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2018年04月19日

全国学力・学習状況調査    第7号

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4月17日全国学力・学習状況調査に中3が参加しました。国の方針で平成26年度から悉皆調査となりましたが、国公立中学校では100%、私立中学校では48.5%の参加率です。本校では独自の学力調査をいろいろな形で行っており、他校との比較という観点でなく、新しい学力観を知り、教育指導の充実や学習状況の改善を図るために参加することにしています。教科は国語、数学、今年度より理科が加わりました。それぞれに「知識」と「活用」が問われています。この「活用」の部分が注目すべき点です。

文部科学省のホームページよりますと
1.身に付けておかなければ後の学年等の学習内容に影響を及ぼす内容や,実生活において不可欠であり常に活用できるようになっていることが望ましい知識・技能等(主として「知識」に関する問題)を中心とした出題
2.知識・技能等を実生活の様々な場面に活用する力や,様々な課題解決のための構想を立て実践し評価・改善する力等に関わる内容(主として「活用」に関する問題)を中心とした出題
3.出題形式については,記述式の問題を一定割合で導入する。
となっており、平成31年度は英語が導入されます。
○出題形式については,「聞くこと」,「読むこと」,「話すこと」,「書くこと」を問う問題を出題し,記述式の問題を一定割合で導入するとともに,「話すこと」を問う問題の解答は原則として口述式によるものとする。
と示されております。
 この調査のためにではなく、生徒たちにつけさせたい学力をどのようにして伸ばすのか、どのようにしてはかるのかは、学校、教員でしっかりと意識していきたいです。そのためにも、本校独自で行うもの、独自で行う広域の民間団体が行うもの(模擬テスト)、そして国レベルで行われるもの、それぞれの調査の特性をとらえ、教育指導の充実や学習状況の改善を図っていきます。
教育評価は、「教師が生徒の学力を評価する」側面が強かったですが、現在は「教師が自分の教育実践を評価する」ものとしてとらえています。国立教育政策研究所や大学の先生方からも学び、「指導と評価の一体化」「形成的評価」「ポートフォリオ評価」「ルーブリック」「パフォーマンス評価」などを研究していきたいと思います。

2016年05月26日

大切な学年を乗り切ろう 中3・高2学年懇談会開催

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 ここ1週間ほど暑い日が続き、北海道でも真夏日を観測しました。今年の夏は暑い日が予想されています。過日、高校校舎の前の花壇のひまわりの苗が30cmくらいになり、大きくなってきたので、少し間隔をあける植え替えをしました。理科の先生とやったのですが、7月になれば大きく成長して大輪になるとのこと、楽しみにしたいと思います。

 体育大会が終わり、今週からは中間考査が始まりました。そして今日が最終日、生徒たちはほっと一息といったところです。早速、校庭はクラブ活動の生徒で一杯です。校長室前の廊下で女子生徒二人に出会いました。「今日は」と挨拶してくれたので挨拶を返し、「試験どうだった?」とたずねるとニコニコしながら「ダメでした。期末、がんばりまーす」とのことで、「期末テストも同じことを言わないように」と言っておきました。

 先週土曜日、中3と高2の学年懇談会がそれぞれ記念講堂で開催されました。私は両方の懇談会とも、「私の挑戦」について話しました。何人かの「私の挑戦」のシートを示しながら、挑戦内容について先生と、保護者で共有し、生徒の挑戦をサポートしていこうというものです。挑戦について周囲の関心があるのとないのでは、取り組みへの意欲が違ってきます。ぜひ挑戦目標を達成してもらいたいと思っています。

 中3は高校進学に向けて大切な学年となります。公立の中学校では、受験勉強で必死になる1年です。雲雀丘学園は中高一貫なので受験勉強がありません。その分、今までの振り返りや、高校の学習の先取りなど、6年一貫教育だからできることを実践していかねばなりません。現在、大学入試では私立の中高一貫校からの進学が伸びています。特に首都圏の大学ではその傾向が顕著です。高校入試がないので6年分の学習を5年間で終え、1年を入試対策に充てることが出来るからだといわれています。中3の重要性がご理解いただけると思います。

 高2は学年団から、あらためて高校3年間の目標、「雲雀の模範学年となる」→リーダーの育成、が示され、さらに今年度の目標として「全員が受験生へ」が提示されました。これは昨年の「全員を中学生から高校生へ」を引き継ぐものです。高校2年生は中だるみがよく指摘されますが、特に生活面と学習面で具体的な目標が掲げ、それを防止しようとしています。私は学年の方針を聴き、先生からの押し付けではなく、生徒自らが考え取り組もうとする自主性を引き出す指導をしていることを感じました。

 いずれにしても、年度初めのあわただしさが、少し落ち着いたこの時期から、期末試験までにしっかりと生活習慣、学習習慣をつけることが極めて大切です。先生とご家庭がしっかりと連絡を取りながら、この難しい大切な1年間を乗り切ってほしいと思います。

2012年07月02日

一学期末を迎えるにあたって

 今日から一学期末考査です。生徒も先生も今学期の学習・教育活動の成果を検証することになります。それぞれが、課題を持って取り組んでくれていることと思います。
 今学期を振り返ってみますと、中学、高校とも過去最高の入学者を迎えスタートを切りました。そして、新入生の宿泊行事である中学の自然学舎、高校のオリエンテーション合宿では、人数の多さを感じさせない集団のまとまりと規律ある行動をみることができました。新入生だけでなく、他の学年も新年度を迎え、成長した姿を感じ取れる学校生活を送っています。その姿は、体育大会などにも現れています。
 こうした生徒の動きと併行して、来年度入試に向けた取り組みも行ってきました。4月以降行われた各種学校説明会では、昨年を上回る方が相談に来られているとの報告を受けています。また、7月に実施する中学のオープンスクールも、昨年を上回る申し込み者で推移しているとの報告も受けています。本校に対する関心や期待の高さのあらわれだと感謝するとともに、期待に応える責任も感じています。
 来年度入試の特徴は、第三ステージへ向けての方向性を明確にしているところです。その内容は、中学、高校の募集人数の中に占める一貫選抜や選抜特進の割合を高めていることです。中学では、一貫選抜2クラスから3クラスへ、高校では、選抜特進を45名募集から80名募集へ変更していることにあらわれています。
 創立の精神をベースに「人間教育の充実」と「学力の向上」を両立させるという本校の教育理念を、更に進化させるステージであるということをご理解ください。

2012年06月27日

平成25年度中学・高校募集人数確定

 昨日、兵庫県私立中学高等学校連合会の評議員・校長会におきまして、生徒募集等計画変更が了承され、平成25年度の中学・高等学校の募集人数が確定しました。

 昨年度までとトータルの募集人数は変わりませんが、コースの募集人数が変更になります。中学校は、従来より一貫選抜コース80名、発展コース80名の計160名募集でしたが、25年度は一貫選抜コース約120名、発展コース約40名募集に変更します。

 昨年度でみますと、中学入試の志願者が792名(前期・後期の合計)に対し、一貫選抜コースの志願者が604名と圧倒的に多くなっています。80名募集に対しての数ですから、約7.6倍の競争率です。発展コースですと188名の志願者ですから、約2.4倍の競争率になります。一貫選抜コースの志願者が年々増加していることへの対応として、40名増の約120名としました。

 同様に高校入試でみますと1,036名の志願者(A・B日程合計)に対し、選抜特進コースが727名になっています。45名募集に対し、約16.2倍の競争率になります。ちなみに、特進コースは70名募集に対し、309名の約4.4倍になります。そこで、選抜特進コース約80名(35名増)、特進コース約35名(35名減)募集に変更します。

 中学・高校とも一貫選抜や選抜特進の志願者が増加傾向にあることへの対応です。本校が目指しています第三ステージへ向けての取り組みの一環だとお考えください。

2012年06月16日

大阪府公立高校前期募集増へ

 今朝の新聞記事に、「府教委は15日、教育委員会会義を開き、現在の中学3年生が受験する2013年度公立高校入試から、これまで後期日程だけで選抜してきた昼間の普通科単独選抜校などについて、各校の募集定員のうち80人(桃谷高校は40人)を前期募集することを決めた。」(朝日新聞大阪版)とありました。文理学科を有する学校だけでなく、普通科だけの学校でも受験生は複数回受験することが可能になったということです。大阪府の私立高授業料無償化により、公立高の定員割れが相次いでいるので、この対策として打ち出されたといわれています。今春の普通科の後期日程で16校が定員割れを起こし、400名を超える欠員が出ていることが府教委の資料から見ることができます。定員確保の対策として、受験機会を増やすというのであれば、的外れの対策としか言いようがありません。むしろ、二極化がより進むと考えられます。私立校無償化により公立離れが進んだことは、衆目の一致するところではないでしょうか。ということは、今まで授業料のアドバンテージで選ばれていた学校が、少なくないということになります。私立高は、授業料のハンディを教育内容の充実や学校生活全般にわたる満足度を高め「これなら、授業料は高くない」と言っていただけるよう努力してきました。この点が評価されているからこそ、授業料のハンディがなくなり、私立高への流れが加速したと考えています。
 教育現場の抱えている問題は、競争原理を導入するだけで解決するような単純なものではありません。公立高の受験機会が増えるとどうなるのか、中学校現場と受け入れる高校現場とは少し違った見方になりますが、大きな影響を与えることは事実です。また、高校でも私立と公立では違った問題が発生します。いずれにせよ、本校にも在籍数の半数近くが大阪府からの生徒です。入試制度が変われば、入学してくる生徒も今までとは違う影響を受けてきます。この点も含め来年度に向けての対策を考えていきたいと思います。

2012年05月24日

まとめにかえて  その7

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 円高、株安、不況など厳しい経済情勢が続いています。この閉塞感が漂う中、教育に対する厳しい見方やその裏返しかもしれませんが期待感が高まっています。教育に携わるものとして責任を痛感する次第です。
 このような先行きが見えない時こそ、小手先ではなく、将来をしっかり見据えて、言い換えると展望を持って事に当たる必要があります。本校が目指す学校改革も、時流に乗った一時的なものであってはいけないと考えています。ですから、原点である創立の精神に立ち返り、どういった思いで学校が創られたのかを見据えて学校改革を進めています。初代校長板倉操平が「わが心の自叙伝」のなかで、大阪第二師範附属小中学校(現在の池田附属)への入学に抽選が導入され、「兄姉が附属に通っていたのに弟妹が入学できない」ので「其等の父兄が附属のような学校を設けてくれ」ということで雲雀丘学園が誕生したと書いています。初めての卒業生は「大学入試の難関と云われる、東大、京大、阪大へも入学した」とも書かれています。教育要求の高い地域住民の思いで創られた学校です。
 雲雀丘学園に求められているものは、創立当時から良質の、しかも水準の高い教育が求められていました。この思いや伝統を受け継ぎ、進めているのが現在の学校改革です。近隣には立派な公立高校があります。しかし、私立学校の良さは、公立学校にはできないことができるところにあります。
 「人間教育の充実」と「学力の向上」を両立させた、関西を代表する学園の創出こそ私たちの責任だと考えています。

2012年05月23日

人間教育の柱としての環境教育 その6

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 本校の教育方針、「人間教育の充実」の柱として、環境教育に注力しています。「環境に配慮することにより、人間に対する優しさや真心を育てる」ことができると考えているからです。そのために、「学び」「考え」「行動する」ことを基本に活動を組み立てています。
 中学改革ととともに環境教育を導入してきたわけですが、考え方の基本として、今まで実施している学校行事を環境という切り口でさらに充実したものにする、というところから始めました。中学2年生で実施している林間学舎は大山登山をメインに計画されていました。大山周辺は広大なブナ林があり、良い水がでるというので、「森と水」の学習を。、中学3年生では沖縄に行きますので、珊瑚や亜熱帯の植生などの学習を環境教育として実施しています。現地での学習・体験活動だけでなく、事前の学習も行い、行事そのものの内容を深めています。
 生徒全体を対象にした取り組みの中から、もっと深く環境のことを掘り下げたいとして、環境大使の活動が生まれてきました。昨年度は中1から高1までの約50名の生徒が、環境大使として畑作体験・稲作体験、雨水の利用など様々な活動をしてきました。その中の一つに、「きずきの森 里山保全活動」があります。学校の近くにある「北雲雀丘きずきの森」で、地域の方や周辺のボランティアの方と一緒になって、ハリエンジュの伐採、整備などを行っています。この活動は、環境大使だけでなく、中学1・2年生全員が環境授業の一環として取り組むところまで広がってきました。
 環境大使は、これらの活動を通して、中学校の行事として行う「環境フォーラム」を企画・運営できるところまで成長してきています。今年は6月9日(土)に実施する予定です。

2012年05月21日

学びを追求する6年間  その5

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          金環日食の観測の様子
 中学から高校にかけての6年間というのは、学習や仲間作りなどを始めとして、人間の土台を築く上で重要な期間です。また、大人へと成長していく為の思春期を迎える時期でもあります。この大切な期間の中でも、学校で過ごす時間が大半を占めることになります。言い換えると、どのような学校生活を送るかということが非常に大切になってきます。
 学校は「学びの場」です。知的興味や関心を刺激し、未知なるものや新しいものを学んでいく場です。楽しく、しかも感動的な出会いが多くある授業や学校生活を送れる場にしたいと考えています。とりわけ、日々行われている授業が、生徒はもちろんのこと先生も「自分を成長させる場」として機能していなければなりません。知識の詰め込みや訓練的な学習ではなく、「わかる喜びや楽しさ」そこから、「さらに新しいことを知ろうとする意欲」を引き出すものになっていなければなりません。そのためにも、大学やいろいろな研究機関とも連携をとりながら、最先端での研究に触れさせる機会を積極的に作ることを検討しています。サントリー生物有機科学研究所の協力を得て行った「最先端実験科学教室」もその具体例です。高校1・2年生が参加しましたが、驚きと喜びの感動を味わって帰ってきています。
 学校は、先生から指導を受け学ぶということだけではなく、生徒たちがお互いに刺激しあいながら学ぶということもたくさんあります。集団の教育的機能を重視して、新年度から、学びを追求する生徒集団、実践力旺盛な生徒集団、自治力に富んだ生徒集団を目指して取り組んでいます。

 

2012年05月20日

進学実績が示すもの  その4

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 コース制導入後、進学実績は飛躍的に向上しました。選抜特進は、明確に難関国公立大合格を目指すという目標を掲げていますので、生徒たちの意識も高く、素晴らしい進学実績をあげてきています。昨年までは、現役で在籍の約25%の生徒が旧帝大をはじめとする難関国立大学に、約50%の生徒が国公立大学に合格していました。それが、今春の卒業生は、約69%の生徒が国公立大学に合格するところまでになりました。特進を含めた、学年全体の在籍からみても2割を超える生徒が毎年国公立大学に合格しています。勿論、特進から阪大などの難関国立大学合格者もでています。この中には、クラブ活動で頑張っていた生徒たちが、進学でも頑張っているという特徴もあります。
 この進学実績を出せた要因は、生徒たちの目標実現に対する意欲と努力、それを引き出す各種取り組みと教員のサポートです。補習や講習、継続的な添削指導、モチベーションアップの為の面談や進路講演、キャリア教育など様々な取り組みがあってのことだと考えています。
 ただ、今の進学実績も、上の図を見ていただくとお分かりいただけると思いますが、第1ステージの進学実績です。選抜特進が1クラス、他は特進というのが基本的な学年構成です。高2から下の学年は第2ステージで、選抜特進や一貫選抜が4クラス、特進が3クラスという構成になります。第2ステージでは更に飛躍が期待できることは推測していただけると思います。なお、私たちは第2ステージが最終目標とは考えていません。このステージの中で、中学の発展や高校の特進コースで入学してきた生徒を選抜特進の目指しているところまで引き上げる指導力を付け、第3ステージへと向かうべく努力をしているところです。

2012年05月19日

中高等学校のコース制の理念  その3

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 本校のコース制の始まりは平成19年に高校に導入したのが初めです。この原型は平成14年よりスタートした6年一貫カリキュラムの導入、それに基づく中学3年生からの習熟度別クラス(応用と標準)、高校での、応用Ⅰ類とⅠ類にあります。
 習熟度やコース制のねらいは何かといえば、生徒の学力伸長のためです。本校での考え方は、一部の優秀な生徒を育てるのではなく、全ての生徒の力を伸ばすためのものと考えています。幅広い学力層の生徒をどう指導するか、その時に、よりきめ細かく対応するためのものとして習熟度やコースを導入しています。コース分けをすると「下のコース」の生徒はモチベーションが下がるのではないか。益々、学力差が大きくなるのではないか等々と危惧されたこともありました。しかし、データを検証する中で、コースに分けてもモチベーションが下がったり、学力差が拡大しなかったということが明らかになりました。
 なぜこうなったのか。各校で導入されているコース制を観られる時に、各コースの目標がどうなっているかが一つの判断材料になりますので、よく検討してください。本校では、2つのコース制、中学では一貫と発展、高校では選抜特進と特進を採っています。高校では3つのコースに分かれていますが、一貫と選抜特進は同じ目標ですから、2つといえます。選抜特進と特進の2つのコースはどちらも国公立大対応型のカリキュラムを採用しています。中学、高校ともに入学時の「学力」でコース分けをしており学習の進度や深度の違いはありますが、基本的な目標は同じ所においています。言い換えれば、一貫や選抜特進をモデルに、発展や特進をそのモデルに近づける取り組みをしていると考えてください。この取り組みが、第三ステージへ向けての取り組みです。生徒をどこまで伸ばせるか、それは本校の選抜特進の進学実績にその一端が現れていると考えてください。

2012年05月18日

中高等学校の目指すもの  その2

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 本校の創立の精神は、よくご存じの「孝道を人間の根本義」とし、「社会のために尽くす精神を最も尊重」するとあります。中高等学校にとっては「社会で活躍するリーダーの育成」が創立の精神の体現化であると捉えています。そのために、「高志」「自律」「努力」を校是にかかげ、生徒育成にあたっています。
 教育方針としては「人間教育の充実」と「学力の向上」を両立させる事をねらいとしています。この二つは本来不可分のものであるべきだと考えています。何のために学ぶのか、学んで得たものを誰のために活かすのか、これらを考えたときには、「人間教育」と「学力」は切り離せません。世の中には、「すばらしい学校」をでた、「すばらしい学力」を持ったと考えられる人が、自分の私利私欲を肥やすことにその「学力」を使っているケースを見受けることがあります。何のための「学力」か、ということになります。「世の為、人の為」という言葉がありますが、まさに本校の創立の精神である「社会のために尽くす精神を最も尊重」した人づくりが必要だと思います。
 人は他人(ひと)との関わりの中で生き、他人(ひと)によって生かされています。将来の進むべき道として、自分はどんな分野で、どんな場所で他人(ひと)の役に立てるのか、その為に自分はどんな力をつける必要があるのか、などを考えさせていくことが必要だと考えています。分野や場所の軽重はありません。まさしく「社会で活躍するリーダー」です。そのためには、ものの見方や考え方を含めた「真の学力」が必要です。
 また、「人間教育」の柱として環境教育を、「環境に配慮することにより、人間に対する優しさや真心を育てる」ものとして位置づけ取り組んでいます。


2012年05月17日

中学入試に思うこと  その1

 週刊誌やその他で、中高一貫校・高校のランキングや大学合格者高校ランキングなど大学進学を扱った記事がたくさん出まわっています。入学時と卒業時の偏差値がこう変化しています、「お得な学校は」ここですというランキングもでています。
 生徒の学力を伸ばすことは、いうまでもなく学校の大きな使命です。全ての学校が必死になって努力していることです。ただ、これをどうやって実現しようとしているのかで、取り組み方の違いがあります。とにかく力をつけさせるということで、授業時間数を増やし、クラブ等は程々に、とにかく詰め込むという方法もあるでしょう。中には、どうせ多くの生徒が塾へ行くのだから、学校ではあまり詰め込まず、楽しくというところもあるやに聞いています。コース制を敷いている学校、そうでない学校もあります。学力だけでなく、文武両道を目指している学校といっても、学校としての文武両道であり、個々の生徒にはそれを望まず、「文」で頑張る生徒、「武」で頑張る生徒と分けているところもあります。
 学校の評価を進学実績で見るという風潮があるのは、日々の教育の内容が見えにくいなどというところから仕方ない面もあります。それがエスカレートし、「進学実績の水増し」等も社会的に問題になったりしたこともあります。そこで、合格者数と実合格者の人数を取り上げたりする記事もでている状態です。
 教育の中身が問われ、受験者や保護者の目が「肥えて」きています。学校が何を考え、どのような方法で生徒を鍛え、伸ばそうとしているのかが非常に大切になってきています。この点を明確にアピール、情報発信することも学校の大切な役割になってきています。ここに焦点をあて、本校の内容紹介をしていきます。

2012年05月16日

トップページのリニューアルにあたって

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 本校のホームページのたち上げは、他校に先駆け結構早く行いました。学校という公式の情報がインターネットを通じて世界中に発信されるという事で、発信する内容などに気を使いました。当然、責任者をおき、情報を管理して発信していました。当時はほとんどの学校やインターネットで情報を発信しているところは、同じような体制だったと思います。ところが、インターネットの急激な普及に伴い、発信する情報の内容やその体制が追いつかず、情報の更新も停滞してきました。
 担当者任せになり、それに胡座をかいていると、最新のものが出た途端に、それが一番古いものになります。いわば、日々変革しなければ、後発組においていかれるという状態です。本校のホームページもそれに似たような状況に陥り、停滞した時期がありました。そこで、厳しい規制ではなく、自由で気軽に、即座に情報発信できる事によって広がってきたインターネット本来の姿に立ち返り、ホームページの在り方を検討した結果、今の姿になりました。情報発信できるすべての部署が、責任を持って発信する。勿論、学校という組織体ですから、ベクトルの違う方向や間違ったことを発信する事が無いように注意することは当然です。多少のニュアンスの違いやポイントのずれがあっても、全体の中で調和し、整合性がとれていくものだと考えています。このように、考え方から問い直していくなかで、現在は毎日更新されるようになり、情報量も格段にアップされてきました。そして、現在では学校にあるすべての学年や分掌は言うに及ばず、あらゆる部署から情報が発信できるようになっています。
 すべてのことに共通して言えることですが、あるのは、前進か後退です。停滞はありえません。とすれば前進あるのみです。

2012年05月15日

鳥取大学訪問

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 本校は人間教育の一環として、環境教育を大きな柱として位置づけています。人間の経済活動の中で起こっている問題が環境問題であるという観点からです。中学生を中心に「学び・考え・行動する」環境教育を行っています。
 その中に、中学2年生の林間学舎での環境学習があります。大山登山を中心とした行事ですが、サントリーの「奥大山ブナの森工場」の協力を得て、森と水の関係などを学ぶ環境学習を行っています。この地の広大なブナ林を鳥取大学農学部監修のもと森林整備活動を行っているということなので、鳥取大学と環境教育などを通じて何か高大連携の可能性を探れないか、そのため大学を訪問する機会を探していたところ、縁あって実現する運びとなりました。
 本校の谷川教諭と二人で、地域学部、工学部、農学部のある湖山キャンパスと医学部のある米子キャンパスを訪れ、多くの先生方とお話をさせていただきました。大学の姿勢として、学外との積極的な連携活動を進めてこられていることを知り、高大連携の新たな可能性を見いだせそうな感触を得ることができました。
 お忙しい中、時間を取っていただいた能勢学長をはじめ産学・地域連携機構長の菅原教授、そして、多くの先生方との話し合いの場をセットしていただいた部門長の田中教授に心から感謝申し上げます。

