと考えられていました。
  しかし、5年前に京都大の山中伸弥教授がその常識を覆し、あらゆる種類の細胞になる能力を持つ人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作成に成功し米科学誌「セル」に発表したのです。山中教授はまず、マウスを使った実験で、マウスのしっぽの皮膚の細胞を、4種類の遺伝子を加えてiPS細胞に成長させ、色々なものになる可能性を持った細胞に変化させることに成功しました。そして、その細胞をマウスの体に入れて成長させることにより、神経や消化管組織、やわらかい骨が入り混じったかたまりに変化することを確認しました。次いで、人間の皮膚からもマウスのものと同じような細胞を作り出すことに成功したのです。
  この技術が実用化されると、これまで困難であると思われていた再生治療が可能になります。但し、現時点ではこれらの細胞はガン化する可能性が高いため、世界各国の研究者が競って研究を進めています。先日の新聞には、山中教授が実用化に向けての新たな解決策を発見したとの記事が紹介されていました。医学の進歩というのは本当に凄いと感じると共にこの技術の実用化に向けて多くの研究がなされることを期待しています。

2011年11月01日

読書の秋を迎えて

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  月日の経つのは早いもので、すっかり秋も深まり、本日から11月に入りました。秋は一年の内で最も過ごしやすい季節であり、「食欲の秋」「スポーツの秋」と並んで「読書の秋」と言われています。
  昨今、日本では活字離れが顕著になってきており、先日のY新聞の読書に関する全国世論調査結果を見ても、1ヶ月間に本を1冊も読まなかった人は2009年の調査以来3年連続で50%台となったようです。読書以外の娯楽が溢れていることも一因であると思いますが、この傾向は決して満足すべきものではありません。
  ところで、11月3日(文化の日)を挟んだ2週間(10月27日~11月9日)は『読書週間』ということになっています。この運動が始まったのは、日本が第2次世界大戦で敗戦した後の昭和22年です。現在、この運動を主催しているのは「社団法人 読書推進運動協議会」で毎年、世相を反映した標語を決めています。
  参考までに、第1回の標語は 《楽しく読んで明るく生きよう》 でした。当時、敗戦後の辛く厳しい状況から立ち直るために、本の力を借りてきたのです。そして、東日本大震災のあった今年の標語は 《信じよう、本の力》 であり、これにも復興の願いや思いが込められているように感じます。
  これまで日本は国民一人ひとりの不屈の意志を結集して困難を克服してきました。現在、日本は第二の戦後と言われるくらい厳しい状況にありますが、日本の良き伝統や文化、先人達の生き様を胸に刻み込み、後の世代に伝えていかなければならないと思っています。
  私もこの読書週間に、日本や日本人に関する本を集中して読んでいますが、心に残る内容のものが数多くありますので、順次、これらを紹介していきたいと考えています。

2011年10月27日

世界の人口70億人を突破

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  昨日、国連人口基金(UNFPA)は2011年版「世界人口白書」を公表しましたが、これによると世界の人口はついに今月末に70億人を突破するとのことです。60億人に達したのは1999年ですから、この12年間で10億人増えたことになります。  この白書によると、2011年の国別人口の1位は中国の13億5000万人、2位はインド(12億4000万人)、3位はアメリカ(3億1000万人)で、日本は10位(1億2650万人)世界人口に占める割合は1.9%となっています。
  また以前に世界で人口が1億人を超える国は11か国(中国、インド、アメリカ、インドネシア、ブラジル、パキスタン、バングラディシュ、ナイジェリア、ロシア、日本、メキシコ)であることを紹介しましたが、これらの国で人口の6割、中国とインド両国だけで4割弱を占めているのです。そして、ロシアと日本以外の国は今後更に人口が増加、特にインドは21年には人口が14億人に達し、中国を抜き1位になると予測されています。こうして世界人口は今後も増え続け、2050年には93億人に、今世紀末には100億人に到達すると予測されています。
 これからこれらの国はますます経済成長を遂げ、人々はより豊かな暮らしを求めることになりますが、これは取りも直さず、生活に必要な食料や水やエネルギー消費の増加に繋がります。また、電機機器や自動車をはじめとする工業製品を生産するための資源も必要になってきます。
  この結果、地球規模での資源の争奪が起きることが危惧されます。一方で経済発展に伴って、環境問題が深刻化してくることが予想されます。また、60歳以上の人口も現在の8億9300万人(全体の13%)から50年には24億人(同26%)に増加するため、高齢化の進行も大きな課題になってきます。   なお、世界人口が93億人となる2050年時点では、日本の人口は世界16位の1億900万人に落ち込む見通しです。
  いずれにしても、今後の人口増に対しては、地球上に住む人類が〝共生〟という考え方に立ち、智恵を絞りだすことによって解決していかなければならないと思っています。

