学園ブログ

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常務理事便り

2022年07月29日

Vol 16 熱戦の高校野球

~雲雀丘学園常務理事 成地 勉~

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 高校野球兵庫県大会の決勝が昨日行われ、県立高校の社高校が初めての優勝、見事に甲子園への切符を勝ち取りました。相手は神戸国際大附属高校、昨年度の優勝校で甲子園でもベスト8まで勝ち上がった強豪校です。14回の延長の末、タイブレークによる戦いを制しての見事な優勝でした。おめでとうございます!!
 この季節になると各新聞に選手全員がマウンドに駆け寄り喜びを爆発させる写真がよく掲載されます。野球にかけた青春を見事にとらえた良い写真です。
 しかし、私はこうした写真を見るたびに少し違和感を覚えます。マウンドに駆け寄った多くの選手が人差し指を大きく天に向かって突き上げ一番になった喜びを誇示するシーンです。識者によるとこれは20年くらい前に甲子園での優勝チームの行為が広まって今では優勝チームの行為としては一般的になったとのことでした。

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 いずれの学校にせよ一位を獲得するに至った汗と涙にまみれた努力や団結力には心からの敬意を表します。また、一位になった喜びをマウンド上で爆発させる行為も素直な気持ちの発露として、今の時代では許されると思います。しかし、一位になったことを殊更に誇示するようなこの指差しは一般的になったとは言え、心に引っかかるものを感じてしまいます。戦いには必ず敗者がいます。勝者は勝利を誇示するのではなく、敗者をたたえこそ真の勝者ではないかと思えます。教育とはこうしたことについて師弟で考えていくことでもあると思います。
 同じ日、奈良県では天理高校が見事に優勝し、甲子園の切符を掴みました。相手は県立生駒高校でした。同校は強豪の智弁学園高校を準決勝で破っての決勝戦でした。しかし、コロナクラスターがチームで発生し、ベンチ入りの半数以上を主力から切り替えての決勝戦でした。結果は天理の大勝となりましたが、天理高校はマウンドでの勝利の雄叫びも一位となった勝利の指差しもしなかったとのことです。同校の選手の発案で不幸にして十分な戦力で戦えなかった生駒高校に慮って、そうした行為を取りやめたとのことでした。先生に言われるのではなく自らの意志でこうした気配り、目配りのできる人間力の備わった人ならば、社会に出てもきっと良い仕事をするのではないかと想像できます。そして本学園が育てたい人材像でもあります。天理高校の選手にはまさに“あっぱれ”と賛辞を送りたいと思います。