2012年05月14日

注目をあびている学校からの訪問

 愛知県にある全寮制の男子校で、今年初めて卒業生を出し、13名の東大合格者をだして注目をあびている学校があります。その学校の先生が、関西地方で説明会を行い、塾等を訪問された後、本校にこられました。中部地方がメインですが、全寮制ですので関西地方からも入学者を募っておられるそうです。そこで、関西地方の受験状況などを知りたいということでの訪問でした。1期生が注目を浴びるような進学実績を出しておられる学校でも、ここ近年の中学入試の状況は厳しいということでした。どこも同じ悩みを抱えているということが実感として伝わってきました。
 6年間の寮生活で生徒たちがどう変化するのか、関心のあったところですので、いろいろな話を聞かせていただきました。先生方の指導、これは、学校の中だけでなく、寮生活の中でも学習指導をされており力をつけさせおられるということでしたが、生徒たちの縦の関係、先輩後輩の関係の中で刺激を受け、力をつけていくという話がありました。寮の中で壁やトイレに学習のスケジュールや目標を書いてある落書きなどの軌跡が残っているという話です。これを消さずに残そうとしておられるそうです。
 東大の合格者をだした話では、麻布や開成を合格していて、入学してこられたような、当然合格すべき力の生徒がいたのも事実だそうです。ただ、中学から高校にかけて生徒たちは変化する、特に中学3年生あたりから目標を持った子は伸びるという事例もあったようです。1学年100名ほどの人数らしいのですが、中学の頃は80番ぐらいの成績だった子が、東大に合格したという例です。このような例は、本校でも東大ではありませんが、これに似た経験はあります。
 要は、子どもたちをどう見るか、指導する側を含めた大人の問題であるような気がします。子どもだけでなく、人間は変化し、場合によっては急激な変化もある、とりわけ教育は人間を変化させてこそ教育である、このことに確信を持てるかどうかだということです。

2012年05月10日

来年度高校入試にあたって

 今年度で高校改革の最後の学年が卒業します。第一ステージから第二ステージへのバトンタッチです。来年度入学していただく方は、第二ステージ、本校の中学改革後に入学してきた生徒と高校生活をスタートさせることになります。卒業していく学年と、入学してくる学年の構成が違う、最後の年になるということです。
 第一ステージの卒業生たちは、以前とは違う進学実績を上げてくれています。京大を毎年現役で合格、国立大医学部医学科をこれも現役で連続して合格するなど国公立大学合格者が増加しています。高校から入学した生徒でみますと、毎年、現役で2割を越える国公立大学合格者がでています。ちなみに、今春は、3割を越えています。高校から入学してくる生徒の国公立志向の高さの表れだと思います。入学試験では、專願者のみに面接を行っていますが、将来や進学に対する明確な目標を持っている人が、年々増加している事にも表れています。
 来年度も、「一貫選抜」、「選抜特進」、「特進」の3コースで募集することは変わりません。ただ、最近の特徴を考慮して、「選抜特進」の割合を増加させることを検討しています。現在は2クラス体制ですが、3クラスを視野に入れています。
 先輩が築いた目標を後輩が追い越していく、非常に良い循環になっています。学園中学から進学する生徒と、高校から入学して来る生徒とが、互いに切磋琢磨しながら頑張っています。是非、多くの受験生が本校を第一希望で志願してくださる事を期待しています。

2012年05月06日

来年度入試にむけて

 帰国やUターンラッシュが続いているようです。また、北関東地方で竜巻や雹(ひよう)が降るなど被害もでています。天候不順の印象が強かった今年のゴールデンウィークも、今日で終わりです。

 5月は、体育大会や中間考査など大きな学校行事が控えています。学校生活が佳境に入ってきます。一方で、今年度入試の総括をふまえ、来年度入試に向けての検討や取り組みをスタートさせています。
 中学入試については、大阪府と兵庫県では少しスタンスが違います。兵庫県は初日に、来年度は1月19日に入試が一斉に行われます。大阪府のように、あえて初日をずらすとか、午後入試のようなことは行えません。初日以降は、各校の判断で入試日が設定できます。ですから、初日に受験していただく方、本校でいえば、前期A日程で受験していただく方は、基本的に本校が第一希望の方である、ということがいえます。合格者に対する入学手続き率が、圧倒的に高いということからも伺えます。それをふまえ、来年度は、前期A日程で受験していただく方を、従来以上に大切にしていきたいと考えています。
 もう一つは、前期A・B日程、後期日程と3回の入試や募集人数は従来通りですが、コースの人数を検討したいと考えています。今年度の入試を振り返ってみましても、「一貫選抜」の人気が高く、志願者も圧倒的に多いのが特徴です。志願者の多い「一貫選抜」の入学者を多くしたいと考えています。入試の難易度に少し影響を与えるかもしれませんが、急激な変動は良くないと考えています。「一貫選抜」、「発展」の両コースとも前期A日程は、従来通りの基準で選考しますので、安心して受験していただきたいと思っています。

2012年05月01日

その3  第三ステージのイメージとは

 創立の精神に立ち返り、現状を分析するなかで、始めてきた改革です。そこで謳われている「孝道」はもちろんのこと、「社会のためにつくす精神を最も尊重し よりよい社会 国家を生みだすべく・・・健康な体力とたくましい実践力をもつ」生徒の育成を目指す学校になっているかどうか、自問自答する中で行ってきました。行き着いたところが、「社会で活躍するリーダーの育成」が本校の使命であるという結論に達しました。そのために、「人間教育の充実」と「学力の向上」を両立させた学園にしなければならないということです。
 コース制は、生徒を選別するものではなく、よりきめ細かく対応するためのものとして導入してきました。また、コースの入り口は違っても、ゴールは同じものを目指し、指導するということも基本原則として確認しています。これも、コース制の本質が問われる大切なことです。
 第一ステージである今春の卒業生は、「選抜特進」から現役で京大や阪大に複数、国立大医学科に合格、を含む在籍の7割弱の生徒が国公立大学に合格ました。また、「特進」からは阪大に複数、広島大などに現役で合格者をだしています。国公立大学へ68名、そのうち現役が61名と、昨年の実績を現役だけで超えています。私学も多数の合格者を出しています。このように、進学実績も向上してきました。クラブ活動もより活発になってきました。年々、自分の夢や目標を実現させるために入学してくる生徒が、多くなってきていることも特徴です。
 「一貫選抜」の生徒育成のプログラムをしっかりしたものにし、「発展」で入学してきた生徒を高校進学時に「選抜特進」に進むことが可能な力をつけさせる。そのためのシステムやシラバスを研究し実践していくのが、現在の、第二ステージの課題です。これをやり遂げることができれば、中学から入学してくる生徒は全て「一貫選抜」、高校から入学してくる生徒は全て「選抜特進」とすることができ、コース制も必然的に解消できます。これが、私たちの考えている第三ステージのイメージです。

2012年04月30日

その2 本校のコース制の特長

 高校改革に続いて、次の年に中学改革をスタートさせました。高校改革で目指したものと中学改革で目指すものとの理念の統一、結合ということが大切になってきます。
 中学には、二つのコースを導入しました。「一貫選抜」と「発展」です。特長は、中学から高校の6年間というものが、生徒にとってどのような期間なのか、そこをしっかり考えたものにした、ということです。コース制を採用している学校はたくさんありますが、ほとんどといっていいほど、進学だけに特化した、言い換えると、大学に入る為にどう勉強させるかというところが多いと思います。ですから、7・8時間目の授業はもちろん、補習・講習でクラブ活動はできませんというところもあります。こういう中高時代で良いのでしょうか。
 本校は、本人の意志と入学試験の成績でコース分けをします。しかし、この時の力が6年間の学力を決定づけるものではありません。学力は大きく変化します。だからといって、競争させることによって、頻繁に成績によるクラス替えをすることも考えていません。本校が考えているのは、子どもの成長段階、発達段階を考えたコース制です。人間の成長は一様ではありません。うまくいく時もあれば、悩み停滞する時もあるでしょう。悩み停滞している時は、竹でいう「節」を作っている時で、成長に向けて準備している大切な時期と考えています。一定の準備期間が必要です。ですから、コースの入れ替えではなく、高校進学時に「一貫選抜」と同じ目標を持つ「選抜特進」と「特進」に進化するシステムにしました。「特進」は先の改革で作られた「特進Ⅰ」をなくし、「特進Ⅱ」の内容とし、「一貫選抜」は高校の「選抜特進」をモデルに、中高6年間のスパンで考えたものですので、これですべてのコースが国公立対応型のカリキュラムになりました。勿論、どのコースも文武両道を目指しています。これが第二ステージです。

2012年04月29日

学校改革の第三ステージとは・・・その1

 学校改革も第一ステージから第二ステージへさしかかり、そして、第三ステージへ向け進んでいっています。そこで、この改革の基本的な考え方や意図してきたことは何なのかを振り返ってみたいと思います。
 今から7年前に高校改革を、その次の年に中学改革を行ってきました。スタートは現状分析からです。入学してくる生徒の学力にかなりの幅や多岐にわたる個々の思いがありました。これをどうするか。単純に学力的に均等なクラスを作り、多様な生徒にそれぞれにあった目標を持たせ、学級経営をすることはかなり難しいことです。「クラブ活動を一生懸命頑張りたい」、「楽しい学校生活を送りたい」、「絶対、良い大学へ行きたい」など、生徒は様々な夢や希望、目標を持っています。それが、学級という集団に組織されています。その集団に共通の目標を自覚、確認させることができれば、個人の力だけでなく集団の大きな力で、各自の目標実現の手助けをしてくれます。
 そこで、逆転の発想で、まず目標を明確にした学級、コースを作り、それを生徒に選択させるという方法を取りました。集団の目標は、既に明確になっています。その目標で力を合わせながら、各自の夢や目標実現の為に頑張るということになります。大きくは2つ、「選抜特進」と「特進」、そのうちの一つ「特進」は少し幅を持たせたものにし、「特進Ⅱ」と「特進Ⅰ」にしました。高校に3つのコース制を導入したのです。基本的には、将来、国公立大への進学指向が強まるとの見通しのもとに、どのコースも進学目標を国公立大に設定し、カリキュラムを編成しました。ただ、従来から生徒の中に地方の国公立大より近くの私学という風潮もありましたので、「特進Ⅰ」の中に私学向けのカリキュラムを選択できるようにしました。これが第一ステージです。

2012年04月24日

学校の取材で感じたこと

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 四月になって、いろいろなところから、取材や問い合わせがあります。中学、高校とも過去最高の受験者や入学者ということから、注目を浴びているのだと思います。ありがたいことです。
 少子化とともに景気の動向も影響して、中学入試に対する受験熱が冷めてきているというのがもっぱらの見方です。「あえて私学を選ばなくても」という気持ちなのか、公立校の頑張りがあるのも当然だと思うのですが、私学の良さ、私学ならではの取り組みなどが観えてこないからなのか、考えないといけないことがたくさんあるように思います。
 今日も取材があったのですが、中学を中心に多くの授業とクラブ活動を観ていただきました。授業を観ていただいた方から、「生徒さんがしっかり授業に臨んでいますね」、「先生方も興味を引き出すように授業を工夫されていますね」という感想と同時に、「中学一年生で、あの授業ができているのは立派ですね」と感心もされていました。もちろん、取材のために特別な授業をしているのではありません。普段の授業を観ていただいているだけです。お世辞もあるかもしれませんが、私が普段感じていることと、同じ感想を持っていただいていると思いました。
 「与えられたものをやる」やらされる学習ではなく、自ら進んで学習する「学びを追求する生徒集団へ」、これが私たちの考えている生徒像の一つだということを。
 進学や偏差値だけを考えた指導ではなく、将来、どんな人間になるのか、社会のどういった分野でリーダーとして頑張るのか、そのためにどんな進路を考えるのか、そして今何を学ぶのか、これらを絶えず問いかける指導をしていきたいと考えていることを。
 本校の目指すものを知っていただく、良いチャンスを与えてくださったと感謝しています。

2012年03月30日

6年間を振り返って ③

9.出口を固める
9.1 個人別進路目標の設定
  最終の目指す姿は本人の希望を実現させることであるという考え方に立って、キャリア教育を進めている。具体的な取り組みとしては、高校入学時より、さまざまな職業の方を招いて体験談を聞く『職業人に学ぶ』や大学との連携を深めるための『高大連携講座』の開設、全国の30を超える大学の先生による『1Day College』の開催、全国の著名大学の合同説明会である『夢ナビ』への参加、大学のオープンキャンパスの見学等があげられる。このような取り組みを通じて、早期に個々の進路目標を立てさせることにしている。この時に大切なのは、将来どういう分野に進みたいかという意思を明確にさせることであり、大学の名前で選ぶということのないように指導している。その後、外部模試の結果等を踏まえて定期的にフォローする体制を確立している。また、多様化する大学入試(AO・推薦入試等)に対応できるように、小論文・面接等の指導体制の充実をはかっている。
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      《職業人に学ぶ》        《香川大学医学科進学者の講演》
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       《1Day College》        《小論文・志願書の書き方講座》
9.2 学校全体としての進路指導体制の確立
  中高校「サクセスプラン(進路スケジュール)」の充実をはかり、時系列・年度比較が可能なシステムを構築している。また、進路指導に関する情報の共有化を使って、生徒個人の成績を確認することができるようにしている。更に必要な都度、予備校の先生による進路研修会の開催を行っている。
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      《高大連携講座》               《進路講演会》

9.3 進路実績の向上
 平成22年には新たに高校のコース制導入時(平成19年)に入学した最初の生徒が、大学受験に臨み、国公立大学合格者が25名から50名と倍増、難関私学合格者(関関同立)が111名から161名と1.5倍になった。更に平成23年は国公立合格者が55名、関西地区難関私学合格者が246名となり、顕著な伸びを達成することができた。そして、今年は生徒の国公立志向が強まり、国公立大学合格者が67名(3月25日判明分)、関西地区難関私学合格者が177名となった。特筆すべきは、現役合格者が実に60名と9割を超えたこと、京都大学に3名、大阪大学にも8名、昨年に続いて医学部医学科に合格者を出せたこと等があげられる。
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9.4 学年別(コース別)の進路数値目標の設定
  新たにコース制を導入した年度から進路の数値目標を設定しているが、まだ精度は高くない状況である。この3年間は結果的に連続して前年を上回る実績になったが、次年度以降も前年を上回る進路目標を立てて取り組んでいる。間もなく中学にコース制を導入した最初の学年が高校2年生に進学するが、一貫選抜・選抜特進クラスが4クラスとなっており、更に本年度特進を含めた全コースに国公立対応型のカリキュラムを導入することにした。そして、この学年が大学に進学する2年後(平成25年度末)には国公立大学合格者80名以上(内部目標100名)を目指している。これの実現に向けて、定点的に学力伸長度を把握し、迅速な対応をはかる等、進路システムの一層の充実、定着化をはかっていく計画である。

10.業務革新とマネジメント改革
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学校づくりにあたっては、「教職員の行動能力を高める」「職場の仕組みを変える」「風土改革をはかる」ということが大切である。このため原点に戻って新しい学校を一からつくるとい考えで、徹底した業務の見直しを行った。
以下、具体的な取り組みについて紹介する。
① IT化を積極的に推進すると共に業務の徹底的な分析を行い、重点特化すべき業務と合理化・簡素化する業務を洗い出すことにした。
② 徹底したコストの見直しと予算のゼロベース化を目指している。
③ 組織はできるだけ簡素化、大ぐくり化し、迅速な意思決定をはかる。また、必要に応じて、「プロジェクト」や「委員会」等の課題解決型の組織づくりを行っている。更に適性配置を推進することにより、人の働きを高めることを目指している。
④ 「チャレンジ目標制度」の導入により、全体目標と個人目標の整合性をはかることにした。また、業務量の適正な分担を行うために「一人一役みんなが主役運動」を推進している。
⑤ 「予防する」「芽生えの段階で手を打つ」「迅速に対応する」ことを基本とする危機管理の徹底を行うようにしている。また、家庭への迅速な情報伝達をはかることを目的として、NTTによる『緊急連絡網』の導入を行った。
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⑥ 生徒の育成にあたっては「共育」と「共学」を基本にし、機会ある毎に保護者に訴えている。共育というのは〝家庭と学校が連携して生徒を育てる〟ということであり、共学というのは〝本校に集う生徒・保護者・教職員全員が勉強する〟ということである。このため、入学式や保護者集会、学年懇談会、学級委員会等色々な機会を通じて、このことをお願いしている。
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       《学級委員会》                 《学年懇談会》
11.最後に
  私はこれまで社会のさまざまな分野で活躍している多くの人とお会いしてきたが、これらの人には例外なくしっかりとした人間としての土台が確立している。そして若い時の苦しい経験が生かされているケースが多く、更に自己研鑽を重ねることにより、人生観、社会観、倫理観、人間観といったものが醸成されてきている。
今、わが国においてはいたるところで教育改革の必要性が叫ばれているが、国土も狭く、大きな地下資源もない日本にとってはまさに人材が最大の資源である。今後、情報化とグローバル化がますます進展し、新たな技術革新が起こる中で、活躍できる場は限りなく広がってくる。日本の将来は暗いと考えている人が多いようだが、世の中が大きく変わるということはそれだけチャンスがあるということである。学校は〝将来社会で役立つ力を育てるトレーニングの場である〟と考えるなら、単なる知識としての学力のみならず、自ら課題を見つけ解決していく力や人間としてのベースとなる志、思いやり、感謝、忍耐といった力の育成が大切である。将来の日本を背負って立つ「人間力と学力を兼ね備えた」骨太のリーダーの育成に全力を傾注していきたいと思っている。

2012年03月29日

6年間を振り返って②

6.良循環型経営の実現を目指した具体的な取り組み 
  学校経営にあたっては、入口(質・量両面にわたる生徒の確保)、校内(教育内容の充実と教員の資質向上、教育環境の整備)、出口(きめ細かい進路の実現)の3つの切り口を固めることにより相乗効果を発揮させていくことが重要である。このうちの1つが崩れると、「負のスパイラル」に陥ってしまうため、これらを連携させながら「良循環型経営」の実現を目指すことにした。
このように、本校ではコース制の導入を柱として、常に課題を明確にしながらさまざまな取り組みを実施してきたが、以下「入口を固める」「校内を固める」「出口を固める」という順で取り上げていくことにする。%E8%89%AF%E5%BE%AA%E7%92%B0%E5%9E%8B.JPG

7.入口を固める
7.1 積極的な入試・広報活動の推進
  私学にとって、生徒の確保は最重要課題である。いくらカリキュラムの見直しや授業レベルの向上等教育内容の充実や教育環境の整備、優秀な教職員の確保をはかろうとしても、生徒が集まらなくては安定した学校経営を推進することはできない。そのため、コース制の導入を機に〝雲雀丘学園中学・高等学校は大きく変わる〟というイメージを全面的に打ち出すこととし、学校説明会や校外での入試相談会を通じて本校の目指す新しい学校づくりや、育成すべき生徒像について徹底的にPRしていくことにした。
また、オープンスクールや学校見学の随時受け入れ、塾長対象説明会、中学教員対象説明会、全教員による中学訪問、広報専任者の任命等広報体制の強化をはかった。本年度は実に校内・校外合わせて約90回にわたる入試説明会・相談会を実施した。

7.2 ホームページによる情報発信
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新しい学校づくりを進めるにあたって、ホームページを全面的に改定し、学校における教育活動の内容をきめ細かくタイムリーにお知らせすることを目指して、「全員参加によるホームページづくり」を行っている。この結果、学年・分掌・部活動のきめ細かい情報発信が行われ、日々更新がはかられてきている。また、定期的にアクセス件数を把握するようにしているが、この数は年々増加してきており、オープンスクールの申し込みもホームページを通じて行っている。

7.3 入学志願者の状況
  高校にコース制を導入して以降、中学・高校共志願者は年々増加してきている。この結果、募集定員の確保と共に入学者の偏差値も上昇してきている。厳しい経営環境下にあって、本年度は中学792名、高校1036名と共に過去最高の志願者ということになった。これに伴い、24年度の入学者も中学221名、高校301名と過去最高になる見込みである。また、偏差値60を超える生徒が増加してきており、これから大いに期待できる状況になってきている。
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8.校内を固める
8.1 人間教育の基本である凡事徹底
  多くの学校が大学進学実績を重要視している中で、人間教育を最初に謳っている学校は珍しいと思うが、〝社会で役立つ人材は、単なる知識偏重型ではなく人間力を併せ持つ人材である〟という考え方に立ち、教育方針の第一に「人間教育の充実」を掲げることにした。人間教育というと何か難しい特別のことを考えがちだが、人間力を高めるための特効薬もマニュアルもない。人間として当然やらなければならない当たり前のことや簡単なことをやり続ける、言いかえると「凡事徹底」が大切であり、簡単な事が完全にできるようになって、初めて次の難しいステップに進むことができる。そのため、「明るい挨拶」「きっちりした服装」「さわやかなマナーとルールの遵守」を基本に取り組むこととし、早朝の登校指導をはじめ全教員が生徒指導にあたることにした。また、制服を美しく着こなすための『服育』や「携帯・ブログ講座」「薬物防止講座」を実施している。このような取り組みによって、遅刻や問題行動が大幅に減少してきており、これが学力向上にも繋がってきている。
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8.2 授業時間(量)の増大と補習体制の充実
  コース制の導入によりカリキュラムを全面的に見直すと共に、「土曜日授業の実施」「長期休業期間の短縮」「予備校の先生によるパワーアップ・ゼミ(選抜特進・一貫選抜)、ブラシュ・アップゼミの開講」「長期休業中における補習や勉強合宿の実施」「早朝講習」等授業時間の増大をはかることにした。また、6年間(3年間)の『サクセスプラン』に基づき、計画的な学力向上、進路指導体制を充実させている。また、「自学自習コーナー」や随時教員に質問できる「交流スペース」を設置する等の学習環境づくりにも注力している。
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        《勉強合宿》                  《夏期講習》
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    《交流スペースでの質問》         《大学推薦入試指導》

8.3 教職員の資質向上
  より良い学校づくりには、一人ひとりの教職員が同じ方向を目指して行動していることが大切である。そのためには学校全体の方針が分掌、学年、教科毎に具現化され、更に個人レベルにまで落とし込まれていなければならない。これを実現するために『目標チャレンジ制度』の充実をはかることにしている。また、教師にとって授業は命であるという考え方に立って、〝より良い授業を目指す〟〝授業を磨く〟を合言葉に学校全体としてのさまざまな取り組みを行なっている。具体的な取り組みとしては、年2回の「生徒全員によるすべての授業に対するアンケート」や「相互授業参観」「研究授業」を実施している。この授業アンケートは単に教員や生徒の授業態度を評価するものではなく、教員と生徒の双方が前向きな姿勢で授業の改善を行っていこうというものである。また、模擬試験や定期考査の結果を分析することにより、課題を抽出し教科会を主体とした授業改善を行っている。
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      《模試分析会》               《教科による検討会》
8.4 国際科のDNAの引き継ぎ
  グローバル化への対応をはかるために、新しく導入するすべてのコースの中に、これまで培ってきた国際科のノウハウを取り入れることにし、「カナダ研修」「ニュージーランド比較文化研修」「海外留学」「海外からの留学生の受け入れ」「ネイティブ・スピーカーによる生きた英会話の授業」「JICAとの交流」等については、基本的に引き継ぐことにした。
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      《カナダ研修》               《ニュージーランド研修》
8.5 学業と部活動の両立
  昔から『文武両道』という言葉があるが、部活動を通じて「しっかりと挨拶する」「服装を整える」「ルールやマナーを守る」「チームワークの大切さを体得する」「忍耐する」という力を身につけることは将来社会に出た時に大いに役立つものである。本校では詰め込み式の知識偏重型の教育や将来の職業に結びつくプロフェッショナルを育てるような部活動を目指しているわけではない。あくまで学業と部活動の両立をはかることを薦めており、現在、クラブ加入率は7割を超え、全国大会に出場するクラブも出てきている。また、難関大学合格者のほとんどが積極的に何らかの部活動を行っている。
ギターマンドリン.jpg 剣道部.jpg            《ギター・マンドリン部》                《剣道部》
8.6 教育環境の整備
  教育効果を高めるためには、施設や設備環境を整えることが大切である。そのために、いち早く耐震補強を実施すると共に創立60周年にあたる2010年に、高校校舎を新築した。この校舎は環境教育の教材としての役割も果たしており、太陽光パネル,雨水を利用した屋上緑化、LED照明等を採用している。また、昨年、生徒たちの手で校庭に天然芝を植え付け、芝刈りも生徒たちが行っている。更に新校舎の教室にはプロジェクターや電子黒板等のIT機器を設置し、これらを活用した新たな授業展開をはかってきており、素晴らしい教育環境が整ってきている。
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     《生徒による芝刈り》       《保護者による芝生クリーン作戦》
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     《太陽光パネル》               《屋上緑化》
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2012年03月28日