  参考までに、昨年10月実施の平成22年国勢調査の確定値によると、日本の総人口は1億2805万7352人(男性6232万7737、女性6572万9615人)で、前回調査から0・2%増になりました。これは大正9年の調査開始以来最低の伸び率です。但し、この中には外国人の数も含まれているため、日本人の人口は1億2535万8854人と前回調査(17年)に比べ37万1千人減少、外国人と分けて集計を始めた昭和45年以来初のマイナスに転じました。一方、外国人人口は164万8千人で、前回から5・9%増と過去最高を記録しました。そして、国籍別では「中国」が初めて「韓国、朝鮮」を上回ることになりました。また、国籍不詳の人も前回の倍を超える105万人いると見られています。

2011年10月20日

タイの大洪水のもたらす影響

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  今年は東日本大震災による津波や台風の豪雨によって、日本国内でも大きな被害が出ましたが、世界でも局所的に大きな水害が相次いで発生しています。
  とりわけ現在、タイで発生している50年に1度と言われる記録的な大洪水は深刻な事態を招いています。これまで、カントリーリスクが小さいということで、日本企業も自動車や電機を中心に積極的にタイに進出してきました。その結果、現在タイは東南アジア最大の生産拠点であると同時に欧米や中東など世界への輸出拠点になっています。今回は多くの日本企業が工場を構える中部アユタヤの工業団地だけでなく、首都バンコクでも浸水被害が出始めでおり、既に約400社の工場が被災しました。この中には完成品だけではなく部品メーカーも多数含まれているため、部品の供給が止まることによって、直接洪水被害がなかったタイ国内や周辺諸国のベトナムやマレーシア、シンガポール、ひいては日本にある工場までが操業停止や減産を余儀なくされることになっています。これは、3月に起きた「東日本大震災と同じ」サプライ・チェーン(部品供給網)の寸断と同じ状況です。
  特に、深刻なのは自動車メーカーで日系の8社はすべて操業停止に追い込まれています。これまで各社は「超円高や米国や中国での競争激化といった逆風が続く中で、歴史的に日系メーカーが強みを発揮できる」ということで、東南アジア事業を強化してきました。この戦略の一環としてタイを完成車、関連部品の生産、輸出拠点と位置づけてきており、タイは「アジアのデトロイト」と呼ばれるようになってきていたのです。
  また、キャノン・ニコン・ソニー・日本電産・日東電工・ミネベア等の電機や部品メーカーにとっても年末商戦を目前に控え、デジタルカメラ、インクジェットプリンター、スマートホーン、パソコン等の生産に大きな影響が出ることになります。そして、洪水被害が長引けば日本企業の経営に非常に大きな打撃を与えるのは避けられません。また、復旧が長期化すれば代替生産や部品緊急輸入といった対応だけではなく、事業戦略自体の見直しが必要になってきます。まさに、個々の企業にとっても正念場を迎えていますが、企業だけではなく日本政府としての強力な支援も必要ではないかと思っています。

2011年05月13日

巨大地震に備える

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  今回の東日本大震災においては、何度となく〝想定外〟という言葉が使われましたが、これまで万全であると思われていた震災対策についても、今一度根本から見直していくことが必要です。この中でも、とりわけ留意しておかなくてはならないのは、近い将来発生すると言われている東海・東南海・南海地震です。この地震は2030年までに40~50パーセントの確率で発生するとされており、マグニチュード8クラスの巨大地震(海溝型地震)であると考えられ、強い揺れや津波が来襲する地域も広範囲にわたると予想されています。
  この根拠としては地質調査や文献資料を基に地震の研究が進み、過去の発生状況が約90年~150年(中世以前の発生記録では200年以上)の間隔であるということが判ってきたからなのです。このため、今後も同じような発生パターンをとると推測されています。明確な記述がないものもありますが、これまで判明しているものをあげると次のとおりとなります。

◇684年白鳳地震:11月29日にM8.0~8.3の白鳳南海地震が発生。同時期に東海地震と東南海地震が発生したと推定。
◇887年 仁和地震:8月26日にM8.0~8.3の仁和南海地震が発生。同時期に東海地震と東南海地震が発生したと地質調査により推定。
◇950~1000年頃、東海、東南海、南海地震のいずれかまたは複数が発生したと推定。
◇1096年~1099年 永長・康和地震:1096年1月24日にM 8.0~8.5の永長東海地震が発生。3年後の同日にM8.0~8.5の康和南海地震が発生。
◇1200年ごろ、東海、東南海、南海地震のいずれかまたは複数が発生したと推定。
◇1361年 正平地震:8月3日にM8.0~8.5の正平南海地震が発生。
◇1498年9月11日 明応地震(東海・東南海地震):M8.2~8.4。その2ヶ月前の6月30日に九州から東海にかけて地震被害の記録がある南海地震ではないかと推定。
◇1605年2月3日 慶長地震:M7.9~8.0の東海・東南海地震と南海地震が同時に発生。死者5千人以上
◇1707年10月28日 宝永地震:M8.6(これまで日本史上最大とされている)の東海・東南海地震と南海地震が同時に発生。この地震の49日後に富士山が噴火し宝永山(火口)ができる(宝永大噴火)。倒壊家屋6万戸余。土佐を中心に大津波が襲った。
◇1854年12月23日 安政地震:安政東海・東南海地震が発生。
◇1944年12月7日 M7.9の昭和東南海地震、1946年12月21日 M8.0の昭和南海地震が発生。