6年を振り返って ①

9.jpg 22.9-27.jpg       《中学・高校の校是》            《初代理事長 鳥井信治郎氏》  

  3月末まで残り4日となりました。この6年間を振り返って、これまでの取り組みを紹介したいと思います。この内容は先般「私学経営研究会・私学経営」に掲載された『骨太のリーダー育成を目指して』を一部修正したものです。          
   
1.はじめに
  平成13年末、34年間勤務したパナソニック(株)を退社し、平成14年4月より4年間大阪府立の高等学校の校長として勤務した後、平成18年4月から雲雀丘学園中学・高等学校の校長に就任し、この3月末で6年が経過しようとしている。
雲雀丘学園は大阪府に隣接する兵庫県宝塚市にあり、昭和25年サントリー(株)の創業者である鳥井信治郎氏を中心とした地域の方々の強い思いで創設され、一昨年60周年を迎えた伝統ある学園である。現在中学・高等学校、小学校、2つの幼稚園があり、児童・生徒数は約2600名を有している。初代鳥井理事長の入学式や卒業式の訓話の基本は、〝朝起きたら「おはよう」、学校から帰ったら「ただいま」、夜は「おやすみなさい」と挨拶せよ、親孝行のできる人は必ず立派になれる〟というものであった。今、親孝行というと何か古めかしいことのように思われがちだが、最も身近な人を大切にできない人に社会のこと、日本のこと、世界のことを考えることができるだろうか、というのが初代理事長の考えであり、本学園の創立の基本となっている。

2.学校改革にいたる背景と基本の考え方
  平成18年当時は、公立・私立共教育環境が激変する中で、昭和60年に設置された高等学校の国際科が大きく募集定員を割り込み、国公立大学や難関私立大学への進学実績も横ばいという状況が続いていた。そして、このままでは近い将来、経営的に厳しい結果に陥るということを感じながら、思い切った学校改革に踏み切れないということになっていた。「雲雀丘学園の良さは何か」ということを尋ねると、誰からも「学園の持っている雰囲気や校風の良さ」という答えが返ってくる。これはどの時代にあっても変わることなく本学園に受け継がれている大きな伝統であるが、その一方で「授業料が高い割に授業内容は公立並み」とか「先生も生徒ものんびりしていて学力を伸ばせない」といった厳しい意見も数多く寄せられていた。
まさに、思い切った学校改革を断行し、新しい学校づくりを目指すということが急務であり、改革が遅れれば私学としての生き残りが難しくなるという状況であった。この中で、校長の姿勢として「新しい学校を一からつくるという不退転の決意で臨む」「外部から何を期待されているのかをしっかりと把握する」「教職員に危機意識を浸透させる」の3つを貫くことにした。
そして、新しい学校づくりにあたっては「原点に戻って創立の精神の体現化をはかる」「学校のビジョンを明確にし、生徒の育成を第一義に考える」「中期のあるべき姿を描き戦略を構築する」「良循環経営(入口・校内・出口を固める)を推進する」を基本に取り組むことにした。そして、学校経営の枠組みを構築すると共に、個々の取り組みについて「誰が」「何を」「いつまでに」「どうする」ということをスケジュールに落とし込み、円滑なPDCAサイクルがまわるマネジメントシステムの確立をはかることにした。pp01.jpg

3.創立の精神の体現化と学校ビジョン・戦略構築
  創立の精神には『孝道を人間の根本義と考え 社会のために尽くす精神を最も尊重し よりよい社会国家を生み出すべく 心を素直にもち すべてに感謝の念を捧げ 健康な体力とたくましい実践力をもつ強い人間を創ることを念願としています』と謳われている。また、中学・高等学校の校是は〝高志・自律・努力〟であるが、この意味は「高い志を持って自分自身を厳しく律し目標達成に向けてたゆまぬ努力を続ける」ということである。これらを実践することはまさに『社会で活躍できるリーダーの育成』に繋がることであり、学校改革にあたっての基本の柱にすえることにした。
学園のビジョンとしては、“「人間教育の充実」と「学力の向上」を両立させた「関西を代表するすばらしい学園を目指す」”というものが打ち出されている。従って、基本的には中高においてもこれを踏襲することにしたが、この中には時間軸が設定されていないため、平成25年(2013年)を最終目標年度とした「中期のあるべき姿」を描き、その目標を達成するための戦略として『学力向上をはかるためのコース制』と『人間力を育てるための環境教育』の導入を行うことにした。そして、平成25年度の大学合格目標を「国公立大学に80名」、「全員が難関私立大学をめざす」ということに設定した。

4.中高における新しいコース制の導入
4.1 高校にコース制を導入
  本校では昭和60年(1985年)に国際社会で活躍できる人材を育成するということで、高校に『国際科』を設置し、以降20年間にわたり『普通科』と『国際科』という2つの異なるカリキュラムに基づき生徒募集を行ってきた。しかし、近年グローバル化の進展に伴い、すべての分野で国際的なセンスが必要となってきた。また、学力差が大きい生徒達に対して一律のカリキュラムを採用していたため、十分な教育効果が得られないという弊害も生じてきていた。そこで、平成19年に、個々の生徒に対するきめ細かい進路指導を行うことを狙いとして、従来の普通科と国際科を再編成し、新たに「選抜特進」「特進Ⅱ」「特進Ⅰ」という3つのコース制を導入することにし、きめ細かい進路実現を目指すようにした。
「選抜特進」コースは東京・京都・大阪等の超難関国立大学を目指すコースであり、「特進Ⅱ」や「特進Ⅰ」はそれぞれ難関国公立、難関私立等を目指すことにし、年々変化する入試制度にも柔軟に対応していけるようにした。また、〝自分が希望する大学であれはどの学部であっても良い〟ということでは進学することだけが目的になってしまうため、早期に自分なりの進路目標を設定し、真面目に努力することによって、あくまで自分が進みたい国公立大学や難関私立大学の学部や学科に合格できる学力の修得をはかっていくことにした。そして、本年度より「特進Ⅱ」と「特進Ⅰ」を「特進」に一本化すると共にすべてのコースにおいて「国公立大学対応型のカリキュラム」を導入することにした。。

4.2 中学にコース制を導入
  翌平成20年には、中高6年を通したカリキュラムに基づいて教育を行う「一貫選抜」と、高校進学時に「選抜特進」「特進」のいずれかをコ―ス選択できる「発展」という2つのコース制の導入をはかった。「一貫選抜」は主として早くから将来の進学目標を持って努力している生徒を対象とし、進学目標は選抜特進と同じ東京・京都・大阪等の超難関国立大学である。「発展」は進学目標のスタート時期は早くなかったが、中学の3年間で基礎・基本と十分な応用力をつけて、中学課程を修了するという生徒を対象にしている。%E5%A4%A7%E9%98%AA%E7%A7%81%E5%AD%A6%E7%B5%8C%E5%96%B6%E8%80%8573.s.jpg

5.人間力を育てる環境教育の導入
  本校はこれまでもサントリー(株)から多くの支援を受けてきたが、平成19年より、人間力を高めることを狙いとした本格的な『環境教育』をスタートさせた。これは、現在地球上で起きている様々な環境問題は人間の行為そのものが原因となっているという認識に立って、〝環境に配慮することは、人に対する優しさや真心を育てることに繋がる〟ということから、人間力を育てるための大きな柱としようとするものである。具体的には、現在人類の最大の課題である水や食料、エネルギー、生態系の変化、温暖化、大気汚染といった各分野についての特別授業を展開するもので、〝本物に触れさせる〟ことをテーマに社会で活躍している一流の人材による講演等の学習を行っている。そして、単に知識を修得するというのではなく「学び 調べ 考え 行動する」ことを基本にしており、校外学習や修学旅行との連携をはかるようにしている。具体的には修学旅行や林間学舎での「植樹やサンゴの植え付け」をはじめ、「授業でのサツマイモの栽培」、「地産地消をテーマにしたエコ弁当作り」、生徒会を中心とした「トマトやイチゴの栽培」・「ゴミの分別」・「節電」・「雨水の利用」等の自主活動、生徒有志(環境大使)による「稲作」・「黒豆作り」、地元にある〝きずきの森〟の整備等年々環境活動としての広がりを見せはじめている。
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                                                     《続く》

2012年03月27日

H23.3.27 理事会・評議員会

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  3月27日(火)、平成23年度理事会・評議員会が開催されました。最初に鳥井理事長からご挨拶があり、役員・評議員の選任が行なわれ、次年度の体制が決定されました。既に、校内では発表されていますが、これにより私の理事・中学・高等学校校長の退任と次期校長となる影浦教頭の理事昇格が正式に決定されました。次いで、松下常務理事から私学を取り巻く環境や他の私学の動き、学園の教育並びに経営方針についての説明があり、平成24年度事業計画・予算案の承認決議がなされました。
  お蔭様で、学園の決算は中学・高等学校の生徒募集が順調に推移したことや経費の節減等で、大幅に良化し積立金を増額させることができました。続いて中学・高等学校、小学校、雲雀丘幼稚園、中山台幼稚園からそれぞれ次年度の教育ならびに経営方針についての説明がなされました。
  その後、昼食をとりながら意見交換がなされ、退任および新任の理事・役員からそれぞれ挨拶を行ないました。私はこの6年間の皆さんからのご支援に対する感謝の言葉を述べ、これまで取り組んできた学校改革についての取り組みについて感想を交えてお話しました。当初は必ずしも、この改革が全面的に受け入れられた訳ではなく、必ずしも一枚岩ではありませんでした。しかし、多くの先生の懸命な取り組みによって、中学の志願者・入学者、高校の志願者・入学者、国公立大学の合格者、無遅刻者、部活動の理事長表彰者が過去最高となる等、良い形で引き継ぐことができ本当に良かったと思っています。
  現在、本校では、『改革の第二ステージ』と位置づけ、一貫選抜コースが中学1年生から高校3年生まで揃う〝平成25年・2013年〟を目指して、さまざまな取り組みを行なってきています。これまではほぼ順調に推移してきていますが、私学を取り巻く環境は大きく変化してきており、まだまだ課題は山積しています。新しい体制の下、この第2ステージをしっかりと仕上げ、これに続く『第3ステージ』のあるべき姿を構築する。そして、学園ビジョンに掲げている〝関西を代表する一流の私学〟を目指していただきたいと思っています。


2012年03月25日

新年度に向けて

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  既に修了式は終わりましたが、学校はこれから新年度に向けての様々な取り組みが必要になってきています。来年度の学校経営計画については既に策定を終え、来る27日に開催される理事会で最終承認される見込みです。これを推進していく組織や人事体制も今月初めに発表し、分掌長や学年主任・担任等を中心に、それぞれのメンバーで昨年度の反省をしっかり行なった上で、来年度の計画づくりを検討しています。そして「誰が」「何を」「いつまでに」「どうする」というタイムスケジュールをしっかりと詰めている状況です。
  現在、本校は平成25年を完成年度とする〝学校改革の第2ステージ〟に位置しているため、来年度の計画については、この着地点をにらんだ上で作成することが大切です。そして、進捗状況を細かくチェックし、計画とのかい離が生じないようにしていかなければなりません。
  仕事の基本はPLAN(計画)-DO(実行)-CHECK(評価)-ACTION(改善)というサイクルを回していくことですが、修了式で生徒達にも話した通り、精度の高い計画に仕上げることが何よりも大切です。そのため、本年度の振り返りを含め来年度計画の個別のヒアリングを実施しており、新学期が始まるまでにすべての部署を終了する予定です。これに続いて、全教職員を対象に、昨年度の振り返りのチャレンジシートへの記入と新しい担当での目標設定を行なうことにしています。このマネジメント・システムが定着すれば、校長が変わっても学校経営は円滑に行なわれるということになります。
  一方で、昨日来年度から勤務いただく先生方に対する事前のオリエンテーションを行ないました。  また、教室をはじめとする学習環境の改善や備品の入れ替え等新入生の受け入れ準備等も順次進んできています。このように万全の体制で力強く新年度をスタートさせたいものです。  

2012年03月07日

6年間の感謝を込めて  ②

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  現在、わが国においては、いたるところで教育の課題が現出してきています。とりわけ、これからの社会においては、グローバル化がますます進展し、求められる力も大きく変わってきます。まさに本校の教育理念である〝社会で役立つ人材〟の育成が必要になってきているのです。一方で、少子化に伴う生徒数の減少と経済情勢の変化によって、私学の経営は非常に厳しい状況になっており、まさに学校の存続をかけた取り組みが必要になってきています。
  最初に本校に赴任した時に決意したことは『生徒の視点に立った学校づくり』を目指すということでした。この方向が明確になっていないと、生徒や保護者から受け入れられない学校ということになってしまいます。着任後、校外の多くの方から本校に対する評価をつぶさにお聞きしましたが、実に厳しいもので、このままの状況を続けていると早晩学校経営は行き詰まることになるという危機感を持ちました。これを防ぐためには、抜本的に学校のあり方を変える必要があります。そこで、コース制を柱とする学校改革を断行し〝完全週6日制〟〝長期休業期間の短縮〟等の授業時間数の確保を採用することにしました。改革するということは、これまでのやり方を否定することに繋がりますし、この結果さまざまな障害が出てきます。しかし、これらを乗り越えていかなければ新しい学校づくりはできないという思いで、将来のあるべき姿を描き、不退転の覚悟で取り組むことにしました。最初のうちは、この改革が全面的に受け入れられた訳ではありませんが、教職員の頑張りと多くの皆さんのご支援のお蔭で学校改革はほぼ順調に推移してきています。
  現在、本校の学校改革は本年度より『第2ステージ』に入っています。つまり、中学改革を行なった最初の年(平成20年)に入学した学年が高校1年生になったのを機に、すべて国公立対応型のカリキュラムに切り替えました。これは幅広い学習をすることで、将来社会に出た時に必要となる力をつけさせたいという考えです。私の役割はこの第2ステージの基礎を固めるということであり、平成26年以降の『第3ステージ』は若い新しい力で切り拓いていくことが必要であると考えています。そのための体制やシステムも整いつつありますので、円滑に引き継げるものと確信しています。    

2012年03月06日

6年間の感謝を込めて  ①

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《卒業式で生徒から花束を受け取る》
 
  この度、3月末をもちまして、雲雀丘学園中学・高等学校の校長を退任させていただくことになりました。校内においては、既に職員会議で発表し、2月末には全校朝礼で生徒達に、高等学校の卒業式でも卒業生や保護者の方にお話しました。これまで、このことは本校内に留め公表していませんでしたが、その後、多くの方からもさまざまなお問い合わせがありますので、このブログでもお伝えしたいと思います。中には学校の経営がうまく行っているのにどうして退職するのかという声もありますが、雲雀丘学園中学・高等学校はこれからも生生発展し続けていかなければなりません。そのためには常に学校全体に改革のパワーが漲(みなぎ)っていることが必要です。
  現在、本校は平成25年を到達年度とする『改革の第2ステージ』を迎えていますが、本年度でほぼこの基礎固めが終了しつつあります。そして、来年度以降取り組まなければならないのは、『第3ステージ』に向けての戦略構築ですが、これは今後本校を背負っていく若い世代が中心となって行なわなければなりません。私も年度末で66歳になりますが、体力は年々確実に落ちてきており、無理が利かなくなってきました。これまでは年齢的な衰えを気力でカバーしてきましたが、この状態は長続きしないと感じています。そのため、後進にバトンを引き継ぐタイミングは今が最適であると考えて決断させていただきました。
  振り返ると雲雀丘学園での6年間は私の人生にとっても実に密度の濃い充実した年月でした。この間、皆さんには大変お世話になり、心より感謝申し上げます。
  なお、これまでの学校改革の取り組みや現状について、これから何回かに分けて紹介していきたいと思っています。      
  

2012年02月23日

学校経営~戦略の構築は少人数で行なう

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  最近の世の中を見ているとあらゆる部門で二極化という現象が生じてきています。相次いで発表される企業の決算発表を見ても過去最高の利益を達成するところがある一方で、大幅な赤字を計上するところもあります。これは学校経営についても同じで、従来以上に学校間の格差は拡大してきていますが、この原因は激しく変化する環境への対応のスピードの差です。
  世の中の変化が小さく、すべての物事が安定的に流れている場合には部分的な修正を加えていくだけで大きな問題は生じません。そのためこういう状況が永年続いてきた分野では環境が変化してもこれまでと同じやり方を踏襲しようとします。「生徒数が激減する」「情報化やグローバル化が進展する」「企業の求める人材が変わってきている」といったことがわかっているにも関わらず、これまで思い切った手を打たず安易な方向に流れているところが目に付きます。そして、何か新しいことをやろうとしても〝金がない〟〝人がいない〟〝時間がない〟〝情報がない〟といった理由でなかなか前に進まないことが多いのです。この状態ではいつまで経っても学校改革は進みません。これを打破するためにはまず経営トップの〝自分達の学校は自らつくる〟という強い思いと他校にない独自の戦略が必要です。
  『戦略の失敗は戦術では補えない』という有名な言葉がありますが、今ほど戦略の重要性が問われる時代はないと思います。また、他校の良い点を学ぶという姿勢は大切ですが、他校のやり方をそっくり真似てもうまくいきません。他校にない特色を打ち出すという差別化戦略が必要なのです。そして、留意しなければならないのは、戦略構築は必ず経営のトップである校長と教頭を含めた少数のブレーンで行なうということです。衆知を集めなければと考えて、全員の意見を聴くとまとまりがつかなくなります。ビジョンと戦略はトップダウンで、経営計画と具体的な施策はボトムアップを中心に進めていくというのが基本です。

2012年02月22日

学校経営~学校経営計画と評価制度

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 最近、評価という言葉が頻繁にマスコミに登場するようになってきており、評価制度のあり方についての議論が活発に行なわれています。私も以前企業において人事関係の仕事に従事していたこともあって、これまで評価のあり方については色々と研究してきました。また、実際に事業経営を担当し、従業員の評価も行なう中で、人が人を評価することの難しさを身にしみて感じてきました。評価において最も大切なことは〝公平性〟と〝納得性〟です。この二つが曖昧なまま評価を行なうと、必ず問題が生じることになります。また、気をつけなければならないのは、評価することが目的化してしまうことです。評価は手段であって目的ではありません。そのためには、原点に戻って評価の目的は何かを明確にしておかなくてはなりません。
  今、あらゆる分野においては、さまざまな人事制度が導入されています。採用、昇格、昇進、異動、昇給・賞与等の給与、退職金、研修、福祉、表彰、懲戒、休暇等々です。これらの人事制度は何のためにあるのかと言えば、すべて経営をよくするためなのです。従業員のモティベーションを高めることによって経営が良化するこということにならなければ人事制度は形骸化しているということになります。このように考えると、評価制度についての第一義の目的は経営を良化させることであると言えます。
  従って、学校における評価のあり方も〝学校経営〟という観点と密接に結びついていなければなりません。言い換えると学校の経営計画がしっかりと策定されており、それが分掌や学年、教科に具体的な取り組みとして落とし込まれている。そして、これらの部門計画が更に個人レベルまで落とし込まれているということが大切なのです。学校全体の経営計画と部門別計画、個人別の計画が一気通貫になっていれば学校は間違いなく良い方に進むことになります。そのためにはそれぞれの計画の精度を高めることと目標設定の段階でのすり合わせが不可欠になってきます。分かりやすいように公立の場合を例にとって全体の流れを示しましたが、私立の場合もほぼ同様の流れになります。来年度に向けて学校経営計画の精度を高めると共に評価精度との連動をはかっていきたいと思っています。

2012年02月21日

学校経営活動の結晶~志願者数~

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  本年度も残すところ、40日になりました。現在、本校においては来年度に向けての学校経営計画の策定のつめを行なっていますが、大切なことは現状の課題をしっかりと洗い出すことです。そのためには、部門毎にキッチリとしたデータ分析が必要です。企業経営と異なり、学校については数値で表すことのできないものが数多くあるため、ともすると計画そのものが数値目標の入らない抽象的なものになっており、この結果、達成状況についても曖昧なままになってしまうことが多いのです。これでは、いつまで経っても課題が明確にならず、的確な手が打てないということになってしまいます。そのため、現在は分掌・学年・教科毎に客観的なデータに基づいて課題を抽出することをお願いしています。
  この一方で、管理職を中心に一段高い視点から学校トータルの経営を点検することにしています。つまり、中期計画の達成状況はどうなのか、「入口(生徒の確保)」 「出口(進学実績)」はどう推移してきているのか、といったことを分析し、経営の舵とりがうまくいっているかどうかをチェックしています。これは企業経営における売上高や利益額、資金の推移といったものに相当します。つまり、様々な経営活動をやってきた結果が集約されたものです。学校の場合には、これらに該当するのは「志願者数」と「進学実績」であり、言わば学校経営活動の結晶です。この様な見方をすると、高校と中学を合わせた志願者数は連続して増加してきており、全教職員の働きが報われたという結果になっています。これまで、私も色々な経験をしてきましたが、懸命に努力してもうまくいかなかったケースも数多くあります。現在の状況は多くの人達のご支援のお蔭であると心より感謝すると共に気を引き締めて教育活動の一層のレベルアップを図っていきたいと思っています。

2012年02月07日

部長主任会議の開催

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  2月6日(月)、本年度11回目(今年になって2回目)となる部長・主任会議を開催し、冒頭次のような話をしました。
1、今週末から、高校A日程の入試が始まる。お陰様で、中学受験に続いて、過去最高の志願者数となった。これは大変名誉なことであるが、注目されているということは、それだけ期待値が高いということになる。そのためには、今までと同じレベルのことをしていては駄目だし、小さなことをも逃してはいけない。一人ひとりが問題意識を持って取り組んでいってもらいたい。

2、“雲雀丘学園はどういう学校なのか”“何を目指しているのか”を自分の言葉で語れるようにして欲しい。「学校の方針だから」とか「校長がこう言っているから」と、そのまま伝えるだけでは理解は深まらない。ここにいる部長・主任の皆さんはこのことをしっかりと受け止め、先生や生徒に伝えていくことが大切である。

3、何度も言っているとおり、現在本校は第2ステージを迎えている。この到達年度は〝平成25年度〟であるが、まずこの第2ステージをキッチリ仕上げなければならない。そのためにはしっかりと現状を分析し、どこに問題があるのかを洗い出すこと、そして来年度の計画に反映させていくことが大切である。また、これと並行して平成26年以降の第3ステージのあるべき姿を構築していかなければならない。

4、現状の問題点だけを見て、とりあえずこうしようという対応型の取り組みでは抜本的な解決にはならない。将来のあるべき姿に向かって現状の課題解決をはかっていくことでなければ、いつまで経っても同じことの繰り返しになってしまう。〝将来の姿から物事を見る〟という姿勢が大切である。

5、来年度の学校経営計画の策定にあたって、これから課題を絞り込み、この課題解決のためにどういう体制でいくかを検討していくことになる。2月下旬に学年主任、分掌長、教科主任の人事を発表し、次いですべての人事を発表する予定である。
  今一度、気持ちを引き締めて取り組んでいきたいと思っています。

2012年02月01日

平成24年度学校経営計画の策定

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 2月1日(水)、新しい年になって既に1か月が経過し、今日から2月に入りました。現在、私立の中学・高校においては、中学入試が終わり、ほぼ来年度の入学者が確定し、引き続き2月10日からの高校入試に向けて準備を進めています。本校でも昨日、前期日程の入学願書受付を終了しましたが、志願者は992名と過去最高になりました。これはひとえに皆様のご支援のお蔭であると心より感謝しています。また、並行して各大学の入試がスタートし、高校3年生は合格を目指して懸命に取り組んでいます。そして、先生方も何とか生徒が希望する進路を実現させたいという思いで、通常の授業以外に入試対策として「特別講習」や「面談指導」等に注力しています。
  このように、各先生は相当ハードな勤務をこなしていますが、この時期に絶対検討しておかなければならないのは『平成24年度の学校経営計画づくり』です。この中には教育内容をどうするかということは勿論、カネと人をどうするかという『予算計画』と『人事計画』も含まれます。また、来年度の学校計画を検討する際には、中期の視点を取り入れ着地点を明確にしておくことが必要です。そうしないと単年度ベースの取り組みになってしまい、最終の姿を描くことはできません。これから新年度に向けてのステップは、まず「全体の学校経営計画を作る」、次に「学年主任や分掌長、教科主任を任命する」、続いて「部門毎の計画を作る」、そして最後に「各人の目標を設定する」ということになります。
  経営の質を高めていくためには1つの目標に向って、それぞれの仕事が繋がっており、教職員の協力体制が築かれていなければなりません。言い換えると、個人レベルではなく組織で動くということが必要なのです。従って今一度、学校のビジョンやあるべき姿を明確にして、衆知を集めた全員経営を推進していきたいと思っています。

2012年01月23日

部長・主任会議の開催

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  1月23日(月)、本年初めての部長・主任会議を開催しました。本校においては分掌長と学年主任の幹部を対象に、隔週に開かれる職員会議に先立って本会議を開催しています。そして、この会議で重要な案件の審議を行ない、結論を出して職員会議の議案として提出するということにしています。以前からも本会議は開催していましたが、この会議で決まった内容を職員会議にかけると、さまざまな意見が出されて、往々にしてまとまらないということがありました。これでは、この会議の存在意義がありません。学校は民間企業のようにピラミッド型の組織ではないため、教員の中に上司・部下という意識は薄いように感じます。そのため、分掌や学年の責任者であっても、組織をまとめるというマネジメント力は弱いようです。
この会議の冒頭、私から次のような話をしました。
  ①現在、二極化が進み経営がうまくいっている学校とそうでない学校の差が大きくなってきている。この事象をとらまえて、「よくやっている」とか「できていない」という評価になるが、この原因は数年前にある。数年前にどういう取り組みをしてきたかが、今の業績に繋がっている。
  ②「およそ計画を立てて、それを達成するために色々な取り組みを行なっていくのが経営である。国も地方も企業も学校も人の家庭もすべて経営である。」この経営の枠組みは、ビジョンを明確にし、あるべき姿を描き、現状とのギャップを埋めるための戦略を構築することである。
  ③『戦略の失敗は戦術では補えない』という言葉があるが、しっかりと戦略を構築しておくことが大 切である。今は平成25年までの絵は描けているが、次の平成28年までの戦略を構築しておく必要がある。この際には世の中のトレンドを把握すると共に外部の人の意見をしっかりと聞くようにしたい。
  ④これから来年度の計画を立てることになるが、現在の中期計画の内容を見直し、誰が、何を、いつまでに、どうする、という具体策を作って欲しい。
  ⑤最後に、経営がうまくいっていないところは、概して問題を感じていてもなかなか手を打っていない。また、議論が多く物事がなかなか決まらない。お客様第一の視点が欠けており、内部優先になっている。
  ⑥最近のニュースを見ていても、東大の秋入学やグローバル化の進展に向けての人財の育成などのことが出てきている。常にアンテナを張り巡らせて、社会の動向を把握し、それぞれの立場でどういうことをやるべきなのかを考えるようにして欲しい。
  経営は、トップダウンも必要ですが、多くの人の力が集まらないとうまくいきません。〝衆知を集めた全員経営〟を目指していきたいものです。


2011年12月12日

教職員研修会の開催

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  本学園では、毎年1回この時期に学園全体の教職員研修を開催しています。本年度は東京大学の玄田有史教授に“希望のチカラ”と題して講演をいただきました。
  玄田先生は、2005年から「希望学」というテーマで研究を続けておられます。今回の講演では、歌手やスポーツ選手等の例を紹介しながら、希望や夢についてわかりやすくお話しをいただきました。
印象に残った言葉は“希望が持てない子どもにこそ、希望が必要。”“大切なのは満点をとることではなく、51点でも良いから諦めずに続けていくこと。”“わからないというものを大切にしていくこと。” “一般的に、夢を持ちましょうという人は夢を叶えた人である、苦しいからこそ希望が必要であること。” “希望に棚ボタはない。希望を与えることを考えるのではなく、育てていくこと。何よりも大人が夢を持ち続けること。” 等です。
  そして、希望は次の4つの柱から成り立っているということを説明されました。
    Hope is Wish for Something to Come True by Action.
  この中で、あえて順番をつけるならAction(行動する)Come True(道筋を考える)Something(何かを見つける) Wish(強い気持ちを持つ)ということになる。最も重要なのはActionであり、行動することによって色々なものが見えてくるようになる。何よりも率先して行動をしていくことが大切であることを熱っぽく教職員に語りかけていただきました。
  今回の講演の内容は、児童や生徒を立派に育てるという使命を持って日常の教育活動を行なっている一人ひとりの教員の胸に深く刻み込まれたのではないかと思います。
玄田先生には、大変な過密スケジュールの中、ご講演いただき心より感謝申し上げます。

なお、先生は多くの著書を執筆されていますので、紹介します。
 『仕事のなかの曖昧な不安――揺れる若年の現在』
 『14歳からの仕事道』
 『働く過剰-大人のための若者読本』
 『希望のつくり方』

2011年11月27日

スピードを上げる

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  民間企業から公立高校に着任して、感じたのはあまりにも変化を好まない風土であるということです。民間企業の場合には前年やったことを見直し、更に改善しようとします。仮に、新製品がヒットしたとしても、次の年には更にこれを上回る商品を発売しようとします。しかし、学校では原則として、前年踏襲型の業務の進め方になっており、余程問題がない限り、変えようとはしません。
  昨今の世の中は、これまで徐々に変化してきたことが短期間で大きく変わるようになってきました。このような時代にあっては何事もスピードが要求されます。学校も例外ではありません。学校においては4月の入学式・始業式から3月の卒業式・終業式までの間に日々の授業、定期考査、体育大会・文化祭・修学旅行等の学校行事が行なわれます。この他に、私学の場合には生徒募集のための広報活動や入学試験がありますが、あらかじめ年間スケジュールが決まっています。また、生徒が毎年入れ替わることもあって、課題があっても新たな検討がなされないまま、従来どおりの学校運営が行なわれることになります。
  そのため、いつまで経っても課題は解決されず、新しい学校づくりはできません。これを防ぐには、早急に検討案をまとめ上げ、円滑に導入をはかっていかなければなりません。学校では全員の意見を聞き多数決で物事を進めていこうとする傾向がありますが、この方法をとる限り、ひとつのことを決めていくのに時間がかかり過ぎますし、無難な結果に陥ってしまいます。そしてうまくいかなくても「全員で決めたのだから」とか、「あれだけの時間をかけたのだから」という言い訳に繋がってしまいます。また、すべての関係者に意見を聞いてまとめようとしても全員の意見が一致することはまずありえません。
  本校は現在新しい学校づくりを進めていますが、これからも環境の変化に即したスピードある学校経営を目指していきたいと思っています。

2011年11月26日

戦略を構築する

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 本校では学校経営を進めるにあたって『4つのS』というキイ・ワードを掲げています。これは、戦略・スピード・シンプル・システムです。最近のさまざまな業界を見ても極端な二極化が進展しており、最高益を上げているところがある一方で、大きな赤字を計上するところも散見されます。よく経営がうまくいかなかった時には、外部原因を求めがちですが、あくまで内部に責任があると考えることが大切です。昔から〝戦略の失敗は戦術では補えない〟という言葉がありますが、まさに今は戦略が極めて重要になってきています。
 世の中の変化が小さく、すべての物事が安定的に流れている場合には従来のやり方を踏襲し、部分的な修正を加えていくだけで大きな問題は生じません。しかし、この状態が長く続くと次第に安易な方向に流れ、将来大変な状況になることが予想されてもそのまま放置しておくことが多くなってきます。
 教育現場においても「生徒数が激減する」「情報化やグローバル化が進展する」「企業の求める人材が変わってきている」「キャリア教育がより重要になってくる」「人間力をつけなければならない」といったことが分かっていたのにもかかわらず、これまで思い切った手を打ってこなかったというのが現状です。
 本校においては、平成25年を最終目標到達年として「あるべき姿」を設定し、高校のコース制(平成19年)、中学のコース制(平成20年)、環境教育(平成20年)、新校舎建設(平成22年)、国公立対応型カリキュラム(平成23年)等の導入をはかってきました。また、これらを経営の柱にして、「入口」「校内」「出口」の3つを固めるということで取り組んできました。
  どのような組織においても、新たなことをやろうとすれば、“難しい”とか“大変だ”とか“やらされている”という言葉が発せられることがありますが、これは危機感が薄いからです。今、大切なことは、〝自分達の学校は自らつくる〟という強い思いを持って学校独自の戦略を打ち立てることであると思います。そして、この様な組織風土を作り出していくことが経営トップの姿勢です。生徒や保護者にとって役に立たない学校は存在価値がないと言っても過言ではありません。そして、他校にない差別化(特色づくり)をいかにはかっていくかがポイントになります。そのためには、学校を取り巻く環境とライバル校の動向をしっかりと把握し、独自の戦略を構築していかなければなりません。
 また、本校は雲雀丘学園に属していますが、これからは幼稚園、小学校を含めた学園としての強みを生かす総合戦略を打ち出していくことが何よりも必要であると思っています。

2011年11月25日

24年度学校経営計画の策定に向けて

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 本年も残り少なくなってきましたが、私立の中学・高校においては、これから来年3月末までの4か月間は1年のうちでも極めて重要な期間になります。本校においても入試広報活動のつめ、高校入試の教育相談、中学入試、大学センター試験と個別大学試験、高校入試、高校卒業式、中学卒業式、教職員の人事等を次々と推進していくことになります。しかし、これらの他に今、絶対にやっておかなくてはならないのが、次年度の学校経営計画の策定です。この経営計画のためには、今年の反省をキッチリと行ない、課題を明確にした上で来年度につないでいくことが大切です。そして、学校経営を円滑に進めるために明確な方針を打ち出していかなければなりません。これは組織で仕事を進めていく際の基本です。
  分かりやすいように企業の例を取り上げると、個人商店の場合にはその日の仕入れや売り上げをきっちり管理しておけば十分ですが、事業の規模が大きくなり従業員の数も増えて仕事が分担されてくるとそれだけでは円滑な経営はできません。ひとつの目標に向かってそれぞれの仕事が繋がり協力体制が築かれていなければなりません。個人から組織で動くということが必要になってくるのです。そのために多くの企業では経営の管理レベルを高めるためのしっかりとした枠組みをつくり上げ、常に改善を加えてきています。
  一方、学校においては前年踏襲型の仕事の進め方を続けてきたため、こういった取り組みが弱いという傾向があります。言い換えると『経営計画』が十分出来上がっていないということです。
  私はこれまで公立高校も含めて校長の仕事を10年間行なってきましたが、校長の勤務は卒業式・入学式・修学旅行・体育祭・文化祭といった学校行事、生徒に対する生活・進路指導、校長だよりの掲載、学校説明会や相談会・塾対象の広報活動、PTA・保護者との対応、地域交流、授業見学、教職員との面談、さまざまな機関との調整等実に多忙を極めています。このため、ともすると落ち着いて考える時間がとれないということになリがちです。そして気がつくと今年一年間は本当に忙しかったという感想だけが残ることになります。これでは、いつまで経っても良い学校づくりは進みません。  
  現在、本校は学校改革を進めていますが、環境の変化の激しい中にあって、立ち止まるわけにはいきません。あるべき姿に向けて、来年度(平成24年度)の計画をしっかりと固めるというのが、学校のトップである校長の最大の責務であると思っています。
  なお、これまでの経験を踏まえ、学校経営についての考え方をこの校長通信で順次取り上げていく予定です。

2011年10月25日

学校経営~鍋蓋組織とピラミッド型組織

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  今、大阪府においては教育条例案をめぐって、さまざまな議論が交わされています。本日は大阪府の教育委員全員がこの条例案に反対するということで記者会見を行ないました。私はこれまで、34年間、民間企業のパナソニックで人事部門や経営の仕事を担当してきました。そして、4年間大阪府立高校の校長を歴任した後、現在本校で校長の仕事に就いています。この10年間の教育現場での勤務を通じて、正直なところ民間企業でのマネジメントをそのまま適応することは難しいと思っています。何故なら企業と学校では組織風土が全く異なるからです。従って、これから何回かにわたって、学校経営ということについての私なりの考え方を紹介していきたいと思っています。
  最初に取り上げるのは組織の違いです。学校は『鍋蓋(なべぶた)組織』になっていると言われていますが、この意味は校長・教頭が鍋のつまみで、この下に各教員が横並びに位置しているということです。実際の学校組織を見ると、縦糸としての「学年」と横糸としての「分掌」があります。そして、小学校、中学校、高校と上級学校に進むにつれて教科の専門性が高まるため、教科としての取組みが重要になってきます。このように中学校や高校では「学年」「分掌」「教科」という3つの調整をはかりながら学校経営をしていかなければなりません。しかも、学年は一つではなく、各学年の状況が異なるため調整が難しいということもあって、ともすると学年中心の運営になってしまいます。そのため、毎年、修学旅行先が変わる、模擬試験のやり方や補習、進路指導、生徒指導等のやり方が異なるということになってしまいます。この結果、前年度の反省や苦労して作り上げたノウハウが次の学年に引き継がれないという事態を招くというケースも散見されます。また、学年主任や分掌部長が校長の任命制になっていない学校もあって、リーダーシップが発揮しにくいということもあるようです。そして、すべての物事が話し合いで決まっていくため、大きな改革ができにくいということになりがちです。これまでのように、学校を大きく変える必要がない時には、このやり方で十分であったと思います。
  民間企業では、ピラミッド型の組織になっており、トップの意思が末端にまで届くようになっています。そして、製造や営業という「ライン」と経理や人事・企画という「スタッフ」が明確に分かれており、ライン業務とスタッフ業務を兼務することはほとんどありません。そしてスタッフの役割はラインの仕事がスムーズに流れるように調整したり、仕組みやシステムの構築をはかる等の活動を通じて事業を伸ばすことを目的としてトップを補佐し経営改革を推進していくようになっていました。しかし、最近の環境の変化に対応し、迅速な意思決定をはかるために、階層を減らすことによりフラット化を目指しています。このことからも解るように、裁量性の大きい鍋蓋組織が一方的に悪いというのではありません。
  本校では、「教務」「進路」「生徒指導」「入試広報」の4分掌と中・高の6学年の責任者をはじめ、教職員の人事についてはすべて校長が任命することになっています。そして、学校を取り巻く環境が大きく変わる中にあって、学年単独の取組みではなく、分掌とのマトリックスによって円滑に教育活動が推進されるように学校全体のシステム化をはかっていきたいと思っています。
         

2011年09月13日

10年の歳月を経て

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  大阪府立の校長に就任するということで、私がパナソニック(株)を退職したのは平成13年の末でした。そして、3ヶ月間にわたる教育センターでの研修を経て、平成14年の4月から守口北高校(兼)芦間高校の校長として赴任しました。芦間高校は守口高校と守口北高校が再編統合されて新設された「総合学科制」の学校です。月日の経つのは早いもので、この芦間高校がこの度、創立10周年を迎えることになりました。これはとりも直さず、私が教育の仕事に就いて10年になるということを意味しています。正直なところ、これほど長く教育関係の仕事をするとは夢にも思っていませんでした。
  この節目にあたって、芦間高校では記念誌を発行し、11月には記念式典を開催するとの連絡を受けたため、先般創立時の思い出を認め(したため)た原稿をお送りすると共に、久しぶりに文化祭の見学を兼ねて学校を訪問しました。しかし、当時の先生はほとんどが転勤されており、校長も三代目ということで、学校の様子も随分変わっていました。
  公立の場合には転勤があり、必ずしも希望する学校で勤務できるかどうかは分かりません。そのため、年数が経てば創立の精神が薄らいでしまうようです。また、それぞれの学校には校是がありますが、これがしっかりと受け継がれている学校は少ないように感じます。
  現在、教育界を取り巻く環境は大きく変化してきているため、教育活動の中身については都度見直しが必要です。しかし、どの時代にあっても学校のバックボーンである創立の精神や校是は不変のものとして、折に触れて確認しておく必要があります。
  私学の良さは、これらの精神が脈々と受け継がれていることです。現在、本校においては学校改革を推進中ですが、全教職員がこれらを胸に刻み込んで、日々の教育活動を進めていきたいと思っています。

2011年09月08日

緊急連絡網の活用状況

  先日、今回の文化祭にあたって『緊急連絡網』を使用したという内容を取り上げたところ、外部の教育関係者から問い合わせがありました。本校がこのシステムを導入したのは2009年6月です。当時は新型インフルエンザの流行が懸念されており、生徒の出欠状況を確認した上で休業等の措置を決定し、この結果を電話で保護者に連絡するという方法をとっていました。しかし、これでは時間がかかる上に情報が間違って伝わる心配もあり、またプライバシーの問題から連絡網そのものが構築できないなど、多くの問題を抱えていました。そこで色々と検討した結果、㈱NTTデータの学校連絡網サービス「Fair Castサービス」(子ども安全連絡網)を導入しました。この「Fair Castサービス」では登録した電話番号やメールアドレスは学校、運営会社とも調べられない仕組みになっており、安全な環境で個人情報が保護されています。登録方法は学校番号・利用者番号・パスワードのほかに希望連絡先を入力すれば終了です。また、費用も生徒一人当たり最少プランで年間630円で10回の緊急連絡を行なうことができます。また、固定電話や携帯電話の音声だけでなく、電子メール、FAXから自由に選択できることになっています。そして、最大のメリットはすべての保護者・教職員に対して、正確・迅速に一斉連絡できるということです。
  このシステムを導入して2年が経過しているため、これまでの活用状況を振り返ってみると、今回の文化祭の中止をはじめ、天候不順等による運動会の中止、インフルエンザによる学級閉鎖等、不測の事態の緊急の連絡に大きな効果を発揮しています。
  危機管理のポイントとしては、早期における情報の共有化が何よりも大切ですが、ほとんどの学校ではまだ電話による連絡網が中心になっています。また、このシステムの導入状況を調べてみると、東日本大震災以降、全国の160校で新たに導入されたようです。課題は入学や卒業等で生徒の異動等が生じた際のメンテナンスをスムーズに行なうことですが、、これからも幅広く活用していきたいと思っています。

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2011年09月06日

文化祭後記~不測の事態への対応

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    ≪書道部による展示≫           ≪華道部員の皆さんと≫

  9月6日(火)、昨日までの雨がすっかり上がり、すがすがしい青空が広がりました。この天気が2日間ずれていればと思っている生徒や先生、保護者も多いはずです。しかし、今日の生徒達の様子を見ていると、多少の疲れはあるものの気持ちを切り換えて学校生活を送っているように感じました。
  今回の文化祭は台風に翻弄され続けましたが、担当の先生を中心に善後策を早急に考えて実行に移すことができました。この理由を上げると大きく2つあるように思います。
  「1つ目」はここ数年、緊急連絡網の導入やホームページの活用等を積極的に行なってきたということがあげられます。特に(株)NTTデータによる緊急連絡網は保護者の携帯電話や固定電話の音声、パソコンの電子メール、FAXの中から希望の2つを選択できるようになっており、迅速な伝達が可能になりました。今回はホームページによる掲示も行ないましたが、アクセスが集中したため、ご迷惑をおかけすることになりました。もし、緊急連絡網を導入していなかったら大混乱を招いたのではないかと思います。
  「2つ目」は教職員の不測の事態における対応力の向上です。それぞれの担当者が受身の姿勢ではなく、自分なりにどうすれば良いかを考えてくれていたためスムーズに意思決定を行なうことができました。
  物事を進める場合に大切なことは、しっかりと計画を詰めておくことですが、いくら綿密な計画を立てていても、その通りに実行できるとは限りません。むしろ、当初の計画どおりにいくことの方が珍しいのではないかと思っています。今回の文化祭を通じて、常に危機意識を持って、不測の事態を想定し迅速に行動することの大切さを改めて痛感しました。
  よく学校は危機管理が弱いということが言われますが、これからは更に危機管理体制の強化と教職員の意識改革をはかっていきたいと思っています。

2011年08月31日

学校経営~お客様第一の姿勢を貫く

  業績が伸びている企業にはいくつかの共通点がありますが、その最大のものは〝お客様第一〟という考え方が従業員一人ひとりにまで貫かれているということです。〝お客様は神様です〟というへりくだった態度は行き過ぎかも知れませんが、まずお客様の言い分を聞き、少しでも企業に非があればこれを積極的に受け入れ対応します。何故ならいくら自分達の正当性を主張したとしても、その結果お客様に受け入れられなければ販売や利益が減少し企業の存続はできなくなるからです。つまり、企業業績の差は顧客満足度の差であると言えると思います。
  これからはすべての分野で〝サービス〟という考え方が必要になってきます。教育という仕事も〝人材育成サービス業〟ととらまえれば、生徒や保護者の満足度を上げる、つまり徹底的に不満を解消していくことが大切です。最近、よくマスコミ等で学校の比較が取り上げられるようになってきました。私もこの結果を注視していますが、公立・私立を問わず人気のある学校は例外なく他校にない特色づくりを行なっています。公立と私立では授業料が高いという経済的な理由で、私学が敬遠されてきたのも事実ですが、私学間では、授業料に見合った教育サービスができているかどうかが学校選択のポイントになっています。
  本校においては、現在コース制を柱とする学校改革に取り組んできています。この基本は人間力と学力を兼ね備えた〝将来社会で役立つ人材の育成〟です。そのためにきめ細かい指導を行なってきていますが、決して学力向上だけを目指して詰め込み式の教育を進めている訳ではありません。この成果は徐々に現れつつあり、お蔭さまで年々本校を受験していただく人も増えつつありますが、更に教育サービスの向上につとめていきたいと思っています。

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2011年08月30日

兵庫県私学学校展の開催

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  8月30日(火)、兵庫県の私学 中学・高等学校52校が参加する『第6回兵庫私学中学・高等学校展』が大丸神戸店で開催されました。会場は少し手狭ですが、兵庫県の全私学52校が一堂に会して開催される合同説明会は壮観そのものです。会場入口には各校のパンフレットが山積みされ、『兵庫の私立中学・高等学校ガイド』と各校のブース配置図が配られました。
  各校は前日までに説明資料やパンフレットを搬入し、各校の担当者は午前10時の開場に備えてそれぞれのブースで来場者を待ち受けましたが、開場と同時に生徒・保護者の皆さんが希望する各校のブースに殺到され、開場はたちまち熱い熱気に包まれました。私も本校の入試広報部の先生達と共に朝から来場された生徒や保護者の皆さんに本校の状況を説明させていただきました。今年は会場の都合で、8月末のしかも平日開催となりました。まだ、初日で来場者は確定していませんが、昨年度に比べて減少するのは避けられないようです。この催しは31日も午後6時まで開催されますので、是非お越しください。
  私は受験校を選ばれる際には、是非学校に足を運び、生徒の様子や学習環境をご自分の目で確認していただくことをお勧めしています。本校は5年前から学校改革を進めてきており、これまではほぼ順調に推移してきています。しかし、改革はこれで終了ということではなく、毎年新たな挑戦を続けてきたいと思っています。これからもホームページ等を通じて、積極的に情報を発信していく予定ですので、ご確認ください。
  また、本校ではいつでも入試相談に応じておりますので、事前にご一報いただき、是非ご来校ください。

2011年08月28日

よりよい学校づくりを目指して

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  8月も残すところわずかになってきました。本校は既に2月期がスタートしていますが、間もなくすべての学校が新年度を迎えることになります。日本においては、通常新年度は4月から始まり、3月に終わるということになっていますが、他の国で9月スタートというところが多いようです。また、企業の決算を見ると4月からスタートするところが多いようですが、1月や5月スタートのところもあります。いずれにしても、スタートにあたって「しっかりとした計画が出来上がっている」ことが大切ですが、昨今のように環境が激変している時には、かなり綿密に変動要素を洗い出し、シミュレーションをしておかなければなりません。
  私も今年、教育の仕事に就いて10年目を迎えますが、企業に比べると学校には経営という視点が弱いように感じています。これまで公立高校での勤務の経験もありますが、ほとんどが学校を運営するというスタイルで、学校を経営するという見方はほとんどありませんでした。また、生徒がお客様であるという意識も薄いように感じました。さすがに公立とは違い、私学については「学校経営」という視点はありますが、まだまだ教職員にこの考え方が浸透しているとは言えません。そのため企業から学ぶべき点は非常に多いと思います。
  以前、優良企業の経営について調査した結果、発展している企業の取り組みには共通点があることが解りました。学校の場合、株主への優遇といった項目は該当しませんが、共通項は数多くありますので、これを〝より良い学校づくり〟に当てはめてみました。これをベースに9月から来年度の学校経営計画の検討に着手していきたいと思っています。