  これらの地震を見ると単一の震源で同時刻に発生するものだけではなく、3つの地震が起こった時間が非常に近いということが分かります。いたずらに不安をあおるものではありませんが、この3つの地震が一挙に起きた場合、また安政地震のように短い間隔で起きた場合は、太平洋ベルト全域に地震動による被害が及ぶことになるため、地域相互の救援・支援は実質不可能となると見られています。
  2010年の防災の日には初めて3地震の連動発生を想定した訓練が実施され、今後これらは強化されていくと思います。しかし、この活動にも限界があります。行政に頼っているだけではなく、「自助」という考え方に立って自分達ができる身近なことから行動に移していきたいものです。

2011年04月24日

地震の強さを示すマグニチュード

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  東北・関東大震災が発生してから40日以上経ちましたが、なおも余震が続いており、被災地の皆さんは不安な日々を送っておられることと思います。本校でも募金や文房具等の活動を行なっていますが、一日も早い復興をお祈りすると共に今後も現地と連絡をとりながらできる限りの支援活動を続けていきたいと考えています。
  ところで、テレビの地震速報には「マグニチュード」と「震度」という言葉が表示されるため、この関係が十分理解できていない方も多いようです。
  地震の強さはマグニチュードが使われており、一般的にはマグニチュードが大きいほど、揺れが大きくなり被害も大きくなります。しかし、地震が発生した箇所によって、マグニチュードが大きくても被害が小さい場合もあれば、反対に小さくても大きな被害をもたらすこともあります。阪神淡路大震災のマグニチュードは7.3でしたが、深さ20キロの内陸で発生したため、震度7という大きな揺れに繋がったのです。また、今回のように海の浅い所で発生すると地震の後の津波による被害が大きくなります。
  地球の表面は10数枚のプレートに分かれており、1年に数センチの速さで動いていることが分かっています。そして、日本列島付近はユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートの3つが寄り集まっており、地層的には極めて不安定な状況下にあります。そして、日本およびその周辺を見ると、地中には地震等で生じた割れ目に沿って地層がずれた活断層といわれる亀裂が無数にあり、次第に歪みが大きくなると元に戻ろうとする力が働き地震が発生することになります。そして、驚くべきことに地震は1年間に10万回以上、1日では平均300回以上も発生しているのです。このうちM6クラスの地震は1ヶ月に1回、M7クラスは1年に1回、M8クラスは10年に1回の割合で発生しています。
  参考までに、マグニチュードが「1」大きくなると地震のエネルギーは約30倍、マグニチュードが「2」大きくなると地震のエネルギーは約1000倍(≒30×30倍)、マグニチュードが「3」大きくなると地震のエネルギーは約30000倍(≒30×30×30倍)になります。
  今回の巨大地震のマグニチュードは9.0に引き上げられましたが、このエネルギーは、マグニチュード6の地震のエネルギーの約3万倍という膨大な数字になっています。これはスマトラ沖地震に匹敵する規模であり、阪神淡路大震災(7.3)や中部・中越地震(M6.8)、四川大地震(M8.0)、ハイチ地震(7.0)との比較においてもいかに大きなエネルギーであったかがお分かりいただけると思います。

2011年03月18日

震災の体験を語る

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  3月18日(金)午後、一昨年東北大学に進学した I さんが学校を訪ねてくれました。
  彼女は学年やクラスの中でも常にリーダー的な存在であっただけではなく、中高を通じてギターマンドリン部に所属し、連続して全国大会への出場を果たす等、部活動での活躍も目を見張るものがありました。先週の地震が起こった時、多くの先生が真っ先に安否を気遣ったのは Iさんのことでした。幸い、すぐに連絡がとれて無事であることが分かり、ホッとしましたが、今日 彼女の元気な姿を見て本当に安心しました。
  彼女は幼少の頃、阪神大震災も経験したようですが、今回の地震ではそれ以上の物凄い揺れを感じたそうです。そして、あと少し津波が高かったら間違いなく危険な状態になっていたとのことです。また、東北大学では今年の大学受験の合格者に対する祝賀会を予定していたため、全国から生徒が集まってきており、自宅に帰れなくなって困ったこと。彼女自身もバスで一旦新潟に出て兵庫まで帰ってきたこと。4月の末まで大学の授業が休校になっているので、被災された方に対して自分でできることは何でもやりたいといったことを話してくれました。
  現在、本校では被災された方に対するさまざまな支援を検討していますが、来週24日に行なう修了式で、I さんにに生徒達の前で今回の地震の生々しい体験を語ってもらうことにしました。そして、我々と現地とのパイプ役を果たしてくれるようにお願いしました。未曾有の大惨事に対して、日本国民が心を合わせて復興に向けて取り組んでいきたいものです。