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2011年08月26日

学校経営~広報活動を強化する

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  8月26日(金)、大阪府の教育委員と私学経営者の代表による『大阪教育会議』が開催されました。大阪府では私学助成に対する政策の変更により、今春私学シフトが大きく進みました。この結果、公立高校全体では実に49校で1498人の定員割れが生じ、私立は3240人の入学増となりました。しかし、公立の中にも競争率の高い学校がある一方で、私立の中にも入学者が募集人員を大きく下回る学校もあります。要は、保護者や生徒から選ばれるような人気のある学校には生徒が集まり、そうでない学校は定員を充足することができなかったということです。
  私は公立高校での勤務の経験がありますが、総合学科に再編統合される前の守口・守口北の2つの高校は、募集活動らしいものはほとんどなかったように思います。言い換えると募集活動をしなくても生徒が確保できるという状態であったようです。この状況が一変したのが今春の入試であったと思います。
  私学においては進路や教務、生徒指導等の分掌と同様、入試広報を重要な分掌として位置づけています。生徒が入学してくれなければ入学金も授業料も補助金も入ってこないため、校舎建設や耐震補強、設備の充実等の教育環境を整えることも出来ませんし、先生に対しても十分な給与が支払えなくなります。また、極端な場合には先生の数を減らすということも検討しなければなりません。こうなると、質の高い教育活動を行なうことも出来なくなるため、広報活動を重要な経営戦略の一つに位置づけています。少子化で生徒数が減少すれば当然の結果として入学者が減ることになります。これは公立高校でも同じですが、入学する生徒が減ってもヒト・モノ・カネはすべて教育委員会で決められているため、どうしても学校経営という見方が抜け落ちてしまうことになります。しかし、生徒が入学してこないというのは民間企業において消費者が商品を買ってくれないとか、お店にお客様が来てくれないというのと同じことです。これからは公立・私立を問わず従来以上に広報活動を学校経営の大きな柱として位置づけ、全教職員に広報活動の大切さを浸透させていくことが必要です。
  本校では校内における入試説明会やオープンスクールの開催、校外での入試相談会、塾訪問、塾長説明会、全教員による中学校訪問、中学教員説明会をはじめ、学校案内やパンフレットの作成、ホームぺージによる教育活動の紹介等さまざまな取り組みを行なっていますが、更なる広報活動の強化につとめていきたいと思っています。

2011年08月24日

学園中期計画検討会議の開催

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  8月24日(火)、全校朝礼を開催し昨日雨のためできなかった部活動での表彰を行ないました。この夏休に開かれた各種大会において、生徒達は大いに日頃の練習の成果を発揮し、優秀な成績を収めたようです。2学期が始まって2日目で、まだ夏休み気分の抜けきっていない生徒もいるようですが、新学期はほぼ順調にスタートできているように感じています。
  また、本日は午前10時から17時半までほとんど丸一日かけて、学園幹部が集まって『学園中期計画検討会議』を開催しました。本学園は「雲雀丘」と「中山台」という2つの幼稚園、小学校、中学・高等学校がありますが、これだけの時間をかけて中期の課題を検討することはあまりありません。従来はこの時期に学園内の各校種から主要な先生が集まり、外部の講師を招いて研修会を開催していました。その後、中高の夏休みの短縮を受けて、この研修を取り止め課題検討の場に切り替えましたが、この内容は各校種の年次計画報告の域を出ないものでした。これでは当然のことながら従来の延長線上の取り組みから脱却し、具体的な改革に繋げることはできません。この反省に立って、今年からは目標とすべき着地点を5年先に定め、極力あるべき姿を提示することにしました。そして、お互いに忌憚のないディスカッションを行なったため、課題はかなり明確になったと思います。
  それぞれの校種が改革に取り組むだけでは雲雀丘学園としての総合力を発揮することはできません。具体的な中期目標を設定し、相互に協力をはかりながら個々の活動計画に落とし込んでいくことが大切であると思っています。

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2011年08月20日

学校経営~業務を見直す

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  民間企業から公立高校の勤務に変わって驚いたのはあまりにも資料が多く、整理整頓ができていないということです。生徒に配布するプリントや答案用紙、生徒からの提出物が多いという学校特有の事情が理由のひとつにあげられますが、事務室や職員室の実態を見る限り、どうもそれだけではなく業務改善が進んでいないように感じました。
  その後、本校に着任しましたが、やはり同じような状況で、職員室内は公立高校と同じく前の人の顔が見えないくらい資料が積み上げられていました。しかし、新校舎建設に伴い、職員室内に資料保管のキャビネットを設置すると共に整理整頓を行なうことにより、以前に比べると各人の机の上は随分美しくなってきました。また、一人一台のパソコンの配備により、業務改善を行なう環境が整ってきました。
  民間企業では「コストを削減する」という考え方が浸透しているため、常に業務の見直しが行われています。特に付加価値を生み出さない間接部門は徹底したスリム化を目指して取り組んでいます。
  業務を見直す切り口としては「重要度」「緊急度」「業務量」「コスト」といったものが上げられます。業務を単純に分類すると「新規にやる」「より良いものにする(改善)」「やめる」という三つになります。まず現行の業務と将来発生する業務をすべて洗い出してこの三つに落とし込みます。そして限られた人員、予算、時間の中でどのような取り組みが必要なのかを検討し、重要度や緊急度の低い業務は極力なくしていきます。
  学校の業務には過去の延長線上の総花的な取り組みが多く、まだまだ見直す余地があるようです。今後、次のような視点でしっかりと業務を見直していきたいと思っています。
①三ムの撲滅・・・無理(ムリ)無駄(ムダ)斑(ムラ)を排除できないか
②RIAL推進・・その仕事はなくせないか、なくしたらどうなるか
③簡素化・・・・・シンプルにできないか
④システム化・・・有機的にまとめることはできないか
⑤標準化・・・・・誰にでもできる仕組みにならないか
⑥マニュアル化・・手順を明確にできないか
⑦平準化・・・・・仕事の繁閑をなくせないか
⑧スケジュール化・仕事の流れをスムーズにし手順前後が防げないか
⑨コトマエ管理・・事前に問題点をつかめないか
⑩ロス・コスト・バスター・・不必要な経費がかかっていないか 等

2011年08月19日

学校経営~ITの積極的な活用をはかる

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  夏休みも残り少なくなってきましたが、本校では生徒が登校していない長期休業中に施設の補修や設備関係のメンテナンスを行なうことにしています。今年の夏には中央棟のエアコンのメンテナンスとパソコンの全数入れ替えを実施しました。
 お盆明けの17日に出勤すると、校長室のエアコンとパソコンが新しいものに入れ替わっていました。早速、パソコンを開いてみましたが、セキュリティー対策がなされていることやバージョンアップが図られていること等によって、かなり操作が複雑になっているようです。一般的に学校は民間企業に比べるとIT化が遅れているように感じていますが、本校においては、既に校内LANが設置され、一人一台のパソコンが配備されています。新校舎の建設に伴い、情報の迅速な伝達や共有化、資料の削減によるペーパーレス化、業務の効率化等をはかってきましたが、まだまだ十分とは言えません。今回は、これまでパソコンの共有をお願いしていた非常勤の先生方にも一人一台の配備を行なうことになりました。
  今の世の中は情報化とグローバル化が急速に進んできています。IT化のメリットははかり知れないものがあるため、多くの企業ではこのIT環境を高めることによって、単なる業務の合理化だけでなく、すべての業務の仕組みやマネジメントのあり方そのものを変えようとしています。そのため民間企業におけるITは経営戦略の一つに位置づけられており、トップダウンで推進されています。
  これからは、本校においてもマネジメント改革や教材の共有化による授業の質的向上をはかるためのツールとして大いに活用していくことが必要であり、IT化の推進は学校経営の仕組みを変えるという意味で、非常に重要な役割を担っています。そのためには、各人のITスキルのワンランク・アップをはかり、
新たな仕組みやシステムを構築していくことが重要であると思っています。

2011年08月14日

大阪私立学校展の開催

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  学校づくりのためには、自分達の学校に合った生徒を確保することが何よりも大切です。私学の場合には、入学者が減るとたちまち授業料、補助金、入学金の減少に繋がります。そして、収入がなければ教育環境を整えることも出来ませんし、充実した教育活動を行なうことも出来ず、学校経営は成り立ちないことになります。これは公立高校でも同じですが、入学する生徒が減っても学校経営に支障が出ると思っている教職員はほとんどいませんし、校長や教頭もこのような状況が続いても学校がつぶれるという危機感はあまりないように感じます。従って、これまで広報活動を積極的に行なう学校は少なかったように思います。しかし、現在生徒数はピーク時の半数になってきており、今年の入学者選抜の結果を見て、待ちの姿勢では生徒の確保は出来ないということが分かってきたようです。このため、公立においても広報活動に注力し始める学校が増えてきました。それでも私学の生徒募集の取り組みには、到底及びません。
  この状況を確認するためには、実際の私学の募集活動の現場を見ることが大切です。大阪では例年この時期に、府内の私学が一堂に会した『私立学校展』が開催されており、今年は昨日(土曜日)と本日(日曜日)の両日、天満のOMMビルにおいて開催されました。折角の機会ですので、生野教育委員長をお誘いして、この催しを見学することにしました。
  参加校は実に102校、入場者は初日が〝14095人で、昨年比1600人増〟2日目が〝10626名で、昨年比 1500名増〟合計では〝21672名で、昨年比3100名、17%増〟となり、過去最高の数字を記録し、大盛況でした。また、私の知り合いの多数の校長や教員も会場に来ておられ、熱心に生徒や保護者の説明に当たっておられました。初めて、この催しを見られた教育委員長もこの熱気に驚いておられました。そして、人気校のブースには長い行列ができており、来年度の入学者選抜においても、更に私学シフトが進むのではないかと感じました。残念なのは、教育委員会事務局をはじめ、公立高校関係者の姿がほとんど見られなかったことです。ライバル校の動きをしっかりと把握しておくことが何よりも大切であると思っています。

◇兵庫県においても、8月30日(火)と31日(水)に神戸大丸において、これと同様の『兵庫県私立学校展』が開催されます。是非、お誘い合わせの上、お越しください。

  

2011年07月28日

学校における経営革新・マネジメント改革

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  学校はよく「閉じられた社会」と言われますが、これは決して褒められた言葉ではありません。現在、大阪府の教育委員に就任していることもあって、教育関係の方や企業の経営者・人事担当の方とお会いする機会も増えてきていますが、教えられることが多いように感じています。
  今、世界は急速に変化してきていますが、日本は完全にグローバル化の波に乗り遅れてしまいつつあります。大震災や原発事故といった日本の国を揺るがす出来事が起こっても、この日本丸をどの方向に進めていくのかという大きな指針が見えません。このような中にあって、企業の中には明確な戦略を打ち出し、着々と手を打っているところもある反面、論議だけに終始し、なかなか実行に移せないというところもあります。この結果、従来以上に二極化が顕著になってきています。
  私は〝今の二極化現象はこれまでのような生易しいものではない〟ように感じています。これまでも、よく〝生き残りをかけた〟ということが言われ続けてきましたが、何とか持ちこたえてきたというのが実状です。しかし、これからは完全に〝淘汰〟とか〝消滅〟といったことが現実になってくると思います。
  このことは企業だけとは限りません。病院も学校も地方公共団体も国も同じです。特に少子化が進み、中長期的に見て児童生徒数が減少していく教育界においては公立・私立を問わず、他の分野以上に『経営革新・マネジメント改革』が必要です。「自分のところは大丈夫だろう」とか「何とかなるだろう」といった甘い考え方を払拭し、さまざまな視点に立って具体的な取り組みに落とし込んでいかなければならないと思っています。

2011年07月26日

聖母女学院との交流

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  この度、京都の藤森にある学校法人聖母女学院を訪問しました。聖母女学院は雲雀丘学園より長い歴史を持つ学園であり、同学院のモットーは創立者の言葉である「愛と奉仕と正義」です。これは家族・友人・隣人・社会・世界に仕え、不正義を決して赦さない神の正義を貫いていくことです。そのために、自らを鍛錬することによって、平和な社会を作ることに貢献できる人間に育っていくことを目指しておられます。
  聖母女学院の教育ビジョンは「従順」と「純潔」です。従順は、真理を探求する歩みの中で出来事を正しく判断し、正しいことをはっきりと表明し、それに誠実に従う強い意志を意味し、「純潔」は、真理を純粋に誠実に受け入れ、実践する生活態度を意味しています。当日は藤森から学院までの間、多くの生徒達に会いましたが、素直で上品な印象を持ちました。
  同学院は短期大学から幼稚園までを有する総合学園ですが、このような素晴らしい教育ビジョンを有しながら、ここ数年優秀な生徒が入学してこないという状況になっています。
  今回は経営のトップである校長・教頭、園長をはじめとする幹部の方々との意見交換を行ないましたが、正直なところ、思い切った改革が進んでいないように感じました。今回の研修会を機に、幹部が団結して改革に向けての力強い第一歩を踏み出して欲しいと思っています。


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2011年07月15日

私学経営の課題

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  教育の仕事に就いて、今年で10年目を迎えますが、私学経営というのは企業経営に比べると、そんなに複雑ではありませんが、その分難しい側面を持っているように感じます。企業の収入にあたるのは、納付金と補助金しかありません。一方支出の大部分は教職員の給与と施設維持のための費用です。納付金の金額を増やすためには、生徒数を増やすか、授業料等を値上げするしかありませんが、この経済情勢の中では簡単に受け入れられるものではありません。また、教職員の給与体系は年功序列になっているため、年々自動的に上昇していく傾向にあります。更に、校舎や体育館等の施設を維持管理していかなければなりません。このために、毎年引き当てをしておく必要があります。現在の教育界は少子化が進み、過去の生徒急増期のように、右肩上がりで生徒が増えていくということは期待できません。この状況は、企業の売り上げが伸びないというのと同じですが、企業は国内において大きな需要が期待できないことが分かると、輸出や海外生産を増やすことによってカバーしようとします。しかし、学校の場合にはこのようなやり方はできません。そのため、近年、定員を確保できない学校が続出してきています。この結果、当然のことながら経営は悪化しますが、マネジメントは従来どおりというところが多くなかなか経営改革は進んでいないようです。そして、更に経営状況が悪化するという事態を招いてきており、このままでは早晩経営が成り立たなくなることが予想されます。
  このような環境下で、学校経営を進めるためには、激烈な競争下で優れた経営を行なっている企業の経営者の考え方を勉強することが必要であると思います。企業経営の考え方が、そのまま学校に当てはまることはありませんが、さまざまな業界の優れた経営者の思想を学び、学校経営に取り入れていきたいと思っています。

2011年07月07日

成功の要因

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  7月7日(木)、近畿地区の公立学校の事務長の皆さんと食事をとりながら懇談しました。挨拶の中でパナソニックの創業者である松下幸之助氏のエピソードを紹介したところ、〝経営〟ということが話題になりました。明日は近畿事務長研究協議会が開催されることになっており、講演をすることになっていますが、最近は学校現場においても〝経営〟という視点が根付き始めているようです。
  振り返ると、最初に公立高校の校長に就任し、学校経営の大切さを訴えた時、「学校には経営という言葉はない。学校というのは企業のように、売上げや利益を追求するところではない」という答えが返ってきました。しかし、およそ何かを計画して実行するというのは、すべて〝経営〟なのです。このように考えると、企業は勿論のこと、病院や学校、都道府県や市町村も計画を立て、実行し、最大の成果をあげるという点では経営ということができます。今、日本が膨大な国家債務を抱えるようになったのも、国としての経営の舵取りができていなかった結果であると言えます。
  私は、これまで民間企業で製造部門や営業部門で経営の仕事に就いた後、公立と私立の両方の校長として9年間学校経営に携わってきました。民間企業とは全く異なる仕事ですが、経営〟という視点に立つと、共通点が多いように感じています。そのため、著名な経営者の経営に対する考え方については興味を持って勉強しています。とりわけ、本日話題になった松下幸之助氏の著書は数十冊ありますので、休日などにはゆっくりと目を通しています。その中に、成功の要因として次の6点が示されていますので、紹介します。
  ①志 = 夢や目標達成のための強い思い
  ②執念 = 何としてもやり遂げるという気持ち
        諦めない(成功するまでやる)
  ③顧客満足 = お客様第一、CS ⇒差別化
        消費者の望むことを満たす、不満を解消する
  ④素直な心 = 反省する、面子(めんつ)を捨てる
  ⑤他からの協力 = 仲間づくり、支援者
  ⑥危機感
  この6つのことは、当たり前のことですが、なかなか実践することは難しいものです。これらを意識しなくても、自然に行動できるようになれば、成功への道が開かれていくのではないかと思っています。

2011年07月06日

経営の二極化現象

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    教職員による課題検討会議

 
  よく〝学校は閉じられた社会である〟と言われますが、先生の毎日の生活の状況を見ていると、授業、生活指導、部活動指導、会議、テストづくりと採点、成績算出等さまざまな仕事があり、校外の方と意見交換する機会はあまりないようです。校長の仕事も結構細かいものが多く、一日があっという間に過ぎ、気がつくと一週間が終わっているといったことがよくあります。この状態が続くと、学校の外で何が起こっているのかがわからないまま時間が過ぎてしまうということになります。そのため、私が常に心がけているのは、意識して色々な教育関係の方とお会いして意見交換をすることです。
  現在、学校を取り巻く経営環境は激変してきており、この変化に鋭敏に対応しているところは生徒の確保や教育内容の充実、進学実績等に顕著な実績を示す一方で、変化に対応できないところは急速に経営が悪化するということになってきています。まさに、ダーウィンの進化論の中で語られている「強いものが生き残るのではなく、環境に適応できるものが生き残る」という言葉が当てはまるように感じています。このように、今はあらゆる業界や分野において、「優勝劣敗」「二極化」が進んできていますが、この差はどこから生ずるのかを考えるということは、学校経営を進めていく上で大変参考になります。
経営がうまくいっていないところの共通点は次のようなものが上げられます。
①自分は正しいという「自己満足」に陥っている
  自分の権益を維持することに注力し、内部(自己)評価を優先している。
②保守的で、現状を維持しようとする
  極端に摩擦を恐れる風土があり、改革に対しては強く抵抗する。
③傲慢で思い上がりが強い
  危機感が欠如しているため、変化対応力が弱い
④組織の存在意義が不明確  
  この結果、法規・ルールを逸脱したり、お客様を軽視している。
⑤明確な経営理念がない
  自分達の組織は何のために存在しているのか、
  使命は何かが浸透していない。
⑥お客様第一の姿勢が薄い
  お客様が何を求めているのかを追求しようとしない。
  そして、困っていること(不満)を解消する姿勢に欠ける。
 
  これらは、企業だけではなく、病院、国、地方公共団体等あらゆるところで当てはまるのではないかと思っています。勿論、学校も例外ではありません。本校もこれらのことが全教職員に完全に浸透しているとは言えません。常にこれらを意識することにより、今後一層の教育活動の充実をはかっていかなければと思っています。

2011年07月02日

埼玉県私立中学高等学校協会による教育視察

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  7月1日(金)、埼玉県私立中学高等学校協会 埼玉私学教育研究所の6名の調査研究員の皆さんが来校されました。埼玉県では毎年、各地の学校訪問を通じて、他校の教育活動の実態について研究され、自学の学校経営に生かされています。そして、今年は兵庫県の私学を訪問される事になったようです。
  最初に、私からパワーポイントを使って、これまで進めてきた学校改革の進捗状況と本年度の学校経営計画の骨子について説明し、続いて新校舎の見学をしていただいたきました。職員室や実習教室、太陽光パネル、LED照明等の環境設備についてはかなり興味を持たれたようです。その後、「学校改革」「生徒募集対策」「学習指導」「進学指導」「部活動」「生徒指導」「教職員の確保と育成」等についてのフリーディスカッションを行ないました。それぞれの項目について、活発な意見が出されましたが、各校の抱えている課題はほぼ共通しています。要はこれらの課題を教職員が力を合わせて、いかにスピードを上げてやり切ることではないかと思います。
  現在、私学を取り巻く環境は少子化という大きな流れの中で、激変してきています。この中で、生徒・保護者の視点に立って、他校にない特色ある教育を進めていくことが何よりも大切です。そのためには、目を外部に向け、常に新たな取り組みを取り入れていかなければなりません。今後も多くの学校との積極的な交流を進めていきたいと思っています。

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2011年05月31日

学校経営~課題解決型の組織をつくる

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  学校経営において大切なことは、他校にない特色づくりです。他校がやっているからということで、それをそっくり真似てみてもうまくいきません。何故ならそれぞれの学校における課題は同一ではなく全く異なっているからです。この課題を解決し、特色づくりを進めていくためには、これらの課題を解決していくための組織が必要です。しかし、柔軟に組織運営を行なっている学校は案外少ないように思います。特に、公立の学校においては手当が支給される対象分掌は教務、進路、生徒指導、保健、総務と決められており、新たな課題が発生するとこれらの分掌のどこかに落とし込むというやり方をしてきています。また、私立においても従来どおりの固定化された組織運営をしているところが多いようです。しかし、このようなやり方では、新たなことをやろうとすると、特定の分掌の負担は確実に増えることになるため、なかなか調整がつかないのが現実です。
  新しい学校づくりにあたっては、当然今までにない新たな仕事が発生するため、「効率よく学校経営を推進していくためにはどのような体制が良いのか」を原点に戻って考えていかなければなりません。新たな仕事と従来の仕事をすべて洗い出し再編成する。その上で現行の組織を一旦白紙に戻してどのような組織がよいのかを検討することが必要です。つまり“最初に組織ありき”ではなく“課題解決のために組織がある”ということを基本に学校経営を進めることです。学校を対外にPRするための広報活動、校内のネットワークを構築するための情報活動、進路と一体となったカリキュラムの検討やガイダンス機能の充実等の新たな取り組みを推進していくためにはどのような組織が最適なのかを検討しなければなりません。一般的に組織は固定化すればするほど当初の設置目的が時代の要請に合わなくなるものです。
  本校では、これを防ぐためにさまざまな組織運営を行なっています。課題解決のために組織の壁を取り除きマンパワーを増大させる、また期間を限定した委員会やプロジェクト・チームの設置等、弾力的な組織運営をはかっています。

2011年05月25日

開かれた学校づくりを目指す~大阪高校との交流

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  昨日(5月24日)午後、大阪学園大阪高等学校において、約80名の教職員を対象に『21世紀を生きる子どもたち~高校教育の重点課題』というテーマで講演を行ないました。
  本校は大阪府と隣接する兵庫県の宝塚市にあり、これまで大阪府から多くの生徒を受け入れています。しかし、大阪府の私学に対する助成制度が大きく変更されたため、生徒募集に関しては大きな影響を受けることになりました。そのため大阪府の動向をしっかりと把握すると共に、私学の方とは多くの機会を通じて情報交換するようにしています。この日は丁度、定期考査日にあたっており、午後を利用して教職員研修を開催することにされたようです。今回の講演では、世の中の動きや社会で求められる力、教育をめぐる課題とこれからの学校づくり、最後に本校の取り組みについて紹介しました。その後、幹部の皆さんと意見交換をしましたが、私にとっても参考になることが多くありました。
  学校は〝閉じられた社会である〟とよく言われますが、これは決して褒められることではありません。この大きな原因は一人ひとりの教員が、常に社会の動きに目を向けていないからだと思います。また、ビジネスの世界では、日本経済新聞を読むのは常識になっていますが、学校では日経を読んでいる人は少ないようです。生徒達の中には現在学習していることが、将来何の役に立つのかを疑問に感じている人も多いようです。従って、教員の大きな役割の一つは社会の動向を生徒達にしっかりと伝えることにより、学んだことが社会とどのように繋がっているかを理解させることであると思います。
  特に、私学の教員は転勤がないということもあり、余程努力しないと独善的な考え方に陥いりがちです。そして、どんどん視野が狭くなってしまいます。これを防ぐためには、これからも全教員が外部に目を向けることにより、開かれた学校づくりを目指していくことが大切であると思っています。