2011年03月13日

巨大地震のもたらすもの

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  今回の巨大地震が起きてから2日が経過しましたが、現時点でもまだ被害の状況は把握できていません。本日は早朝からすべてのテレビ局が地震関係のニュースを報道していましたが、被災地では想像を絶する事態が起きているようです。とりわけ地震後には岩手県から宮城県にかけての沿岸部に大津波が押し寄せ、仙台空港が水没、宮城県の名取川河口周辺から上流に向け数キロメートルにわたり水没する等、東北地方を中心に多くの人の生命を奪い、北海道から四国にわたって甚大な被害をもたらしました。
  その中でも特に深刻なのは火災・原子力発電所の損傷等の大きな被害が出ていることです。東京電力の福島原子力発電所においては、炉心融合と思われる事故が起こってしまいました。これは過去にアメリカのスリーマイル島や旧ソ連のチェルノブイリ原発で起こったもので、放射性物質が発電所以外に大量に放出されることになると、取り返しのつかない事態を招くことになります。現在、海水を注入して温度を下げているとのことですが、無事に収束することを祈るばかりです。しかし、仮にこれが収束したとしても電力の供給に支障が出るのは確実です。
  東京電力からは地域毎の計画停電を行なうとの報道がなされましたが、原子力発電に対する信頼性の低下はわが国のエネルギー政策にとっては大きな痛手になります。日本は先進国のうちでも、電子力を除くと4%という極端に低いエネルギー自給率しかありません。これからは石油や石炭の国際価格が高騰する中でどのようにエネルギーを確保していくのか、一方でいかに省エネを進めていくかが大きな課題です。
  今、すぐにできることは各人が自らの生活を見直し、エネルギーの消費を押さえることではないかと思っています。


2011年03月12日

巨大地震の恐怖

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  3月11日に発生した東日本巨大地震については、時間の経過と共に被害状況が確認されつつありますが、その大きさに驚愕しています。
  気象庁発表によるとM8.8は、地震の規模としては1923年の関東大震災のM7.9を上回る日本国内観測史上最大であり、1900年以降発生した地震では、世界でも5番目の規模にあたるとのことです。地震による被害の他、大津波や火災・原子力発電所の損傷、コンビナート火災等も伝えられており、東北地方だけではなく関東やその他の地方でも大きな被害が出ています。マスコミによると現時点では死者、行方不明者を含めると1300名を超すと報道されていますが、連絡が取れない地区も多く今後被害状況が拡大すると思われます。
  本日は国公立大学の後期試験が予定されているため、受験生に確認をとりました。また、午後から本校の生徒達は先日起きたニュージーランド地震の義援金の募集活動をJRの大阪駅で行なうことにしていましたが、急遽中止を決定しました。そして、今回の巨大地震に対して生徒会の役員を中心にどのような支援ができるのかを検討し始めています。
  犠牲者に心から哀悼の意を示すと共に被災された皆さんに対し、できる限りの支援をしていきたいと思っています。

2011年02月27日

中東動乱の日本への影響

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  チュニジアで起きた政変は瞬く間にエジプトに飛び火し、20年間近く続き磐石と思われていたムバラク独裁政権がわずか18日間であっけなく崩壊してしまいました。この政変の影響は更にリビアやヨルダン、バーレーン、オマーン、イエメン、クウェート、サウジアラビア、更に非アラブのイランにまで波及してきています。これらの政変は、これまでの突出したリーダーが軍事力で体制を覆すという従来の革命とは全く異なるもので、インターネットの果たす役割が極めて大きいというのが特徴です。そして、この情報は交流サイト「フェイスブック」によって中東以外の中国や北朝鮮にも瞬時に伝わり、世界的な広がりを見せ始めています。
  このようにわが国から遠く離れた地域での紛争ですが、日本にとっては全く予断を許さない危機的な状況であると考えなければなりません。その最大の懸念は原油生産・輸出量や価格への影響等石油に関するものです。何故なら日本のエネルギー消費の約半分は石油が占めており、このうち中東に依存している割合は90パーセント近くを占めているからです。仮に日本に中東からの石油が入らなくなったり、原油価格が急騰すると、さまざまな産業に影響が出てきます。こうして折角回復し始めた企業業績にも先行きの不安が生じることになります。また、物価上昇という形で我々の日常生活にも跳ね返ってきます。これからも中東情勢を注視していきたいものです。