2011年05月23日

教育実習がスタート

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  5月23日(月)、本日より3週間にわたる教育実習がスタートすることになりました。本校では毎年この時期に教育実習生の受け入れを行なっていますが、全員が本校の卒業生で、教員への道を志望しているようです。教科の内訳は国語科1名、社会科6名、数学科1名、理科2名、保健体育科1名、芸術科4名、英語科1名の計16名です。最初に職員朝礼で、代表者から実習の決意をこめて挨拶していただいた後、私からオリエンテーションで、約30分間パワーポイントを使って〝社会で役立つ力を育てる〟というテーマでお話しました。この実現のためには、先生自らが社会の動きをしっかりと把握しておくことが重要であり、まずしっかりと新聞を読むことから始めて欲しいということをお願いしました。
  また、卒業生であるということは、学校の事情が分かっているというメリットがある反面、中学・高校時代に教えてもらった先生方が数多くおられるということで緊張感が薄らいでしまうというディメリットもあります。教壇に立つと年齢にかかわらず、生徒の前では先生であり、甘えは許されません。教職を希望する理由は色々あると思いますが、〝単に生徒が好きだから〟とか〝職業として安定しているから〟といったことだけでは不十分です。〝人を教えることを生涯の仕事と考え、将来の日本を背負って立つ人材を育てる〟という強い志が何よりも大切です。この後、実習生達は各々熱心に授業見学を行なっていましたが、これからは人に言われて受身でやるのではなく、さまざまなことを貪欲に学ぶという姿勢を貫いて欲しいものです。
  なお、参考までに、本日実習生にお渡ししたレジュメを紹介します。
《実習に当たっての心構え》
  皆さんはこの度母校で教育実習されることになりましたが、実習にあたって次のことを心がけて欲しいと思います。
  ①学校の役割は〝生徒を育てる〟ということです。生徒が主体であり、皆さんではありません。これまでは、小学校、中学校、高校、大学とずっと皆さんが主体でした。このことをしっかりと認識しておくこと。
  ②生徒にとって、教壇に立つ人は〝すべて先生〟です。この期間は、皆さんは一人の先生であるということを自覚し行動すること。
  ③生徒達はあまり年の離れていない先輩の姿を大いなる関心を持って見つめています。本学園の創立の精神(孝道)や本校の校是(高志・自律・努力)、人間教育の持つ意味を今一度思い浮かべ、実践すること。
  ④〝教えることは学ぶこと〟です。教えるためには、何倍も勉強しなければなりません。教員はどうしても視野が狭くなり、人間的な幅も広がりません。社会の動きに疎くなりがちです。学校の常識は社会の非常識ということにならないようにしなければなりません。これを機に、必死になって勉強すること。
  ⑤雲雀丘学園中学・高校は特殊な学校(良い意味で)です。日本の一般的な学校と思っては間違います。このことを知っておかないと教師はつとまらないという事実を心しておくこと。                     

2011年05月22日

学校経営~教育界の現状

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  昨今の教育界を取り巻く環境は激変してきていますが、最大の特徴を一言で表すと「少子化による児童・生徒数の減少」ということになります。これは、パイの大きさが一定という〝ゼロサム〟よりも厳しい状況であり、パイが〝シュリンク(縮小)〟するということです。このような状況下では当然のことながら競争が激化することになり、過去の延長戦上の取り組みを続けていれば生き残りが難しくなってきます。
  そのため大学を持つ学校法人による中・高の系列化や小学校の設置、男子校・女子高の共学化、入試制度の見直し等さまざまな動きが出てきています。また、公立高校の無償化や大阪府における新たな私学助成施策の導入、進学特色校の設置等も個々の学校にとっては大きな影響を与えることになりました。この結果、本年度の私立小学校、中学校、高校、大学の入試においても従来以上に二極化が進みました。また、先日の大手学習塾の決算発表の結果も非常に厳しい内容でしたが、これは生徒獲得のために多大のコストがかかったということです。これは学習塾に限ったことではなく、学校や予備校や幼稚園においても同様です。
  かつての児童・生徒の急増期には私立学校には多くの生徒が入学し、多額の納付金収入によって学校経営は安定していました。そして、待っていても生徒が来てくれるという状況でした。これは高度成長期に企業が数量や台数を見ておけば販売高が伸びたのと全く同じです。また、日本経済も好調で、各家庭の家計にも余裕があり、納付金の増額も容認されてきました。しかし、バブル崩壊後、日本経済は20年間にわたって、大きな成長が期待できない状況が続いています。そして、児童・生徒数が減少し、私学にとっては入学者の確保が難しい状況になってきています。一方で、ほとんどの学校において、教職員の給与体系は年功序列型になっているため、経費の大半を占める人件費は退職者が出ない限り年々増加していくことになります。この結果、既に経常収支が赤字になるケースも出てきており、教育活動そのものに対する積極的な投資や耐震補強・校舎建設といった施設整備にお金が回らなくなってしまいます。しかし、過去の蓄えを取り崩しながら何とか経営をしていくという状態は長続きしません。幸い本校はこれまでの努力により健全な学校経営が行なわれてきていますが、常に経営課題を明確にし、適切な手を打っておくことが大切であると思っています。

2011年05月21日

複雑化する経営の舵取り

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  昨今、国内におけるデフレや急速なグローバル化に伴う激烈な競争に加え、今回の東北大震災の影響を受けて、企業経営はますま厳しさを増しています。振り返ると、日本の高度成長期には、売上げも利益も右肩上がりという状況が続き、ただがむしゃらに前を向いて走るという経営スタイルで十分だったように感じます。メーカーを例にとれば前年に比べて数量や台数が何パーセントアップしているかという指標を管理しておけば増収・増益が達成されていました。そして、よりコストを下げるために、大型の設備投資を行なってきたのです。この結果、製品の単価が大幅に下がり、販売台数も増加することになりました。しかし、価格競争が激化すると、販売台数が増えても売上げが増えないということになってしまいます。このままでは利益が確保できないため、更にコストダウンをはかろうとしますが、ついにはコストダウンが製品単価のダウンに追いつかないということになり、赤字経営に陥ります。この赤字を解消するために製品の値上げをすれば、たちまち販売が減少することになります。そして、大量に作っても利益が出ない、逆に作らなければもっと大きな赤字が出るという状況に陥ってしまいます。この泥沼の状態になると体力のない企業は市場からの撤退を余儀なくされてしまうことになります。現在の薄型テレビの事業などは全くこのパターンに陥ってきているのです。
  このことから解るように、数量や台数だけでなく販売高、利益額、製品単価、コスト等さまざまな項目にわたって、きめ細かい管理をしておくことが必要となってきており、それだけ経営が複雑化してきていると言えます。
  何故、このような話題を持ち出したかと言うと、さまざまな分野でこれと同様の動きが出てきているからです。製造業だけではなく流通業も金融業も同様であり、教育界も例外ではありません。まさに、これからの学校経営はいかにあるべきかをしっかりと考えて舵取りをしていかなければならないと思っています。

2011年05月20日

学校経営~経営理念の浸透をはかる

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  最近、経営ということに対して色々と考えることが多くなり、松下幸之助氏や稲盛和夫氏、ピータードラッガー氏、ジャック・ウェルチ氏等の著書に目を通しています。これらの書物には、著者の幾多の経験に基づく思想が示されており、参考になることが非常に多くありますが、共通しているのは「確固たる経営理念」を持ち、その浸透をはかるということです。
  今、すべての分野において、環境の変化が大きいため、経営の舵取りが難しくなってきているように思います。日本の企業を取り上げて見ても、1980年代の最盛期が信じられないくらい厳しい状況下に置かれてきており、優良企業と言われていたところですら大きなリストラを余儀なくされてきています。振り返ると、バブルの崩壊、急激なグローバル化、リーマン・ショックによる金融恐慌、今回の大震災と次々と新たな課題が生じてきており、この対応に忙殺されてきているというのが実態です。このように経営が対応型になってしまうと、企業としての存在意義が不明確になってしまいます。そして、気がつくと当初予想もしていなかった方向に進んでいるということになりかねません。こういう混迷の時に大切なことは、原点に立って〝自分達の企業は何のためにあるのか〟を従業員が自覚し、行動することです。これは学校についても同じです。私学の良いところは、それぞれしっかりとした「創立の精神」があることです。本校については〝親孝行な人は立派になれる〟という『孝道』であり、将来社会で役立つ人材を育てることを基本にしています。
  現在、私学を取り巻く環境は大きく変化してきていますし、これから少子化の影響と厳しい経済情勢のため、生徒の確保が難しくなってくることが予想されます。今一度、創立の精神に立ち戻って学校経営のあり方を考えていきたいと思っています。


2011年05月19日

経営の根幹は人~教員採用広告の掲載

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  優良経営を推進していくためには、「人」「物」「金」「情報」「技術」といった経営資源を有効に活用していくことが不可欠です。これらの中でも、経営の掌にある方であれば人の重要性については例外なく痛感されていると思います。産業界においては“経営の根幹は人である”とか“企業は人なり”といった有名な言葉がありますが、すべての経営活動は人によって行われており、その成果は担当する人によって大きく異なるということを考えれば当然のことではないかと思います。
  かつて勤務していた松下電器(現、パナソニック)の創業者である松下幸之助氏は、創業間もない頃から、いつも従業員に「松下電器は何を作っているのか」と聞かれたら、『松下電器は人をつくっています。あわせて電気製品を作っています』と答えるように言っていたようです。そして、「どんなに完備した組織をつくり、新しい手法を導入しても、それを生かす人を得なければ成果もあがらず企業の使命も果たせない」とも述べています。
  このことは教育の世界にも当てはまりますが、とりわけ「生徒の育成」という使命を有する学校現場における人の重要性については議論の余地がありません。私も教育の仕事に就いて10年目を迎えますが〝先生によって生徒達は確実に変わる〟と思っています。このように考えると学校経営を円滑に行なうためにはいかに人材を確保するかがポイントということになります。本校も現在、学校改革を進めていますが、この数年で多くの先生が定年を迎えられることになり、新たな教員が必要になってきています。
  そこで、本日(5月19日)の朝日新聞の朝刊に〝雲雀丘学園は、より高い飛躍を目指し、新しい力を募ります〟という教員の採用広告を掲載させていただきました。そして、6月25日(土)14時から16時、学園講堂において「教員採用説明会」を開催させていただく予定です。

2011年05月17日

学校経営~PDCA(大きな歯車)とD-CAP(小さな歯車)

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                     小さな歯車

  5月17日(火)、生徒達は昨日ゆっくりと休養をとり、日焼けした顔で元気に登校してきました。来週からは新年度になって初めての中間テストが始まります。気持ちを切り替えて、キッチリとテストに備えて欲しいものです。
  ところで、このブログにおいては、これまでも何回かにわたり、学校経営について紹介してきていますが、今回は2つのマネジメントの仕組みについて取り上げたいと思います。
  学校における仕事の進め方の基本はP(Plan)-D(Do)-C(CHECK)-A(Action)というマネジメント・サイクルを回していくことです。このサイクルが円滑に回転しないと、さまざまな問題点が解消されないまま、同じ失敗を繰り返すことになります。しかし、最近もう一つのサイクルが重要であることに気づきました。それは、実施した後に、すぐに問題点を洗い出して対策を立てておくということです。特に入学式や卒業式、修学旅行や文化祭、体育大会といった学校行事については、発生した問題点をただちに洗い出して、解決策を考え来年度への申し送りをしておかなければなりません。そうしないと、来年の行事を企画する段階で、昨年はどうだったかということを再確認する作業が発生してしまいます。これはPDCAに対してD-CAPということになりますが、PDCAが大きい歯車であるのに対して、D-CAPは小さい歯車と言えるかも知れません。
  学校というのは時計のように、さまざまな大きさの歯車が回っていると考えられます。そして、これらの歯車が円滑に回っているかどうかを常にチェックしておくことが必要です。
  今回の体育大会についてもD-CAPの歯車を回すことによって、来年度に備えていきたいと思っています。
  

2011年05月10日

平成,23年度大学入試合格者数《最終》

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  大学の進学実績については、受験生や保護者をはじめ塾や学校等からも強い関心が寄せられています。特に本校のように学校改革を進めている場合には、大学進学の実績がそのまま学校改革の評価に結び付けられることが多いようです。そのため、本校の先生も何とか生徒達の進路実現をはかるために、懸命な指導を行なってくれています。
  先日、発売されたサンデー毎日(GW合併号5.8-5.15)には『難関大合格者が伸びている全国400高校』が掲載され、本校はこの10年間で公立・難関私立大の合格実績が伸びた西日本地区141校中で40位になりました。詳細は早稲田・慶應・上智・東京理科・南山・同志社・立命・関西・関学・大阪市立の合格者の増加数によるランキングとなっており、本校は128名増ということになっています。
  これまで、何度も本校の学校改革についての基本の考え方を取り上げていますが、本校が目指しているのは〝創立の精神の体現〟であり、「社会で活躍できる人材の育成」です。そのために、あくまで将来の進路を考えた上で学部を選び、次に学校を選ぶということを指導しています。そして、高い目標を掲げて努力し、最後まで諦めないことを徹底するようにしてきています。
  この結果、昨年度、高校のコース制導入の年に入学した生徒が大学受験に臨み、進学実績は大きく伸長しました。本年度は2年目ということでしたが、更に昨年を上回る進学実績を上げることができました。
  最終結果は、上記の表のとおりですが、赤字が過去最高となっています。サンデー毎日は10年のスパンでとらまえていますが、本校についてはこの2年間での大学進学実績の伸びが顕著であるということです。

2011年04月19日

学校経営~危機感の醸成をはかる

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  経営という視点でとらまえると、昨今は企業だけではなく商店、病院、国、地方自治体、学校等あらゆるものが二極化してきていることが分かります。経営はよく生き物や人間の体に例えられますが、この意味するところは良い方に回転し出すとプラスのスパイラルが生じ、成長が加速しますが、悪い方に向かうとマイナスのスパイラルに陥り、急速に衰退してしまうということです。そして、極端な場合には消滅してしまうことにもなりかねません。
  留意しておかなくてはならないのは、昨今時代の変化が速くかつ大きいということであり、このような時には格差が拡大するということになります。従って、環境の変化をいかに〝芽生えの段階〟で迅速につかみ、的確な手を打つかということが大切になってきます。そして、常に経営体質を強めるさまざまな取り組みを心がけなければなりません。そうしないと、気がついた時には「手遅れ」ということになってしまいます。
  今、経営が順調なところは、概して経営トップや幹部が常に危機感を持って、積極的に行動しています。即ち、経営環境やありのままの経営実態を従業員に知らせることにより、職場風土の活性化と意識改革をはかると共に気がかりなところがあれば早急に手を打っています。逆にうまくいっていないところは、必ず経営トップが「自分の在任中だけは」「何とか波風を立てないように」「無難に大過なく」という姿勢で経営に当たっており、経営改革が後送りになっています。
  このことは学校についても、そっくり当てはまります。「このままでは駄目だ。何とかしなければ」と感じながらも「まだまだ大丈夫だろう」という甘い考えで、適切な手を打ってこなかったために、手遅れになり再起不能な状況に陥ってしまったというケースが数多く見られます。大きくとらまえると、日本はこれから少子化がますます加速し、児童・生徒数は減少します。これは取りも直さずパイが小さくなるということであり、本物志向が強まるということです。この結果、生徒や保護者にとって魅力の感じられない学校は淘汰されていくことになるでしょう。
  本校は現在、学校改革を進めており徐々に成果が出始めていますが、やっと第一ステージが終了したばかりです。そして、今年からいよいよ第二ステージがスタートすることになります。引き続き、さまざまな経営革新・マネジメント改革を推進していきたいと思っています。

学校経営~危機感の醸成をはかる

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  経営という視点でとらまえると、昨今は企業だけではなく商店、病院、国、地方自治体、学校等あらゆるものが二極化してきていることが分かります。経営はよく生き物や人間の体に例えられますが、この意味するところは良い方に回転し出すとプラスのスパイラルが生じ、成長が加速しますが、悪い方に向かうとマイナスのスパイラルに陥り、急速に衰退してしまうということです。そして、極端な場合には消滅してしまうことにもなりかねません。
  留意しておかなくてはならないのは、昨今時代の変化が速くかつ大きいということであり、このような時には格差が拡大するということになります。従って、環境の変化をいかに〝芽生えの段階〟で迅速につかみ、的確な手を打つかということが大切になってきます。そして、常に経営体質を強めるさまざまな取り組みを心がけなければなりません。そうしないと、気がついた時には「手遅れ」ということになってしまいます。
  今、経営が順調なところは、概して経営トップや幹部が常に危機感を持って、積極的に行動しています。即ち、経営環境やありのままの経営実態を従業員に知らせることにより、職場風土の活性化と意識改革をはかると共に気がかりなところがあれば早急に手を打っています。逆にうまくいっていないところは、必ず経営トップが「自分の在任中だけは」「何とか波風を立てないように」「無難に大過なく」という姿勢で経営に当たっており、経営改革が後送りになっています。
  このことは学校についても、そっくり当てはまります。「このままでは駄目だ。何とかしなければ」と感じながらも「まだまだ大丈夫だろう」という甘い考えで、適切な手を打ってこなかったために、手遅れになり再起不能な状況に陥ってしまったというケースが数多く見られます。大きくとらまえると、日本はこれから少子化がますます加速し、児童・生徒数は減少します。これは取りも直さずパイが小さくなるということであり、本物志向が強まるということです。この結果、生徒や保護者にとって魅力の感じられない学校は淘汰されていくことになるでしょう。
  本校は現在、学校改革を進めており徐々に成果が出始めていますが、やっと第一ステージが終了したばかりです。そして、今年からいよいよ第二ステージがスタートすることになります。引き続き、さまざまな経営革新・マネジメント改革を推進していきたいと思っています。

2011年04月17日

学校経営~目標チャレンジ制度の効果的な運用

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  本年度最初の職員会議で『平成23年度の学校経営計画』と共に、すべての先生の担当を最終的に発表しましたが、これを受けて教職員が同じ方向に向って行動していかなければ計画を達成することはできません。私が初めて大阪府立高校の校長に就任した時、〝「教員は一国一城の主」という言葉があるのを知っていますか〟ということを聞き驚いたことを覚えています。その後、大阪府では評価育成システムが導入されましたが、このシステムの本来の趣旨が理解されず、「評価される」ということだけに議論が集中し、反対する動きが生じることになりました。そして、いまだにこのシステムが十分に定着せず、学校経営に生かされていない状況も散見されます。
  
  先生の仕事は裁量性が大きくマニュアルどおりにやれるというものではありませんが、各人が思い思いに仕事を進めていくということでは大きな成果には結びつきません。共通の目標を達成するためには、いかに衆知を集められるかがポイントになってきます。
  現在、本校においては『目標チャレンジ制度』が導入されていますが、この最終目的は〝学校を活性化し、生徒の育成をはかる。そして、各先生が目標を達成することにより成長していく〟ということです。言い換えると、より良い学校づくりを目指していくということです。
  これからのステップは、まず一人ひとりが本年度の自己目標を設定する。次に、これを受けて校長・教頭と教職員の間で何を重点に取り組むのかという話し合いを行ない、それぞれの仕事の意義や進め方、目標というものを相互確認する。そして、進捗状況を定期的に確認していくということになります。
  この仕組みが定着することで、学校は更なる飛躍がはかれるものと思っています。

2011年04月12日

学校経営~人材の確保と育成

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  学校には大きく「専任教諭」「常勤講師」「非常勤講師」がおり、さまざまな教育活動を行なっています。このうち、常勤講師と非常勤講師については年度毎に契約更新を行なうことになっていますが、専任教諭については年度毎の契約更新はありません。また、私学の場合には公立の学校と異なり、複数の学校を持つ法人以外では原則として転勤がありません。
  これは、私学の大きな特徴であり、創立の精神の浸透や学校としての伝統の継承といった大きなメリットがあります。また、生徒が卒業後何年かして学校に来ても恩師がいるといったことで母校愛がより一層強まることにもなります。更に、自分の子どもや身内の人に対する母校進学希望にも繋がることになります。現に本校の生徒をとりあげても、保護者が本校の卒業生であるといったケースが多いのです。しかし、物事には常にメリットとデメリットがあります。 
  最大のデメリットは人事の硬直化です。どちらかと言えば、学校は物事を過去の延長線上で行なうという「前年踏襲型」のシステムで運用されています。そのため、ともすると環境が変化していても〝自分達のやっていることは正しくて、最良のやり方である〟ということで変えようとしません。そして、気がつくと世の中の流れに完全に乗り遅れてしまっていたということになってしまいます。しかし、昨今のように環境の変化が激しい時には、常に新たな仕組みやシステム、ツールを導入していかなければなりません。そのためには、一人ひとりが常に外部に目を向けると共に進取の気持ちで取り組んでいくことが大切です。また、風土の活性化をはかるためには、新たな血を導入していかなければなりません。多くの企業で毎年定期異動が行なわれているのは、風土の活性化をはかり、新たな視点で現行のやり方を見直すということなのです。
  本校もこの5年間で多くの先生方が退職され、現時点では約3分の1が新たな先生ということになっています。これらの先生が1日も早く本校の創立の精神や良き伝統を体得する。そして、これまで本校におられたベテランの先生方が自己啓発につとめると共に仕事を通じて新しい先生方を指導していくことが大切であると思っています。

2011年04月02日

学校経営~良循環型の学校づくり

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  昨日の経営方針の中でも取り上げましたが、学校経営における基本の切り口としては、「入口を固める」「校内を固める」「出口を固める」という三つが必要です。「入口を固める」というのは学校のビジョンにあった生徒の確保であり、「校内を固める」というのはカリキュラムの充実や魅力ある授業の提供、設備等学習環境の充実であり、「出口を固める」というのは望ましい進路の確保です。
  本校の教育の基本的な考え方は「創立の精神の体現」である〝将来社会で活躍する人材の育成〟です。そのために進路目標をコース別に明示し、生徒の希望するきめ細かい進路の実現をはかることにしています。生徒や保護者にとっては、当然のことながらこの進路目標が達成できているかどうかが学校選択の条件になります。本校では平成19年に高校に新しいコース制を導入し、生徒募集を行ないました。この生徒達が昨年大学受験に臨み、飛躍的な進学実績を実現しました。そして、本年度更に進学実績を伸ばすことができました。まだ最終目標には届いていませんが、「出口」は固まりつつあります。(この内容については順次紹介していく予定です)
  次に、人間力と学力の両立をはかるべく、生徒指導に注力すると共に授業の質的向上をはじめ補習体制の充実や教職員の資質向上につとめています。更に、新校舎の建設や耐震補強、校庭の芝生化等の教育環境の整備を進めてきました。このように「校内」も徐々に固まりつつあります。
  最後に「入口」という点では、ホームページによる学校情報の提供や学校説明会、校舎見学会、教職員全員による中学訪問等の広報活動の強化をはかってきました。このような取り組みの結果、塾や中学、生徒や保護者からの本校の教育活動についての理解は深まりつつあります。そして、本年度の中学と高校入試における総志願者数は過去最高となりました。しかし、本校を取り巻く環境が大きく変化する中で、今後の生徒募集については楽観できない状況が続くことが予想されます。
  良い学校づくりのためには意欲ある生徒を確保し、育て、進路実現をはかる。そして、更にこれらのレベルを引きあげることにより『良循環のスパイラル』をつくり出していくことが必要です。これからも常にこの三つの切り口を示すことにより、現在行なっている教育活動がどのレベルになっているのかを絶えず確認して学校経営を進めていくことが大切であると思っています。