2011年02月20日

グローカルな視点~高松市観光大使の集いに参加して

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  2月17日(木)夜、関西圏在住の人を対象とした『高松市観光大使研修会』が開催されました。この会合は毎年開催されていますが、いつも入試の日程と重なっていたため、私にとっては今回が初めての参加ということになりました。高松市は香川県の県庁所在地ですが、このことを知らない人も多いようです。
  高松市では観光産業を地域活性化の大きな柱に位置づけ、高松にゆかりのある人達に観光大使を委嘱しています。私も松下電器の四国支店で勤務していたこともあって、平成13年の12月から委嘱を受け、時間の許す限りボランティアで高松市の観光PRを行なっています。しかし、勤務の関係で高松を訪れることもなく、正直なところ本格的な活動には結びついていないのが現状です。
  今回の会合には、金井副市長をはじめ関係者が参加され、観光事業に対する意見交換をはかると共にお互いの近況を報告しました。この中で注目を集めたのが、昨年に実施した『瀬戸内国際芸術祭2010』というイベントです。この海と島を会場にした世界初の国際芸術祭には、世界18の国と地域から75組のアーチストが参加、来場者は予想の3倍を超える約94万人ということになり、瀬戸内海に浮かぶ小豆島、直島、豊島、男木島、女木島、大島、犬島の7つの島々を舞台にさまざまな催しが繰り広げられたとのことです。
  また、今年の11月18日(金)~21日(月)にはアジア・太平洋地区の12カ国が参加する『『第11回アジア太平洋盆栽水石大会』』が開催される予定です。          
高松と言えば讃岐うどんが有名ですが、環境や癒しについても注目すべきものが数多くありますし、最近は「四国八十八ヶ所巡り」で四国を来訪する人も増えてきています。国際芸術祭の作品も3月末までは鑑賞できるとのことですので、久しぶりに訪問してみたいと思いました。
  近年、グローバル化が急速に進展してきているため、目は海外に向きがちですが、観光や文化といった面ではローカルの良さを再認識することが重要なのかも知れません。これからは、まさに「グローカル(グローバル+ローカル)」な視点が必要になってくるように思っています。

2011年01月24日

インフルエンザに対する感染予防

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  最近、毎日のようにインフルエンザに関するニュースが報道されるようになってきましたが、全国のインフルエンザの情報をとりまとめているのが国立感染症研究所です。
  この研究所は随時全国のおよそ5000の医療機関からの報告データをもとにインフルエンザの流行状況を確認しています。これによると、今月10日~16日までの1週間にインフルエンザで医療機関を受診した患者は78万人に達しました。そして、流行状況を示す1つの医療機関当たりの患者数は12.09人と、前の週(1月3日~9日は5.06人)の2.4倍に増加しました。その前の週が2.3人であったことを考えると、2週間で5倍以上ということになります。
  国立感染症研究所では流行のレベルを次の三つに分けています。すなわち、医療機関当たりの患者数が「1.0人」超になると流行開始の目安、次いで「10人」が注意報レベル、そして「30人」が警報レベルです。そして、現在の状況は既に26の都道府県で注意報レベルの10人を超えており、本格的な流行に入ったとみられるということです。
  また、現在流行しているのは、ほとんどが昨年世界で大流行した「新型」であり、患者の年齢層は20代、30代があわせて4割弱を占めています。そして、流行のピークは来月上旬にかけてと見られており、丁度大学や私立高校の入学試験の時期に当たります。この本番において、これまで積み上げてきた実力を十分に発揮するためには、インフルエンザに対する予防を行ない、万全の体調管理で望むことが大切です。手洗いやマスク、うがい等を徹底すると共に、不幸にして感染した場合は、せきエチケットを守り、周囲に広げないよう一人一人が注意して欲しいと思っています。

2011年01月01日

新年にあたって

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  新年おめでとうございます。〝一年の計は元旦にあり〟ということで、皆さんも今年の抱負を胸に秘めてスタートされたのではないかと思います。
  
  今、すべての国民が肝に銘じておくことは「自分の利益のことだけ」「目先のことだけ」を考えて行動することを避けるということです。よく失われた20年ということが言われていますが、この間に日本の国際的な地位は大きく低下してしまいました。このまま抜本的な改革が断行されないなら更に国際的な地位が低下することは避けられません。このような危機的な状況であるにも拘わらず、政治は内部の対立に終始しており、不安定な政権運営が続いています。まさに日本は進むべき方向を見失ってしまっていると言えるのではないかと思います。
  最近の政治・経済の状況を振り返ると、総理大臣が一年も経たないうちに次々と交代するという異常な事態が続いています。他の国からは、日本は何と危機感のない国であると見られているのは間違いありません。
  一昨年の総選挙では、日本国民は現状の閉塞感からの脱却をはかることを期待して民主党を支持した結果、政権交代が実現し、鳩山内閣が誕生しました。しかし、行政の無駄の解消、公立高校の無償化、派遣法の見直し等に取り組んだものの、普天間基地の移転問題に象徴される防衛・外交政策における混乱や〝政治と金〝の問題で行き詰まり、国民の信頼を失って、わずか8ヶ月で総辞職することになりました。
  その後、菅政権が誕生しましたが、尖閣諸島沖の中国漁船による巡視船への衝突事故、ロシアとの北方領土、北朝鮮対策等の外交問題、また急激な円高により停滞する国内経済の立て直し、雇用対策、急速に発展する新興国への経済対策等の緊急課題にはほとんど対応できていません。更に、来年度の国家予算についても相変わらず、新規の国債発行に頼らざるを得ない状況であり、公的債務はGDPの180%という膨大な金額になっています。このままでは国の財政は早晩破綻してしまいます。我々としては〝後世に負の遺産を引き継がない〟という決意が何よりも大切です。
  新しい年にあたって、依存する気持ちを捨て、それぞれの立場で日本を再生するという強い思いで取り組んでいきたいものです。

2010年08月14日

校長だより  世界の国々~カナダ①

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  本校ではできるだけ早い時期に海外での生活を体験させ、幅広い視野を身につけさせることを狙いとして、平成14年8月から「カナダ東部夏季研修旅行」を実施してきています。今回の研修においても、生徒達は日本とは異なる生活環境の下で、数多くのことを学んできたと思います。
  世界の国々の最初にカナダについて紹介したいと思います。
  カナダはイギリス連邦を構成する1つの自治国ですが、最大の特徴は日本の実に27倍もある世界第2位の広大な国土面積です。これはロシアに次いで世界第2位であり、アラスカ(アメリカ領)を除く北アメリカ大陸の北半を占めています。人口は約3200万人と日本の約4分の1ですが、移民を受け入れてきたため、この半世紀で2倍になってきており、「人間の坩堝(るつぼ)」と言われる多民族国家になってきています。そのため、すべてのものが広くゆったりしているように感じられますが、国土の大部分は山地や岩石、極地となっており、ほとんどが人の住めない土地です。開発された地域は国土の3分の1以下しかなく、耕地や居住地は南のアメリカとの国境沿いや五大湖沿岸のベルト地帯の11%に集中しています。気候的にはかなり厳しく、1月の平均気温が零度以上となるのは、バンクーバー付近のみであり、中部から北部にかけては広大な針葉樹林やツンドラ氷河地帯が広がっています。有名な五大湖にしても、日本の面積の80%がすっぽりと入ってしまう大きさであり、オンタリオ湖だけでも琵琶湖の実に30倍近い大きさであり、豊富な水資源を有しています。このようにカナダは鉱物や水等の資源国として世界から注目を集めているのです。  ≪続く≫

2010年08月12日

世界の国々を知る

H22canada.jpg tusin163sekaitizu.jpg  ≪カナダ研修旅行≫

  中学2年生と3年生がカナダから帰国し、現在高校1年生はニュージーランドで語学研修を行なっています。生活習慣や文化、宗教、物の考え方、気候等日本とは大きく異なる状況の下での体験は生徒達にとって、大きなインパクトを与えたのは間違いないと思います。
  以前に比べると、インターネットや衛星放送をはじめとする情報化の進展によって、さまざまな国の出来事が伝えられるようになってきました。しかし、現在世界には190を超える国があるため、これらの国々のことを我々がどれだけ理解しているかは疑問です。また、これ以前の問題として「世界にはどれだけの国があるのか」「世界の人口はどれだけいるのか」「これから世界の人口は増えていくのか、減っていくのか」といった基本的なことも知らない人が多いようです。まして、それぞれの国はどこにあるのかを正確に答えることができる人も少ないのではないかと思っています。正直なところ私自身も知らない国が数多くあります。
  先日、数名のインドネシアの方と話をする機会がありましたが、日本で知っている都市は東京だけで大阪は知らないという人が大半でした。日本人であれば東京や大阪を知らない人はほとんどいないと思いますが、逆にインドネシアの首都はどこか(ジャカルタ)ということを正確に答えられる日本人は少ないのではないでしょうか。
  これからグローバル化がますます進展する中で、世界の動きを把握しておくことは非常に大切になってきます。そこで、これから折に触れて世界の国々のことを紹介していきたいと考えています。
  日本の都道府県のことも十分理解できていない子ども達も増えてきているようですが、是非家庭内に地図や地図帳、地球儀を置かれることをお薦めします。