2011年03月31日

学校経営~経営方針を明確にする

PDCA.JPG             本日で22年度も終了し明日から新年度に入ります。本校では新年度にあたって、学校の経営方針とクラブ顧問や一人一役運動の担当を発表することにしているため、午後から教頭先生と最終の打ち合わせを行ないました。    学校の教育活動が円滑に推進されていくためには、方針が明確になっており、この方針に沿って、各教職員が同じ方向に向って行動していることが大切です。かつて本校では新年度にあたって、細部にわたる経営方針を発表するということはなかったようです。また、学園全体の教職員を対象にした『合同職員会議』も4月の末に開催されていました。5年前、本校に赴任してきた時には、新年度になって中学・高校の全教職員が集まるのは入学式の前日であり、この日に職員会議や教科会議が開かれ、職員室の机の移動を行ない、入学式の準備をしていました。これは私も含めて、公立高校で勤務していた先生には考えられないことでした。これでは、十分な準備ができないまま新学期がスタートすることになります。とりわけ、新たに本校で勤務される先生にとっては、担当する学年や分掌、クラス、等に関する詳しい情報がないまま、授業を行なうことになってしまいます。そのため、早速、新年度の初めに『中・高の職員会議』を行なうことに変更しました。そして、新任の先生には極力都合のつく範囲で、事前に来校いただき、教科の打ち合わせをお願いすることにしました。                                           また、4月末に開催されていた学園全体の『合同職員会議』の時期を年度当初に行なうことを学園事務局に提案しました。この結果、翌年からは年度初めに学園全体の合同職員会議が開催されることになりました。しかし、この会議は2つの幼稚園、小学校、中学・高校、事務局と学園全体の教職員を対象にしているため、中学・高校としての発表時間を十分にとることはできません。従って、この合同職員会議に先立ち、中・高としての職員会議を開催し、パワーポイントを使って、詳細な経営方針の発表や各人の担当の発表を行なうことにしました。そして、この会議には通常の職員会議のメンバーになっていない非常勤の教職員も参加することになっています。                                        この経営方針発表会は〝学校としての進むべき方向を示し、意思結集をはかる〟という点では管理職である校長や教頭にとって極めて重要な役割です。学校を経営していくにはP(Plan)-D(Do)-C(Check)-A(Act)のサイクルを回していくことが必要ですが、最初の『P』にあたるのが経営計画をつくり、教職員に周知徹底することなのです。   現在、年度初めに詳細な経営方針を発表している学校はあまりないようですが、明日は全教職員にしっかりと方針を示していきたいと思っています。

2011年03月30日

学校経営~分掌・学年・教科の計画策定

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  いよいよ本年度も残り少なくなってきました。来年度の学校経営計画づくりのステップについては既に紹介したとおりですが、先日の職員会議で各分掌・学年・教科等の体制を発表しました。その後、各部署においてそれぞれの役割分担を決める等、来年度の経営計画の細部の検討を行なっていますが、経営計画を策定する際に留意しておかなければならない3つの重要なことがあります。

  1つ目は『本年度の取り組みの反省をきっちりと行なう』ということです。年度初めには、それぞれの部署において色々な計画を立てていたと思いますが、現時点での達成状況を見ると、計画を大きく上回ったものやほぼ計画通りに出来たものがある反面、計画通りにいかなかったものも散見されます。一年近くかけて取り組んできたにもかかわらず、当初の計画が大幅に達成できていないというものに対しては、その原因を徹底的に究明しておかなければなりません。この作業をいい加減にしておくと、往々にして同じ失敗を繰り返すということになります。このため各部署において本年度の取り組みについての振り返りをお願いし、ヒアリングを行ないました。
  2つ目は来年度の計画づくりにあたって『推進責任者を明確にし、具体策を決め、期限を設ける』ということです。教職員の皆さんには〝一人ひとりの役割と責任を明確にする〟ということをお願いしましたが、「誰が」「何を」「いつまでに」「どうする」ということを決めておかないと仕事の完成度は高まりません。私のこれまでの経験を振り返ってみても〝全員で〟〝できるだけ早く〟〝全力で〟〝可能な限り多く〟といったやり方はかけ声倒れになることが多いのです。
  3つ目は『中期の視点に立つ』ということです。あまり先(長期)のことを考えると環境が変化するため、計画が大きく乖離(かいり)するということがありますが、単年度のことだけを考えていると〝とりあえずこうしよう〟ということになりがちです。3年~5年先のあるべき姿を描いた上で『中期経営計画』、次いで『当該年度計画』をつくるということが大切です。
 
  また、緻密な計画をつくろうとすると「計画に時間をかけるくらいならすぐにやった方が良い」というような意見が出ることがありますが、杜撰(ずさん)な計画でスタートすると、途中でやり直しの仕事が出てきたり、手順前後したりといったことが出てくるものです。仕事の基本はPLAN-DO-CHECK-ACTというサイクルを回していくことです。年度末であるこの時期にそれぞれの部署において、来年度の計画のつめをしっかりと行なっていきたいと思っています。

2011年03月29日

学校経営~経営計画の策定ステップ

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  円滑な学校経営を進めていくためには学校としてのビジョンを示し、戦略を構築し、学校の経営計画をつくる、更に実行スケジュールに落とし込んでいくというステップが必要です。ビジョンや戦略の明示はトップダウンで行なわなければなりませんが、経営計画もすべてトップダウンで作成すれば現場と遊離したものになってしまいますので、分掌や学年に経営計画のたたき案と具体的な実行スケジュールへの落とし込みを指示し、これらを集めて学校全体の大まかな経営計画を作った上で、各分掌や各学年間の調整を実施し、分掌や学年に持ち帰って再検討するというステップが必要です。そして、実効を高めるためには、まず「どういう組織で」,「誰を責任者にして」、「どういうメンバーで」やるとか「誰に」やってもらうのかを明確になっていなければなりません。

  本校では、本年2月以降『平成23年度の学校経営方針』の策定について、次のステップで進めてきています。
    ①平成22年度の振り返り(反省)と中期計画の進捗状況の確認
    ②平成23年度の課題の抽出と中期課題の再確認
    ③中期計画と平成23年度の学校経営方針の策定
    ④理事会での報告と承認(3/15)
    ⑤職員会議での報告と校内掲示板(パソコン)への掲示
    ⑥主要人事(分掌長・学年主任・教科主任等)の発表
    ⑦分掌長・学年主任からの経営計画ヒアリング
    ⑧職員会議での個別人事(担任・分掌メンバー等)の発表
    ⑨各分掌・各学年の役割分担の決定
    ⑩『一人一役の担当』と『部活動顧問』の発表
    ⑪『平成23年度の学校経営方針』の発表(4/1)

  現在、各分掌や各学年において役割分担を検討していますが、この中には新しい教職員も含まれています。これから新年度に向けてしっかりと細部の計画を固め、一人ひとりの教職員のやるべき課題を明確にし、新年度のスタートである4月1日には全教職員に対して経営方針を発表していく予定です。

2011年03月20日

学校経営~PDCAサイクルを回す

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  円滑な経営を推進していくためにはPLAN(計画)-DO(実行)-CHECK(評価)-ACT(改善)という『PDCAサイクル』を回していくことが大切ですが、9年前に初めて公立高校の校長に就任して感じたのは、経営という視点が欠落しているということでした。
  良い経営を進めていくためには、まずやるべき課題があって、これを解決するために〝どれだけのヒトやモノやカネが必要であり、どういう組織体制で推進するのか。そして、「誰が」「何を」「いつまでに」「どうするのか」〟を明確にすることが必要です。経営というのは企業のことだと思っている人がいますが、計画を立てて実行していくのはすべて経営なのです。このように考えると国も都道府県も市町村も病院も学校も経営であるということができます。現在、国や地方公共団体については膨大な債務超過に陥っていますが、企業であれば倒産は避けられないということになります。今、世の中で優良企業と言われているところは、この仕組みが確立しており、反対にうまくいっていないところは、この仕組みが機能していないのです。
  これまで、学校については大きな問題がない限り、前年と同じことを繰り返してきたことが多かったようです。この最大の理由は「やるべき課題とヒト・モノ・カネが連動していない」ということです。特に公立の場合は、予算や人の裏づけがないまま新年度がスタートする、言い換えるとしっかりとしたPLAN(計画)がないままにDO(実行)が行なわれています。そして、十分なCHECK(評価)もなされていません。これでは、いつまで経っても学校の改革は進みません。
  これに比べて、私学の場合は一般企業と同じように、比較的PLAN-DO-CHECK-ACTのサイクルをまわしていくという学校経営が可能です。つまり、智恵を絞り出すことにより〝独自の特色ある学校経営〟ができるということです。しかし、昨今教育界を取り巻く環境が激変しているため、この変化に迅速かつ柔軟に対応していかなければ、遅れてしまうことになります。
  まさに、今はそれぞれの私学にとっての正念場であり、学校経営の真価が問われるようになってきているように感じています。

2011年03月10日

雲雀丘学園中・高校の学校経営~①創立の原点に立ち戻る

22.9-27.jpg 9.jpg     鳥井信治郎氏(初代理事長)
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  先日、学校経営の視点に立つというテーマを取り上げましたが、これから何回かに分けて本校における学校経営の考え方について紹介します。

  本校においては、平成18年に新しい学校づくりに向けての検討を開始し、〝本校をどのような学校にすれば良いのか〟ということで、外部の多くの方から意見をお聴きすると共に校内でも論議を重ねました。そして、平成19年に高校改革をスタートさせました。この改革の柱は従来の国際科を発展的に解消し、新たに「選抜特進」「特進Ⅱ」「特進Ⅰ」という三つのコース制の普通科に再編する、併せて毎週土曜日や長期休業の短縮等により授業時間数の増大をはかるというものです。次いで平成20年に中学改革を行ない、一貫選抜と発展の二つのコース制を導入しました。
  この改革にあたって最も重視したのは〝創立の精神の体現〟言い換えると本校は何を狙いとして創設されたのかという〝創立の原点に立ち戻る〟ことです。これまで本校の歴史や創立の精神については幾度も紹介してきていますが、本学園は昭和25年(1950年)サントリー(株)の創業者である鳥井信治郎氏を中心とした地域の方々の強い思いで創設されました。しかし、本学園創設時のことを語りつげる人は今ではほとんどいなくなり、当時のことを知るには20周年・30周年記念誌や板倉操平初代校長、土井信男学園長の著書を紐解いてみなければなりません。
私も何回かこれらを読み返してみましたが、創立の精神の中のキイワードは親孝行のできる人は人間としても立派になれるという「孝道」や「社会に尽くす」等です。また、本校の校是は「高志」「自律」「努力」ですが、これらは社会で活躍している人の共通点なのです。
  世の中の優良企業には、例外なく存立するための理念がありますが、これは学校においても同様です。本校における学校改革の基本の考え方は〝将来社会で役立つ人間を育てる〟ということなのです。

2011年03月08日

学校経営~H23年度経営計画の策定

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  本年度も残すところ一月足らずになりました。毎年この時期には来年度の学校経営計画を策定することにしていますが、この際に留意しなければならないことは、まず目標を設定し、あるべき姿を設定した上で、中期の視点に立って学校の経営計画を作り、この計画を達成するために「いつまでに」「どうするか」を検討することです。その上で、来年度の経営計画のつめを行なうことが大切です。そうしないと、到達目標が決まらないまま、単年度で学校経営をすることになってしまいます。
  現在、学校を取り巻く環境は大きく変化しており、従来以上に経営計画の精度を高めていくことが重要になってきています。そのため、先日、課題を明確にした上で中期の学校経営計画と来年度(平成23年)の学校経営計画を策定し、大筋でトップの了承を受けました。続いて、この課題解決のための推進体制を決定し、本日の職員会議において、全教職員に来年度の組織・人事に関する基本の考え方と個別の配置についての説明を行ないました。教職員の構成も退職者と新規採用者が入れ替わることによって、大きく変わることになります。これから各分掌や学年・教科において新たな体制下での具体的な計画づくりに入ることになります。そして、それぞれの部署の計画について校長・教頭がヒアリングしていくことにしています。更に、これらを個人別の計画にまで落とし込んでいくことになります。
  なお、経営計画については来週開催される理事会に報告し、4月1日に教職員に対して「平成23年度の学校経営方針」として発表していく予定です。

2011年03月05日

学校経営~経営という視点に立つ

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  本日、大阪府の公立高校の後期入試についての希望調査結果が公表されました。これによると私学助成の影響が強く反映され、私学へのシフトが鮮明になってきています。具体的には競争率が2倍を超える学校がある一方で、実に49校で定員割れ、中には志願者が定員の半数という学校もあり、二極化が顕著になってきています。このような状況は私学の専願者が増加したため、ある程度は予想されたことですが、極めて衝撃的な結果になりました。
  これまで、公立高校では定員を決め受験者を待つという受身の姿勢が強かったように思います。言い換えると広報活動という点では十分でなかったということになります。私学の場合には定員をしっかり確保しなければ学校経営は成り立ちません。そして、生徒や保護者に満足していただけるような教育活動を行なっていかなければ、すぐに志願者が減るということに繋がります。そして、定員が充足できないと教職員の雇用も給与も維持できなくなりますし、設備の更新もできなくなり、生徒に対する質の高い教育もできないということになります。
  よく「学校は企業とは違う」と言われますが、経営という点では同じです。そのためには、何のために存在しているのかという『理念や経営方針』が明確になっており、その上で最小の経営資源を使って最大の成果をあげることが大切です。このように考えると、国家も地方自治体も企業、病院、学校もすべて経営ということになります。
  今一度、公立、私立も含めて学校経営という視点に立って考え直さなければならないのではないかと思っています。

2010年03月12日

大学入試の合格状況

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  国公立大学の二次入学試験の合格発表がほぼ出揃いました。本日発売の週刊誌にもそれぞれの高校の合格状況の速報が掲載されています。
  本校は3年前に学校改革の一環として、〝高等学校へコース制〟を導入しました。そして、今年は新コース制の下に、入学してきた最初の生徒達が卒業する年にあたっており、生徒や保護者をはじめ、塾や中学等多くの方から進学結果か注目されているのではないかと思います。当然のことながら、本校の教職員もこの一週間は〝自分達が取り組んできた成果がどうなるのか〟を期待と不安の入り混ざった複雑な気持ちで過ごしてきました。
  まだ最終ではありませんが、昨日まで把握できている状況をお知らせします。これによると生徒達と先生方の頑張りで昨年の実績を大きく上回る結果になっています。  (  )内は昨年実績です。

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  私は民間企業で永年勤務していましたが、この経験を通じて言えるのは〝名前の通った大学を出た人が活躍しているケースが圧倒的に多い〟というのは事実です。この理由としては、能力的に高いのは勿論ですが、高い目標に向かって努力し、これを達成してきたという自信が大きいのではないかと思います。一方で、有名大学出身者がすべて持てる力をフルに発揮していないケースも散見されました。本人の学歴を見て驚くことが多かったのも事実ですが、これらの人に欠けていたのは「物の考え方」×「熱意」×「能力」という公式の中の「物の考え方」と「熱意」だと思っています。
  これまで、本校の生徒達はどちらかと言うと最後まで粘り切るという気持ちがやや弱かったということは否めませんが、本年度は今日からの国公立大学の後期入試を受験している生徒も数多くおり、頼もしく感じています。
  なお、このホームページの『進路のへや』に国公立大学の合格状況の詳細を掲載していますが、3月末にはすべての結果がまとまりますので、改めて公表したいと考えています。


2010年02月18日

来年度の学校経営計画の策定にあたって

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  本年度の中学と高校の入試については一つの山を越しましたが、これで一安心というわけではありません。これから学校にとっては私立・国公立の大学入試,高校卒業式、後期期末考査・判定会議、中学卒業式、中学新入生ガイダンス、高校新入生ガイダンスといった色々な行事が目白押しです。一方で、本年度の教育活動の振り返りと来年度の学校経営計画の策定という重要な仕事に取り組むことになります。
  円滑な経営を推進していくためにはPDCAサイクルを回していくことが大切ですが、8年前に初めて公立高校の校長に就任して感じたのは、経営という視点が欠落しているということでした。良い経営を進めていくためには、まずやるべき課題があって、これを解決するために〝どれだけの人や金が必要であり、どういう組織体制で推進するのか〟を検討するということが必要です。しかし、現実は人や金や組織が先に決まってしまっており、この前提に立って、学校が運営されるということになっています。また、昨今のように予算が削減されるということになると、新しいことはほとんどできないということになり、大きな問題がない限り、これまでと同じようなことを繰り返してしまうことになります。従って、P(PLAN)は重要でなくなってしまい、D(DO)が中心の学校運営になってしまいます。
  これに比べて、私学の場合は一般企業と同じように、比較的PLAN-DO-CHECK-ACTIONのサイクルをまわしていくという学校経営が可能です。つまり、智恵を絞り出すことにより〝独自の特色ある学校経営〟ができるということです。今は、教育界を取り巻く環境が激変しているため、この変化に迅速かつ柔軟に対応していかなければ、遅れてしまうことになります。このように考えると、今は私学にとってまさに正念場であると言っても過言ではありません。
  まず、「今年の振り返りをしっかりと行ない課題を明確にする」。次に、「謙虚な姿勢で〝他の良いところを素直に学ぶ〟」。その上で「解決のための具体策を決める」。最後に「スケジュールに落とし込む」というステップが何よりも大切です。
  これから来年度の学校経営計画づくりをしっかりと行なっていきたいと思っています。

2009年08月10日

引き続いて学校改革を推進

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  この夏休みを利用して数多くの方にお会いし情報交換させていただいていますが、昨今の教育界は大きく変化してきています。大学同士の統合、新たな学部・学科の設置、大学を有する学校法人による小学校・中学校の新設、高校との連携や系列化、男子校・女子校の共学化、公立中高一貫校の設置等さまざまな枠組みやシステムの変更が行なわれてきていますし、各校共創意工夫を生かして独自の特色づくりに注力されています。このようにそれぞれの学校が教育活動の充実を目指して切磋琢磨していくことは素晴らしいことであると思います。反面、生徒や保護者のニーズを的確に受け止めていない現状維持型の学校については経営面でも課題が生じてきているようです。
  民間企業においては、昨年と同様のことをやるということはまずありません。私もメーカーに永年勤務していましたが、例えある年にヒット商品が生まれたとしても、同じ商品を翌年も作り続けるということはほとんどありません。この商品をライバルとみなして更に改良を重ね、新しい商品を開発していきます。しかしこれまでの学校においては、余程大きな問題が生じない限り、従来どおりの取り組みを行なうということになっていたように思います。
  本校も3年前から「コース制の採用」や「環境教育の導入」といった学校改革を進めてきました。同時にパンフレットの作成、ホームページの充実、学校説明会・オープンスクールの開催、広報専任者の採用等の広報活動を強化してきました。これにより、徐々にこれらの学校改革の内容が浸透してきているようですが、まだまだ改善すべき点は数多くあります。〝進歩なきものは退歩である〟という言葉がありますが、現状に満足しているようでは進歩はありません。常に現在の課題をしっかりと把握し、思い切って解決のための取り組みを進めていきたいものです。

  また、これからもこの校長通信を通じてさまざまな学校改革の取り組みについて紹介しきますので、ご意見・ご感想をお聞かせください。

2009年03月06日

来年度学校経営計画の策定にあたって

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  本年度も残すところ一月足らずになりました。例年、この時期には来年度の学校経営計画を策定し、取り組みの内容を明確にした上で組織・人事を決定することにしています。先日の職員会議において、全教職員に来年度の推進体制に関する基本の考え方を説明しました。これから各分掌や学年・教科においては新たな体制下での具体的な計画づくりに入ることになりますが、この際に留意しておかなければならない2つの重要なことがあります。
  一つ目は本年度の取り組みの反省をきっちりと行なうということです。年度初めには、それぞれの部署において色々な計画を立てていたと思いますが、現時点での達成状況を見ると、計画を大きく上回ったものやほぼ計画通りに出来たものがある反面、計画通りに行かなかったものも散見されます。一年近くかけて取り組んできたにもかかわらず、当初の計画が大幅に達成できていないというものに対しては、その原因を徹底的に究明しておかなければなりません。この作業をいい加減にしておくと、往々にして同じ失敗を繰り返すということになります。このため各部署において本年度の取り組みについての振り返りをお願いすることにしました。
  二つ目は来年度の計画づくりにあたって、推進責任者を明確にし、具体策を決め期限を設けるということです。教職員の皆さんには〝一人ひとりの役割と責任を明確にする〟ということをお願いしましたが、「誰が」「何を」「いつまでに」「どうする」ということを決めておかないと仕事の完成度は高まりません。私のこれまでの経験を振り返ってみても〝全員で〟〝できるだけ早く〟〝全力で〟〝可能な限り多く〟といったやり方はかけ声倒れになることが多いのです。
  よく緻密な計画を作ろうとすると「計画に時間をかけるくらいならすぐにやった方が良い」というような意見が出ることがありますが、杜撰な計画でスタートすると、途中でやり直しの仕事が出てきたり、手順前後したりといったことが出てくるものです。仕事の基本はPLAN-DO-CHECK-ACTIONというサイクルを回していくことです。それぞれの部署において、来年度の計画づくりをしっかりと行なっていきたいと思っています。

2009年03月05日

S・Iを語りつぐ

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  優れた企業には例外なくよって立つところの明確なC・I(コーポレート・アイデンティティー)がありますが、これは人間の体に例えれば背骨にあたるものです。言い換えると時代の変遷につれて変わっていくものではなく、〝自分達の会社は何のためにあるのか〟という存在意義を表明したものです。そして、これはすべての従業員の行動の指針となるため職場内に掲示され、責任者が機会ある毎に周知徹底しています。このようにしてC・Iは先輩から後輩に伝えられ良き伝統や社風を築き上げているのです。
  今、自治体や病院、大学などあらゆるところで組織の存在意義が問われています。私学である雲雀丘学園中学・高校も例外ではありません。私学が公立高校と大きく違うのは、創立の精神が明確に示され継承されてきていることではないかと思います。本校には「社会で活躍する人材を育成する」という基本の考え方があり、「高志・自律・努力」という素晴らしい校是が示されています。そして、この校是は各教室に掲げられ、毎日生徒はこれを見ながら授業を受けています。創立の精神や校是というものは〝本校がこういう学校を目指す。こういう生徒を育てる〟という言わばS・I(スクール・アイデンティティー)であり、生徒を育てるという使命を持つ教師にとっての行動指針でなければなりません。〝将来の日本を背負って立つ人材を育てるという高い志を持ち、常に自分を律し素直に反省しつつ、努力を傾注する〟ということが大切です。教師自身が校是を実践することにより、生徒達を後姿で引っ張る。また自分自身の言葉で語りかけるということでなければ生徒達の心を動かすことはできないでしょう。私もあらゆる場面を通じてS・Iの浸透をはかっていきたいと思っています。

2008年11月01日

学校改革にあたって~グローバル化への対応

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 本校では高校のコース制の導入に伴い「国際科」の生徒募集を停止しましたが、これからますますグローバル化が進展する中で、時代の流れに逆行すると思われる方もあるかも知れません。しかし、これは全くの誤解であり、むしろこれまで国際科で培ってきた海外留学や語学研修、JICAとの交流等のさまざまなノウハウを新たなコースに取り入れ、将来世界に羽ばたくグローバル人材を育てるという積極的な狙いなのです。
  〝グローバルな視野と豊かな国際人の養成をはかる〟という趣旨で国際科が設置されたのは1985年(昭和60年)ですが、当時の日本経済は絶好調で、世界で一人勝ちと言われるくらいの状況でした。二度にわたる石油ショックを乗り切り、卓越した生産技術力を駆使して大量生産、大量販売方式のビジネス・モデルを確立し、国内の需要を喚起しつつ輸出の増大をはかっていったのです。この過程においては海外での販売を伸ばすことが企業にとっての重要課題であり、そのために語学力を有する人材が必要とされたのです。しかし、世界各国にとっては自動車や電機をはじめとする大量の工業製品の流入は現地の産業に大きな打撃を与え、貿易摩擦という問題を生じさせることになったのです。この事態を解消するために、多くの日本企業は相次いで技術移転を伴う現地生産に踏み切ることになりましたが、これが最終の姿ではありません。これからは、金融、流通、製薬、食品、情報通信、電機、自動車等あらゆる業界においてグローバル・ワン・マーケット(世界単一市場)が形成され、国を超えた企業の合掌連衡(がっしょうれんこう)が進むことになります。今回のアメリカに端を発した金融問題は世界各国に波及し、実体:経済にも深刻な影響が出はじめており、これを引き金にして更にこの動きが加速されることになるでしょう。そして、人・モノ・カネ・技術の流れは国境を超えて激しく動くことになります。この結果、日本国内の国際化という新たな局面を迎えることになるのは間違いありません。これからの時代には全ての人が国際感覚を身につけておかなければならないということになるのです。
 今回の新たなコース制はこのような時代背景を考慮しグローバル化への積極的な対応をはかることを目指しているのです。