2010年01月21日

巨大地震の恐怖

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  近年、インドネシア、中国、今回のハイチと世界中で大きな地震が発生しています。そのため、地震に対する関心が高まり色々な角度からの研究も進んできています。地球の表面は10数枚のプレートに分かれており、1年に数センチの速さで動いているそうです。
  日本列島付近はユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートが寄り集まっており、地層的には極めて不安定な状況下にあります。そして、地中には地震等で生じた割れ目に沿って地層がずれた断層といわれる亀裂が走っており、次第に歪みが大きくなると元に戻ろうとする力が働き地震が発生することになります。日本およびその周辺には地震を引き起こす可能性のある活断層が無数にあり、地震は1年間に10万回以上、1日では平均300回以上も発生しています。
  地震の強さはマグニチュードが使われますが、これと震度とは必ずしも一致しません。日本ではM6クラスの地震は1ヶ月に1回、M7クラスは1年に1回、M8クラスは10年に1回の割合で発生しています。阪神淡路大震災のマグニチュードは7.2でしたが、深さ20キロの内陸で発生したため、震度7という大きな揺れに繋がったのです。参考までに中部・中越地震ではM6.8、四川大地震ではM8.0でした。
  そして、世界では1年に1回の割合でM8クラスの地震が発生していますし、直近の100年間ではM9という巨大地震も5回発生しているのです。そして、マグニチュードが0.2大きくなるとエネルギーは約2倍に、1大きくなると約32倍に、そして2大きくなると実に1000倍になります。
  スマトラ沖の地震のマグニチュードは9.1ということですから阪神淡路大震災(M7.2)の1000倍近いエネルギーであったというこということになります。そのため、この地震によって引き起こされた大津波を含めて20万人を超える死者を出したのです。また、1960年に発生したM9.5のチリ地震の際には遠く離れた日本にも大津波が到達し各地に大きな被害をもたらしました。
  将来発生すると言われている東南海地震はM8くらいと予想されており、現在さまざまな予知システムの研究が進んでいますが、いずれにしても地震に対する知識をしっかりと持ち、できる限りの対策をしておきたいものです。

2010年01月20日

ハイチでの大地震

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 1月12日午後4時53分(現地時間)にハイチ共和国で発生した大地震から1週間が経過しました。依然としてハイチ当局でも被害状況が十分に把握できないようで、死者は現時点で確認されただけでも7万人を超え、一説によると20万人に達するのではないかと言われています。今回の地震の震源はハイチの首都ポルトープランスの西南西約15km、深さは10km、マグニチュードは7.0と推定されています。この地域は、バハマ諸島を乗せた北アメリカプレートとハイチを含むヒスパニョーラ島やキューバを乗せたカリブプレートが衝突している北ヒスパニョーラ海溝の南側にあたっており、プレート境界であるため、これまで地震活動は活発ではあるが、直下型地震の発生はあまり多くない地域だと言われていました。
  国連安全保障理事会は、国連ハイチ安定化派遣団に兵士2000人と治安要員1500人の増派を決定しましたが、救援物資が十分にゆきわたらないということもあって、治安の悪化等憂慮すべき事態が起きているようです。日本もユニセフ協会や日本赤十字社による義援金の募集を開始し、国際緊急援助隊医療チームの首都ポルトープランスの近郊レオガンの看護学校への派遣等を行なっています。私もこれといった救援活動はできませんので、家族と共に心ばかりの協力をさせていただくことにしました。
  ハイチ共和国は日本ではあまり知られていませんが、国土は27,750平方キロメートルで丁度四国と九州の中間程度の面積です。人口は961万人(2007年時点)、人種的にはアフリカ系(約9割)、その他混血、言語はフランス語、クレオール語(共に公用語)となっています。かつてハイチは世界で最高品質の砂糖を生産するフランスの植民地でした。そして、あまり知られていませんが、過酷な支配に反対して立ち上がった黒人奴隷の反乱が発展して、1804年に中南米で最初の独立国になったという輝かしい歴史を持っています。しかし、20世紀に入ると砂糖産業からの利益を狙った米国の支配が強まり、1934年まで米国の保護国として軍事占領下におかれていました。その後、1957年からは米国の支援を受けたデュバリエ独裁政権が86年まで続きましたが、政局が安定せず経済的には最貧国となっています。その中で今回の大地震が発生したのです。一日も早い復興を心より祈っています。
  私達もこのような災害にいつ遭遇するかも分かりませんが、命の大切さを知り、お互いに助け合って生きていきたいものです。

2010年01月01日

新年にあたって

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  明けましておめでとうございます。
  いよいよ新しい平成22年が始まりました。昨年は100年に一度という世界大不況の中で、世界の国々がもがき苦しみながら、景気の回復のためにさまざまな施策を打出しました。この結果、アジアを中心にやや明るさが見え始めたものの依然として先行き予断を許さない状況が続いています。わが国もエコポイント等の景気対策により、一時企業経営も上向き始めましたが、円高による輸出関連企業の業績悪化、失業者の増加やボーナスの減少による個人消費の低迷等デフレ経済に陥る恐れも出てきています。このような状況下にあっては、すべての行動が内向きになりがちですが、これではますます景気の回復は期待できません。日本はこれまでオイルショックや円高という危機を乗り越えて逞しく成長してきました。その後バブルが崩壊し、この後遺症からやっと立ち直ったのも束の間、今回の不況に陥りました。そして、まさに今はこれまでのシステムが崩壊し、新たな枠組みが形成されようとしているのです。これをどのように乗り切るかが、日本にとって極めて重要な課題です。
  一方、教育についても大きな転換点にさしかかっているように思います。私学を取り巻く環境も今までにない厳しさであり、多くの学校も経営的には正念場を迎えています。しかし、前向きに考えると今は〝原点に戻ってすべてのものを見直すチャンス〟かも知れません。
  景気も人の心がつくると言われますが、今年は〝プラス思考〟で〝積極的に打って出る〟というスタンスで行動していきたいと思っています。

2009年10月03日

2016年オリンピックの開催地

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  国際オリンピック委員会(IOC)は2日、コペンハーゲン市内での総会において、2016年オリンピックの開催地をブラジルのリオデジャネイロにすることを決定しました。鳩山首相夫妻が出席し「環境五輪」を前面に押し出すことによって支持を訴えた東京は残念ながら2回目の投票で落選することになりました。有力候補地であったシカゴや東京、マドリッドを押さえてリオデジャネイロが選ばれたのは〝南米初〟ということが多くの委員に受け入れられた結果ではないかと思います。振り返ると日本は1964年(昭和39年)の東京オリンピックを契機に一時低迷はあったものの経済の高度成長路線に乗り、世界屈指の経済大国になったのです。このように世界最大のイベントであるオリンピックは経済発展と深い関係が認められています。
  現在、ブラジルは一時の経済の低迷から脱して、大きな成長を始めており、世界から注目を集めています。また、移民等を通じて日本とは深い関係にあり、日系人も数多くいます。オリンピック開催までにはさまざまな準備が進められることになりますが、これに伴い世界の資金がブラジルに流入し、ますます経済が活性化されるのではないかと思います。今後ブラジルの動きを注視していきたいものです。

  因みに、リオデジャネイロは『リオのカーニバル』で有名な人口約600万人を有するブラジル第二の都市(第一はサンパウロ)であり、世界三大美港のひとつに数えられる港町です。是非世界地図で確認しておいてください。

2009年04月23日

肚を決める

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  私はこれまで民間企業での勤務を通じて多くの経営改革を経験してきましたが、最初から成功の青写真が描けていることはありません。新たなことを始めるにあたって成功間違いなしということであれば、誰でも行動を起こしますが、このようなケースはまずありません。そのためこのままでは駄目だと感じていても思い切って前に踏み出すことができず、現状を踏襲してしまうことが多いのです。そして、最終的にはどうしようもない状態に陥ってしまいます。
  最近、経営破綻のニュースが数多く報道されていますが、ほとんどがこれまで改革できなかったか、改革のタイミングが遅れたところです。『肚を決める』という言葉がありますが、決断するということが何よりも大切であり、一旦行動を開始すれば後はどれだけ困難な問題があっても、これを乗り越えていかなければなりません。また、途中で妥協してしまうと改革は挫折することになり成功に結びつくことはありません。
  今は、国も地方も企業も病院も改革が必要になってきていますが、学校も例外ではありません。
本校の学校改革も完成した訳ではなく、これからが正念場です。多くの課題がありますが、一人ひとりが肚を決めて果敢にチャレンジしていきたいものです。

2009年04月03日

感謝する気持ち

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  日本は大変厳しい経済情勢下にあり、毎日のようにマスコミの話題として取り上げられています。しかし、世界の多くの国の人達からは〝日本は何と恵まれた国なのか〟と思われているのは間違いありません。今、世界には67億の人が暮らしていますが、食べ物や水といった生きるために必要な最低限ものすら入手できない、住む家もない、電気やガスもないという生活をしている人が数多くいます。また、勉強したくてもできない、学校に行きたくても行けないという子ども達がたくさんいます。
  〝人〟という漢字はお互いに支えあうという姿を現わしていると言われていますが、人間は一人では生きていけません。食べる物も着る物もその他生活に必要な物もすべて自分で作っているわけではありません。周りの人の協力があってこそ生きていけるのです。つまり、お互いに助け合って生きているのです。よく〝生きる力〟と言われますが、人間は自分ひとりで生きているのではなく、多くの人に支えられお世話になって生きている、つまり〝生かされている〟と言えるのではないでしょうか。
  本校も来週には中学、高校の入学式を予定しており、多くの新入生が入学してきますが、日本の子ども達は今の生活があたり前になっており、感謝するということが少なくなってきているようです。入学にあたっては、子ども達に〝感謝することの大切さ〟を伝えていきたいと思っています。