2008年10月30日

学校改革にあたって~授業を磨く

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  先生にとって授業は命であり自らの教科指導力を磨いておくことは何よりも大切です。毎日の授業は真剣勝負であると言えるのではないでしょうか。
本校においては、授業の質を高めるため、年間を通じて何度か各教科の教員による研究授業や相互授業参観、更には生徒による授業アンケートを実施し、各教科において反省会を行なうことにしています。 
  私学の場合は転勤がないため人が固定化する結果、色々な面で活性化が進まないといったことが起こりがちですが、これを防ぐには常に新たな刺激が必要です。そのためにこの3年間、新たな先生の採用や相互授業参観、授業アンケートを積極的に進めてきました。
  本校では現在、相互授業旬間にあたっており、私も本日二つの授業を見学しましたが、それぞれ創意工夫を凝らした授業を行なっているのを目の当たりにし心強く感じました。他教科の先生も積極的に参観していましたが、自らの授業を公開したり、他の人の授業を見学するということは大きな刺激を受けることになると思います。また授業を見学した人は忌憚のない感想を記入して、提出することになっているため、この相互授業参観を充実させればさまざまな点で授業の質が上がるのは間違いないのではないかと思っています。
  現状では、研究授業の開催計画や反省会は各教科の自主性に任されていますが、将来的には他教科の授業を見学する、また校外の方にも授業を公開し、積極的に意見を聴くといったレベルにまで引き上げていきたいものです。一人ひとりの教員が自らの授業を磨くという思いを持つ、そして、受身ではなく、自ら進んで授業を公開し指摘された意見を素直にとり入れていくということにより、教科の指導力が飛躍的に高まっていくことを期待しています。

2008年10月28日

学校改革にあたって~一貫選抜2クラスの意味

  本年度よりスタートした中学における一貫選抜と発展のコースではそれぞれ2クラス80名の募集を行なうことにしています。現在、「特進」や「特別」コースが設置されている学校は珍しくありませんが、ほとんどが1クラスです。当初、本校の1学年は4クラスで定員は160名と小規模のため、当初一貫選抜コースは1クラスで良いのではないかという意見もありましたが、事前に他校の状況等も詳細に把握し、最終的に2クラスが良いという結論に達しました。何故なら中学・高校一貫クラスが一つしかないとになると6年間クラス替えなしに、同じクラスメートと共に学校生活を送るということになってしまいます。そうすると生徒間や先生との関係も一つの枠の中に固定されてしまうことになり、この状況が続くと次第に緊張感が薄らぎ意欲が低下するといった生徒が出てくることも予想されます。また人生において最も多感なこの時期だけに友人関係で悩むといった事に陥る恐れもあります。
  本校では、〝将来社会で活躍するリーダーの育成〟を教育目標に掲げており、詰め込み式の知識偏重型の教育を目指しているわけではありません。日常の生活やさまざまな学校行事を通じて、生徒達に集団行動やチームワークの大切さを学ばせていきたいと考えています。人間は自分と全く異なる生い立ち、価値観、能力、性格、考え方等を持つ多くの人と接することにより、大きく成長することができるのです。
  これからはグローバル化がますます進展し、子ども達は将来色々な国の人達と一緒に仕事をしていくことになりますが、お互いに相手の立場を理解し受け入れる〝共生〟という考え方の基礎をつくることに繋げていきたいと思っています。

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                 一貫選抜クラスの授業風景

2008年10月27日

学校改革にあたって~新しいコース制の導入②

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  昨年度の高校に続いて、本年度より中学にもコース制を導入しました。この狙いは個々の生徒の能力や適性に応じたきめ細かい指導を行なうために『一貫選抜コース』と『発展コース』別に生徒募集をするというものです。
  これまでは生徒募集の時点でコースを明示することはなかったため、当然のことながら能力・適性面において大きく異なる生徒が入学してくるのにもかかわらず、均等にクラス分けをしてきました。しかも、かなり難しい教科書を使って先取り授業を行なっていました。この結果、授業についていけない生徒も出てきます。これを防ぐには授業のスピードを調整しなければなりませんが、これでは逆に授業が物足らないという生徒も出てきます。新しいコース制はこのような状況を解消しようとするものです。
  2つのコースのうち『一貫選抜コース』は主として早くから将来の進学目標を持って努力している生徒を対象にしています。中学2年生で中学校の課程を修了、中学3年~高校2年までの3年間で高校の課程を修了し、高校3年ではセンター入試対策や国立大学の2次試験対策などの目標実現に向けた学習を行ないます。目標とする進路は、東大、京大、阪大などの超難関国立大学と慶應・早稲田・上智などの超難関私立学であり、「2クラス・80名の募集」を行ない、6年一貫のカリキュラムを準備しています。
  次に『発展コース』は進学目標のスタート時期は早くなかったが、中学の3年間で〝学ぶ〟意味や明確な将来目標を持たせる取り組みを行なうことによって基礎・基本と共に十分な応用力をつけて、中学課程を修了するという生徒を対象とし、「2クラス・80名の募集」を行ないます。その後、高校進学段階で『選抜特進コース』『特進コース』に分かれ、高校から入学してくる他中学の生徒と切磋琢磨していくことになります。その分、高校でのカリキュラムは多少ハードになりますが、中学時代の豊富な授業時間によって徹底的に基礎学力を習得させ、高校で大きく学力を伸長させていこうとするものです。そして、超難関国立大学・難関国公立大学・超難関・難関私立大学と多様な進路を選択することになります。

2008年10月23日

学校改革にあたって~新しいコース制の導入

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  本校では、昨年より高校に、本年より中学にコース制を導入しました。この高校と中学のコース制について、何回かに分けて紹介します。
  高校については「選抜特進」「特進Ⅱ」「特進Ⅰ」という新たな3つのコースを設置しましたが、これまでこのような形で生徒募集をしたことはありませんでした。かつて本校は中学3クラス、高校4クラスの小さな規模の学校でしたが、昭和60年(1985年)に国際社会で活躍できる人材を育成するということでいち早く『国際科』を設置し、以降20年間にわたり『普通科』と『国際科』という二つの異なるカリキュラムをベースに生徒募集を行なってきました。このため、それぞれの科においては能力・適性・進路希望面において大きく異なる生徒達が入学することになりますが、これまではこれらの生徒を均等にクラス分けし、画一的な授業を行なってきました。しかし、このシステムでは生徒の進路希望の多様化にこたえることが次第に難しくなってきました。そのため普通科については、数年前より高校入学後に本人の進路希望や能力・適性を勘案してクラス分けを行なってきました。
  新しいコース制の狙いは個々の生徒に対するきめ細かい進路指導を行なうために、入学者選抜の際に将来の進路希望や目標に応じたカリキュラムやコースを明示し、生徒に選択してもらおうというものです。
  「選抜特進」コースは〝自己の高いモチベーションにより東京・京都・大阪等の超難関国立大学を目指すコース〟です。基本的には高校2年で高校課程を修了するため、予備校の先生によるパワーアップゼミを校内で受講することになっています。
  「特進Ⅱ」コースは〝自発的な学習意欲を高め2年次からは文理を選択することにより、難関国公立大学を目指すコース〟です。
  「特進Ⅰ」コースは〝個性や適性をじっくり見極め、国公立・私立大学等幅広い進路選択を目指すコース〟です。
  3つのコースはすべて特進という表現を使用していますが、〝自分が希望する大学であれはどの学部であっても良い〟ということでは大学へ進学することだけが目的になってしまいます。このため、できるだけ早期に自分なりの将来の進路目標を設定し、自分が進みたい国公立大学や私立大学の学部や学科を目指して真面目に努力するということが基本になっています。

2008年10月21日

学校改革にあたって~環境教育のスタート

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  この校長通信を通じて、将来社会で活躍するためのベースは人間力であるということを繰り返しお話してきましたが、人間力を高めるための特効薬はありませんし、即効性のある特別マニュアルも存在しません。人間力というのは、その人の考え方や日々の送り方の積み重ねであると思います。
  これまで、全教員が凡事徹底ということを基本に「爽やかな挨拶」「きっちりした服装」「ルール・マナーの遵守」に取り組んできました。この地道な努力によって徐々に良い方向に進みつつあるように感じています。しかし、中には人に言われないとできないという受身の姿勢の生徒もいるようです。これでは学校ではできているが学校外ではできないということになり、いつまで経っても成長は期待できません。〝習い性となる〟という言葉がありますが、日々自主的に良い習慣づくりをしていくことが大切です。
  本校では今年からサントリー(株)の支援を受けて、環境教育をスタートさせましたが、この大きな目的は人間力の養成です。何故なら、現在地球上で起こっている環境問題はすべて人間の経済活動が引き起こしたものです。即ち環境問題は人間問題そのものであり、環境に配慮することは人間に対する思いやりや優しさに繋がることになります。また、昨今では知識偏重型の教育が増え、自ら考え行動するということが少なくなってきています。そのため、社会で役立つ力が育たないという結果を招いているのです。本校の目指す環境教育は、将来社会で活躍する人材を育てるという創立の精神の具現化なのです。

2008年10月20日

学校改革にあたって~人間力・人格を磨く

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  これまで、将来社会で活躍するというテーマで色々なことを取り上げてきましたが、突きつめると知識・情操・意志の三つのバランスがとれている事が大切です。知識には「基礎知識」「専門知識」「一般常識」といったものが含まれますが、これらは比較的点数ではかれるものが多いようです。そして情操には「おもいやり」「真心」「素直な心」「感謝」「情熱」といったものがあり、意志には「ゆるぎない志」「我慢強い」「根気」といったものが含まれますが、これらは点数ではかれないものなのです。言い換えると、社会で活躍するためには「点数ではかれる力」と「点数ではかれない力」の二つが必要です。
  解りやすいように、これらの力を木で表わすと知識に相当する部分は枝葉、情操は幹、意志は根っ子ということになります。現在、わが国の教育界において問題であると感じるのは、目に見える葉っぱの部分を育てることに力点がおかれ過ぎている、言い換えると知識偏重型・受験重視型になっているのではないかということです。いくら葉っぱが生い茂っても幹が太くなければ途中でポキンと折れてしまうことになりかねません。また、しっかりとした根っ子が育っていないといずれは成長が止まってしまいますし、根っ子が腐ってしまえば木は枯れてしまいます。
  昨今は急速に世の中が変化するため、折角身につけた専門知識もすぐに陳腐化してしまいます。このため、これまでのように一旦専門知識を習得すれば何年にもわたってこれを活用することができ、安定した仕事に就けるということはなくなってきます。社会に出ても絶えず新しいことへ挑戦する、新しい知識・技能・ノウハウを取り入れ錆つかさないようにする、という姿勢が大切なのです。そして、このベースにあるのは、人間としてのしっかりとした根っこです。
つまり人間力・人格を磨いておくことは学力を伸ばすことに繋がるのです。まさに中学・高校時代は将来社会で活躍するための基礎づくりの時期であると言えるのではないかと思っています。

2008年10月17日

学校改革にあたって~人間力の基礎は凡事徹底から

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  既に説明したとおり、本校では教育ビジョンの第一に人間教育の充実をかかげています。人間教育というと何か難しい特別のことを考えがちですが、人間力を高めるための特効薬やマニュアルといったものはありません。凡事徹底という言葉がありますが、人間として当然やらなければならないあたり前のことや簡単なことをやり続けることが何よりも大切なのです。簡単なことが完璧にできるようになって、初めて一段高いステップに進むことができるのです。言い換えると簡単なことができない人間に難しいことは絶対にできないということです。そして、社会で活躍している人は、概して人間的に優れているということもありますが、この凡事徹底の習慣が身についているのです。
  このように社会で役立つためには凡事徹底が基本であるという考え方に立って、本校では「さわやかな挨拶」「きっちりとした服装」「ルール・マナーの遵守」を三つの柱として全教職員が登校時やホームルーム、授業を通じて生徒指導を行なっています。とりわけ、挨拶についてはコミュニケーションの第一歩であり、挨拶をしないということは自らコミュニケーションの扉をとざすことになるということで、本年度より学園をあげて年2回(4月と9月)を挨拶推進月間に設定しました。
  この他にも、凡事徹底には「整理整頓する」「お礼状を書く」「必ず日々反省する」「時間を守る」等多くのものがありますが、生徒達には簡単なことをおろそかにしないという習慣を身につけさせていきたいものです。

2008年10月16日

学校改革にあたって ~学校のビジョン

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  私は以前公立高校に勤務していましたが、公立と私立の違いはまさに学校のバックボーンが明確になっているかどうかではないかと思います。このバックボーンには、創立の精神や校是、ビジョンといったものが挙げられます。これまで二回にわたって創立の精神の体現化と学校の果たすべき役割の明確化をはかるということについてお話してきましたが、更にどのような学校を目指すのかという確固たるビジョンが必要です。
  本校は雲雀丘学園に属していますが、学園として〝「人間教育の充実」と「学力の向上」を両立させた関西を代表する学園を目指す〟というビジョンがあり、幼稚園、小学校、中学・高校共通のものになっています。このビジョンで注目していただきたいのは、最初に人間教育が掲げられているということです。昨今社会の風潮として、多くの学校が進学実績のみを重視する傾向がありますが、知識偏重型の人間はたとえ希望する大学に進学できたとしても、人間としての根っ子が育っていないと将来社会に出てから必ず行き詰まることになります。
  現在、本校では学校改革を推進していますが、決して学力の向上のみを目指しているわけではありません。学力の向上が必ずしも人間力を高めることにはつながりませんが、人間力を高めることは必ず学力の向上につながるのは間違いないと思います。

2008年10月15日

学校改革にあたって~学校の役割の明確化

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  私は34年間にわたる民間企業での人事や経営の仕事を通じて、社会で活躍している多くの人とお会いしてきましたが、これらの人にはいくつかの共通点があるということを感じました。その第一は〝自分なりのゆるぎない志を有し、これに根ざした高い目標を持っている。〟第二に〝この目標達成のために日々たゆまぬ努力を継続している。〟そして、第三は〝常に素直に反省することによって自らを律している。〟ということです。
  3年前に、雲雀丘学園中学・高校の校是である『高志・自律・努力』を知った時、あまりにも社会で活躍している人のイメージと重なり、正直なところある種の衝撃を受けたのを鮮明に覚えています。これらの人は世の中のために貢献するという強い思いを持っておられます。この志は決して単に名誉や名声を得たり、お金儲けをするといった野心や野望といったものではありません。加えて、常に感謝や思いやりの心を持ち、あたり前のことをあたり前にするという凡事徹底の習慣が身についています。
  一方で、新入社員をはじめ多くの若い人達と仕事を共にしてきましたが、年々指示されたことはやるが自ら問題意識を持って行動する人が少なくなってきたことです。また、他人の迷惑を考えず自分のことだけを優先するという傾向も増えてきているように感じました。これでは、決して社会で役立つことはできないでしょう。
このような状況を改善するためには、社会人になる前の教育が重要です。まさに〝学校は社会で役立つ力を育てるトレーニングの場〟でなければならないと思っています。

2008年10月14日

学校改革の基本の考え方~創立の精神の体現

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  現在、多くの学校で中学・高校の入試説明会が開催されており、本校も既に中学2回、高校1回の説明会を実施しました。その中で、現在進めている学校改革についてお話していますが、今一度この校長通信でこれから何回かにわたって私の思いを述べたいと思います。
  本校においては、平成18年に新しい学校づくりに向けての検討を開始し、〝本校をどのような学校にすれば良いのか〟ということで、外部の多くの方から意見をお聴きすると共に校内でも論議を重ね、平成19年に高校改革を、本年(平成19年)に中学改革をスタートさせました。この際に最も重視したのは〝創立の精神の体現〟言い換えると〝創立の原点に戻る〟ということです。これまで本校の歴史や創立の精神については幾度も触れてきていますが、本学園は昭和25年(1950年)サントリー(株)の創業者である鳥井信治郎氏を中心とし地域の方々の熱い思いで創設されました。しかし、本学園の創設時のことを語りつげる人は今ではほとんどいなくなり、当時のことは学園誌(ひばり)や10年・20年・30年といった周年記念誌を紐解いてみなければなりません。私も何回かこれらを読み返してみましたが、創立の精神の中のキイワードは「孝道」や「社会に尽くす」「素直」「感謝」等です。「孝道」というのは耳慣れない言葉かも知れませんが、親孝行のできる人は人間としても立派になれるということであり、〝将来社会で役立つ人間を育てる〟というのが本校の教育の基本的な考え方なのです。

2008年10月07日

学園の歴史を学ぶ

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  今回、雲雀丘学園の創立十周年史や二十周年史、初代の中学・高校校長である板倉操平氏の「わが心の自叙伝」を読み返してみました。改めて本学園は他の私立学校のように校主によって造られた学校ではないということを痛感しました。
  板倉氏の自叙伝には「父兄(保護者)が創業者であり、先生が協力し、生徒が又一体となって造り上げた学校である。何等の設備もなく、教室さえ無い所から学校教育が始まった。小学校の当初は、既設の幼稚園に間借りし、工事事務所を買い取って学校とし、中学校も小学校の空教室へ新一年生を入れて授業を始め、時には物置までも教室にした。・・・(中略)・・・ 年次を加える毎に、先生も増員せられ、設備も一応は整ったが、しかし、既設の他の私立学校、公立学校に比ぶれば、職員組織も整わず、設備も不備であった当時の卒業生第一回、第二回の連中は其の後の成績は最も優秀であり、現在も社会で大いに活躍している。・・・(中略)・・・ 設備も整い職員組織も充実した其の後の生徒諸君、其の日の生活に安住していると、創業時代の卒業生に及ばぬ結果となる。今は守成時代に入ったが、飽くまで創業時代の意気込みを忘れてはならぬ、生徒先生も。」と叙述されています。
  中学校が創設されたのは学園創立3年後の昭和28年(1953年)であり、待望の鉄筋校舎(現在の高校校舎)の完成は翌年の昭和29年(1954年)です。創立60周年を機にこの校舎の建て替えを行なう計画になっており、当時とは比較にならない素晴らしい教育環境になりますが、今一度板倉先生の言葉を噛みしめていきたいものです。

2008年10月04日

学園設立の経緯

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  本学園は10月1日が創立記念日になっていますが、創立後60年近くが経過し当時の状況を知る人もごくわずかになってきました。そこで、創立記念日を機に学園歴史を紐解き設立にいたった経緯を振り返ってみたいと思います。
  第二次世界大戦が終わって間もない昭和24年(1949)2月、雲雀丘、花屋敷の住宅地の子どもたちが多く通学していた隣の市の大阪第二師範学校付属小学校の入学試験に対する「文部次官通達」が出されました。この内容は《 終戦後アメリカ進駐軍が占領政策で日本の「教育の民主化」政策を進める中で、付属小学校は富家の子弟ばかりの入学を認めているのが実態であり、一般の子どもの入学を認めて庶民教育をするべきである。志望者が多ければ抽選で入学者を決めよ》というものです。この通達によって抽選が実施されたため、抽選にもれた雲雀丘、花屋敷地域の子どもが数多く出ることになりました。その結果、兄姉が付属に通っているのに弟妹が入学できないという事態が起こり、彼らの保護者の中に“付属のような学校を設けたい”との意見が生まれた。 殊に、当時この地域の子どもたちが通園していたこの地の雲雀丘幼稚園( 園長・大原たま氏)の卒園児童から多数の不合格者が出て、大原園長らは彼らの将来について真剣に考えざるを得ない立場となり、地元の西谷村村会議員をはじめ地元の教育熱心な人達と共に、学校新設の世論を起こした。これが2月半ば過ぎのことである。村会関係者は西谷村と交渉する一方、幼稚園関係者は大阪第二師範学校( 校長・板倉操平、付属小学校主事・池上実)に援助を仰ぎ、学校新設の運動が進められた。
  第1回の公式会合は3月25日夜に行われ、「雲雀丘小学校創立委員会」として発足し、 委員長鳥井信治郎(寿屋社長 現サントリー)・ 学校長土井信男(師範学校付属小学校教官)などが決められた。その後、まず、西谷村雲雀丘分教場として学校が発足することになり、4月15日が入学式であると共に開校式となり、分教場の場所は雲雀丘幼稚園の園舎であった。新1年生は男子22名、女子14名、計36名で、先生は学校長兼土井信男、石黒冨貴子(師範学校付属小学校教官)の2名であった。
  このように創立の経過を見ると、 昭和24年(1949)2月21日 付属小学校の合格発表、3月25日 雲雀丘小学校創設委員会 結成、3月27日 西谷村村議会で雲雀丘分教場設置の決議とわずか2カ月足らずの超スピードでの設立であったことがうかがえる。
その後、昭和25年(1950)8月24日 学校法人雲雀丘学園が認可され、10月1日 開園記念式(学園創立記念日)が行なわれたのである。 

2008年09月26日

高校校舎の建設にあたって

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  今週の全校朝礼で、全校生徒に高校校舎の新設とそれに伴う仮校舎の設置についての話を行ないました。
  〝間もなく本学園は創立60周年を迎えますが、記念事業の一環として高校の新校舎を建設します。この新校舎は、屋上への太陽光パネルの設置、雨水の利用、環境材の活用により環境に配慮すると共にゆとりスペースを設ける等の素晴らしい建物になります。しかし、建築のスタートは来年の2月末になりますが、現在の高校校舎を取り壊した後に建設することになるため、これに先立って、この10月から現在のグランドに仮校舎の建設を行ないます。仮校舎の完成は12月末になりますが、この建設期間中はグランド内には工事用の車輌が出入りしたり、資材がおかれることになりますので、一切立ち入ることはできません。くれぐれも安全には注意するようにしてください。また、新校舎の完成は再来年の3月末になるため、その間は全校朝礼をこのような形で行なうことはできなくなりますので、体育館を使用する等の工夫をしていきたいと考えています。〟
  その後、職員会議でも教職員の皆さんに詳しい説明を行ないました。更に10月3日(金)に保護者説明会を開催する予定です。なお、このお知らせは本日、生徒を通じてお届けしております。

2008年09月12日

情報の共有化をはかる

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  本校では通常月2回水曜日に職員会議を開催していますが、去る10日にはベネッセ・コーポレーションの平岡亮氏にお越しいただき、2008年度の進研模試・スタディーサポート成績報告会を実施しました。中学1年から高校3年のすべての学年では年間を通じて生徒の学力の現状や伸張度を客観的に把握するためにさまざまな外部の模擬試験を取り入れており、これらの結果は各学年にフィードバックされ、進路指導部と連携をはかりつつ個々の生徒に対する学習や進路指導を行なうことになっています。生徒一人ひとりの進路実現をはかるには、担任はもとより学年団、進路指導部、教務部等の分掌、各教科の力が結集されているということが大切ですが、現状のやり方ではどうしても情報が個々の学年毎に集中管理され学年中心の動きになり、学校全体の動きに繋がらないということになりがちです。
  今回の報告会の狙いはすべての教員に情報を公開することにより、まず学年・クラス・教科の実態を正しく掴んでもらい、その上でそれぞれの立場でどういう取り組みを行なうかを検討してもらうということです。平岡氏からは年次・年度別・教科別・教科内のジャンル比較・学力伸張状況・個人の強化別偏差値等の詳しいデータ分析結果が示されました。これらを学年や教科毎に細かく分析していくと、それぞれの課題が明確になりやるべきことが見えてきます。全職員が参加するこれまでの教員会議は日常の教育活動や行事等の報告に裂く時間が多いようですが、今後は重要な情報の共有化や新しい施策の検討のために使っていきたいと思っています。

2008年08月26日

TOP研修(学園経営会議)の開催

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  8月26日(火)、TOP研修(学園経営会議)を開催しました。メンバーは常務理事と各校種の校長・教頭・園長、それに事務局長以下スタッフの12名です。本学園では月1回このメンバーによる運営委員会を開催し、各校種の取り組み計画や実施結果の報告等を行なっていますが、中長期的な視点に立った検討については十分とは言えません。
  このため、例年8月の終わりのこの時期に、学園全体の中期的なテーマについて討議する場を持つことにしています。本日は9:30から18:00過ぎまで次のような課題について意見交換しました。
    (1)学園の中長期シミュレーションと課題
    (2)各校種の課題と対策
    (3)教職員の資質向上
    (4)人事施策の検討
  どの課題についても簡単に解決できるというものではありませんが、活発な意見が交換され、学園経営に携わるメンバー全員の共通認識は深まりました。
また、間もなく迎えることになる創立六十周年記念の学園史編纂に関しても前向きの意見が提出され、大まかな方向付けがなされました。
  60年と言えば人間では還暦に当たります。これを機に各校種がそれぞれの立場で改革を進めつつ学園としての総合力を発揮していきたいと思っています。